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「訪問!KaiKai KiKi(カイカイキキ)三芳スタジオ」~村上隆さんとpixivが主催したワークショップに参加して~

 昨年末、大阪で行われた『芸術闘争論』出版記念トークイベントで村上隆さん自身の口から発表された「pixkiki バスツアー」。去年このブログで注目してきた、村上さん、0000(オーフォー)、pixiv(ピクシブ)の今が、このイベントに参加するだけで一挙に把握できるということで、その時点で参加を決定。年明け第一弾となったイベントは、埼玉・三芳、東京・中野、元麻布の3箇所を移動して17時間ブッ通しで行われたものだったが、まずはその第一部、pixivユーザーを対象としたKaiKai KiKi三芳スタジオでのワークショップの様子を紹介したい。カイカイキキ三芳スタジオ外観

東京・池袋駅から東武東上線で柳瀬川駅まで行き、そこから幹線道路沿いの小型ショッピングモールの無料バスに乗ってやって来たKaiKai KiKi三芳スタジオは、全長約150メートルの敷地内に箱型の建物が3つ並んだ巨大な空間。以前は大手宅配会社の物流センターだったという建物は、幹線道路向かいにあった家電量販店の建物を3つ並べたような途方もない大きさだった。周辺は日野自動車の整備工場など、輸送や運搬関連の工場や郊外チェーン店が立ち並ぶ、幹線道路周辺によくある風景。そこに佇むスタジオは、規模や周囲の雰囲気から考えると、思い描いていたアーティストのスタジオというイメージからはかけ離れていた。

美術手帳の特集によれば、総勢60人が24時間体制で働くという現場は、スタジオというよりも工場と呼ぶ方が相応しく、カードキーで開閉か行われていたセキュリティーや、象一頭ぐらいは楽に入りそうなエレベーターなどは、この空間が一人のアーティストの制作や企業活動によって運営、維持されているという事実がちょっと信じられないようなものだった。開始40分前に到着した会場では、pixivユーザーでありながら、アメリカの芸術大学に通う日、中、米の血が交じり合ったクオーターの青年と海外のオタク文化の現状について話し合い、気づいた時には約50名の参加者が集まって、開かれたシャッター内へと導かれていくとこだった。カイカイキキ三芳スタジオエレベーター

参加者のほとんどは10代後半から20代中盤ぐらいの若者で、中には「GEISAI♯12」で会田誠賞を受賞した川上秀行さんも参加していた。また村上さん関連の動画や記事で見たことのある人や場所の中に、自分が入り込んでいくリアルとネットの奇妙な融合感を味わうことになった。巨大なエレベーターの扉が開いてまず目に入ったのは、村上さんの『芸術闘争論』実作編で制作工程が写真付で紹介されていた『私は知らない。私は知ってる。』というドクロの作品。高さ3メートル、幅2.3メートルの作品が3つ並んだ空間のさらに奥には大学の体育館のような広々としたスペースが広がっていた。

白を基調としたシンプルな空間のあまりの広さに落ち着きなく佇んでいると、ワークショップの参加者のために作られたであろう作業席のほとんどが、やる気のある参加者ですでに埋められており、遅れて動き出した人々は後方の席に座ることになった。高校の授業以来となる絵筆や水入れの準備をして、目の前に置かれた真っさらなキャンバスと絵の具に不安を感じていると、大阪のトークイベント以来となる村上さんが登場。村上さんは今回のの趣旨を「pixivの中で表現している皆さんにも、キャンバスや紙に書いてみたいという人もいるんじゃないかと思いまして、pixivの片桐さんと相談して開催することになりました。学生時代、お金が無くて3枚買ったキャンバスを何度も塗りなおして完成させていたように、アナログになった瞬間に物が動き始めるので、そんな感覚を味わって欲しい」と説明。カイカイキキワークショップ風景

早速、カイカイキキ三芳スタジオ総監督のシショウさんの進行により、4名の実技指導員がアクリル絵の具の使い方や、制作の進め方を実演。その中には大阪の青井画廊で1月22日まで開催中の「Mr.のChildren大阪やで!」展の出品作家・田尻悠さんや、日本画Ustでアーティスト志望の学生たちの中心的存在となった杉山愉岳さんもいて、彼らの実作現場を見れる貴重な機会となった。20分の実演が終わり、席へ戻ってキャンバスに向かい合うことになったのだが、そこからが何をやって良いのかも分からない、落ちこぼれ生徒の授業時間のような苦しい時間が始まった。周囲の参加者は絵に対する意識の高い人々で、自分なりの描きたいものや方法論を持っている人ばかり。なのに自分は、一応描きたいものを決めてはいたが、それを描けるだけの技術も度胸もない。

「今年の目標」というテーマのために用意した『芸術企業論』の村上さんの写真をキャンバスに写してはみたものの、その鉛筆画がかなり酷いシロモノで、本人を目の前に見せるにはさすがにそれはないだろうという状態だった。またその描いた輪郭線をどのように絵の具で処理してよいのかさえ分からず、鉛筆と消しゴム、絵筆と絵の具とを何度も持ち替える時間が続いた。正直、下手な自分が何かを描いてキャンバスを汚すよりも、白いキャンバスのままの方がシンプルで美しく、最初の一歩がなかなか踏み出せなかった。周囲の進行度合がプレッシャーになって、さすがに真っ白のままではマズイだろうと、とりあえず赤と黄色を混ぜたものを遠慮がちに塗ってみたのがその後の不幸の始まりだった。ワークショップ指導風景

一度塗った絵の具は消しゴムで消す訳にもいかす、ならば赤とのバランスを考えて緑を勢いにまかせて塗ってみたものの、画面は酷くなるばかり。さらに青、それから黄色と、チューブから出したままの色を互いが交じり合わないように置いていくと、一応キャンバスは埋まっていく。色を混ぜれば色彩的広がりができるのは分かるのだが、下手に混ぜ合わせることで色が濁るリスクを避けた方が無難だという心の声に従い、白、紫、茶色を追加した画面は、自分でも一体何がしたかったの分からない域まで達していた。後ろで見守っていた指導員の人々も、そのあまりの訳の分からなさに、誰一人声をかけてくれない状態となった時点で、「これはマズイぞ」という危機感が生まれてきた。

すでに手遅れな状態を何とかしなければという焦りの中で、色ムラの中に見えてきた目や鼻や口。これ以上酷くはならないだろうと、干しブドウのようなボリュームでその色のかたまりに目を入れてみると、ちょっと笑えるモノになった。後ろに来た女性の指導員の方の「それ意外に面白いですよ!」という声を真に受けて、それならもっとやってみようと青や黄色の存在にも目や鼻や口を書き入れたみたところ、その奇妙なキャンバスを見て呆れ顔の村上さんと目が合った。Ustのカメラマンを引き連れて戻って来た村上さんは、自分でも何が描きたかったのか分からない絵について解説を求めたり、その絵に笑いながら感想を加えたりと、約3分間ほどの受け答えが全世界に配信された。『私は知らない。私は知ってる。』

