ABC予想
久しぶりに数学の話。
ちょっと難解なので結論をまず書くと、
ABC予想という数学の大問題があって、これを日本人数学者が証明したということだが、
外国の数学界からの評価は、絶対OKというところまでには至っていない。
もう少し待つべきではないのか、という内容。
2012年、数学界に激震が走った。
1985年にスイスの数学者デビッド・マーサーと1988年にフランスの数学者ジョセフ・オエステレが初めて提起した「ABC予想」と
いう問題。
これを証明すれば、1994年に証明が完了した数学界最高の難題"フェルマーの定理"をより簡単に解くことができるという。
互いに素(1以外の公約数がない自然数)であるA、Bと、この2つを足したCが存在する。
また3つの数(A、B、C)の異なる素因数を掛けた値をDとすると、ほとんどDがCより大きくなり、
反対にCがより大きいケースは珍しいというのがABC推論の主要内容だ。
直観的に見れば当然のように見える。
AとBの2つを足したものがCだ。
またA、B、Cの3つの数の素因数を掛けた数がDだ。
2つを足したものより、3つをかけたもののほうが大きくなるなんて、当り前じゃないのかと思うが、実はそうでもない。
たとえば、
a+b=cという簡単な数式を思い浮かべてほしい。
ここに例えば、a=1、b=8を当てはめてみる。
すると、1+8=9=cということになる。そして、a、b、cをそれぞれ素因数分解する。
Bの8は「2×2×2」となるので素因数は2だ。
Cの9は「3×3」となるので素因数は3になる。
Aは1なので素因数はない。これらの積を求めると「2×3=6」となる。これがDだ。
和で出したc=9が、積である6よりも大きくなることがわかる。
つまりこの場合には「和」が「積」よりも大きくなるわけだ。
だが実際には、無限にあるa、b、cの組み合わせのうち、ほとんどは積が和より大きくなるとされている。
ABC予想とはこの「ほとんどの場合、積が和よりも大きくなる」ということをのべた命題だという。
だがそれはあくまで“予想”であって、それを実際に“証明”し「定理」へと定着させることは長年誰もできずにいたのである。
これを証明したのが望月教授というわけだ。
(書いている筆者にも何が何なのかよくはわからない)
「足し算的な側面と、かけ算的な側面を比較し、その関係を述べている式です。
この二つの間に常に成立するような不等式の法則があるはずだと。これが世紀の難問だったわけです。
今回の証明により、そのほかの数々の数学の難問の解決が一気に近づきました」(加藤教授言)
望月教授がABC予想を証明する論文を発表したのは2012年8月のことだ。
そして今回、その正しさが客観的に認められ専門誌への掲載が決まったのが今年2月のことだ。
あまりに難解なため、望月教授を除いた編集委員たちによる査読に約7年半もの時間を要した。
「一般の人の目からすれば時間がかかったように思われるでしょう。しかし、何しろ600ページもある論文です。
私個人の感想としては、予想よりも早かったなと思います。
望月教授の理論は、あまりに斬新なものですから、学会にはすぐに受け入れられないと思っていました。
数十年はかかることを覚悟していましたが、認められてよかった」
公私にわたり20年以上の交流があり、ABC予想に詳しい東京工業大学の加藤文元教授は
「数百年に1回の革命的な成果だ」と賛辞を惜しまない。
ABC予想が証明されれば、整数論分野の様々な未解決問題であるスピロ予想のような多様な数学の難題が一気に解決するという。
フェルマーの最後定理も、ABC予想を発展させれば数ページで簡単に解けるため、数論分野の核心問題とも言われる。
(書いている筆者にも何が何なのかよくはわからない)
望月教授は2012年には8月に論文公開サイト"アーカイブエックス"に約600ページの論文4編を公開し、国際学術誌『ピーリムズ』(PRIMS)に投稿した。
英国の科学学術誌『ネイチャー』が望月教授の論文発表のニュースと世界数学界の関心などを伝えたことで関心がさらに高まった。
しかし、論文があまりにも膨大だったため、判定するだけで7年半以上がかかった。
しかし、ここからが韓国のメディアによるものをまとめたものだ。証明の正しさに疑問を呈する論調である。
以下にネット内容をかいつまんでまとめる。
望月教授の今回の成果は、学界で完全な証明と認められるかどうかはまだ明確でないようだ。
実際、長期間の検証や日本メディアの大々的な報道、京都大学の公式発表とは違って、
米国や欧州ではこのニュースをほとんど扱っていない。欧米の数学界の相当数が今回のニュースに冷淡のようだ。
元の論文は600ページを超える。
