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カオスラウンジで注目の黒瀬陽平さんが投げ掛けた問い
あれ以来、すっかりカオスラウンジのことが気になって、なかなかブログを更新できなかったのですが、暇を見つけて調べている内に辿り着いた黒瀬さん関連の情報を紹介します。先月の出来事なので、幾つかのブログやトゥギャッターでまとめられたものなのですが、個人的に考えてみたかったので記事にします。
『芸大不合格者展』として一部で話題となった出来事は、先月13日、黒瀬さんが芸術系予備校の講師として指導してきた東京藝大・先端芸術表現科の受験生の中に「こいつなんで落ちたん!?」というレベルの不合格者が複数おり、黒瀬さんがそのことに憤ったツイートをしたことから始まりました。
「ノルマは達成した。しかし。。」というつぶやきに続く言葉は、先端科に対する失望と、落とされた才能ある教え子たちの将来に対する不安でした。そのことは翌日、ユーストに上げられた黒瀬さん一人語り映像にもあらわれていて、藝大の他の美術学科と違い、独自の基準を採用している先端科の入試基準の不明瞭さに対する怒りとなって表れています。
この件を極端な話で喩えるのなら、アテネオリンピックの女子マラソン代表選考会で、過去の実績を含めた総合評価で判断するといっておきながら、最終的には選考レースの上位タイムで代表を選んだ日本陸連といった感じでしょうか。個人的には高橋VS野口の最強対決が見たかっただけに残念でなりません。
ちなみに先端芸術表現科の入試は、絵画や工芸科といった美術学部の入試と違い、センター試験を受けた後、一次は素描か小論文。2次の面接では、これまで制作してきた作品や創作物をまとめた個人資料ファイルを提出。志望動機や入学後の希望などの質問に答えるという受験者の個性や特色を重視したものとなっている。
ここで話が終われば、単なる愚痴で終わったのだけれど、そうはいかなかった。ある黒瀬さんフォロアーの「落ちた子を集めた展覧会を見てみたい」というツイットから話はあれよあれよと言う間に進展。その日の夜にはカオスラウンジ放送にも登場した村上隆さんの協力を得て「芸大不合格者展 in 中野」開催の話が立ち上がった。
それに加え、展覧会開催を批判する藝大の准教授まで登場。擁護派には村上さんのみでなく、カオスラウンジをカオスに導いた・あずまんこと東浩紀さんも表れ激しい論議を展開。ツイッター上では賛否両論が入り乱れ、数日前のカオスラウンジを彷彿させる状況となっていった。
批判者側の意見を集約すれば「入試は入試にしかすぎない」、「芸大や芸大出身者なんて芸術にとって価値はない」といった意見。それに対し擁護派は「先端科の入試には簡単に入試と割り切れない特殊性がある」、「美大を経ないでアーティストになることは極めて難しい」という現状によって反論。
またこの論議には加わらなかった村上さんは、後日ユースト(Ust)でこの問題に触れ、「受験問題は置いておいて、藝大の先生たちは教育者としての意識はあるのか。技術のことではなく、芸術のことを教えもらえなかった30年前の自分の学生時代と構造は変わってないのではないか」と語った。
個人的には『不合格者展』という名称で思い浮かべる1863年5月17日、パリで行われた『落選者展』。アカデミーという権威が主催するサロンの、落選者の作品が並べられたギャラリー。そこにはマネの『草上の昼食』やホイッスラーの『白の少女』が展示されていた。
アバンギャルド(前衛芸術)誕生の日だと言われているその日、会場には次のような公示が掲げられていたという。『一般の諸君がこの抗議が正当なものであると判断してくれることを望む』。たとえマネやホイッスラーに匹敵する才能でなくとも、幾つかの可能性が人目に触れ、開花することを望む。
黒瀬陽平さんが芸大落選者展について語るユースト
村上隆さん大いに語るユーストその1
東京藝大・先端芸術表現科入学試験過去問題(1次)
同2次試験についてなどQ&A
ウィキペディア 落選者展
ウィキペディア アバンギャルド
(写真1枚目は藝大美術学部正門、2枚目は中野ブロードウェイカイカイキキギャラリー)
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