村野瀬玲奈の秘書課広報室

まともに審議されることもなく国民の私権を制限する緊急事態宣言を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法の改悪案が昨日成立、本日より施行されることになりました。
暴挙に反対したのは何と！
共産党と立憲の山尾しおり議員だけという惨状ぶりでした。
（山尾しおり議員も緊急事態宣言反対では筋が通っていましたが、彼女はバリバリの憲法九条改悪論者です）
安倍１強状態にある政界で国会の事前承認なんてなんの効力もありません。
健全野党なら、安倍自民党政権の補完勢力でないなら緊急事態宣言にはっきり反対すべきでした。
緊急事態宣言の目的はコロナウイルスの感染予防を想定したものではなく、戦前回帰を夢見る安倍自民党政権による平和憲法の改悪、戦争準備を想定したものであることは明らかです。
そういうと戦前の侵略戦争に反対したのは共産党だけ、突極の悪法「治安維持法」に反対したのは山本宣治議員だけでしたね。
「この道はいつか来た道」であるということが頭をよぎります。

　クリスチャン新聞に投稿された高井ヘラー由紀さん（台湾南神神学院助理教授・日本基督教団信徒派派遣宣教師）による台湾の現状報告を紹介したいと思います。


　新型コロナウイルスが世界中を席巻する中，台湾は例外的に感染者拡大を食い止めることができている。4月2日現在，累計感染者は329名，うち死者5名にとどまっている。しかも感染者の大多数は海外からの帰国者で，新規国内感染はこのところ0～2名の間で推移，感染源もほぼ特定できている。今年1月11日の総統選挙で独立志向の蔡英文が再選をはたし，中国が蔡政権に経済的圧力をかけるために観光客を台湾に送り込んでこなかったことは，確かに台湾にとって幸いであった。しかし、これほどまでに制御できているのは，ひとえに政府がごく早期から先手を打って徹底的に対策を講じてきたことによる。海外からの入国者・帰国者に対する水際対策に始まり，国民への徹底した情報開示と丁寧かつ親切な説明，LINEなどのSNSの駆使，フェイクニュース阻止，教育機関への徹底した指導，マスクや消毒用アルコールの管理，など列挙すればきりがない。
　これは，WHОへの加盟もオブザーバー参加も許されていない台湾が，2003年SARSで苦い教訓を学んで以来，コツコツと積み上げてきた防疫のための努力の結果である。国民も政府の指導を信頼し，個人も組織も高い組織をもって防疫に取り組んできた。
　独立志向で台湾最大のプロテスタント教会である台湾基督教長老教会は，蔡政権を支持していることもあり，政府の指導に対して全面的に協力する姿勢で臨んでいる。1月30日の時点で，総会が各教会に対してマスク着用，検温，手の消毒，握手の回避，食事時の衛生上の注意などを含む数項目の指導を通達，長老教会以外の教会群もおおむね同様の対応をしてきた。
　しかし，政府はまったく気をぬかないどころか，むしろ指導を強化している。2月26日大規模な集会やイベントの中止あるいは延期を諸宗教団体に要請，3月24日にはさらに踏み込んで，屋外500名以上，屋内100名以上の集会の自粛を「嫌疑」した。


　表面上は新型コロナウイルスによる感染拡大を制御できているように見える台湾でも，政府による不断の努力は続いている。

　クリスチャン新聞に投稿された下山由紀子さんによるスペインの現状報告を紹介したいと思います。


　私はふだん医療通訳という業務に携わっており，毎日のように病院の中に入って日本人の患者とスペイン人医師の間で通訳業務をしている。3月14日にスペインで警戒事態宣言が出され，外出禁止例が発令されてからは自宅で残務処理をして過ごしながら，必要に応じ電話で通訳をしている。

　外出禁止令は法令であり、自粛要請ではない。従って①自宅から最も近い店まで，食糧品や必需品を買いに行く，②病院へ通院に行く，③許可された仕事に従事するために移動している，④自宅に直行している，⑤身体障碍者や年配者など，サポートを必要とする人のところへの往復，⑥銀行など金融機関への往復路，⑦不可抗力的な事情による外出，のどれかでなければ外出できない。州政府発行の用紙を印刷し，どれかにチェックを入れ，自分の氏名や身分証明書番号，署名も入れて持ち歩き，警察に尋問されたら提示しなくてはならない。これ以外で許可されているのは犬の散歩だけで，自宅から100ｍまでの距離に抑えるように言われている。反抗したり身分証明を偽ったりすると，100ユーロから30000ユーロの罰金が課される。

　スペインで新型コロナウイルスのケースが出始めたのは2月末ころだが，3月1日にクラシコと呼ばれる非常に重要なサッカー対戦があった。8日には「女性の日の大規模デモ」が実施され，かなりの人がこの大規模デモに参加。感染者が激増したのはその翌日からだ。

