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『お登勢』旅日記21

矢之輔旅日記21

浜松三店

  旅をしてると、その土地土地にお馴染みのお店が出来ます。もう30数年やってまんので、それなりに多くのお馴染みがでけましたけど、ここ浜松にも、必ずお寄りするお店が三つ。
  先ずは「稲作」はん。先代の大将からずっとのご縁で、うちの先輩達もようけお世話になってます。店にはうちの浜松公演の折の色紙がずらり、今でも何人か必ずお寄りしてます。先ずは煮込みのおでんから。一度店を移転しはって、その折、これ使うて、とくれはったのが、「稲作」と書かれた徳利にお猪口。今でも稽古のときに使わせてもろおてます。それを使うて稽古すると、店を思い出し、本物のお酒が入ってるように錯覚するから不思議や。
  もう一軒は「柳川亭」。今度の「人情一夕噺」の改訂をしてくれはった、小池章太郎はんのご実家。今は弟の裕二郎はんが継いではって、うなぎと泥鰌が美味い。ご主人ここんとこ、笛のお仕事が忙しく、今度伺った時も、沼津の御用邸で笛の演奏会があるとかで、お留守やった。芸の道に長けてはるのは、ご兄弟とも一緒、ご先代の血筋でっしゃろな。
  三軒目は「とし平」。亡くならはった芳三郎先輩とよく伺ったのが始まりで、三味線ライブの「伝の会」や「落語会」を、店で開催するのもここの特徴。大将が仲介で、小学校の子達に邦楽を聞かせてはるそうな、ええこっちゃ。料理は北海道産のものを中心にしてはります。


  他の土地も、なじみのお店は仰山おます。一年の内、半年以上は東京におらへんわてらの楽しみ。さ、次は沼津、「満月」やな。
【食い意地だけは人に負けへん 矢之輔 記】
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『くず~い』だより

楽屋のれん
豊橋おやこ劇場さんとの出会いは、5年ぶり。会場も初めての市民文化会館ということで、ちょっぴり緊張して伺いました。そんな私たちを待ち受けていたのは、“楽屋暖簾”。出演者全員と、音楽の杵屋邦寿さんの名前が入ったオリジナル暖簾です。
私たちは、楽屋に必ず暖簾を掛けます。もちろん役者として一番嬉しい“暖簾”は、ご贔屓のお客さまからいただく、自分の名前が入ったもの。子ども劇場さんに伺っている劇団は、ほとんど、楽屋暖簾など掛けないそうです。でも前進座は、どんな芝居の時でも楽屋に暖簾を掛けます。さすが、豊橋の劇場さんは、よくご存じですね。嬉しいです。これから毎日、『くず~い』班は、この“暖簾”を掛けさせていただきます。

『くず~い』楽屋のれん

公演の方は、2ステージともに満席で、大いに盛り上がりました。松浦公演班班長が、開演中に、ポツリ独り言。「いいお客さんで、幸せだねぇ……。」
★横澤寛美・記★

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『お登勢』旅日記20

矢之輔旅日記20
荷物、お荷物、貴重品

  わてらの使うもん、手持ちで、ホテルでも使うもんは別として、あとはすべて、11トンのトラックに積み込みます。全部積めなっかたらトラック追加、つまりトラック代と運転手さんと、倍かかります。積み込めへなんだら、偉いこってすわ。そやからわてらも若手の頃、茶筒をトントンとやったら中味がぐっと減るように、隙間をなくして積み込むのに、えらい苦労したもんですわ。
  又、雨が降ったら、わてらやのうて、荷物を運ぶお手伝いしてくれはる会員さんが、濡れて苦労するのんは申し訳ない。そやから、気イ使うてまんのや。
  そのトラックの積み込みは、スタッフさんと、一応40才台までの役者が担当します。その責任者が、運責。演出部から一人と、役者から一人出て、主に箱型の物は役者の担当。今回は、白足袋派の片岡清吾・人形遣いをやっている、鈴木大が運責で、トラックの上で荷物を積み上げてます。
  

