クールコリア006 KTXの改札に人もマシンもない
韓国は今、ソウル市長であった故朴元淳(パクウォンスン)氏の話題で持ち切りだ。
人権派弁護士として活躍したあとソウル市の市長(35代、36代、37代)として9年ほどやってきていた。
7月9日に死亡し10日に発見された。ソウル市の40代の元女性秘書が7月8日、
警察に強制猥褻罪、威力強制猥褻罪などで告訴したことがきっかけで自死したものとされている。
故人のことをあれこれ言うのは礼を失すると思うので、このメルマガにはあまり書きたくない。
が、これだけは書かざるをえない。
「セクハラ」はその犯罪性が日本よりも数倍、数十倍重い認識になっている韓国。
1990年代からその傾向は強くなってきていた。その端緒を作った人間の一人がこの故朴元淳氏である。
女性の人権をネタに名声を高めてきてソウル市長になり、次期大統領の候補の一人と目されていた矢先だった。
セクハラは悪だと公の前では唱え、自分はその悪のセクハラをやっていた。
人間は誰だって矛盾の塊といえるけど、この矛盾はかなりシビアだ。
適当に女遊びとかふしだらな生活をやってきた人ならわかるが、
道徳の先生のようにやってきた人が裏ではこうだったのだから、ことばもない。
本来なら、死をもってすべての捜査は終わるのが原則だが、今回の事件ではそうならないで、
今後もその実態を徹底調査するということだ。韓国らしいやりかただと思う。
というのも、被害に遭った女性を脅迫するようなSNSなどがネットを荒らしており
朴市長をおとしめるために告訴したんじゃないのかとか
なんで4年も被害に遭いながら今になって訴えたりしたんだとか、それはひどいいやがらせがネットに出回っている。
女性の弁護士たちが彼女を保護しかくまっているみたいだ。女
性の告訴が妥当なものだったのだと証明するためにもさらなる調査が必要だというわけだ。
さて今回は、この話題ではなく、クールコリアだ。
韓国では、KTXだけでなく全ての汽車の駅の改札は無人である。
無人だけなら日本にもあるだろうが、KTXに乗っても切符を調べる人がだれもいないのだ。
これじゃ皆ただ乗りするんじゃないのと思われるかもしれないが、
ただ乗りがバレると料金の30倍だったか40倍だったか(忘れた)を払うことになるため無賃乗車する客はほとんどいない。
ほとんどはネットで予約して乗っている。ときおり予約しないであたふたとKTXに乗り込む人もあるが、
たぶんその人は乗り込んだ後わざわざKTXの中で車掌を捕まえて切符を買うものと思う。
これには韓国KTXの果敢な戦略があった。
ネットでの予約が活性化しつつあるころ、110年続いてきた改札での切符切りをやめたのである。
予約さえすれば(予約しなくても現場で切符を買っても勿論OKだ)、
改札でのチェックがないから客としては改札に並ぶ必要もなくすぐ通過できて楽だ。
楽だからもっと利用したいと思う。さらにバンバン乗る。駅側としては、
切符切りの費用も減るからその分別のところに配分できる。
無賃乗車があっても客足の伸びのほうがはるかに大きいからKTXとしては損する計算にはならない。
こういった思惑がヒットとなり今やKTXだけではなく前述のように一般の汽車も
予約だけで改札チェックも乗ってからのチェックもない。すごい時代になったものだ。
筆者がはじめてKTXに乗ったときには、これはちょっと面食らった。
「え? 切符も切らないし、乗っても調べにもこないの?」と。
ソウルから釜山に行くとき寝ないで見ていたら、1回くらいは車掌が全車両を歩いていたようだった。
これで予約のない席に人が座っていたら「ちょっと」と声をかける仕組みになっているのかもしれない。
コンピュータ画面かなんかで「予約なし席」はすぐにわかるようになっているはずだから。
でも筆者が乗っている間、誰もひっかかった人はいなかった。
それだけきちんと切符を買って乗っているのだろうと思う。
あるとき日本のJRからソウル駅に連絡が入り、ぜひ一度見学したいという。本当に改札に誰もいないのかと。
見学したあと(機械もなく誰もいないのを確認)、日本からの訪問団がソウル駅に
これだけはお願いといって頼み込んだ内容があるのだが、それは、
「日本のほうには改札口に機械もないし誰も人がいないことは言わないでいてほしい」というものだった。
あとでわかったことだが、訪問団というのは、JRに改札口のマシンを納入している会社の代表団だったとのこと。
最近新幹線の改札口のマシン改良にともない多額の金(ロビー)をばらまいていたのである。
コロナがはじまって間もなくのころ、筆者の住むアパート(日本式にはマンション)の1階に
