文化ブログ
阿部和璧(あべかへき)が世の中の良いもの、凄いものを紹介する。
凄い奈良3 聖林寺『十一面観音像』
のどかな田園地帯の高台に、ひっそりとたたずむ聖林寺。そこの裏手の収蔵庫に収められているのがこの十一面観音像。
一見、派手なインパクトを持たない仏像だけに、油断してしまいがちだが、そこにはじわりじわりと染み込んでくるような深い何ものかが存在する。
それが特に感じられるのは、右手の微妙な動き。何かを求めるように、また見る者を呼び止めるような独特の緊張感を持った表現は見る者を魅了する。
天平時代の作で、明治の神仏分離令以前は三輪の大三輪神社で左右を様々な仏像に守られてたたずんでいたのだという。今、その面影を残すものは、この仏像の美の中に秘められた緊張感のみである。
(写真はパンフレットより)
聖林寺ホームページ
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