個人的には「黒歴史」として分類されるであろう出来事が、アーカイブとして残らなかったことは良かったが、ある種の日常の中に不意に侵入してくるUstやtwitterといった技術の風通しの良さに、瞬時に対応しなければならなくなる時代はかなり疲れるものだと思った。作品タイトル『赤いヤドカリと仲間たち』を描き終えて、一通り他の参加者の作品を見ていくと、さすがにpixivユーザーであり、今回のイベントに参加しに来た強者たちだけあって自分の中の描きたいものが描かれた作品が多かった。中には2時間足らずで自分独自の世界観を表現したようなものまであったりしたが、実際その分野でプロとなり、人々に求められるレベルにまで達することが、アーティストであれライターであれ、いかに大変なのかということを実感できる機会となった。

そういう意味では、売れる作品やマーケットにこだわり、約15年で巨大なスタジオに象徴されるような独自のシステムを築き上げ、作品や関連商品の売り上げでそれを維持、運営し続けていることはやはり並大抵のことではないように思われた。ワークショップが終わりかけた頃、村上さんが、大量のキャンバスの切れ端を持ってきて、「5年ぐらいためてきたもので、ミシンで縫ったら大きなキャンバスになりますんで、袋に入れて持って帰ってください。Mr.は以前、これを縫ったヤツで大きな作品を作ってました」といって配った参加者へのおみやげ。さらには帰り際に感想を尋ねられ、「自分の中に描きたいものもないのに白いキャンバス向かい合わなければならないキツさがありました」という言葉に、「キャンバスに向かい合うには勇気がいる」と何気ない返答として、そんな言葉が聴けただけでも、今回のワークショップに参加した価値があったように思う。

ウィキペディア 村上隆
0000Gallery(オーフォーギャラリー)のホームページ
ウィキペディア pixiv
すでに終了したpixiv×カイカイキキ バスツアーと新年会開催を発表&参加者募集のページ
ウィキペディア GEISAI
「Mr.のChildren大阪やで!」展の詳細が掲載されたMr.さんのブログ

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「スーパーフラット(super flat)の意味」~では村上隆さんの何が凄いのか2~

 前回書いた「では村上隆さんの何が凄いのか・フィギュア編」が他人ツイートとしてではあるけれど、村上さん本人からリツイートされたこともあって、かなりのアクセスがあった。それに味をしめた訳ではないけれど、95年から99年までの第一次フィギュア・プロジェクトの終盤から始まった「スーパーフラット」関連の動きについて今回は説明してみたい。スーパーフラット画像

正直、その明確な定義はすでに「スーパーフラット展」から10年が過ぎ、その集大成と言える「リトルボーイ(Little Boy)展」から5年が経を経た今でも明らかでないことは、先月放送された斎藤環さんとのニコニコ生放送で「理念そのものは考えてない」といった村上さんの発言にも表れているように思う。実際、「スーパーフラット」に関連した2冊の本(『スーパーフラット』と『リトルボーイ』)にもその明確な理念は書かれてないし、『スーパーフラット』の巻頭文にも、「社会も風俗も芸術も文化も超2次元的」ということが、「コンピュータのデスクトップ上でグラフィックを制作する際の、いくつにも分かれたレイヤーを一つの絵に結合する瞬間」という感覚的な言葉で表現されてはいるが、そこに確固とした定義はない。

今回、関連資料を読み込んだ中で、最も興味深かったのは美術評論家の椹木野衣さんの文章。リトルボーイ展図録(P187からP207)で論じられていた、「ハイ・アートとサブカルチャーが複雑に絡み合い両者の垣根も定かではない」状況がスーパーフラットであるという解説は、同じ文章内の戦後文化におけるサブカルチャーの意味を論じた部分と共に、それなりの説得力があった。しかし、個人的に興味があった、ではなぜその「スーパーフラット」がそれなりの力を持っていわゆる西洋諸国に受け入れられたのかという疑問については、もう一つはっきりした答えが見えてこなかった。フィギュア画像1

それは哲学者で批評家の浅田彰さんが言った「日本の伝統美術の中からとくに平面性を取り出してくるのも、それをアニメの平面性とつなげてみせるのも、世界市場に向けてのマーケティング戦略に過ぎない」という発言も同様で、その「戦略」がこうも鮮やかに力を発揮した理由が何であったかについては関連資料内からは見出せなかった。前回のフィギュア編で紹介した村上さんの代表作の一つ、『My Lonesome Cowboy』が2008年に16億円で落札された理由は、作品のクオリティーや文脈だけでなく、「スーパーフラット」によって日本の最新の文化状況を欧米のアートの世界にプレゼンできたことや、ルイヴィトンとのコラボレーションでの成功が大きな要因だったのだから。

ではなぜ「スーパーフラット」が欧米の美術界にそれなりのインパクトを持って受け入れられたのかといえば、今回も前回同様、時代背景抜きには考えられないと思う。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ。そしてそれが原因として引き起こされたアフガニスタン紛争とイラク戦争。これらは東西冷戦の終結後の多極化の流れを象徴した出来事であり、ワールドトレードセンターというアメリカ資本主義のシンボル的高層ビルが、テロにより「グラウンド・ゼロ」と呼ばれる場所になってしまったこと。さらにはその後のイラク戦争が秩序ではなく、混乱しかもたらさなかったことは、「権威」でさえも引き落とされ、偏在する極の一つとして成立するしかない時代に突入したことを示しているだろう。『リトルボーイ』画像

そんな西洋的価値観の転換期に、一度は戦争で完膚なきまでに叩きのめされ、そこから「西洋式」の社会システムを導入し、その発展の過程の中で育っていった、「西洋」と「東洋」が入り混じったある種の奇形した文化を「世界の未来かもしれない」という形でプレゼンしたことが、「スーパーフラット」が西洋社会で受け入れられた一番の要因だと思う。これまでにない何かを導入することによって、ある種の行き詰まりを打破しようとする試みの表れが、「スーパーフラット」的日本文化の評価につながった理由であり、イラク戦争前後に起きた世界的なキティちゃんブームなどは、「キティ」という西洋名を持ちながら、西洋的「自我」や自己主張もなくイノセント(無垢)に佇む存在を通して、「カワイイ」などに代表される日本文化のエッセンスを取り込もうとしたのではないか。

