選択的夫婦別姓を社説に載せない新聞社で働く男 |
熱血!与良政談:「政高法低」の行き着く先=与良正男 毎日新聞 2015年11月04日 東京夕刊
何しろ、これまでの憲法解釈を無理やり変えて集団的自衛権の行使 を認めてしまう安倍政権だ。もはや何をしてもへいちゃらなのかもし れない。このところ、法の趣旨を逸脱した姿が目立つ。
一つは沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題だ。
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が埋め立て承認の取り消し を決めたのに対し、事業者の沖縄防衛局は行政不服審査法に基づく不 服審査を求め、石井啓一国土交通相が取り消し処分の執行停止を認め たのはご承知の通りだ。
だが、この法律は行政機関から不利益な処分を受けた「私人」を救 済するのが本来の趣旨だ。果たして防衛局が「私人」か。政府と県の 対立を同じ政府の国土交通相が判断するのは利益相反ではないのか。 多くの行政法学者が「私人になりすましている」とまで批判している。
政権側はこんな批判が出るのは分かっているから、同時に代執行 (これまた知事の権限を奪う強行手段だが)の手続きにも着手したが、 やはり驚くのは今の法律は国の機関の申し立てを明確に禁じていない から構わないという発想だ。政府が法の抜け道を探し都合よく適用す る。それは権力の乱用につながる。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や中国問題、あるいは 「1億総活躍とは何か」等々、新しい課題が次々と出ているのに臨時 国会を開こうとしないのも同じだ。
憲法は衆参どちらかで総議員の4分の1以上の要求があれば内閣は 臨時国会の召集を「決定しなければならない」と記す。どう読んでも 開会するのが当然だと思う。ところが野党が憲法に基づき開会を求め たにもかかわらず、政権側は憲法には召集期日の規定はないことを盾 に拒んでいる。
過去にも例はあるが、あしき前例に従う必要はない。そもそもこの 条文は内閣の勝手な都合で、国権の最高機関=国会が開かれない事態 を防ぐためのものだろう。権力の独走を抑え、少数意見を尊重すると いう意味も込められているはずだ。
安倍政権は自民党より首相官邸が圧倒的に強い「政高党低」と言わ れるが、現状は非立憲主義的な「政高法低」と言った方がいい。本質 的な問題なのに総じてメディアの追及が手ぬるい。私たちが慣れっこ になってはいけない。 (専門編集委員)
このところ毎週のように毎日新聞専門編集委員・与良正男氏の「熱 血!与良政談」を取り上げてはあれこれ言ってますが、今週も言わ ないわけにはいきませんよねぇ。
いやっ、上に書いてあることに取り立てて文句はないのですが、、、 問題は書いてないことにあります。
毎日新聞専門編集委員であらせられる与良正男氏ですから、毎日新 聞の社説を見てみましょう。 2015年11月 5日 社説:もんじゅで勧告 運営者交代より廃炉だ 社説:中台首脳初会談 地域安定を図る対話に 4日 社説:虐待9万件 児童相談所の充実急げ 社説:一人っ子政策廃止 国家の介入は必要ない
昨日11/4には最高裁で選択的夫婦別姓の弁論があったというのに、 昨日も今日も、毎日新聞の社説には、そのことは一切触れず、、、。 まぁ、社説で違憲判決が出る前に「選択的夫婦別姓を認めない民法 は違憲だ!」などと書くのはちょっと問題があるのかもしれません から、こういうコラムに書いてあるのかと思ったら、与良正男氏も 一言も触れず。
安倍政権は非立憲主義的な「政高法低」と言った方がいい、などと 言っておきながら、民法がその憲法に反するのではないかが争われ ているのに、関心なしとは泣けてくる。(T_T)
これで、もし違憲判決が出たら、ここぞとばかりに、国会がサボっ てきたせいだ~!などと叩きまくるですかねぇ、毎日新聞も?! そんな毎日新聞の専門編集委員が「メディアの追及が手ぬるい」 と言ってるんだから、あれですよねぇ、「暗いと不平を言うより もすすんで灯りをつけましょう」という感じでは?!
私が見た中で11/4、5に社説に選択的夫婦別姓問題を書いていた のは、↓こちら。 東京新聞だけですよ~!
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【社説】東京新聞 夫婦別姓訴訟 普遍的な人権の尊重を 2015年11月5日 夫婦同姓を求める民法規定が女性に差別的で憲法に反するとした 訴訟で最高裁大法廷が最終弁論を開いた。夫婦別姓も選べる制度の 導入は人生の選択肢を広げる。普遍の人権として判断すべきだ。
夫婦が結婚時に「夫か妻かどちらかの姓を名乗る」と定めた規定 が男女平等を定める憲法に反していないか。家族のあり様や結婚、 人生に対する考え方が多様になった今、東京や富山などに住む男女 五人の原告がこの規定を不合理だと訴えたのは自然なことだ。
最高裁は、新しい憲法判断や過去の判例を変更する場合に十五人 の裁判官全員による大法廷に審理を移す。夫婦別姓をめぐる訴訟は 四日、最終弁論を終えた。
「夫婦同姓」は家を重視した明治民法の規定が戦後も残された制 度だ。「夫または妻の姓を称する」という表現は中立的でも、姓を 変えるのは今でも96%が妻である。
夫婦の話し合いで決める場合もあるだろうが「女性は結婚によっ て姓を変えるもの」という社会通念が作用し、民法規定が生み出す 必然の結果ともいえる。高裁で人格権の一部だと判断された姓を一 方だけが変えなくてはならないのは差別的だろう。普遍的な人権問 題として考える必要がある。
改姓をめぐり周りと摩擦や職業的な不利益を感じる人が増えた。 結婚前の旧姓を通称として使うことを認める職場は増えたが、職場 によって認めたり、逆もある。公には認められない場面が多い。
夫婦が希望によって別姓を名乗る制度が導入されても不利益を被 る人はいない。現状では女性に不利益が多い。「家族の一体感を壊 す」という反対派に対し、政府の世論調査では「家族の絆と姓は関 係ない」と答えた人が六割に上る。選択的別姓制度の導入もとくに 若い世代では賛成が多数派になった。だが、人権にかかわる問題で 賛否の割合を条件にしてはいけないのは言うまでもない。
法相諮問機関の法制審議会は一九九六年に出した民法改正案要綱 で、選択的夫婦別姓導入や再婚禁止期間短縮、婚外子差別是正など をまとめた。子どもの人権にかかわる婚外子相続については一昨年、 違憲とする最高裁の判断で是正されたが、女性の人権にかかわる規 定は放置されたまま。女性差別撤廃条約にも反する。
女性の活躍を期待するのなら、基本の人権問題を正すべきだ。最 高裁は違憲審査権を発揮し、その判断では規定の違憲性や立法府の 怠慢に踏み込んでほしい。 Copyright (C) The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.
