fc2ブログ

ユーストリーム(Ustream)配信失敗の教訓

 昨日、22時30分から行う予定だったユーストリーム(Ustream)配信『長谷川等伯展の魅力』の失敗について報告します。

まず最も大きな失敗というは、確かに自分の画面には映し出されていた映像が、どうやら視聴者の側へ配信されていなかったことです。これはツイッターなどで散々つぶやいておきながら、結果的に約束が果たせなかったという点で、もしこの配信にアクセスしようとされた方には全く申し訳ないことをしてしまったと思います。本当に申し訳ありません。Ustream1

しかし昨夜、自分の放送が終了し、実はそれがどこにも配信されていなかったという事実に気づき、呆然とした時間を過ごし、一日が経過した今となって考えてみるとどうしようもなく笑えますね。なにせ緊張しながら画面に向かい約40分間、誰も聞いてないのに長谷川等伯について熱心に語っていたのですから。

確かにおかしいとは気づいていたのです。普通なら視聴者数やコメントが表示される画面に、何も出てこなかったし、自分でも等伯について話ながら果たしてこれはきちんと配信されてるのかと疑問に思っていたのですが、放送を中断する訳にもいかず、また少ないパソコン知識ではそれと確認する手段がなかったので、結局、放送終了まで独り言を続けてしまいました。

その根本的な原因が一体どこにあったのかは、ユーストの日本語マニュアルで何とか放送準備を整えた超初心者の自分には未だによく分かっていません。しかし技術面は置いておいても、先週の金曜日に行われた村上隆さん主催のGEISAI(ゲイサイ)大学の濱野智史さんの講義をユーストで見て、じゃあ自分もやってみようとぶっけ本番で臨んだ準備不足に問題があったことは確かだと思います。

しかし約40分間、たとえ誰も視聴していなかった独り言番組だったとしても、自分でその放送を終了して学んだことも大変多かったと、失敗を冷静に考えられるようになった今になって思います。(昨夜はあまりの絶望感に立ち上がることすらできず、まさにorz状態でした)そして自分自身の中でその失敗をはっきりさせるためにも、その教訓を書き記してみたいと思います。Ustream2

その一、これまでテレビやラジオの番組を作るのなんて結構簡単だと考えていたのですが、いや実際に自分一人でカメラの前に立ってみると、それがいかに難しいかが分かりました。まず原稿なり資料なりを事前に相当準備して、本人がそれを理解しておかないと、澱みなくなく話すことなんて絶対にできない。上手い言葉が出てこなかったり、話の前後がめちゃくちゃになったりして、決して視聴者が見てくれる番組にはならない。

そういう意味では、たとえ視聴率が0.1パーセントの番組でさえ、結構な金額がかっているにしても、電波を使って流すだけのものが作られているという点では番組制作者の方々に対し尊敬すら感じました。これからはたとえ見ないにしてもつまらない深夜アニメなどを簡単に批判できないと身に染みて思いました。

その二、それは手際の問題です。今回の放送では等伯展の図録を見せながら進行していったのですが、図録を開いて提示したり、資料のページをめくる時間といったものがいかに番組を間延びしたものにしてしまうかということです。それは的確な言葉を探す時間についてもいえますが、情報密度の高い番組を作りを目指していた自分には、そんな細かな時間の積み重ねがいかにグダグダな状態を作り出すかを実感としました。そういう意味ではテレビに出演されてる方々って凄いんだと本当に思いました。Ustream3

それとある意味、クダクダ感が持ち味であるニコニコ生放送とは違った番組作りをしようとしていた自分が、それなりの準備があったにもかかわらずニコ生以上にグダグダな放送をしまったことにかなり落ち込みました。たとえ初めての放送だったにしてもまさかこうなるとは思っていなかったので理想と現実のギャップはとても大きかったです。

細かい点でいえば他にも幾らでも失敗の要因が挙げられるのですが、まずはこれらが特に大きな失敗の要因であったと思います。そういう意味ではこの失敗放送が、視聴者に流れなかったのは自分的には成功だったようにも思えてきます。どうしようもなく一杯いっぱいな自分の姿がユーストリームによって世界に配信されることがなかった訳ですから。

まあ以上が、今回の失敗に関する報告になります。これらのことは実際に自分が挑戦してみなければ決して分からなかったことですし、その点では大きな収穫であったと思います。昨夜はあまりのショックにもう二度とこんなことはしないと思っていたのですが、今では今回の失敗で得たことを自分なりに生かし、もう一度ユースト放送に挑戦しよう思っています。