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いかにも、やってます、ちゅう写真の鈴木大

  でも人間、何か一つは取り柄があるもんで、大が運責をすると、不思議に雨にあわへん。結構旨いこと雨を避けて、荷物を降ろしたり積んだりしてます。これだけは感心するわ、ほんまに。  
  「運責の鈴木大です。搬入・搬出を手伝って下さいました静岡県の会員の皆様、本当にありがとうございました。我々だけでは、どんだけ頑張ってもたくさんの時間がかかってしまいます。僕はトラックの上で荷物を積んでいるのですが、お手伝いの会員さんが二人一組で荷物を運んで下さる姿には、もう感謝でいっぱいです。これからも、会員の皆様が安全な環境を確実につくり、怪我をされないよう細心の注意をはらって頑張っていきます。何卒よろしくお願いします。」

  お前は先ず役者やろ、って言いたくなるような文章でっけど、そこをぐっと抑えて、「運責の大」のご挨拶。
  確かにどこの鑑賞団体さんも、会員の皆様が荷出し・荷降ろしを手伝ってくれはるんで、ほんまに助かってますけど、お怪我なされまへんように、重たい物を無理してお持ちになりまへんように、くれぐれもお願いいたします。

  こんなして荷物運んでまっけど、秋の公演「人情一夕噺」では、茶屋の娘、つまり女形で出まんねん、大が。その変身振りを、是非見とおくんなはれ。
【大の母親とは幼なじみの 矢之輔 記】

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『くず~い』だより

久し振りの体育館公演です
涼しくなってきてくれてよかったよかった(^-^)
でも本当にどんな場所でもできる。
出前芝居『くず~い 屑屋でござい』って素晴らしいと思います。
出演者スタッフ皆さん御元気です。

長野 吉田小学校の体育館

★満腹・記★
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『お登勢』旅日記19

矢之輔旅日記19

時今也帰京旗揚

  字がちょっと違いまっ。本題は歌舞伎「時今也桔梗旗揚」、明智光秀の謀反を描いた時代物で、わての大好きな芝居の一つ。
 それより秋の公演「人情一夕噺-子はかすがい」まであと半月。時は今、帰京してこの芝居の旗揚せな、と焦っても栓方なし。自分達なりに、準備は着々と進んでるつもりで、その筈だす。
 先日、林家正雀師匠にご足労頂いて、あっしと女房の菊之丞、家主の辰三郎とで、秋の公演のパンフレット用の対談をしました。落語「子はかすがい」のこと、今度の脚本に師匠が感動してくれたこと、これから座で上演してほしい落語種の芝居など、中身の濃い対談でした。六月にはわざわざ相模原まで「髪結新三」を観に来てくれて、うちでしかやらねえ大詰の居酒屋が馬鹿に良かったってんで、褒めてくれました。その居酒屋の亭主やってたあっしとしちゃあ、嬉しくってねえ。一緒に遅くまで呑んじまいました。

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左から、あっし・師匠・女房・家主
 
  先代正蔵師匠最後の内弟子、正雀師匠ならではのいい話。
  長屋の付き合いの原則は、正蔵師匠いわく、決してよその家の中に上がらねえこと、すなわちプライバシーを犯さないこと。
  黒門町の文楽師匠オハコの「鰻の幇間」も、ご自分では志ん生師匠の野だいこぶりにはかなわねえてんで、黒門町、一日寄席を休んで、「鰻の幇間」やっておくれよ、て志ん生師匠に替わりを頼んで、ご自分は客席の一番後ろでマスクして聞いた、てぇんです。名人は名人を知る、いい話じゃございませんか。
  正蔵師匠オハコの「首提灯」。侍が町人に「無礼者」ってんで、侍が町人の首を斬る。で、その侍があまりの早業なんで、当人首を斬られたことに気付かず、落ちかかる首を両手で元に戻そうとする、それを正蔵師匠は、稽古の時は無言でやって、高座へ上がると、その時「フッ」と息を入れる。お弟子の正雀師匠はそれを見逃さなかった。稽古ってえのはそういうもんです。急所は見て覚える。それじゃあねえと、ほんとうにゃあ身につかねえ。
  こんだの脚本がそんなにいいのに、こんな芝居かい?って言われねえように、頑張らなくっちゃねえ。