絵画で言えば、一点透視図法に代表される一神教的、または近代以降はそれに取って代わった科学的論理。西洋美術の発展は、ある種の人間中心主義的なものがもたらす強さと、それゆえの限界のようなものを孕んでいるのではないか。そこに『スーパーフラット』の表紙デザインが象徴する、幾つもの異なる目玉を持ちながら、それでいて中心(明確なコンセプト)は存在せず、全ての作品がある種の非科学性を含んだ作品がヒエラルキーもなく並列に並んでいる。「東京POP」という特集から始まった「スーパーフラット」は、皇居という中心であって中心でない場所を中心としてだだっ広く広がり、「社会も風俗も芸術も文化」も飲み込んだ東京という街の在り様が象徴する戦後日本の姿そのものと言えるだろう。rakucyuurakugaigazou

そこにはアイヌ文化などにも残るアニミズム(ある種の人間中心主義でない多神教性)や、神社などに見られる中空構造、洛中洛外図屏風や信貴山縁起絵巻に描かれた日本美術に脈々と流れる非科学的視点といった「東洋」的伝統と、科学技術や「西洋」の美術技法を取り入れた、ひどく奇妙で統一感のない、ある種のハイブリットな文化の未来が雑然と提示されている。10年前に示された「スーパーフラット」という概念は、そのような「西洋」と「東洋」の文化が多層構造で組み合わされ、それがヒエラルキーもなくフラットに並べられた現代の日本的な状態のことを言うのではないか。

「スーパーフラット」という概念により像を結んだ「未来」は、中心偏在的なインターネットの出現や、アジアやアフリカ、中東や南アメリアにまで広がりつつある新興経済発展諸国の存在を無視できなくなった多極的世界を、日本という「東洋」と「西洋」が混在化した文化的実例を示すことで、たとえ西洋の科学技術が生み出した「リトルボーイ」という原子爆弾により、一度は草も生えない焼け野原となったとしても、そこから異なる文化を融合させ、新たな土着文化を作り出していくという今後の世界の可能性を提示しているのではないか。それぞれの国がそれぞれの文化状況と「西洋」化を背景とした、「社会も風俗も芸術も文化も超2次元的」に溢れかえったカオス的な世界。そんなカオス的「未来」を言語化した概念が「スーパーフラット」の意味だと思う。
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ニコニコ生放送「村上隆の芸術闘争論2」における森川嘉一郎さんの実力

 ベルサイユ展以降、美術手帳特集、GEISAI台湾、『芸術闘争論』と立て続けに話題を振り撒く村上隆さんの『芸術闘争論』出版を記念して行われているニコニコ生放送。その第2回目となる「芸術闘争論2 日本の美術教育を斬る!」が12月2日、対論者として2004年のヴェネツィアビエンナーレ日本館で「OTAKU」展を企画した森川嘉一郎さんを招いて開催された。正直、放送が始まるまでは、なぜ「日本の美術教育全否定」というサブタイトルのついたイベントに、おたく関係の専門家である森川さんが招かれるのか理解できなかった。しかし一たび森川さんの話が始まると、そこに積み上げられた学術知識に基づいた論理展開は、日本の美術教育を丸裸にしていくほどに凄かった。芸術闘争論2画像

「『芸術闘争論』の感想を」という形で話を振られた森川さんは、「このような本を村上さんが書かざるおえなかったことが日本の美術状況を物語っているのではないかと思う」と準備してきたスライドを見せながら説明を開始。日本の美術教育の問題点を、「外国の中学、高校で教えられている分厚い美術教科書では美術史の状況と自分で描くこと、模写することを両輪にして美術を学んでいるのに、薄い教科書の日本では、美術を手段にした教育が行われており、主要5科目ではない美術の位置づけの中で、詰め込み教育で荒んだ心を癒すためや、心を豊かにするために美術が使われたり、教えたりされている」とその違い指摘。

中学、高校時代の個人的経験を思い返しても、なるほどと思いたくなるような明快な説明にメモをする手を躍らせていると、そこから「大学教育に関わる者として言っちゃいけないんじゃないかと思うが」と前置きして、「大学に入れば半分は学生の自己責任。師事する教員も選べるし、問題があり、疑うのならば、日本の大学を捨て去って外国に行く自由を持っているべきだと思う。疑うことは学生の特権なのだから」と一見優しく見える外見や語り口調からは予想できない厳しい意見で場を引き締めた。さらにそこから自身が過去学んでいた日本の建築界で起きたあるスキャンダルに話を展開。趣都の誕生画像1

現在、日本の建築界が世界水準にあるのは、35年前、「新建築」という雑誌が企画した学生コンペで、その時の選考委員であった建築家の磯崎新さんが、「日本建築教育の惨状を想う」という選評を掲載したことがあったからと解説。それによって生まれた緊張関係が続いたことで、「パースを描いたり模型を作ったりできるという不純な動機で建築学科に入った」という森川さんでさえも、「流行の取り入れ方も分かってきて、流行の先を読んで作れるようにもなった。関心や才能の無い人間でも教育でできるようになる」と自身の建築作品をスライドで示しながら説明。

磯崎新さんの当時の活動を、「作家やアーティストが自分の作品を語ることを潔しとしない傾向を打ち破り、そういうことをして教育していくことが大事なのではないか」と今回の『芸術闘争論』での村上さんの活動との共通点を指摘する感想を述べた。そのある種のプレゼンは、「森川さんのスライドは面白いよ」と事前に凄さを予想していたであろう村上さんをも戸惑わせるほど圧倒的なもので、その密度と圧力には、数多くの視聴者から賞賛のコメントが寄せられた。建築界で「教育」が可能だった理由についても、「美術よりもマイナージャンルであったから。『OTAKU』展ができたのも建築展だったからできたとよく言われた」と語った。美術手帳2010年11月号画像1

いつもは場を仕切っていく村上さんが、森川さんの発言を消化しながら、「アートのルールを変えること」について話を始めると、森川さんは待ち構えていたかのように、「どのようにルールを変えたいとお考えですか」と質問。村上さんはそれに対し、「たとえばアジアのコレクターが欲している作品は、西洋の文脈を踏まえずここ2、30年の社会の世相を反映したものが多い。日本ならばアジアにも受け入れられ、西洋の文脈も踏まえたハイブリッドな、どちらのマーケットにも適合できるものが可能ではないか」と回答。さらに「西洋史を踏まえてないアートまでもっていくことで、コンプレックスを払拭するとこまでいきたい」とも述べた。

