文化ブログ
阿部和璧(あべかへき)が世の中の良いもの、凄いものを紹介する。
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西野達さんの作品「知らないのはお前だけ」の中の人になる その1
「マーライオンホテル」などで知られる西野達さんは、「水と土」の六本木ヒルズでの記者発表会、メイン会場となる「万代の水揚場」の「知ってるのはオレだけ」という作品の設営会場で2度お会いし、設営の時には、「住人を募集しているから」というお誘いを挨拶程度に交わした方。
その時は、すでにその話を聞いており、「知らないのはお前だけ」というタイトルや、自分の生活を他人から見られることに抵抗があり、実際に作品内に住むことになるとは思ってもいなかった。しかし、別ルートでその情報を得てきた奥さんが、「無料で新潟に滞在できる」というメリットに興味を示し、その興味に押し切られるような形で、7月30日から8月8日までの10日間、作品の中の人になることになった。
東京から電車で4時間かけ降り立った矢代田という駅は、駅前にぽつぽつと住宅が建ったのどかな田園風景が広がっていた。そこから車で5、6分ほど行ったところにある西野さんの「知らないのはお前だけ」という作品。その外観は、まるで建設途中の建物のように家の周りを工事用の足場が取り囲んだ物々しい感じの家だった。
事務局の女性に促されて早速室内に足を踏み入れてみると、ちょうどその日は、前住人である一人旅の女性との鍵の受け渡しを行うことになっており、その女性にも話を聞くことができた。この作品に2日間滞在したという女性の話では、2階のギャラリー部分から観客に見られることはほとんど気にならないという。
実際、その女性や事務局の方に、ここでの暮らし方や、周辺事情を聞いている間にも、切り取られた天井部分から私たちの様子を眺めている人がいたのだけれど、その視線はほとんど気にならない。たぶん日常生活を送る視点と、2階ギャラリーからの非日常的な鑑賞の視点が実質的にも、観念的にも微妙に交わらない状況が生まれた結果、このようなことになっているように思える。
天井がなく、2階まで吹き抜けのようになった空間は、ドラマのセットのようでもあり、引っ越して来てすぐの新居のようでもあり、その日常と非日常が混じり合った空間の居心地は、思っていた以上に良い。事務局の方の話では、これまで4人の住人が滞在したということだが、どの方の女性一人での滞在で、今回のように家族3人で、それも生後3か月の赤ちゃんか住人になるのは初めてだという。
そういう訳でとりあえず10日間、西野さんの作品の中に住んで、その意味や、状況を体験してみることになった。ネット環境がないので、このレポートがアップされるにはタイムラグが生じるだろうけれど、参加型の現代アートの極めてユニークな作品の体験記として今後の文章を読んでいただければと思う。
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