こちらは東京新聞の社説ですが、誰が書いてるんでしょうねぇ? まぁ、その人物は「どうだ、朝日、毎日、参ったか?!」と社説に 選択的夫婦別姓問題を書かない朝日新聞や毎日新聞の不甲斐なさに 比べて、こうして社説に書ける東京新聞を誇りに思った、、、かど うかはわかりませんが。 違憲判決が出てから、ワーワー言い出す他の新聞社に対して、どう 思っているのか聞いてみたい気がしますよ。(^_-)
下から4段落目ですが >結婚前の旧姓を通称として使うことを認める職場は増えたが、職場 >によって認めたり、逆もある。公には認められない場面が多い。 とありますが。
>認めたり、逆もある。 とか >公には認められない場面が多い とか、文字数に制限があるんですかねぇ? もちろん、制限はあるでしょうけど、何か省略しすぎというような。
>公には認められない場面が多い というのは、昨日取り上げた朝日新聞かNHKの記事にあったと思い ますが、たとえば弁護士だと、旧姓を通称として使用することはで きるが、公正証書ですか、法律上の名前を書くことを要求されると 戸籍上の名前を書くしかないとか。 2つ名前を持つことになったりで、ややこしですよねぇ。 その話でしょう。
下から3段落目 >だが、人権にかかわる問題で賛否の割合を条件にしてはいけない >のは言うまでもない。 だとか。
まぁ、これは人種差別とか民族差別とか、差別の問題で考えたら よくわかりますよねぇ。 たいてい差別する側が多数で、自分たちに有利な制度を作ってる わけだから、世論調査をすれば今ある制度を維持したいと思う人 が多くなるのは仕方ないでしょう。
だから、世論で賛成が多いから差別を続けよう!としたのでは、 いつまでも差別はなくならないですよねぇ~。 あと、アメリカの「ロー対ウェイド判決」。 こちらのウィキペディア↑では「ロー対ウェイド事件」となって ますが。
アメリカの連邦最高裁判所が1973年に中絶は女性の権利と認めた というか、 >「妊娠を継続するか否かに関する女性の決定はプライバシー権 >に含まれる」として、アメリカ合衆国憲法修正第14条が女性の >堕胎の権利を保障している と初めて判示したそうで。
うん、そういうことです。(?) まっ、上のウィキペディアにもありますが、これなんか、いま だに揉めてますよねぇ、アメリカでは、、、。
ただ、東京新聞には「賛否の割合を条件にしてはいけない」とあ りますが、最高裁の判事の賛否の割合で判決が決まりますよねぇ。 結局は数だと思いますけど。
だから、共和党の中絶に反対する大統領は、ロー対ウェイド判決 をくつがえしてくれることを期待して、次々に保守派の人物を最 高裁判事に送り込むんですけど、いまだ覆らず、、、。 まぁ、民主党の大統領はリベラル派を送り込みますからねぇ。
それから、アメリカの最高裁判事は終身だから、たとえば、20年 前に保守派として送り込まれた人物が長く最高裁判事をやってい くうちにリベラルになるとまではいかなくても中間派になるとか。 そんな変化もありますよねぇ。
合衆国最高裁判所 詳しくは、↑こちらの下の方の「現在の構成」とか「判断傾向」 あたりをご覧あれ。
日本では安倍っち(安倍晋三・首相)が「日本を取り戻す!」とか 言って、戦前に戻そうとするのか(まっ、本人は日本を良くする という意味で使ってるんでしょうけど)、そんな動きをしてます が、ちょうどアメリカでも同じような動きがあるんですねぇ~。
アメリカの話は置いといて。 そうそう、だから世論に従っていたのでは差別が解消できないと か、人権を保障できないというときには国会が国民をリードする 形で法律を作らなければならないんでしょうけど、まぁ~、自民 党ですからねぇ、そんなことはできないでしょうから。 そうなると、最高裁にがんばってもらうしかないですよねぇ。
安倍戦争法案(安保関連法案)のときは、「違憲審査できる唯一の 国の機関は最高裁です」みたいに言ってたのは稲田朋美政調会長 でしたか。 なんですから、違憲判決が出たら早く民法を改正してほしいもの。
まっ、違憲判決が出たら、選択的夫婦別姓を認めない民法を長く放 置してきた自民党の保守のみなさんを非難する記事がたくさん出て くるんでしょうけど、それを書いてる新聞社が、11/4、5に何を書 いていたか、今から切り抜いて保存しときたいですよ。(?)
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