そこからさらに森川さんは、「ルールが与えられればそれを教育された結果としてこなすことで、5、6人は世界プレーヤーとして戦える。しかしその後、ルールを書き換えられた時に、ルールの原理、プリンシプル(根本)を司れるか。ルールを絶対化するのではなく、相対化していけるかが問題」とこれからの日本の美術教育が向かうべき方向と課題を示した。村上さんは現状の美術大学について、「学校の構造は上の方に向いたヒエラルキーを崩せないというのがあって、才能がある程度ある学生でも教師たちの怠慢、欺瞞が続くのがもったいないなと思うことがあってこういうことをやっている」とトークショーやtwitterで発言する理由を語った。芸術闘争論画像1

最後に設けられた質問の時間には、日本の美術教育の自分を発散させたり、表現できる機能を肯定的に捉えても良いのではないかという質問がなされたが、それに対し森川さんは、「小学校はそれでいい。『美術教育』が阻害されるかもしれなくても、情操が可能かもしれないから。しかしそれが美術の機能であり、それしか美術の機能がないというのが蔓延しているのが問題であり、古い言い方で言えば教養が重要じゃないかと思う。そしてそれは一般の人にこそ必要なものではないかと思う」と反論し約2時間に渡るイベントを締め括った。

今回、森川さんがこのイベントで指摘したことを簡単にまとめると、美術教育内での歴史的視座を獲得することで、現状を認識し、そこから先の未来を予見する力を得ることが可能ではないかという事だったのだと思う。最後に教養の重要性を語った森川さんの真意は、美術教育だけに留まらず、一般の人々までもが美術や歴史の教養を積み重ねていくことで人間の本質を見極める力を養い、自分の頭で物事を判断し未来を切り開いていくような人々が育っていって欲しいという願いだったのだと思う。美術やアート表現が持つ、内的衝動と外的要因の二つをハイブリッドに生かしていく「闘争」できるアーティストが生まれていけば、この国から新たなアートのルールを生み出していくことも可能ではないかと思う。

ニコニコ動画にアーカイブ化された村上隆の芸術闘争論#2「日本の美術教育はどう特殊なのか(vs森川嘉一郎)」の動画
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森川嘉一郎さんのウェブサイト
森川嘉一郎さんのtwitter
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アマゾン 村上隆著『芸術闘争論』
アマゾン 森川嘉一郎著『趣都の誕生―萌える都市アキハバラ 』(幻冬舎文庫)
アマゾン 『美術手帖2010年11月号』

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「なぜ村上隆さんは批判されるのか?」~ニコニコ生放送・村上隆 ベルサイユ宮殿より生中継を見て考える~

 金色に輝く6メートルの自作フィギュアを背景にして行われたニコニコ生放送「村上隆 ベルサイユ宮殿より生中継」。晴天のベルサイユ宮殿の野外で行われた放送は、村上さん周辺の活字メディアに携わる人々をパネラーとして、終始和やかな雰囲気で行われた。約2時間の放送では今回のベルサイユ宮殿での展示の経緯や、パネラー側から見たアーティスト・村上隆の魅力などが語られ、簡単に言えば国際的ステージがさらに一段高まった村上さんの現地報告会のようになったこの放送。しかしその中で1点だけすっきりしなかったのが、「なんで(自分は)叩かれるのか」と村上さん自身がパネラーの方々に問いかけた問題。一部、twitter(ツイッター)上でも論議となっていたこの問題について、自分なりにわかり易く紐解いてみたいと思う。村上さんベルサイユ宮殿ニコ生

「美術館の人は凄く嫌う」という村上さんが付け加えた問いに対する答えとして、「個展やったり、作品を見せたり、購入したり現実的に不可能なので変な嫉妬など複雑な思いがある」とか、「(村上さんは)自分の人生を実験台にしてて、そういう温度差みたいなものを感じてしまっているからではないか」といった回答がなされたが、それらの答えには腹の底から納得いくような説得力はなかったように思う。なぜなら一つ目の答えほど、美術界で批判する全ての人が村上さんの個展や作品購入を望んでいる訳ではないだろうし、「温度差」については批判者全員が村上さんの制作態度を知っている訳ではないだろうと思われるからだ。

では一体なぜ村上さんが批判されるのかについて考えると、まず一番の要因は、意外と今回、フランスの極右団体が批判していた「歴史遺産の冒涜」という言葉が批判者側の言葉としては説得力を持つのではないか?現在でもなお、アカデミックな「美」の殿堂的役割を持つ日本の美術館。そして、そういった「美」を最良のものとする人々(ある意味の「美」の伝統を重視する保守勢力)にとっては、デュシャン以降の現代アートの持つ革新性によって、自身が奉祀する「美」の絶対基準やピラミッド型のヒエラルキーが揺らぐことに強い拒絶反応があるのではないか。それはデュシャンの『泉』が誰もが展示できるというアンデパンダン展にさえ展示拒否されてしまったことや、それ以後のアートシーンにおいて、その「美」の基準とは異なるルールを提示してきた人々が、その革新性によって、必ず批判を受けてきたことにも表れている。ベルサイユ宮殿その1

そんな現代アートの流れ中で、90年代以降、最もアカデミックさや伝統といったものからかけ離れたアニメやオタク文化をモチーフとして、その「美」の殿堂を含むアートの世界で、名実共に評価を高めてきた村上さんのことを、「美」を奉祀する側からすれば、自身の信じる「美」のヒエラルキーを破壊し、冒涜する者と考えるのは、それほど不自然なことではないのではないか。そしてそれはある意味、政治的信条と同じように、自分の生活スタイルや生き方と密接に結びついたものだけに、そこにある革新側のルールを説明したり、説得したりしても容易に受け入れられるものではないのだと思う。

そういった理由で村上さんを批判する側にとって、そしてまた肯定する側にとっても残念なことは、これほど注目され、昨年まで世界巡回の回顧展が行われていたほどの作家でありながら、2001年に東京都現代美術館で開催された大規模個展以降、国内で村上さんの作品をまとまった形で観れる機会が全くなかったことだろう。放送では、諸事情によって開催できなかったという感じの説明がなされたが、2000年代に藤田嗣治の国内展覧会が解禁されたことで、多くの人々がその凄さを知ったように、やはり実際の作品をまとまって観ることが、村上さんに対する批判や誤解を解く最良の方法に思える。村上さんのアーティストとしての活動は美術館に収まりきれるものではないけれど、芸術実践論講義で言われた空間構成や過去の文脈、そこに込められたエネルギーの濃度などは作品に向かい合うことで味わえると思う。村上隆さん個展ポスター1

「美術側」からなされる批判の大まかな構図は、これで説明できたと思うけれど、次はオタクの人々からの批判について考えてみたい。少し前までのオタクの人々の村上批判は、「オタクを搾取している」といった形の、アニメーターや、マンガ業界などの低賃金労働者がいるのに、その上澄みだけを利用して金儲けをしているといった指摘が大半だった。しかし、今回のベルサイユ宮殿での展示に関連した2ちゃんねるのまとめサイトの記事では、より脊髄反射的な検索画像を見ただけで全否定するような意見が大半だった。