　感染して病院に行っても，今は市内ですべての病院はいっぱいで，近くの敷地（体育館や見本市会場）などに数百床のベッドを敷き詰めて病院拡張部分とした。だが，病院ではないので，酸素吸入の設備が必要なICUがない。マドリードで最大5500床を置ける見本市会場の即席医療施設に，何十本ものパイプを縦横に300メートル張りめぐらし，1550床（うちICUは150床）で酸素吸入できるシステムを3日で完成し，ウイルス対策を可能にした。定年退職者を含めその道の職人たちが総動員のうえ，ボランティアでできあがったシステムである。

　車の製造工場が現在，酸素吸入器の製造に急遽着手しており，服飾メーカーが防護服やマスクを縫い，スポーツ用品メーカーが潜水用マスクを酸素吸入用に販売して寄付したりといった，多くの寄付が寄せられている。

　80代，90代の高齢者がウイルスを克服して退院するケースもあり，退院時には医療スタッフが皆拍手をして見送っている。

　増え続ける遺体をどうすべきかも国家レベルの問題だった。考え出されたのが，できたばかりのアイススケート場を遺体安置所にすること。この政府案をスペイン国民は名案として受け入れている。医療スタッフも政府も，大切な命が失われた遺体を一つひとつ丁重に扱いたい。でも現実はお棺の製造すら間に合わない。袋に入れた遺体をフォークリフトで遺体安置用のバスに移動させていた様子を見た人が泣きながら撮影してSNSにアップロードしていた。「これが現実なんだ。みんな外出するな！感染しないでくれ！死なないでくれ！」と泣きながら。

　疲弊しきった医療スタッフが並んで清掃スタッフに拍手を送るシーンが毎日のようにあり，ウイルスに打ち勝って退院が許可された人には看護師がたちが並んで拍手をし，腕を組んで歩いて見送ってあげている。毎晩8時には，国中の窓から一斉に拍手とブラボーが沸き上がってくる。ウイルス感染が始まった当初から毎日実施されている，市民から医療スタッフ全員への感謝と励ましの拍手だ。

　今後は南半球が感染国になり，おすらく北半球以上の数の死者が出るだろう。日本もこれからだ。どの町にも千床レベルの入院施設を準備し，遺体安置所を用意しておく必要がある。

　私のイギリス人の友人（職業は大学教授・弁護士）がマンチェスターに住んでいるのですが，心配で尋ねてみました。

　近所ではほんのわずかな食料品店が開いているだけとのこと，また持病のぜんそくのために３ヶ月間自宅からの外出を禁止されているとのことでした。
　３ヶ月も自宅から出られないなんて，とても胸が痛みます。

　イギリスの首相がICUに入ったと聞きました。

　ほんとうにひどい状態です。

　中国では現在ATMでお金を引き出すことは自由だけれど，お金を預けることはできないそうです。
　お金はだれが手にしたものか分からず，ウイルスが付着している可能性があるので，預けるのは銀行の窓口などに限られるそうです。預けられたお金はきれいに消毒してからATMに入れられるので，引き出したお金はきれいで安心できるのだそうです。

　紙幣も硬貨も衛生的には汚いものです。お金を扱ったのちは，目をこすったり，口元を触ったりすることはやめたほうがいいでしょう。お金をさわったのちは，きちんと手洗いをした方がいいと思います。

　図書館，インターネットカフェでのパソコン，レストランなどでのiPadから感染することもあると言われています。利用者が不特定多数なうえに消毒がなされていないからです。

　感染者がトイレの個室を使用したのちに利用する人が感染する可能性もあります。感染者が用をたしたのち，便器の蓋をあげたまま水を流すと，便に含まれていたウイルスが水流によって天井に巻き上がる可能性があります。

　シンガポールは外出時にマスクを着用していない人に罰金を科すことを決めたとのことです。トイレの水を流さなかったり，タバコを路上で捨てることに罰金を科してきたお国がらだけに，国民からの反発はないと思います。

　小さな子どもを連れて混雑するスーパーに買い物に来ているお母さんも子どももマスクを着用していなかったり，わざわざマスクを外してくしゃみをする子どももいます。
　日本では危機意識がとても低いように思います。
　感染しない，感染させないためのエチケットのようなものを一所懸命に周知する必要があるのではないでしょうか。

　1946年4月5日，アウシュヴィッツ強制収容所の所長を務めたルドルフ・ヘスが宣誓供述を行いました。

　「1940年5月1日～1943年12月1日の間に，私がアウシュヴィッツで命令した犠牲者の数は、すくなくとも250万人，ガス死及び焼却死による処刑であった。さらに餓死・病死者50万人，全体で300万人であった。その中のドイツ・ユダヤ人は10万人。ガスによる大量処刑は，1941年夏に始まり，1944年秋まで続行された」

