村野瀬玲奈の秘書課広報室

　　

私の記事、『ネット選挙解禁らしいけど、とても心配。』にツイートで次の同意のお返事をいただきました。ありがとうございます。

強く同意。twitterを見ているだけでも（特性ゆえかもしれないが）、「デマの拡散」と「単なる知識の間違いによる炎上」は煽情的に過ぎるかと。（表裏一体だったり） / ネット選挙解禁らしいけど、とても心配。 【村野瀬玲奈の秘書課広報室】 muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-412…

— 江浦正秀さん (@euramasahide) 2013年2月15日

選挙運動におけるネットの使用は必要なことですが、ネットによる選挙運動解禁だけですべてが解決するわけでもないし、「ネットによる選挙運動解禁」と聞いただけでその内容も確かめないで賛成し、その結果、不公平で民主的とは言えない制度になってしまうことを私はますます強く危惧します。

たとえば、法の制定者は候補者への成りすましを警戒しているようですが、それは、候補者本人から、本人のブログやツイッターやフェイスブックなどを総務省にでも届けさせて、届け出のあったURLを総務省の選挙関連サイトにでも「候補者オフィシャルサイト」として載せておけば、それ以外のものすべては候補者本人のものではないという証明になります。

デマの拡散については、江浦正秀さんの指摘の通り、単なる知識の間違いとの区別をつけることが難しいです。発言内容の真実性についてどのような基準で判断するかだって難しいでしょう。たとえば、政権政党や保守派から共産党について言われる内容に、「共産党は反対ばかり」というのがあります。実際、共産党はすべての与党法案に反対票を投じているわけではなく、半分以上、かなりの比率で賛成していると聞いたことがあります。（詳しい法案賛成率は覚えてません。詳しい方にお教えいただければうれしいです。）その場合、「共産党は反対ばかり」というのはデマかどうか、誰がどういう基準で判定しますか？そういうことを詰めないと、不公平で恣意的な運用ができる法律ができてしまうことは十分に考えられます。

そういう意味で、「ネットでの選挙運動解禁」について楽観的な見通しばかりであることが私をますます不安にさせます。

次のような社説があまりに楽観過ぎて、かえって心配です。たとえば、政党名と候補者名を連呼するだけの宣伝カーを走らせるだけの選挙運動のむなしさはなんとかしなければいけません。そこには反対の余地はありません。しかし、懸念を克服して誰にとっても公正な制度を作れるだけの見識を立法関係者が共有しているかどうか、私にはそうは思えないのです。

「政治改革」という抽象的な美名のもとに導入された小選挙区制度や、政党助成金導入が本来の趣旨から全くかけ離れた結果を生んでいるだけではなく、政党助成金導入とセットになっていたはずの企業献金の禁止が事実上機能していないことを思い出しましょう。「政治改革」という言葉からは、どさくさ紛れのいい加減な制度しか出来上がってこないというのは日本によくある現象であるように思えるのです。ですからこうして、政治権力者側、特に与党と準与党勢力の食い逃げをこうして心配しなければいけないわけです。

●東京新聞(TOKYO Web)
ネット選挙解禁　懸念克服して育てたい
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013021502000115.html
2013年2月15日

　インターネットを活用した選挙運動が今夏の参院選から解禁される見通しとなった。投票の際の判断材料を得る機会が増えるのは歓迎だ。なりすましなどの懸念はあるが、克服して大きく育てたい。
　パソコンや携帯電話、スマートフォンを利用する人は年々、増加して情報伝達の手段として定着しているのに、選挙の際には活用できない。社会状況から懸け離れたこんな旧態依然の法規制がようやく撤廃される。
　公職選挙法は選挙期間中に配布できるビラやはがきなど「文書図画」の種類と量を制限している。
　候補者のホームページ（ＨＰ）やブログ、短文投稿サイト「ツイッター」、交流サイト「フェイスブック」など、パソコン上の文字や写真も文書図画に当たるため、選挙期間中は更新できなかった。
　与野党はこれまでの協議でネットを選挙運動にも使用できるようにすることで基本合意に達した。
　有権者にとっては、候補者が何を主張し、どんな公約を示しているか、ネット上で適宜確認できれば、投票の際の参考にできる。
　投票率が低い若年層の政治への関心を高め、政治参加を促すきっかけになるかもしれない。
　ネットでの政治活動がより身近になれば、ネットを通じた個人献金の拡大にも道を開き、巨額の政党助成金に頼らない政治の実現にもつながるのではないか。
　各党間で意見が違うのが選挙運動での電子メールの使用だ。
　民主、みんな、共産の各党は有権者を含む全面解禁を求めているが、自民、公明両党は政党と候補者に限定するよう主張している。
　候補者や政党になりすました第三者による誹謗（ひぼう）中傷はやはり心配だ。サイバー犯罪に対する警察の捜査能力が乏しい現状では、政党や候補者に限定して始めるのもやむを得まい。状況に応じて徐々に拡充するのが現実的ではないか。
　同時に、すべての有権者がネットを利用しているわけではないことにも留意すべきだ。特に、高齢者の中にはコンピューターになじみのない人も多いに違いない。
　ネット選挙の解禁は時代の趨勢（すうせい）としても、それによって情報格差が生じないような工夫も必要になる。パソコンを使わない人のためにも、公報やビラ、はがきは依然有用だ。なくす理由はない。
　候補者名、政党名を連呼する選挙の弊害が指摘されて久しい。ネット選挙の解禁を、真の政策本位の選挙へと変わる好機としたい。

（転載ここまで）

杞憂であればよいのですが...。

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