  そやけど、今は「お登勢」の舞台が大事。下田の千穐楽まで、気張って勤めま。残る例会でお世話になる皆様、よろしゅうおたの申します。
【江戸に大阪、生国不詳。ええ加減な 矢之輔 記】

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『俊寛』『一夕噺』だよ

            俊寛成人式

 『お登勢』は、2004年の秋に東京で初演、名古屋などを数箇所で上演しました。翌年大阪文楽劇場ほか神戸などで上演。
 これで終りかと思っていたら、今年3、4月に作品の舞台徳島はじめ四国の演劇鑑賞会さんに、この9、10月には静岡県下の市民劇場さんにお迎え頂きました。
 下田での千秋楽が、初演から丁度100ステージになります。
 
 芝居は、結句、稽古の数と上演の数。
100回やって初めて役が自分のものになるという人もいます。
前進座主催の大都市公演だけでは、とてもこのステージ数は出来ません。         梅之助初役の87年俊寛色紙。中央の版画は、二十歳前後の梅之助によるもの


 中村翫右衛門以後、瀬川菊之丞(六代)、杣英二郎、市川岩五郎、と引き継がれた前進座『俊寛』に中村梅之助が挑んだのが、
この静岡の市民劇場さんでの巡演。
それが1987年の夏。
 中部北陸、長野、東北の演劇鑑賞会さんを経て、国立大劇場での通し上演、京都南座、そして500席の前進座劇場へ。
 市民劇場さんに産湯を使わせていただいた梅之助俊寛が、
吉祥寺で二〇歳を迎えます。


                松涛喜八郎★記
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『お登勢』旅日記18

矢之輔旅日記18

新婚旅行は、お前先

  わてらの新婚旅行は、静岡の南、270度海の、御前崎やった。今から21年前、わての誕生日に東京で式挙げて、翌日わては大阪公演の仕込みっちゅうのんで、御前崎のホテルに泊まり、翌朝静岡駅でわては下り、新妻は上りの泣き別れ、もう一遍二人で行ってみよか、と思うてましたが、昨日の菊川で出合った、元ヤンキーのアンちゃんに聞くと、あすこはもう更地やて。
 ところで去年の誕生日は、浜松の「三人吉三巴白浪」例会最終日で、会員さんと出演者全員との交流会。自己紹介の最後はわて、挨拶しようとした瞬間、場内の明かりが消えて、ハッピーバースデーの歌声と共にご入場なさったんが、このケーキ。

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 浜松の皆さんのお心遣いに感謝して、この写真、いまだに大事に携帯に入ってます。ちなみに、今年のわての誕生日は、いつもと違うて、今年は浜松の例会最終日、交流会のある、9月30日だす(そんなアホな)。
【いつまでも新婚気分でいたいと、勝手に思ってるだけの 矢之輔 記】
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『俊寛』『一夕噺』だよ

  初出演            
           FUJII ISAKU


 こんにちは、藤井偉策です。
 僕は今『赤ひげ』の旅公演中です。去年と同じく患者と、やくざの役をさせてもらっています。
              患者役の藤井偉策IN『赤ひげ』


 そして10月にはなんと『俊寛』に出演させて貰う事になりました、『俊寛』に出演出来るのはとても嬉しいのです。

 実は以前、『俊寛』があまり好きではありませんでした。でも前進座で梅之助さんの俊寛をビデオを見て、初めて感動する事ができました。
 俊寛僧都の苦悩など、歌舞伎なのに物凄くリアルに見えました。