まだこの論文全体を読んだ学者が少なく学者に与えられた情報と証明が不十分だという点が冷淡な理由の一つ。
東京新聞によると、2018年に数学界のノーベル賞であるフィールズ賞を受賞したドイツ·ボン大学のペーター・ショルチェ教授(整数論)は、
"以前、京都大を訪問した際、望月教授と話し合った後、理論に重大な問題があり、簡単に正すことはできないだろう"と指摘した。
同紙はまた、"望月教授の論文は証明されておらずABC予想は今も予想のままである。その立場は変わらなかった。
今回論文が受け入れられたという話を聞いて驚いた"というショルチェ教授の言葉を付け加えている。
また、該当論文を掲載する『ピーリムズ』(PRIMS)が、有名学術誌ではあるが、
同学術誌の編集委員長が、論文を書いた望月教授本人であるという点も問題視されている。
数学者の朴亨柱(パク・ヒョンジュ)亜州大学総長は
"望月教授が自分が編集委員長をする『ピーリムズ』に投稿したという点と
全世界が認める難題研究証明に精通した学術誌を通じて投稿しなかった点は残念"とし
"多くの数学者が望月教授が優れた数学者で『ピーリムズ』が認められる数学学術誌であり、
論文が多くの数学者から検討を受けたことは明らかだが、
完全検証まではさらに時間が必要と見ている"と述べた。
通常、数学界で難題の研究は『アナルズ・オブ・マスマティクス(数学年報)』や
『ジャーナル・オブ・アメリカン・マスマティカル・ソサエティー(米国数学会報)』に通常発表される。
1995年、米プリンストン大学のアンドリュー・ワイルズ教授が400年間解けなかったフェルマーの最終定理を証明して発表した学術誌は
『アナルズ・オブ・マスマティクス』だった。
国際学術誌『ネイチャー』も、8年間にわたる検証にもかかわらず、多くの数学者たちが望月教授の成果に同意しないものと予想されると伝えた。
数年間これを検証してきた米サンディエゴ・カリフォルニア大学キーラン・ケドラヤ教授は
"2018年に数学者たちが出した意見から大きな変化がないと言った方が安全だと思う"と述べた。
米カリフォルニア大学バークレー校のもう一人の数学者エドワード・フレンケル教授は
"この研究に対する新しい情報が出るまで論文の出版に対する判断を保留する"と述べた。
ネイチャーは、望月教授の証明が一部間違っていると指摘されている点も問題だが、
論文を公開した直後、数か所から講義と研究に対する問い合わせがあったが、これらに対して答えを留保していたという。
望月教授は、他の数学者らが論文を検証できるように、アイデアを明確に伝えなかったという批判もあったようだ。
この分野に最も詳しい数学者であるキム・ミンヒョン英オックスフォード大数学科教授は電子メールを通じて
"現時点でこれ以上話すことはほとんどない"とし
"望月教授のアイデアが確証されることを望むが、大部分の数学者の懐疑的な見方は今回の出版によってあまり変わらないようだ"と述べている。
同教授は
"当分の間、むしろ論文の出版を強行した数理解析研究所に対する批判だけが激しくなる可能性が非常に高い"と明らかにした。
ということで、2012年に発表された望月教授のABC予想の証明が本当に正しいのかどうかは(日本国内の論調は正しいというものだが)、
現時点では「はっきりしていない」というのが世界全体の流れのようだ。
これがもうすこし「正しい」方向に動いていったとき、本ブログでもご紹介したい。乞うご期待。
エジプト分数
数学の話題が続くが、今回はエジプト分数というもの。
分子が1になる分数を単位分数というが、
ある分数を単位分数の和で表したものをエジプト分数であらわすというらしい。
例えば、 7/15のエジプト分数を求める場合を考えてみよう。
7/15より小さい最大の単位分数は1/3なので、まずこれを引いて
7/15 - 1/3 = 2/15
次に2/15よりより小さい最大の単位分数は1/8なので 1/8 を引いてやって
2/15 - 1/8 = 1/120
でこの 1/120 は単位分数となったのでここまでにして、答えは
7/15 = 1/3 + 1/8 + 1/120
とあらわせた。これを称して 7/15 を「エジプト分数であらわした」という。
どんな分数でもこの単位分数で表せるというからちょっとおもしろいんじゃないだろうか。
筆者もこの方法でいろいろやってみたが、
実際すべての分数は単位分数で表せるみたいだ。
例題として
① 3/5
② 4/5
③ 6/7
④ 9/20
⑤ 12/25
などをやってみてはいかがだろうか。(かなり閑人でないとできないかも。答えは次回のアップにて)。
2000年に及ぶ数学上の問題が解決。
このブログ、数学の話題もときどき載せている。
今回は、古代ギリシア時代から問題とされてきていた三角形に関する問題が、慶応大の二人によって解決されたというもの。
