村野瀬玲奈の秘書課広報室

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日本を代表する詩人の谷川俊太郎（たにかわ・しゅんたろう）さんが亡くなりました。謹んで哀悼の意を表します。

日本国内の報道や論評や追悼メッセージはたくさんあるので、海外の報道に目を向けてみましょう。順番に、フランスのパリ地方の大衆日刊紙「ル・パリジャン（Le Parisien）」、フランスの作家、出版業界、書籍流通業、図書館向けウェブニュースの「アクチュアリテ（ActuaLitté）」、英日刊紙の「ザ・ガーディアン（The Guardian）」です。

（このうち、フランスのサイト、「アクチュアリテ（ActuaLitté）」は、「ニュース」を意味する「アクチュアリテ（Actualités）」と「文学、文芸、書誌」を意味する「リテラチュール（Littérature）」を合成した、さり気なく洒落た命名です。）

●Le Parisien
Shuntaro Tanikawa, géant de la poésie japonaise, est mort à l’âge de 92 ans
日本の詩の巨匠、谷川俊太郎が92歳で亡くなる
Certaines de ses œuvres ont été adaptées en albums pour enfants et figurent dans les manuels scolaires japonais.
https://www.leparisien.fr/culture-loisirs/shuntaro-tanikawa-geant-de-la-poesie-japonaise-est-mort-a-lage-de-92-ans-19-11-2024-OZ43OWYIA5AVZKJKJYNTCUXMYY.php
Par Maxime Poul
Le 19 novembre 2024 à 13h36

●ActuaLitté - Auteur, librairie, édition, bibliothèque _ tout le livre
Disparition de Shuntarô Tanikawa, “le Prévert du Japon”
谷川俊太郎死去。「日本の（ジャック・）プレヴェール」
https://actualitte.com/article/120430/auteurs/disparition-de-shuntaro-tanikawa-le-prevert-du-japon
Publié le 20/11/2024 à 10:25

●The Guardian
Shuntaro Tanikawa, giant of Japanese poetry, dies aged 92
日本の詩の巨匠、谷川俊太郎が92歳で亡くなる
https://www.theguardian.com/books/2024/nov/19/shuntaro-tanikawa-japanese-poet-death-age-92
Tue 19 Nov 2024 01.19 GMT

日本の詩人として巨匠と認めていることが共通しています。また、海外でも翻訳されて出版されていることも紹介されています。日本文化・日本文学の価値を海外で高めた人だということがわかりますね。それがよくわかるのが、フランスの「アクチュアリテ（ActuaLitté）」ニュースサイトは、フランスの偉大な詩人、ジャック・プレヴェール（Jacques Prévert）を引き合いに出して紹介していること。確かにその例えは作風的にも仏日それぞれの国の文学界での位置付け的にもフランス人に分かりやすく的確なものだと感心しました。

日本だけでなく、海外にとっても大きな損失だったのです、谷川俊太郎さんの死去は。

ちょっと話がずれますが、文学を軽視する人たちや団体がいますよね。一部のある種の理系や財界・営利企業の人々とか、論理国語と文学国語を区別する文部科学省とか。功利的に考えたって、日本人と日本国が文学を軽視していたら、海外でも読まれていて評価の高い谷川俊太郎氏のような文学者を日本人と日本国が蔑視するというアホで倒錯的なことになります。海外でも翻訳・出版されて海外でも読まれているものを日本人自身が貶めてどうするんでしょうか、と思います。そういう功利的・経済的な視点ではなくても、言葉の芸術への敬意が乏しい国の文化なんて衰退するしかないと思うんですけどね。そういう意味でも、谷川俊太郎さんの死去は本当に残念です。

谷川俊太郎さんの業績・作品について少し。一つ私が親しんだのが、世界人権宣言を谷川俊太郎さんと国際的人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルが平易な言葉で日本語化したもの。人権について学ぶ時にこの訳から得るものは大きかったです。こちらから一条一条読んでいただけます。

●国連広報センター
やさしい日本語で読む世界人権宣言（谷川俊太郎/アムネスティ・インターナショナル日本訳）
https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/75th_humanrights/amnesty/

そして、それ以外に、これなんかどうでしょう。「平和」という詩の一節。

私の好きな谷川俊太郎さんの’平和’という詩の一節。ずん、とお腹に響いた言葉です。「平和　それは花ではなく　花を育てる土」

— 鈴木さえ子 (@SUZUKi_SAEKo) November 19, 2024

「平和　それは花ではなく　花を育てる土」、美しい言葉です。そして、いろいろなことを考えさせてくれます。これが文学的な言葉の力です。何度も繰り返し反芻しましょう。


さらに、この「平和」で思い出すのが、うちの「世界の反戦歌・反戦詩から」という不定期連載シリーズの一つとして取り上げた、英国の詩人・作詞家のピーター・シンフィールドが英国のロックグループ、キング・クリムゾンの曲のために書いた「平和　-終焉-」という詩。

■「平和　-終焉-」　キング・クリムゾン　（不定期連載「世界の反戦歌・反戦詩から」）
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6814.html
2016/01/03 00:00

なんとなく谷川俊太郎の「平和」にも共通する内容で、偉大なる精神は邂逅する、という言葉を思い出します。...と、このピーター・シンフィールドも、ちょうど2024年11月14日に80歳で死去したばかりです。（ウィキペディアの「Peter Sinfield」の項目による。）

谷川俊太郎さんとピーター・シンフィールドという二人の詩人の死をあわせて悼みます。さらに、上で、フランスの偉大な詩人、ジャック・プレヴェールに谷川俊太郎さんをたとえましたから、ジャック・プレヴェールの名言を一つ引いてすべての詩人を追悼し、生と死について思いをはせましょう。

La vie est une cerise, la mort est un noyau, l'amour est un cerisier.
Jacques Prévert
命（人生）とは一つのサクランボであり、死とは一つの種であり、愛とは一本の桜の木だ。
ジャック・プレヴェール

（翻訳引用ここまで）




　　

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