 僕もいつかは俊寛を出来る役者になりたいです。

 10月の『俊寛』是非観に来て下さい
よろしくお願いします。

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『お登勢』旅日記17

矢之輔旅日記17

も一つおまけに、チョー新人

  前回は、役者の最若手をご紹介しました。こたびは演出部の超新人、その名も、趙(チョウ)郁(カオリ)さん。幕開き早々、わてが早速つまみ食いする、蛸。設定では明石の蛸をわざわざ淡路島南部の洲本へ取り寄せて、生のまま塩でさっと洗い、ぬめりを取って刺身にした絶品、のつもりで食べてます。ほなけんど、実はカマボコの薄切り。これを彼女が毎回用意してくれまんのや、言うたら、加納家の、影のお登勢。
  初日からだんだん薄くなったので、口に残らないよう配慮してくれはったんやな、と思い、大丈夫やからもっと厚う切ってや、とお願いしました。つまむといい厚みで、口に入れるとリアルに残る、ちょうどの「蛸の刺身」になりました。
  今回初旅、どないやねん、感想は。
  「初めて旅に正式に参加しています。演出部の趙です。今回、消え物と言って舞台上で本当に食べる物の用意を担当させて頂いています。毎日スーパー探し。地元の散策に明け暮れています。
  初旅は、まだまだ戸惑う事ばかりです。疲れながらも見知らぬ街を歩くと自然と少し癒されます。これが旅の良さなのでしょうか。
  最後まで身体を壊さぬよう、しっかり頑張りたいと思います。」

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修理中の趙さん、何を直してんのやろ、企業秘密やな。

  もちろん、仕事は蛸の刺身だけやおまへん。いろいろこまごまやって、疲れるやろと思います。頑張ってや、期待してまっせ。座の裏方も、おいおい登場してもらお、と思うてます。陰の力、わてらが気持ちよう芝居ができるのは、彼女ら、彼らのお蔭だす。
来月の「人情一夕噺」の大詰は鰻屋。「鰻かあ、顔も忘れちゃった」という、三年ぶりに再会した子供に食べさせる鰻も、もちろん本物、しかも国産で、と注文してあります。
【食べる話に、異常な執着を示す 矢之輔 記】
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『俊寛』『一夕噺』だよ

「芝居は安い」?! 

 掛川演劇鑑賞会さんの交流会に伺いました。
 初春京都南座、五月東京国立大劇場のツァーにもお出でいただく皆さまと杯を重ねました。
 前進座劇場改修にもご協力いただいた素敵なお店“魚茂”さんの真心こもったお料理の数々。仲秋の名月とあって卓のかたわらには薄と彼岸花。

 劇団76年の歴史を自分のこととして語れなきゃいけない、
と日頃言われている私達は先輩の著作から学んで、津々浦々をめぐった歴史を語りますが、こういう機会に生きた歴史に出会います。

 『魚屋宗五郎』や『佐倉義民伝』『屈原』他たくさんのお芝居を献身的に迎えてくださった方からもお話を伺えました。
 仕事をほっぽっても?前進座の為に苦労してお迎えくださったお話、
その後も集会で『鳴神』の聞いたか坊主
―幕開きに「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」で出てきて、漫才よろしくお芝居の状況説明をする二人組―
の真似をして盛り上げたことなどなど。

 「お芝居は安いね、何十年経っても楽しめるもんね」

 お芝居に足を運んで頂きながら、鬘や衣裳や大道具や人件費の大変なお芝居は高いもの、と思っていた私は眼からウロコが落ちました。
 自分を振り返っても、感動した芝居は二十年経っても心の中で育ち続けています。
「芝居は安い」
不明の至りでした。