「オタクを搾取している」という批判に対しては、村上さんが自身のオタク文化への愛着を作品のモチーフにし、そこに根ざした要素をアートの世界に活用したことが、自分たちの領域が生んだものなのに、という受け取り方をしてしまうことは理解できる。しかし、そこにあるものの価値や意味に注目し、それに異なる領域から光を当てることで、新たな価値を見出したことは、アートの世界にとってもオタクの世界にとっても結果的には良い影響をもたらしているのではないか。そうでなければフィギュア業界の雄・海洋堂やルイ・ヴィトンがアートやオタク文化に関連した作品や広告を制作し、その活動領域を広げることはなかっただろう。初音ミク・フィギュア

そいう意味でオタク文化やファッション、資本主義内での商品流通やビジネスといった様々な領域を、アートと融合させてきたことが村上さんの評価の一つとなっている。実物の作品と向き合うだけでなく、そんな評価軸が生み出した村上隆というブランド力が作品の価値を高めていることを理解すれば、初音ミクのフィギュアやミケランジェロのピエタとは違った価値がそこにあることも分かってくるだろう。単に嫌いという意見で終わればそこまでだが、そこで立ち止まって、作品や作者が持つ意味や時代性といった周辺要素と兼ね合わせれば、作者が込めた思いがけない発想や新たな価値観に出会えることもあったりもする。

現代アートの面白さは、同時代を生きる作者が提示するある種の「魔術性」なのだから、それを短絡的に批判するのではなく、一体どんな「魔術」なのかを注意深く味わってみた方がより豊かなものが得られるのではないか。12年ほど前には、「コンビニの裏で弁当をもらう」という生活をしていた人物が、今ではベルサイユ宮殿で大統領主催の晩餐会の主賓を勤めていることを考えれば、そのアーティストとしての「魔術性」がちょっとケタ外れなことぐらい誰にでも分かるはずである。

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【ニコニコ動画】村上隆@ベルサイユ ベルサイユ宮殿生放送アーカイブ版
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0000(オーフォー)の現在(いま)~0000が関連した3つの「京都芸術」イベントを観て~

 先日、twitter(ツイッター)上での村上隆さんとの「失敗問題」について3時間に渡るやり取りを行った0000(オーフォー)。その論議の行方は別にして、では0000(オーフォー)は一体何をやっているのかという点については明確になってない点が多い。先月行われていたアートバトルロワイヤル(ART BATTLE ROYALE・ABR)後半戦では、カオスラウンジのキュレーター・黒瀬陽平さんから、展示室の壁を白く塗っただけの作品を、「手を離すのが早すぎる」と言われた彼らが、現在、京都で何をやっているかを探ってみた。¥2010展写真1

「失敗問題」論議の発端ともなった「¥2010 exhibition-Summer」のツイット。そのイベントのオープニングセールが京都市内の同時代ギャラリーで開催されるということで足を運んだ。今年5月に開催されたアートフェア京都の入場料2000円に10円足しただけの値段で作品が購入できる2010年のイベント。そのアイデアが好評だったため、今回は彼らが主催者に名を連ねる「京都芸術」内のイベントとして第2弾を開催。

三条寺町を西に50メートルほど行った1928ビルという京都市有形文化財に指定されたビルの1階にある「同時代ギャラリー」は、京都では最も有名なギャラリーの一つ。そんなキャラリーと今年京都に来たばかりの0000が一体どのようにしてつながりを持ったのかなど、開催前から興味があったこのイベント。オープン時間に5分ほど遅れて会場入りしてみると、20畳ほどの広さの会場には、500点以上の作品と、それを買いに来た多くの若者で溢れていた。1928ビル

5月の第1弾では2つの作品を購入し、以来作品購入を始める切っ掛けとなったイベントなだけに、まずは「ガチ」な購入のための品定めを始めた。個人的には先日参加したコミックマーケット(コミケ)以上の熱量で作品を観ていると、観ている傍から作品が売れていく。前回は大きくすぐ目を引く絵を購入し、知り合いから「観て飽きの来ない作品の良さもある」という指摘を受けていただけに、今回は地味でも隠れた面白みのある作品を探す。

作者名やタイトルさえついていないこの「即売会」(購入者は作品をそのまま持ち帰る)は、購入を希望する者にとって頼れるのは自分の目以外何もない。2010円という超驚異的な安さでありながら、そこにはいくら額縁や材料費がそれ以上のものであっても、「いらないものはいらない」という購入側の非情な判断が働く。同時に幾つかの作品には確実に2010円以上の価値を持つものが存在し、もしかすると奈良美智さん級に大化けする作家がいないとも言えない。2010展写真2

そんな宝探し状態の会場には、普通のギャラリー展示には無い、デパートの婦人服売り場のバーゲン会場のような先を争う切迫感が漂っていた。そんな切迫感の中でも熟考しつつ選んだ作品は、キタゴウユキノさんという作家の黒く塗られたボードに双子の少女が描かれたシュール・レアリズム的作品と、カオスラウンジやwassyoi(ワッショイ)出展作家で、甘い子供の絵でありながらもクールさと詩情を感じさせるうえだはるき(うえはる)さんの作品。共にサイズは縦横20センチ以下の小品だが、そのどちらにも視線を逸らさせない凝縮感があるように思えた。

このようなイベントで「良作」が安く購入ができたことに満足を覚えながら、その会場から徒歩3分ほど南に下った場所にある「0000Shop(オーフォーショップ)」を尋ねてみた。はらドーナツという店の横にある階段を上ったところにあるその店は、まだオープンから10日しか経っていない新規店舗。真新しい室内は白い壁と、床から突き出たような幾つもの柱があり、そこに作品が掛けられている。0000ショップ

彼らのギャラリーと同じく、こじんまりとした空間だが、そこに高密度で作品を並べることで凝縮感が生じ、絵画だけでない、写真やアーティストブックなども置かれた空間は、今彼らの周辺にどんな作家がいるのか、彼らがどんな傾向の作品を好んでいるのかが感じられて面白かった。個人的には人物イラストに、水玉を書き込んだ民族系というか、アフリカ風の雰囲気を醸し出すミッシェルさんという方の作品に興味を持ったが、購入の心づもりがなかったため店を出た。

現在、0000がやっている3つの活動の内、個人的に一番面白く感じたのが彼らの本拠地である0000Gallery(オーフォーギャラリー)のAntenna(アンテナ)個展「無無無」。2つインスタレーション(場所や空間を作品として体験させるもの)がメインの展示と聞いて、良質なインスタレーション作品に出会えることがかなり難しいという体験に根ざした固定観念を持っていだだけに、全く期待していなかった。しかし、1階、2階の部屋全体を使った作品は、夜の誰もいないギャラリーという状況も相まって妖しい雰囲気に満ちていた。個展「無無無」

