村野瀬玲奈の秘書課広報室

　　

子どもが死んだ痛ましい事件。弱者を貧困の淵に追いやる鉄板の社会構造をつくりあげた日本の一断面として、そして、富者に手厚く弱者に冷たい日本の政治と社会を作り上げている日本人の心根を変えることができない無念さをかみしめるために、記憶のために記録します。

この容疑者の個人的事情を責めてもはじまりません。生活苦を増やす非正規雇用拡大の雇用政策、給与を上げない新自由主義、貧困じゃを容赦なく鞭打つことはしても貧困と闘うことはない日本の政治と報道業者とそれらを支える「自己責任論」を持つ日本人がスクラムを組んでいる現状では、このような境遇に陥る人は増えこそすれ、減ることはありません。この容疑者がそういう境遇から辛うじて逃れたとしても、別の誰かがそのような境遇に陥ります。「この容疑者の自己責任だ」と気持ちよく説教する日本人が一定数いる限り、この冷酷な日本社会は子どもをはじめとする弱者に襲いかかり続けるでしょう。

報道記事は、容疑者名を伏字にして記録させていただきます。

●産経新聞 - Yahoo!ニュース
さらに乳児１遺体　「生活苦で育てられず」　静岡・下田
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141005-00000004-san-l22
産経新聞 2014年10月5日(日)7時55分配信

　下田市高馬の自宅に乳児の遺体を遺棄したとして、この家に住むアルバイト店員、ｘｘｘ容疑者（２８）が死体遺棄容疑で逮捕された事件で、下田署は３日、現場検証中に別の乳児の遺体が発見されたと発表した。ｘｘｘ容疑者は４日午前、１人目について死体遺棄の罪で静岡地検沼津支部に送検され、「１人目は１年ほど前に生んだ。生活が苦しく育てられなかった」などと供述しているという。また、同日行われた司法解剖の結果、２人目の遺体は女児と判明した。目立った外傷はなく、死因は不明だった。

　ｘｘｘ容疑者の自宅があるのは、下田市内の中心部から約２キロ北の稲生沢川沿いの住宅街。自宅の裏手には家電製品などのごみとともに、チャイルドシートや三輪車が雑然と置かれていた。同署によると、女児の遺体は口を縛ったごみ袋に入れられ、プラスチック製の衣装ケースの中に入っていたという。

　近所に住む無職の女性（７９）は「２人目が見つかったと聞いて驚いた。まさかこんなことになるなんて」と絶句。女性によると、ｘｘｘ容疑者は３、４年前に引っ越してきた。自宅の周辺ではよくｘｘｘ容疑者の子供たちが遊んでおり、小学校高学年くらいの男の子が家に入れてもらえず、「ママ開けてよ」と家の外で泣いていたこともあったという。昼間は市内のファミリーレストランで働いており、女性は「借家の家賃は月７万円程度だと聞いた。アルバイトの収入で子供３人を育てるのは大変だったのでは」と話した。

　また、引っ越し当日にあいさつしたという主婦（７５）は「３年ほど前に、あの家で赤ちゃんの容体が悪くなり、救急車に運ばれたこともあった。子供たちが気の毒だ」と話していた。
最終更新:10月5日(日)9時33分

 （転載ここまで）

「子供たちが気の毒だ」という前に、「誰か助けろよ」と思う。 この「子供たちが気の毒だ」という人は、生保や子供手当ての拡充に尽力するのだろうか。 さらに乳児１遺体　「生活苦で育てられず」　静岡・下田（産経新聞） - Y!ニュース http://t.co/9lCepnKSE9

— 今野晴貴 (@konno_haruki) 2014, 10月 5

生活苦でなくなった子供たちを「気の毒だ」という下りが、非正規雇用で働いていた母親を非難するように語られていたことが、あまりにもおかしい。 「子供たちが気の毒だ」というのなら、生活保護や国の福祉を求めるべきである。

— 今野晴貴 (@konno_haruki) 2014, 10月 5

どこかで行政が、周囲の誰かがこの容疑者の窮状をキャッチして適切な行政の援助回路につなげていればこの悲劇は防げたはずで、それができるようになっていない日本が悲しいのです。この記事を読んでいるみなさんがこの死んだ子どもたちを気の毒だと思うなら、上のツイートで今野さんが書いている通り、生活保護や子供手当ての拡充に尽力する政党や政治家を一人でも多く当選させる投票をしてほしいと思います。そして、「生活保護や子供手当ての拡充に尽力する政党や政治家」は現在与党の地位にある政党や政治家ではないことは確かです。

この報道をしている産経新聞は生活保護受給者バッシングを好んで行なう報道勢力として知られています。つまり、産経新聞は貧困者が生活保護を受給して生活を成り立たせることを否定している集団であると形容することができます。そんな産経新聞がこのような事件を同情的な記事に仕立てる偽善に悲しさと怒りと不快さが混じった感情をいだきます。産経新聞が生活保護受給者バッシングをするとき、あるいはほかの誰かが生活保護受給者バッシングをするとき、私はそれを弱者への直接的暴力、無抵抗の子どもを殴る行為と同じだと見ます。

子どもを守れない日本人と日本社会を、子どもを優先的に守る日本に作り替えるにはあと何十年、何百年かかるかもしれません。それでも、何百年後に日本が子どもを優先的に守れる国になるためには、今からそのことを訴え続けていかなければならないと思い直して、こういう考え方を社会の中の何人かが受け継いで未来に伝えてくれるだろうと信じて、こうしてささやかなメモを書きます。


関連記事。
■貧困を放置した日本社会がまた人を殺した。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6002.html
2014-09-27

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