               松涛喜八郎◇記 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『お登勢』旅日記16

矢之輔旅日記16

最若手の紹介でもしょうかい

  わての息子の睦太郎は、阿蘭陀式の短銃を手に入れて、いつかこれで浅葱者の三田昂馬や津田貢を殺す、いうて息巻いとる。そんな事したらあかん、話し合いや、言うても聞かへん。困ったもんや、思うてたら、とうとう浅葱者を襲撃しよった。
 しかも、娘・志津の元亭主、津田貢の両親を、鉄砲で撃ちよったんですわ。ほんまに、無鉄砲や。
 後で聞いたら、撃ったんは多村礼次郎。娘が見合いして、婚約までしながら破談にした多村慎吾の弟。親としては「そんなの関係ねえ、ハイ、オッパッピィ」なんて言うてられへん。困ったもんや。礼次郎と、貢人形の左手と、わての着替えの助手と、小道具の手伝いと、その他いろいろやってる、新村宗二郎、ちゃんと謝らんかい。

 「皆様こんにちは!新村宗二郎です!僕は前回の四国巡演に引き続き多村慎吾の弟、多村礼次郎を演じさせて戴いてます!この役の見せ場としては、やはり津田貢の両親を誤って鉄砲で打ち殺してしまうという場面なんですが、これがまた稽古の段階から中々上手くいかず、何度もやり直す時間を割いてしまい稽古がスムーズに進まないという状況を生み出してしまいました!でも関係者の皆様には本当に申し訳ないと思うと同時に、僕の気持ちとしては自分をまたひとつ成長させてくれた事に深く感謝したいと思う気持ちで一杯です!失敗をいつまでもくよくよ考えても仕方ないので、しっかりと受け止めつつ今は自分の出来る事を精一杯務めようと励んでおります!
 この旅ももう折り返し地点を越えました!ここで気を抜かず、無事に公演を終えられるよう楽日まで集中して参ります!まだ御覧になられていない方はどうぞ楽しみにしていて下さい!それでは!!」
  
 熊本出身の若手、ワカッテないことだらけでおまっけど、可愛がったって下さい。本人頭丸めて謝ってます(ほんまかいな)。

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小道具の刀を並べている、新村宗二郎

わてかてこんな時代がおました。懐かしいなぁ。
【秋、妙にノスタルジックな 矢之輔 記】
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『俊寛』『一夕噺』だよ

          鬼界ヶ島からの手紙 

 富士を横目に東へ、西へ。上り下るは東海道。                   朝焼けの富士

 一週間振りの“移動日”、つまり次の公演地に移動するだけの一日。
 移動と言っても、静岡県内の市民劇場さんの巡演のこと。
 今日は、五十三次23番目の宿場“島田”から26番“掛川”へ。
          東海道五十三次


 東海道は江戸歌舞伎の大事な舞台。こんな機会に見ておかなくてはならない処には、事欠きません。
 江戸所縁のお祭りがあったり、浜松や静岡では他劇団の芝居が掛かっていたり、ひたすら旧街道を歩いてみたり。
 刑事さんと同じく、役者も現場を確かめて発見することには事欠きません。淡路島洲本に建つお登勢の碑

 この秋も大車輪の劇団前進座、移動日も自分の時間ばかりとは行きませんが、忙中閑を編み出してみなみな貴重な一日を過ごしております。


 『俊寛』の本外題は、『平家女護島・鬼界が島の場』。
舞台となる鬼界が島が薩南の島であることは確かながら、俊寛たちが流されたこの島が現在の何処にあたるのか説は分かれるようです。
 俊寛の墓のある伊王島、墓と銅像のある喜界が島、そして銅像の建つ硫黄島。