1階の「日出ヅル富士ノ神札念来迎図」では、アンテナのオリジナルキャラクターで、ジャパンをハッピーにするという「ジャッピー」の頭が、「壱万ヤマト」という架空のお札の散乱した場所に並べられた作品で、その安物でメッキに満ちた祭壇的空間は、昭和の赤線のような照明の助けを借り、独自の世界を生み出していた。また2階の「現世マツリ」という作品は、100円ショップで買い集めてきたであろうジャンク製品の集合体が作り出す、「現世の虚し過ぎるマツリ感」が出ていて良かった。

終了時間の20時を少し過ぎた時間にギャラリーを後にし、夜の道を自宅へ向けて帰りながら思ったことは、「現世」を生きる若者たちのリアリティーは圧倒的に貧しくジャンク的で、しかしだからこそ、自分の身の丈に合った切実な表現を可能にし、ある部類の作家たちは感覚的にも研ぎ澄まされているということだった。そしてそんな新しい世代のアーティストたちを積極的に紹介し、何とかこの2010年のアートムーブメントを動かそうとしている0000の活動は積極的支持に値するものだと思った。

村上隆さんとOOOOの「失敗問題」に関する議論
村上隆さんのtwitter
0000artsのtwitter
¥2010 exhibition -Summer- @同時代ギャラリーのページ
同時代ギャラリー ウェブサイト
ウィキペディア 1928ビル
ウィキペディア 奈良美智
キタゴウユキノさんのウェブサイト
ウィキペディア シュルレアリスム
うえだはるきさんのウェブサイト
うえはる(うえだはるき)さんのtwitter
ウィキペディア インスタレーション
ウィキペディア 赤線

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「萌え+ドーパミン=最強」BOME×村上隆トークショーを聴いて

 最近、カオスラウンジ界隈や、ニコニコ生放送での『芸術実践論』講義など、なにかと話題の村上隆さんが京都国際マンガミュージアムに降臨。美少女フィギュア原型師・BOME(ボーメ)さんとのトークショーが行われたので参加してきました。フィギュアについては、この分野の最良の教科書『海洋堂クロニクル』を数年前読んだ以外にほんとんど知識はなかったけれど、その方が偏った偏見にとらわれず話が聴けて面白かったように感じました。では原型師BOMEさんの「萌え+ドーパミン=最強」の歴史を辿っていきましょう。海洋堂クロニクル

司会者の紹介直後、「マンガは来て読めますが、外国のミュージアムと違い見るものがなくて戸惑っていらっしゃる方も多いかと思いますが…」と村上さんの西洋的ミュージアムとの比較からから始まったトークショーは、スライドと共にBOMEさんの作品の歴史を辿っていくものだった。「いってみればエロの対象」とフィギュアの存在を要約した村上さんは、しかし「キモいレベルからの、ただキモいだけじゃない感じになっていく。人間というものはただエロから生まれて美というところまで昇華するのではないか。最初のものと出来上がったものとのギャップ。BOMEさんはエロフィギュアを創る造形師として、25年ぐらいで300点ぐらい創ってこられましたが、最近ではアーティストとして評価をされています」とBOMEさんを紹介。

それを受けたBOMEさんは「僕自身が好きでものを作っていて、自分が好きでやってるからアーティスト活動と言われるのは違うのじゃないか」と極めて謙虚な応答。80年代、それまで全くフィギュアというものが存在しなかった時代から、試行錯誤を繰り返し現在に至った経緯に話は進んでいった。「一番いいラムちゃんを誰が作れるか」という挑戦から始まったという美少女フィギュアの歴史。『うる星やつら』のヒロイン・ラムちゃんは「当時のおたくたちのマストアイテムで、コミケではラムちゃんさえ上手く描ければ凄い売れる」という状態だったのだという。『ラムちゃん』BOME

それに対し村上さんは、「パリのサロンモデル・キキが多くの芸術家にとってミューズであったように、おたくたちはラムちゃんに出会った。歴史はどんどん変化していきますから、100年経ったら今はバキバキになったラムちゃんのフィギュアが芸術作品になってるかもしれない所が芸術の面白いところ」と応じた。「これがなかったらフィギュアやおたく文化はなかったかもしれない」というラムちゃん以降は、「マニアの中でロリコン=クラリス(ルパン三世カリオストロの城)となった時期があって宮崎駿さんが激怒した」というクラリスなど、「黎明期は方法論やフォーマットもなければ作り方もわからない。それを立体化したいという思いだけで創ってますから鬼気迫ってますね」と村上さんが解説する作品群を紹介。

その後は、アニメOVA時代のフィギュア作品群の紹介と共にBOMEさんの制作に対する思いが語られていった。「BOMEさんが語るおたくとは?」との村上さんの質問に対し、少し気弱に「研究者とか」と答えたBOMEさん。「一番その時々に新しいものを探すとか、土日に大阪の日本橋を探したり、夜な夜な帰ってきて他のおたくどもが何をしているのか探したり掘り出していく」という活動を通しておたく的感性を磨き続けているという。そして世界初の等身大フギュアとして登場した綾波レイのスライドでは、「頼むからもう一回作り直させてくれ!」と衝動的に発言。関係者席にいらした海洋堂の宮脇修一取締役が「やるなとはいってないぞ」とそれに応じ、『等身大綾波レイ』の再制作の可能性が出てきた。綾波レイ

それまでの「おたく」ではなく、多くの「オタク」を生んだ『エヴァンゲリオン』という作品については、「貞本さんが大好きでDAIKON4でアニメーター、『王立宇宙軍』で作画監督となって、綾波の『エヴァンゲリオン』でついにブレークしたなと。『トップを狙え』を作ったガイナックスが作る『エヴァンゲリオン』がみんなに面白いぞと言ってたんですけど、誰も見てくれなかった」と放映当時の思い出を語った。そんなBOMEさんのテンションの上昇に村上さんは、「パッションが抑えきれずに出てきているのが海洋堂さんのメンバー」と解説。さらにBOMEさんは『フルメタルパニック』や格闘ゲームのキャラクターについての熱い思いを披露した。

村上さんの「1体のフィギュア作るのにどれぐらいかかるか」という質問に対しては、「悩まなければラフで1ヶ月、2週間で作って塗装が3日とか。僕が発出するドーパミンが出るのならば勢いでできるが、悩んじゃうとしばらく置いとかないとできない」と制作欲求に比例した期間があると回答。「オタクの人たちにとってはファッションと似た最新モードというがあって、業界のモードをウォッチングしながら自分たちのオリジナルを出していかないとというのもあるんで」と流行と自己の創作とのバランスの難しさも語った。鬼娘BOME