どんな問題なのかというと、
「辺の長さが全て整数となる直角三角形と二等辺三角形の組の中には、周の長さも面積も共に等しい組は存在するか」というもの。
例えば図にもあるように、12、16、20の直角三角形。周の長さは48となる。
一方15、15、18の二等辺三角形。周の長さは48で周の長さは等しい。
ところで面積は、求めてみるとそれぞれ
直角三角形は96となり、二等辺三角形は108となり、面積のほうは等しくならない。
こんなように、周の長さも面積も等しくなるような三角形があるのか、という問題だ。
(ただし、辺の長さは全部整数の場合を考える)
これに、「ただ一つの組だけ存在する」と結論を出したのが今回の慶大院生の二人というわけだ。
「377・352・135」の直角三角形と、「366・366・132」の二等辺三角形のペアがそれ。
周の長さ=864。(それぞれ)
面積=23760。(それぞれ)
となり、周の長さも面積もこの場合だけ等しくなるのだ。
(図は2つとも朝日新聞を参照)
これの割り出しに最新の現代数学の知見を使っているところがミソで、
慶応大大学院理工学研究科の大学院生・平川義之輔さん(28)と松村英樹さん(26)の2人がその主人公。
2人はまず、三角形という幾何学の問題を代数の問題に変換して考えることにした。
その上で、現代数学の手法「数論幾何学」を用いて解いたところ、解が一つ存在することがわかったという。
この結果から、周の長さと面積が共に等しいものは相似の場合を除いて、
「135、352、377」の辺を持つ直角三角形と、
「132、366、366」の辺を持つ二等辺三角形の1組だけとわかった。
この定理は今後、「平川―松村の定理」などと呼ばれることになるだろう。
日本人の仕事がまた一つ世界に刻まれた。
数学の難問(ABC予想)が日本人の手によって証明された(? たぶん)
ABC予想の内容についてはここに書くのがちょっと複雑なので控える。
三つの整数の足し算と掛け算の間に見られるある関係といったら多少はご理解いただけるか。
問題そのものはそれほど難しくはないのだが、これの証明が難問中の難問と言われてきており
これが証明されれば、芋蔓(いもづる)式につぎつぎと他の重要な問題が解けてしまうという
非常に応用性の高い定理でもあるようだ。
10月29日に、
1+2+3+4+5+6+ 7+ 8+ 9+ 10+ ……-1/12(マイナス十二分の一)
になるという不思議な数学上の結果をアップしたが、
今年また数学の話題をアップできてブログ筆者としては非常にうれしく思っている。
望月さんは5年前の2012年8月、論文を自身のホームページ上で公開。
数学誌「PRIMS」が、外部の複数の数学者に依頼し間違いがないか確かめる「査読」を
続けてきた。同誌は研究者の間で一流の国際数学誌と評価されており、
早ければ来年2018年の1月にも掲載が決まる。
同数学誌へ掲載された段階で「ABC予想」の証明が公に認められたことになる。
最近の数学は、その証明が論文で提出されても、それが正しいか正しくないのかがすぐには
わからない場合が非常に多いという。
大学入試の数学などは、次の問題を証明せよとあれば、証明を文章で書き、証明(了)とすれば、
それが正しいか正しくないかは、採点者の目には一目瞭然であるが、
世界の数学者を悩ませるような深みのある問題は、「証明した」と主張しても
それが本当に正しいかどうかの判断に長い時間がかかり、
結局は証明はまちがっていたとなることが数学の場合にはざらにあるらしい。
今回の快挙は、5年の歳月をかけて世界中の数学者が証明の妥当性を調べに調べたあかつきに
ようやく「間違いないようだ」という太鼓判が押されたものだから、たぶん間違ってはいないと思う(思いたい)。
物理や化学のように、実験で確かめられるなら問題はないけれど、
数学の場合は、純粋に理論だけで論を進める学問であるだけに、実験するわけにはいかない。
ここが数学の証明の真偽を判断するときの最大のネックとなる部分である。
完璧な形而上学。
完全な論理。
こんな部分が、筆者が数学を愛してやまないところである。
素数問題における「リーマン予想」もそのうち解かれることになるんだろうか。
未解決の問題があまたある中で、やはりこの「リーマン予想」が最大・最高・最深の問題であろう。
テレンス・タオ博士やジェームズ・メイナード博士といった世界の天才たちが
そのうちこの難問中の難問「リーマン予想」を解いてくれることを期待している。
もちろん、日本人の手によって解かれたらさらにうれしいことではあるけれど^^。
きつねにつままれたような数学の話_ S= 1+2+3+4+5+6+7+8+ …… の答えは?