 でもこの現場検証に行くのは一寸大変そう…。

東海道の終点三条大橋に立つ弥次さん喜多さん



松涛喜八郎◆記

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『お登勢』旅日記15

矢之輔旅日記15

旅は道連れ、日課漬け
 
  この旅も、後半に入って参りました。静岡県内を行ったり来たり、短い移動は島田から菊川、あいだは金谷ひと駅、12分という短距離。随分楽な旅やと思わはるでしょう、楽でんねん。
  芝居で有名な宇津谷峠、「切られお富」に出てくる薩垂峠も通りましたし、「解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね)」という大南北の名作、わてらが本邦初上演した芝居には金谷の娘と島田の息子、菊川という名前も出てきます。そろそろこの芝居も再演したいものでんな。
  まあ移動は楽でも、荷物の揚げ降ろしをやってる若手は結構つらいと思うけど、そんな最中にもよう勉強したはる。
  津田家の下僕やって、貢人形の足も遣うてるマ~くんこと、寺田昌樹くん、みんなで何の勉強したはるのや?ちょっとご報告を。
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昌樹君の「津田家下僕・多助」

 「我々若手は巡演中わずかな時間を作り踊りやお芝居の勉強をします。『日課』というのですが、今回は10月前進座公演出演者が多いということもあり『俊寛』の一場面を勉強することにしました。実はこの演目や配役は我々で決めて稽古をし、最終的には10月の末勉強会として座内発表が出来ればと思い立ち上げた『日課』なのです。
 今はまだ読み稽古の段階で瀬川菊之丞さんの指導のもと、役の感情や台詞のリズムなどことこまかに教えてもらっています。一人一人に表現の仕方やテンポ、リズムなど課題が沢山ありとても難しいのですが、とても勉強になりやりがいのあるひとときです。時には配役を変えて読んでみると自分の役以外の人間の心情がわかり作品をより深める事が出来、表現の仕方も変わってくるのでこの点からも学ぶことが大きいです。(二枚目、立役、女形と表現の仕方が違うのは当り前なのですが実際演じて見るとなかなか出来るものではありません)
 今はまだ読み稽古の段階ですがいづれ立稽古になりまたそこで新たな課題が山積するかと思います。本当に10月に発表出来るのでしょうか?今からとても心配です。(かなり緊張すると思うし…)ただ発表することも大事ですが、役々を深め理解しその中で歌舞伎独特のテンポをくずさない稽古(勉強)をして今後に身につけるというのが大切だしそれも今回の我々の主旨のひとつとなっております。
 今回はとてもいい機会ですし、どちらかというと私は勉強をおろそかにしていた方なので『俊寛』を通して歌舞伎について、演じる事についてしっかりと学んで行けたらいいなと思っている所でございます。」

  みんな芝居に飢えて貪欲になってま。ええこっちゃ。えっ、おじさん何してまんの?って言われても、わてはこの日記が旅の日課。旅の日記は書き捨て、でんがな。
【結構この日記にハマッてる 矢之輔 記】

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『俊寛』『一夕噺』だよ

   鰻屋でオヒラキ         
             亀井栄克



 亀井です。
                    旅先の亀井栄克
 
 『俊寛』では“諸士”、『人情一夕噺』では大詰の“鰻屋大黒屋の女中・お磯”をやらせていただきます。裂かれた家族が鰻屋でふたたび結ばれます。

 『俊寛』は言わずと知れた近松の名作。三座競演という事ですが前進座独特の『俊寛』を是非お楽しみに!
                  甲斐甲斐しくメロンを切る生活係亀井


 『人情一夕噺』のお磯はやった事のない役柄なのでどう演じようかと自分でも楽しみにしています。
 いい芝居にして再演を重ねられたら、と思っています。
 是非是非皆様御覧下さい。

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『俊寛』『一夕噺』だよ

           今日の一冊 

 旅していると、曜日がわからなくなる。
 
 まして祭日やら連休やらとは縁がない。ニュース・キャスターが、「今日から三連休」などと言うのを聞いて、「何の日だっけ」とダイアリーを見れば暦の上ではすっかり秋。
                      昨年のマンジュシャゲ

