私は田舎の小規模学習施設で、有償ボランティアとして働いています。
ここは市が管轄する施設だけれど、市の職員は常駐せず、
ボランティアが一人ずつ交代で管理するという特殊な運営。
私は地元の人からの依頼で、参加することになったのですが、
オープンしてしばらくすると、変なことが起き始めた。
ある日、友人から「あなたの名前で検索すると出てくるんだよね」と、
意味ありげなことを言われた。
検索してみると、「夜、一人で寂しいの。身もだえてるの。誰か来て」
などというおぞましい文面の同じ投稿がズラズラッと。
「以下同じだから明示しない」とあったが、件数を見ると3万5000件余。
驚愕した。どうしたら消せるのか慌てたがどうにもならない。
そのとき同じようなことを言っていた同僚の初老の男の顔が浮かんだ。
勤務中の私のところへ足しげく来て、赤い花の写真を見せ、
「これなんだかわかる? これ雨宮さんが夜、身もだえている色。ククク」と。
いやがらせはどんどんエスカレート。役人に訴えてもらちがあかず。
これではこっちの身が持たない、辞めようとしていた矢先、男がいなくなった。
知人が「彼の家はもう跡形もないよ」と言う。わけは聞かなかった。
この男にいろいろ吹き込んで煽っていた初老の女も辞めていった。
あのおぞましい投稿は誰がやったのかは、今もってわかりません。
ただある日、突如として全部削除されていた。
しかし、これで正常に戻ると安堵したのも束の間、
今度は別の同僚から、こんな誹謗中傷文書を書かれてしまった。
誹謗中傷文書の出だしはこうでした。
「わがまま放題の雨宮さんは、
常に敵をつくり、トラブルやら問題を起こしています。
今までも〇〇や××さんとケンカ。彼らが辞めると、
今度は、我々を標的にしてきました。
自分が不利になると弁護士に相談するなどと言って手に負えません。
――略――
このままでは調整役が必要であると思い、
今まで調整役をやらせてくださいとお願いしておりましたのが、
その理由であります。
みなさん、彼女には充分ご注意ください」
この男がグループの代表になりたいと願い、
その肩書を欲しがっていたのは誰もが知っていたが、
その踏み台に私を使ったってことか。
ケンカやトラブルといったって、
ほかの人とは接触のない一人勤務では起きようがないじゃないの。
それにこの人は直前まで、「運営のことで相談に乗ってくれや」と言って、
ひんぱんに勤務中の私を訪ねて来ていたではないか。
それが唐突に、なんで?
ただこれ以前にとんでもないことがあった。
飲み残しの缶ビールが事務室にあるのを、出勤してきた私が見つけたこと。
これを知らせると役人が町から飛んで来て、
「勤務中の飲酒は即クビです。誰にも言わないで」と持ち去っていき、
結局、うやむやになった。
酒類持ち込み禁止、飲酒厳禁の施設で見つかった飲み残しの缶ビール。
ここで芽を摘まなかったことが、後々、
「役人なんてチョロいもの」という空気を招いたことは否めない。
この飲酒事件について友人から、
「なぜ、通報したの。そんなことをしたらあなたが疑われるじゃないの。
そういうときは見て見ぬふりをするものよ」と言われたけれど、
私にはそんな芸当はできない。
私は世間知らずで、不正義を黙っていることができない融通の利かない人、
ということは今までの人生の中で自分でもよくわかっている。
だから根も葉もないこんな文書を書かれて黙っているのは、無理だ。
同じ建物内の別の機関の職員たちが妙によそよそしいと思ったら、
この男が盛んに悪口を言い触らしているという。
下が誹謗中傷文書の全文、手書きです。書いたのは70代半ばの老人。
ブログ掲載のため、本文は塗りつぶしました。
こういうひどいものを書かれた体験者はいらっしゃいますか?