久々に数学の話で。
A=1-1+1-1+1-1+……まずはこのAの値を求めたい。このままだとわからないので、
はじめの1を一つずらした場所から書いてみる。
A=1-1+1-1+1-1+…… ①式
A= 1-1+1-1+1-1+…… ②式
①式と②式をそれぞれ足し算すると、左辺はエーが二つだから2Aとなり、
右辺はマイナス1とプラス1らがそれぞれ相殺して残るのはいちばん前の1だけとなる。
つまり、
2A=1
より、A=1/2 (にぶんのいち) となる。
また、
B=1-2+3-4+5-6+7-8+9-…… ③式
として、この値を求める。
このままだと求められないので、上とおなじように、書く位置をひとつずらして書いてみる。つまり、
B=1-2+3-4+5-6+7-8+9-…… ③式
B= 1-2+3-4+5-6+7-8+9-…… ④式
として、③式と④式を足し合わせる。すると、左辺はビーが二つだから2Bとなるし、右辺は
2B=1-1+1-1+1-1+1-1+…… ⑤式
となる。これの右辺は上ですでに求めた。1/2 (にぶんのいち)である。
つまり、
2B=1/2 より、 B= 1/4 (よんぶんのいち)となる。
ここでさらに、
S= 1+2+3+4+5+6+7+8+ …… ⑥式
を考えてみる。これは当然無限大に発散すると思うのだが、そうならないのである。この式の両辺を4倍してみる。すると当然
4S= 4+8+12+16+20+ …… ⑦式
となる。上でやったと同じように、この式の右辺の数字を一つ飛びにずらして書いてみる。
つまり、2の下に4、3の下はなにもなし、一つ飛んで4の下に8、5の下はなしで6の下に12のように書いていくわけだ。
S= 1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+ …… ⑥式
4S= 4+ 8+ 12+ 16+ 20+ …… ⑧式
この⑧式は、実は⑦式と同じものである。書き方を一つ飛びに記しただけなのだから。
第2項からそれぞれ4、8、12、16、20、24、、、、、と一つ飛びにかいていくのである。
で、⑥式から⑧式を引いてみる。
S= 1+2+3+4+5+6+ 7+ 8+ 9+ 10+ …… ⑥式
4S= 4+ 8+ 12+ 16+ 20+ …… ⑧式
すると、左辺はマイナス3Sとなる。
右辺はどうなるか。右辺の第1項は1。第2項は2から4を引いてマイナス2。第3項は3。第4項は4から8を引いてマイナス4。
つまり、
右辺=1-2+3-4+5-6+7-8+9……
これは上の③式 と同じ形であるから 1/4 とわかる。
すると、左辺はマイナス3S で右辺は1/4 となるから、-3S=1/4 となる
-3S = 1/4 より、 S = -1/12 。
つまり、S= 1+2+3+4+5+6+7+8+ …… の答えは -1/12(マイナス十二分の一)というわけだ。
そんなばかな。自然数をずっと足していったら、マイナス十二分の一だと!。あほな。
でも、上の式の運びで間違っている部分がどこかあるだろうか。
しかもネットを見ると、有名な数学や量子力学などの論文の中に、
この 1+2+3+4+5+6+7+8+ …… =-1/12
という式が出てきているらしいのだ。
読者のみなさん、このどこがおかしいのか、筆者にご教示お願い申す。