最近挑戦している等身大フィギュアの制作については、「はっきりいって楽しいですね。ここで(制作場所)で働いている人に言われたのが、『お昼や3時にも休まずやってるのは驚いた』。ずっと粘土を触っていじくってるのが楽しい。(等身大は)手の全体で作るから違う。油粘土ではできないのが面白かった。今日はドーパミンが出てしゃべりまくってる」と笑顔を見せた。そんなBOMEさんに対し村上さんは、「マンガ家の先生たちがボーメさんの作品をセレブレートしに来るという、ある種のキャステングされたことが歴史として進行している」と俯瞰した視点でのコメントを述べた。

「現代美術には西洋から来たルールがあって、それの中にどういう風に組み込まれていくか。絵で描く絵空事を偶像的に置き換えていくことでは、アニメというお題はもうあるが、造形力を競っての立体造形は芸術的な行為だ」と村上さん。それに対しBOMEさんは、「そう言われればフィギュアは造形の芸術世界だと思うんですけれど、根本的には立体を持ちたい、触りたいというのがあって作り続けていると思う」と創作の源にある根本欲求について正面から向き合った言葉を語った。1時間という限られた時間はあっという間に過ぎ、BOMEさんの一人の制作者としての真摯な姿が印象に残るトークショーだった。「アニメ」や「おたく」、「萌え」や「エロ」といった固定観念の先にある思いと、造形物としてのクオリティーの高さがBOME作品を芸術たらしめているのだと思った。

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海洋堂ウェブサイト ボーメ(BOME)とは
京都国際マンガミュージアム 夏の特別展 フィギュアの系譜展--土偶から海洋堂までウェブサイト
ウィキペディア 『うる星やつら』
ウィキペデイア 『ルパン三世 カリオストロの城』
ウィキペディア OVA
ウィキペディア 『新世紀エヴァンゲリオン』
ウィキペディア 貞本義行
ウィキペディア DAICON FILM
ウィキペディア 『王立宇宙軍 オネアミスの翼』
ウィキペディア ガイナックス
ウィキペディア 『フルメタル・パニック!』
あさのまさひこ著『海洋堂クロニクル―「世界最狂造形集団」の過剰で過激な戦闘哲学 (オタク学叢書)』
DP るーみっくわーるど 海洋堂 ボトルオンフィギュアコレクション by BOME Vol.1 ラム 全2種セット

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今なぜ日本画Ust(ユースト)なのか

 GEISAI14の実況以来、村上隆さんが行っているUst(ユースト)生放送。「祭り」として多いに盛り上がったカオスラウンジの放課後討論会や、台湾からの熱気に満ちた生中継。その中で今ひとつ盛り上がりに欠けたのが「日本画はどこへ行く」と題されたいわゆる日本画Ust。ではなぜそれが盛り上がらなかったのか。また村上さんは一体何を目指しているのかを自分なりに考えてみたい。日本画のキキ

このUstを見た後、あくまで個人的印象として感じたことは「日本画」という存在は、すでに埃をかぶり、押入れに仕舞い込まれたジャンルではないかということだった。あいまいな自分語りに終始した芸術系大学出身者たち。岩絵の具やにかわといった素材の魅力を妄信するあまり、時代性や芸術本来の自由さを失った現状。

もし彼らの周囲に他者性というものがあれば、きっと彼らはその他者を通じて自分の今ある姿を認識できたかもしれない。しかし周囲に本当の事を言ってくれる人はなく、「日本画が好きだから」という以上に掘り下げることもできない仲間たちと、閉鎖された空間の中で馴れ合っている。

そんな印象が最後まで付きまとい、フラストレーションが溜まる一方だった放送は、結局何の進展もないまま終了。そのもやもやとしたわだかまりは、いつまでも心に残り続けた。なぜあの特異な芸術的嗅覚を持つ村上さんが、今になって日本画というジャンルを取り上げたのかという疑問と共に。

放送内で再三語られた「君たちはもったいない」という言葉は、村上さんの嘘偽りない言葉なのだと思う。高い技術を持ちながら、その出力方法がズレているために美術の世界から離れていかさるおえない人々。他者性や時代性と格闘しながら制作すれば、より多くの人々に芸術の素晴らしさを伝えることができるのにと。

日本の美術界では、決してメインストリームにいた訳ではなかった村上さんにとって、高い技術力を持ちながら、それを活かしきれずに消えていく若い才能を惜しむ気持ちが強いのだろう。特に近年、西洋の文脈に頼らない、日本独自の価値観を世界に発信していこうとしているのだから。ゴッホ『星・月・夜』

「見る人に喜びを与える作品を作る」ことは果たして「才能の切り売り」なのだろうか。自分は満足しても人に満足を与えることのできない作品は本当の芸術と言えるのだろうか。確かにゴッホや幾人かの不遇な芸術家のように、その死後作品が認められた作家もいる。しかしもしそうなりたくなければ、世界と向き合ってもう一歩踏み出しても良いのではないか。

多くの人が芸術に親しみ、より身近に芸術を感じるためには1人の天才しかいない世の中よりも、優れた10人の才能が多様な作品を生み出すことの方が大事だろう。村上さんが言う「20年で6000人以上いる日本画出身の卒業生で百姓一揆を起こそう」というのはそういうことなのだと思う。

Ust(ユースト) 日本画はどこへ行く 再放送
Ust(ユースト)日本画はどこへ行く 事前会議
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アマゾン 『キキ ぬいぐるみ : 村上隆』

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凄すぎる!村上隆さんの本気in台湾

 もしあなたが現代美術に興味があるなら、決して見逃してはいけないのがカオスラウンジ以降の村上隆さんが行っているUst(ユースト)生放送。今回は事前予告もなく、急遽放送が開始され、危うく見逃すとこだった台湾からの放送。(アーカイブ化されているので見逃しても後追いできるが、やはり何か起きるか分からないライブ感を味わいたい)その中で本当に凄かったのが、村上さんが台湾の若者たちの質問に答えたQ&A。村上さんが本気になった時、何が起きたかをまとめたい。村上隆さん

昨年のGEISAI台湾のダイジェスト映像に続いて始まった登場直後、村上さんは「この数ヶ月で日本ではアートに大きな変化がありました」と話し始めた。「アーティストの意識がネットワークの進化によって随分変化してきている。ネットワーク上の新しいメディアの中で表現したい、何か伝えたいという人々が出てきていて、アートの概念も拡散。アートが形のあるものだけでなく、情報そのものとして存在していく時代に入りました」と一連のカオスラウンジの動きを踏まえてあいさつ。