　しかしながら，ルドルフ・ヘスには成し遂げた業績として，1943年の末に，ビルケナウ収容所で7千人の女性が感染していたチフスの蔓延を，医者であるヨーゼフ・メンゲレに命じて止めさせたやり方があったと言われています。バラックにはシラミがはびこり，チフスはコントロールできない状態でした。メンゲレは，一つのバラックの600人の女性全員をガス室に送り，空になったバラックを徹底的に消毒しました。続いて浴槽と消毒器具を屋外に据えて，隣のバラックの女性たちにそこを通らせてから消毒済のバラックに入れました。その後,この女性たちがいたバラックを消毒するということを繰り返し，メンゲレは伝染病の蔓延を食い止めました。
　メンゲレは称賛され，自身もチフスに感染する危険を顧みずに取り込んだことに対して勲章を与えようという話も持ち上がったそうです。

　私が言いたいのは，悪魔のように言われたルドルフ・ヘスとヨーゼフ・メンゲレが少なからぬ人命を救い，伝染病の蔓延を食い止めたこと，ただしその理由は決して人道的なものではなかったということです。全体の利益あるいは科学の進歩が第一であって，その過程で何人の命が失われようと問題ではありませんでした。

　シモーヌ・ヴェイユ，ハンナ・アーレントとともに20世紀三大女性哲学者の一人に数えられるエディト・シュタイン（エドムント・フッサールの一番弟子，ユダヤ人，神秘思想家）もアウシュヴィッツのガス室で殉教しました。
　フランツ・カフカの妹エリとヴァリーがチェルムノ絶滅収容所のガス室で，末の妹のオットラもアウシュヴィッツ＝ビルケナウでチクロンガスにより殺害されました。

　クリスチャン新聞に投稿した有澤達朗　タイ・ミエン族宣教師によるタイの状況を紹介します。

　タイ初の感染事例は，1月13日に検査結果が出た武漢からの中国人だった。3月からの感染拡大はバンコクのルンビニ・ボクシング場での試合が原因。観戦者が感染者となった。するとバンコクからの脱出ラッシュが起きた。プラユット首相はその映像を見るや非常事態宣言を発令。3月26日のことだった。
　宣言と夜間外出禁止令は5月末まで続いており，対策の効果が出ている。新規感染者のピークは3月22日の188人で，5月4日に18人を記録したのち，一桁が続き，5月16日はゼロ。
　成果の遠因の一つは，国民がクーデタ慣れしており，非常事態宣言に伴う諸措置によく従う素地があるからではないだろうか。1932年の立憲革命以来，成功したクーデタだけを数えても13回。最近では2006年と14年に戒厳令が出た。
　近因は広報が分かりやすいこと。新型コロナウイルス対策本部の医師であるスポークスマンが毎日約1時間の報告をする。このハンサムな医者がグラフをふんだんに使い，最新基本情報（新規感染者数等），守るべき5項目（手洗い，マスク着用，2ｍ間隔，テーブル。カウンターなどの消毒，密集を避ける）の遵守度と違反件数，違反行為の内訳，帰国希望タイ人が在留国によってどのくらい待たなければならないかの情報，外国の取り組みから学ぶべきこと等々を，ニュースアナウンサーよりもゆっくりめに伝える。「グラフをご覧ください。うれしいですね。賭博（の違反件数）は60件を下回りました。住民のため安全な距離を保ちましょう」とにこやかに。また「匂いがしない?と気付いただけでもすぐに保健所の無料検査を受けてください」と，不安を抱かせないよう奨励している。


　タイ国民がクーデタ慣れしているというのは困ったものですが，毎日時間をかけて分かりやすく広報活動を行っているのはよいことだと思います。

　クリスチャン新聞に投稿されたハンガーゼロ・コンゴ駐在員の報告を紹介します。

　ハンガーゼロ（日本国際飢餓対策機構）コンゴ民主共和国駐在員ジェローム・カセバ氏によると，2020年5月7日現在新型コロナウイルスの感染者数は682人，死者28人。
　最初の感染者は3月10日にフランスから帰国した52歳のコンゴ人からだった。
　この時点では「コロナは寒い国でのみ発症する」「薬草や根を煎じて飲むなどの伝統的な民事医療で治る」という国民の認識不足もあり，コロナの危険性が伝わらなかった。
　検査設備の不備で1日に120人程度だった感染検査が500人まで拡大する一方，キンシャサでしか検査できない課題が出てきている。キンシャサでは，市の刑務所と兵舎で140人以上の感染が確認されるなど，さらに感染が拡大した。拡大し始めた当初，女性の感染率はわずか12%だったのが，最近は38%まで上昇した。
朝早く起きて公設市場に行き，物を売り買いしている女性たちは，マスクもつけず感染予防対策を全くしていない。多くの人たちと接触する日常を送っているため感染が広がっている。
　4月24日，ルブンバシで初の感染者が確認されたことを受け，プエトの協力スタッフとルブンバシの協力者とで電話会合。活動地での人々から感染者を出さないため，こまめに手洗いをする，多数で集まることを避けるなどの基本的な感染症対策を徹底することを確認した。