 暑さ寒さも彼岸までというけれど、巾着田や矢勝川の彼岸花もまだ咲きそびれているという便り。
 静岡の暑さもまだまだ続きそうですが、暦は既に食欲の秋、読書の秋。

 このコーナーは、『俊寛』『人情一夕噺』の頁ですから、それにちなんだ一冊をご紹介しましょう。

 中村翫右衛門『歌舞伎の演技』。 
             『歌舞伎の演技』中村翫右衛門・著


 著者舞台生活68年の年に書かれたこの本は、歌舞伎の基礎訓練や稽古の段取りを説明した第一部と前進座『俊寛』の創造を追った第二部からなっています。

 千鳥の衣裳から、流人の生活、赦免船の出、康頼の扱い、丹左衛門の位置、波布の工夫、一つ一つ検討を加えた初演の様子。前半の浄瑠璃をほとんど取ってしまうところから出発して、都度磨き上げてきた経緯が語られます。
 最終章には「前進座の『俊寛』はみんなでつくり上げた『俊寛』」と記され、その後に前進座『俊寛』の台本がついて、当時1200円也。

 残念ながらこの本、現在一般書店にはありません。でも、演劇書を扱っている古書店には並んでいますし、ネット上の書店でも千円くらいから手に入るようです。


                      松涛喜八郎●記

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『お登勢』旅日記14

矢之輔旅日記14

お登勢人形における哲学的考察

  「お登勢」の幕が開くと、お登勢の人形一体、その表情がとても印象的で、「顔が動くんですね」という、ありがたいご感想をいただきました。目の開閉だけなのに、ちょっとした角度で表情が変わる。作者・人形恒さんの真骨頂。扱っているのは、浅葱者の三善歩を勤めている又野佐紋君が主遣い。また褒められちゃったよ、佐紋ちゃん。
 「舞台でお登勢の人形の主遣い(頭と右手)をやっていると、不思議な感覚になる時があります。僕が人形を操ってるはずなのに僕はそこにいない。操ってるはずの僕が実はお登勢人形に命を吹き込むために操られてるんじゃないか…なんて思う時があります。
  照明の暗い舞台で人形にだけ明かりがあたり、僕の視界には一緒に操ってる俳優も客席も見えません。人形と僕だけの時間になり、人形は生きて僕は存在を殺して舞台に立つ。こんな不思議な感覚は役者としてそう味わえるものじゃないと、日々楽しんでいます。
  初演の時、人形の稽古には本当に苦労しました。でも、その甲斐あってか人形への評判は高く、『人形良かったよ』と聞くと嬉しくなります。
  『お登勢』静岡巡演も折り返しです。千穐楽まで役者としても、人形遣いとしても楽しみながら頑張りたいと思います。」
  いやあ、なかなか哲学的やなあ、山口県出身は。

人形主遣いの、佐紋君
人形主遣いの、佐紋君

  顔が見えない黒衣の中で、毎日真剣勝負をしたはる。人形から生身のお登勢に変わるところも、お客様のどよめきが起こる瞬間、ジェームス先生が一番こだわらはったところ、今も毎日、彼は挑戦してまんのや。
【又野くんから貰った竹の子を、毎年美味しく頂いてる 矢之輔 記】
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『くず~い』だより

