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終わってしまうのが寂しいのです
1月4日、京都先斗町歌舞練場。極度の緊張と興奮、怒涛のような初日の舞台が終わった直後に、“たぬき踊り”の生みの親、振付の芳瞠香榎先生からこんなメールが届きました。
「初日お疲れ様でした。踊り、良かったです。体に気をつけて16日の千穐楽まで、よろしくお願い致します。終わってしまうのが寂しいです」
先生の励ましのお言葉はとてもありがたかったのですが、
「始まったばかりなのにもう終わってしまうのが寂しいとは先生もずいぶん気が早いなぁ」
ところが…光陰矢の如し、気がつけば今日は1月13日。いつの間にか中日も過ぎ千穐楽まであと3日…今私はしみじみ思っています。香榎先生のおっしゃる通り、
「終わってしまうのが寂しい」
私が演じている願人坊主の法鉄は、周五郎さんの原作にも51年前の前進座台本でも登場しない、今回演出の市川正さんが新たに産み出してくださったキャラクターです。実にインチキ臭くていい加減なお坊さんなんだけれど、本当はとても人恋しくて寂しがり、人々の隙間で生きているという誠に人間臭い人柄です。
この愛すべきお坊さんともうすぐお別れかと思うと本当に寂しいです。
「法鉄さん、二度と会えないなんて悲しいこと言わないでください。きっとまたどこかで必ず会いましょう」
あと5ステージ、千穐楽まで踊って踊って踊りまくります。
柳生啓介
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- カテゴリ : 『雨あがる』
- 2023-01-14
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