続いて行われた昨年のGEISAI台湾の受賞者たちのプレゼン。それに対する村上さんの日本と台湾のGEISAIの比較から何かが動きだしたようだった。「日本のGEISAIは、私と私が出資している会社が全額お金を出している。色々な所にスポンサーを頼んでもサポートしてくれません。日本の社会では、アートは物好きがやる行為なんです。台湾はその点、文化事業として芸術を押し上げようと協力してくれるから、クオリティーとしては台湾の方が上なんです」。

さらに「僕はずっとヨーロッパや北米を基盤として活動してきた中で、これだけはプレゼンとして言えることを発見しました。それはアートが最もコストパフォーマンスが良い文化的行為だということです。アートって距離感とかスケールとか関係ないんで、みなさんのどなたかがドカンとブレイクして、アートシーンを牽引していく可能性も十分にあるんです」と力説。

そこから始まったQ&Aでは、事前アンケートにあった「芸術家の定義とは何か?そして芸術とデザインとの間に境界はあるのか?」といういきなりの本質的質問に、村上さんは「じゃあ僕、エンジンをカチャっと入れて話しますんで」と話し出した。「芸術とは何か?この大きな問いは僕が大学時代から48になる今まで、毎日、毎日この瞬間も、うんこの時も、シャワーの時も考え続けています」。スティーブ・ジョブズA

「分かりやすい喩えで言えば、アップルのスティーブ・ジョブズが僕にとってのスターアーティスト。つまりアーティストとは何かと言うと、自分の発想したビジョンで、世の中が変わる。もっと良く変わるという信念を持って社会と交流していける人、それが芸術家だと思う。そして芸術家の仕事は、世の中に自分がいて、自分と社会を結びつけることで世の中をより良く変えることであり、変わった瞬間が芸術であるということですね」と回答。

2つ目の質問については「僕はアップルのヘビーユーザーなんですけど、彼らの製品に投資しているのは彼らの哲学と製品の美しさ、さらにその2つを合わせた可能性が我々に夢を与えてくれるから。その3つがあるからなんです。ジョブズは自分が目指しているのはビートルズだと言っています。ビートルズの音楽で世界は変わった。そして彼らの元にはお金が入ってきた」。

「人がもし大きな夢を持ち、それが現在の世の中にないものであれば、多くの協力者を得なければならない。そして多くの人間たちとコミュニケートするための一番の方法は、ビートルズと同じく芸術なんです。もしその芸術が素晴らしくて人々に支持されるのならば、必然的にお金も集まってくるそれが現代の世の中なんです」。

「しかし時代が求める芸術とお金のサーキュレーション(循環)が永続的に回るのは凄く難しい。だからそれを可能にするためには面白く、楽しい、未来に夢を持てるような循環をデザインし直さなければならない。これからは芸術、ビジネス、デザインの一つだけをやっていればいいとか、それぞれが分断した考え方はなくなると思っています」。

「芸術はウォーホールの時代から随分進化しているんです。ウォーホールが言ったのは『誰でも5分だけ有名になれる』。それはあの時代には出来ないことだから彼はそう言った。しかし今やフェイスブックやブログなどで話題をしっかり作れば、その人間は有名になれる。ですから今、芸術とは何か僕らから言えることは、世界が全て本当に芸術的になるということです」。ニューヨークA

また場内からの「ニューヨークという環境がその後の作品づくりに与えた影響は?」という質問に対しては、「94年から3年間滞在して、現在もスタジオを運営していて、資本主義経済を牽引してきた国で芸術をやってきたことは非常に意味があることでした。つまり資本主義が限界まで膨れてきた中で、芸術がある役目を遂げなければならないという予感があったからです」。

「しかしその後のクラッシュから、人類をもっと豊かにしようという資本主義という発明が随分疲れてきたし、もっと大きなパラダイムを発明しなければならない時期に来ている。なので当時は資本主義経済とアートシーンの合体が重要でしたけれど、今はそれほどでもない気がしています。依然、アートのキャピタルはニューヨークですけれども、今はそれだけではない気がしています」。

さらに「中国のアートシーンについて、そして資本主義の中での芸術活動の限界について」という質問には、「2年程前まであった大きい中国のアートシーンのムーブメントが一段落ついたのはみなさんも知っての通りです。しかしこの中国の活動には2つの意味を感じます。一つはよくぞアジアからマイナーチェンジにしても独自のルールを作り出したという賞賛。しかしオリジナルでないコピーであるなら、それは朽ちてなくなってしまうという事実」。GEISAI台湾

「恥ずかしながら、僕自身はアジアのアートのルールをまだ作っている訳ではないのです。西洋の作り出したルールの中で起動しているアーティストの一人なので、ゆえにGEISAIを作って何かアジアから、日本から新しいルールを作れないかというのが狙いでした。そして膨れきった資本主義の中での芸術とは何かを考えると、僕ら絵を描く芸術家は絵を描いてそれが認められ、お金に変わったり、変わんなかったりを芸術と捉えてますんで。つまり大きい画面に絵の具を塗るだけが芸術でなく、芸術とはもっと広い意味で可能性があるのではないかとアジアから問いかけなければならないのではと思います」。

最後の質問は「作品を作りながら、どうやって自分らしさを見つけていくか」と言うものだった。それに対して村上さんは「僕もまさに今言った疑問を毎日自分自身に投げかけています。その中でプロのアーティストとして言えるのは、それを優れた漁師の勘に喩えることができるかもしれません。同じ条件であってもなぜか毎回大漁の漁師がいて、その人は他の漁師よりも何か違う努力やものを見て判断しているのかもしれない。その何か違うものが芸術家の価値であったりレベルなのだと思います」と真摯な言葉で語り掛けた。

正直、これほどオープンに心を開いて、一人の芸術家の芸術観やビジョンが語られたるだろうとは思ってもいなかった。350人ほどしかいなかったユーストの視聴者も同意見だったらしく、「このUst凄い」という驚嘆の言葉以外、約35分間、コメントを書き込むものはほぼいなかった。密度の濃い質疑応答を終えた後は、なぜかぐったりと疲れ、その後の黒瀬陽平さんによるカオスラウンジの説明も頭に入らなかった。

きっと村上さんをこれほど本気にさせたのは、会場に集った台湾の若者たちの熱気であり、アートに対する情熱なのだと思う。そしてそれは、芸術という何か不思議な存在を共通の基盤として燃え上がり、人々や世界をより良く変え、未来に希望を抱かせる大きな可能性を秘めたものだと思う。

GEISAI大学ユーストin台湾 Q&A以降
ウィキペディア 村上隆
ウィキペディア スティーブ・ジョブズ
ウィキペディア アンディ・ウォーホル

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Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
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