【関連記事】
GEISAI大学討論会での黒瀬陽平さんのヘタレ受けの見事さ
カオスラウンジの意味
『死なないための葬送』としての『はめつら!』
カオスラウンジの何が凄いのか~関西初上陸、『かおすら!』展を見て~
エヴァ的に解釈するGEISAI大学放課後討論会
凄すぎる!村上隆さんの本気in台湾
「萌え+ドーパミン=最強」BOME×村上隆トークショーを聴いて
極めて葬送的な『ハートキャッチ!かおすら!』ユーストを見て
『アートが創る熱い夏』~瀬戸内国際芸術祭2010「直島」を巡って~その1
「かなり残念なイベント」~文化庁メディア芸術祭京都展・宮本茂さんと養老孟司さん講演を聴いて~
「忍び寄る悪夢」~兵庫県立美術館コレクション展・束芋『dolefullhouse』(ドールフルハウス)を観て~
「幾つもの架け橋」~「京都芸術」トークイベント第二部「京都でアートを見せること」を聴いて~
「スーパーリアルな革命」~「京都芸術」に関連したKyoto家Galleryを巡って~
「遭遇、梅佳代さん」~梅佳代写真展「ウメップ」シャッターチャンス祭りinうめかよひるずを観て ~
0000(オーフォー)の現在(いま)~0000が関連した3つの「京都芸術」イベントを観て~
「ありふれたものの凄さ」~建築家・藤森照信さんの「土と建築」講演を聴いて~
「光の中の少女たち」~京都国際マンガミュージアム『村田蓮爾展』とライブペインティングイベントを観て~
京都ボスキャラの集い~京都藝術オープニング「SANDWICH(名和晃平さんのスタジオ)×仔羊同好会イベント」に参加して~
「確かに面白くはあったのだけれど…」メイドラウンジin台湾~「カオスラウンジ・オープニングイベント」ニコニコ生放送を観て~
超個人的「ワンダーフェスティバル(ワンフェス、WF)」2010夏、体験レポートその1「開戦前場内」
「孫正義にみる言葉の力」~ソフトバンクアカデミア開校式『孫の2乗の兵法』Ust(ユースト)を聴いて~
ムーブメントを生み出すために~メディア芸術フォーラム大阪・シンポジウムに参加して~
『海洋堂前史』~京都国際マンガミュージアム・フィギュアの系譜展を観て前編~
『きらめく星の数々』~京都国際マンガミュージアム・フィギュアの系譜展を観て後編~
カオス(ラウンジ)世代のリアリティー~くまおり純の場合~
ささやかだけど心に届くもの「植田正治写真展『写真とボク』」
超解釈!『ネットワーク時代のクリエイティヴィティ「神話が考える」をめぐって福嶋亮大×浅田彰』
今なぜ日本画Ustなのか
会田誠さんのジレンマ、そして可能性
カオスラウンジで注目の黒瀬陽平さんが投げ掛けた問い
あずまん(東浩紀)が見た破滅ラウンジのリアリティ
凄かった!京都造形大『FRESH MEETING!(フレッシュ ミーテング)』
超簡略!私的見解込み「孫正義 vs 佐々木俊尚 徹底討論 『光の道は必要か?』」
彼らは一体何なんだ?そして未来の可能性
アートフェアーフリーを成功させた0000(オーフォー)ギャラリーが狙う次のターゲット
先入観を捨てて読め!高城剛『ヤバいぜっ!デジタル日本』
デジタル技術の進化における模倣や複製の可能性
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - ユーストリーム(Ustream)配信失敗の教訓
関連エントリー
関連エントリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメール[email protected]
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 古典 洋画 YouTube ギャラリー 現代美術 講演  傑作 イベント マンガ 庭園 京大 大阪 舞台 探求 寺社 建築 江戸時代 監督 国宝 奈良 寺院 ラブストーリー 紅葉 美術展 アート ノンフィクション 物理 宇宙 時代劇 押井守 フランス 攻殻機動隊 歌舞伎 アクション 仏像 グルメ 音楽   タイトル 世界 ドキュメンタリー Youtube 東京 博物館 解説  くせになる 悲劇 涼宮ハルヒ I.G 神山健治 鎌倉時代 見学 Production  祭り 狩野探幽 荒唐無稽 日本画 旅行 長谷川等伯 滋賀 シェイクスピア ヨーロッパ IG 洋楽 出会い 海外文学 菩薩 皇室 闘病 デザイン 離宮  香港 テレビ 原作 宮崎駿 ジャンル 報告 化物語 講演会  ゲーム  邦画 絵画  リアル 詩情 魔術 お寺 漢詩 個展 トークショー 西洋美術 医療 茶室 仙人 戯曲 戦争 和歌 肖像画 手塚治虫 印象派 思想 探求京大 ニコニコ 二次制作 前衛 芸術 広島 枕草子 笑い 中国 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村