消毒液がその容器ごと置かれていた。
外から帰ってきてエレベータに乗る前に誰でも自由にシュッシュと消毒する。
たぶんアパートの積立金から消毒液代(といってもわすかなものだが)が出ているはずだ。
おもしろいのは、この話をブログに書いたら、わがブロ友の一人が
「え?? それ、誰かが持って行ったりしないの? なくならないでずっとあるの?」と不思議がっていたこと。
日本だったら誰かもっていくんじゃないのかな、ともあった。
311であの秩序を見せていた日本だ。
誰かがそんなものを持っていくとも思えないけど、一部には心配する声もあるというのは事実のようだ。
だんだん日本が変わってきているのかもしれない。
中国にGDPで抜かれたあたり(2010年、2011年ごろ)から
日本人が自信をなくしていると感じるという筆者の韓国の友達がいる。
彼は韓国人であるが、商社勤めのため日本に駐在もしたし日本通といっていい。その彼のことばだけに、説得力がある。
それでもノーベル賞は依然として日本人が取っている流れがある。
韓国人が一番避けたがる題目だ。
特に知識人がそうだ。ノーベル賞の発表があったら、
エレベータで会ったら「ノーベル賞受賞、おめでとう」とかの一言ぐらい言えそうなものだが、
50人と会ってそんなことを言う韓国の教授は一人いるかいないかだった。
けど、ノーベル賞が取れなくなった時、
日本は「気がついたらみんなに置いてきぼりにされていた」と地団太を踏むことになるようで、切ない。
かといって特別の対策があるわけでもない。いままでやってきたようにやっていくしかないと思うのだが、
日本には、いつまでも物理学、化学、医学などの自然科学の賞を取り続けて
もらいたいものだ。地力があるから、日本はそう簡単に「沈む太陽」にはならないような気がするのだが、、、。
アイロニー
韓国の歌手でアン·チファン(安治煥 1965年生)という男性がいる。
韓流にすこし興味のある方はご存じかもしれない。
かなり有名な歌手だ。
もともと、革新派(進歩派)性向を持つ歌手で、
歌の内容も民主を叫ぶような歌が多い。
この安治煥が、7月7日に新曲「アイロニー」を発表した。
最近の文政権(進歩政界)の偽善に対して、歯に衣着せぬ批判と風刺を盛り込んでいる。
安治煥が自ら作詞作曲している。
安治煥は曲の紹介でも「歳月は流れ私たちの顔は厚くなった。あの日の純粋さは年を取り、老いてしまった」とし
「純粋さは鈍くなり陰険になった。メシのタネという崇高さに押されて羞恥心が麻痺した」と語った。
さらに「権力はむさぼる者のものだがあまりにも図々しい。今も昔も日和見主義者の生命力は実に驚くばかりだ」とし
「市民の力、進歩の力は誰のためのものか。アイロニー」と締めくくった。
正義連のユンミヒャン元代表が数えきれないほどの悪事(お金を搾取し、日本との関係を悪化させた)を
はたらきながらも何の「おしおき」もしない現政権。
さらに検察改革だといって、正義を貫こうとするユンソンヨル検事総長を辞職に追いやろうとする
現政権に対する炎のような叫びの声だと筆者は思った。
進歩性向の安治煥がこんな歌を歌わざるを得ないような事態になっている韓国。
でも韓国はまだ息はある。
進歩性向の中からこういう進歩批判・非難の叫び声が上がってくるのだから。
ぼーっとしているどこかの国とはこのへんは違うかなと思わざるを得ない。
安治煥は86世代を代弁する代表的な民衆歌手で、
「ソラ ソラ 青い松よ」「若葉よよみがえれ」「人生は私に酒一杯おごってくれなかった」「人は花より美しい」などの代表曲がある。
以下に「アイロニー」の歌詞全体をご紹介したい。
「アイロニー」 作詞作曲・歌 安治煥
一ミリの能力もないものが
目のくらんだ権力に媚びるなんて
えらくなったじゃないの、進歩の人々よ。
アイロニー、ウェイロニー(アイロニーと音をかけていて、「なんでそうなっちゃうの」の意)
お粥を作って犬にやったの?(要らないことをしたもんだね)
アイロニー、タイロニー(アイロニーと音をかけていて、「全部そうなの」の意)
大差ないじゃないか。(前の保守の連中と違いがないの意)
消えろ!日和見主義者よ。
似たもの同士が集まって狂ったように踊ってさ
天地すべて安物だらけ、自画自賛あるだけかよ
中毒は甘くてやめられません
生きて悲しいすれっからし連中よ
アイロニー、ウェイロニー 要らないことをしたもんだね
アイロニー、タイロニー 大差ないじゃないか
消えろ!日和見主義者よ!
アイロニー、ウェイロニー 要らないことをしたもんだね
アイロニー、タイロニー 大差ないじゃないか。
さようなら!日和見主義者よ!