いろんなところへ相談に行きました。以下はその結果です。
雇い主の市の職員「完全な誹謗中傷です。でも事が大きくなると…。
我慢してくれませんか」
県・市の労働問題相談窓口「正規職員以外は対象外です」と門前払い。
法務局の人権相談
「これを公表すると、逆にあなたが相手から名誉棄損で訴えられますよ」
被害を訴えてなぜ被害者が訴えられるのか、いまだにわからない。
有償ボランティアなんてのは保障・救済の対象外と言いながら、
「役所相手にケンカ売っても勝ち目はありませんよ」と念を押したり、
「そんなお年でセクハラ?」と鼻で笑う相談員もいた。
同時期に奈良の病院で同じことがあって、女医が逮捕された。
被害届を出せばすんなりいったんだと思ったものの、
この狭い地域で警察沙汰にしたら、施設の運営に支障をきたすし、
男の家族もダメージが大きいだろう。
そんなことが頭をかすめて、被害届は出さなかった。
しかしそれが仇になった。
だから今もこの人は、
書いた理由や謝罪を求めても無視をきめこんだまま、
念願の「肩書」を手に入れて、大威張りで勤務を続けている。
役人は相変わらず見て見ぬふり。
姉ヨーコが日本を嫌った一つが、この「臭いものに蓋」という
日本人特有のずるい対処方法だった。
臭いものに蓋をして、誰も責任を取らない。加害者は罪を免れる。
それどころかその責任を被害者へ持ってくる。
「和を乱す協調性のない人」
「それだけのことをされるのは、あなたに落ち度があったからでしょ」と。
詩織さん事件でも、現場にいたわけでもない第三者が、
悪意のある憶測だけで、彼女の「落ち度」を攻め立てていた。
そしてまた、今度は山口県の役場で、内部告発した職員が報復されて、
おかしな部屋に一人「隔離」されたというニュース。
中傷文書男の嫌がらせは執拗に、今も直接間接に続いている。
しっかりしているつもりでも不眠症になり、難聴がものすごい勢いで悪化。
「たかがボランティア、辞めた方がいいよ。そんなのに神経使うなんて
バカバカしいじゃないの。もう、年だしさ」
と、もう一人の私がささやく。
「悔しいけど、そうかもねえ」と、私。
利用者さんとの会話は楽しかったし、アドバイスをして感謝されたり、
障がい児からタッチをせがまれたり、その成長がまた楽しかった。
地元の方との郷土史の情報交換も貴重なものになったし、
力石の講演依頼も、新たな交流もこの中から生まれた。
充分いい時間を持てたのだから、ここらが引き際かもね。
それにしても、
「わがまま放題の雨宮さん」だの、「我々を標的にしている」だのって、
こんな作文を70過ぎの男が必死で書いていた姿を想像したら、
あまりにも情けなくて、「標的にされた」私の方がコッパズカシクなった。
私が相談をした誰もが文書の内容はウソだとわかっていた。
名誉棄損にあたるだろうということも知っていた。
けれど被害者に泣き寝入りを強い、当然のように臭いものに蓋をした。
だから、自浄作用が働かず、加害者は今も大手を振って歩いている。
まるで、日本国の縮図のような田舎の小さな施設。
それにしても、
たかが数人のボランティアの組織内で、
対外的にはなんの価値もない代表の座と名ばかりの「肩書」を、
人を貶めてでも欲しがる心理、私には全く理解できない。
<つづく>
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★ いじめの標的 ★次々と「標的」にされるのは、
自分自身が引き寄せている部分もあるんじゃないのかと思われるかも。
強いて探せば、「女の一人暮らし」に行き当たる。
新興住宅地では、いいトコのご婦人方から集団いじめにあった。
そこでの友人に「なぜか」と聞いたら、こういう答えが返ってきた。
「だってあなたは新聞記者やったり本を書いたりテレビや新聞に出たりして、
私たちにはできないことばかりやっているんだもの。
今までみんな悔しい思いをしていたのよ。
だけど、今度あなた一人になったでしょ、だからいじめやすくなったのよ」
「あなたもそうか」と聞いたら、
「そう。だっていくら医者の妻や大学教授夫人と言ったって、
それは夫の肩書で、自分たちはその妻にすぎないから」と。
今の職場での最初の加害男からは、こう言われた。
「文句を言ってくる夫がいないから、なんでもやれる」
そういえば今は亡き母が言っていた。
「こんな寝たきりのお父さんでも、いるだけで防波堤になる」
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