十数年ぶり!!
子ども劇場いしかわの皆さまに、とっても美味しい小夜食をいただいて栄養満点の私たちは、無事帰京。
みなみ板橋おやこ劇場さん、こども劇場せたがやさんのもとへ!こちらの皆さんとの出会いは、何と十数年ぶり。こんなにご近所なのに、驚きです。でも『くず~い屑屋でござい』を喜んでいただき、本当に嬉しいです。「この作品だから呼べたのよ!」「親子3代で楽しめる作品なんてなかなかないのよ!」「今日は、お父さんの参加が多いの!」……。たくさんの反応をいただき、しみじみと、この作品を創って良かったなぁと感じました。
今日は、富士子ども劇場さんの公演でした。
こちらへ伺うのも、前進座としては『風のユーカラ』以来、13年ぶり。『風のユーカラ』の千穐楽で、スタッフさんが、私達にナイショで、“千穐楽おめでとう”の幕を吊ってくれたのが、富士でした。
こんなに長い時間、お会いできなかったのは、なぜなのでしょうね。つもる話は、終演後の交流会で。柳生啓介、山本ひとみ、そして私が参加して、まるで今までの空白を埋めるような、はてしないおしゃべりが続きました。2年越しで『くず~い屑屋でござい』を呼んで下さった皆さんの熱い思いをお聞きし、やっぱりこれからは、ちょくちょくおじゃましなくちゃ!と思いを新たにした3人でした。

★横澤寛美・記★
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『俊寛』『一夕噺』だよ

         『俊寛』と「若者たち」

 前進座が初めて『俊寛』を上演したのは、創立20周年の頃。二十歳の劇団は、戦後の荒廃の中これからの青少年にいい芝居をと、津々浦々降りない駅はないという活動を展開していました。
 『レ・ミゼラブル』に始まって、シェークスピア、モリエール、戦時中触れることのできなかった名作の数々。一時は五つの班が同時に廻っていた頃もあります。
 百万人の学生さんたちに見ていただき、朝日文化賞を受賞した青年劇場運動。
 今でも全国に伺うと、中学生の頃『レ・ミゼラブル』で前進座に出会われた、といったお話を伺うことが度々です。


 そんな活動の中で、『俊寛』を採り上げるにあたって、
 歌舞伎を古臭くて長ったらしいもの、言葉がわからなくて難しいもの、と食べず嫌いでいる当時の若者たちを対象に、
「初めて観た方にもわかる歌舞伎」を目指したのでした。

 『俊寛』は、『平家女護島』という平家滅亡と三人の女性を描く大近松畢生の大長編のなかの一幕。
 『俊寛』一幕だけをご覧になっても意が通じるように、他の幕の言葉を上手く生かし近松の心を追い求めました。台本の補綴担当は、『研辰の討たれ』の作者でもある平田兼三氏。
 併演が歌舞伎舞踊の『どんつく』とモリエールの『守銭奴』というのもユニークです。

 その後も、上演の度にみんなで再検討を加えては歩を進めてきた前進座『俊寛』。

 先般物故された社会派監督熊井啓さんが進めておられた企画の中に『俊寛』があったそうです。戦後とは違う形の荒廃が、『俊寛』を呼んでいるのかもしれません。

 是非現代の若者たちにもご覧頂きたいと、ジーンズ・シートを設けています。

 2007年版前進座『俊寛』をお見逃しなく。


                  松涛喜八郎★記 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

映画放送部情報

ハイビジョン特集
『よみがえる海峡を越えた絆~
            朝鮮通信使400年~』

NHK・BShiにて9月24日(月)ヨル8時から9時50分まで放送
朝鮮通信使が始まって以来、400年がたった。その長い歴史を、再現ドラマを使って紹介しながら、改めて日韓交流について考える。番組中の再現ドラマに、津田恵一(雨森芳洲)、志村智雄(新井白石)、又野佐紋(対馬藩士)、松永啓(対馬藩士)が出演。 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『俊寛』『一夕噺』だよ

      円生と志ん生
              山崎辰三郎



 今回の「赤ひげ」巡演も、鳥取の2ステージを残すのみとなりました。今コースは、公演場所は転々として、道中日の多いありがたい旅なのですが、そのぶん、ほとんど一日2ステージ。
 中味は充実しています。
           『赤ひげ』狢長屋の佐八

 さて、さて、帰京すると「俊寛、人情一夕噺」の開幕まで、20日チョット。

 今回私は、両作品で大きな役をいただいていて責任重大です。
 特に『人情一夕噺』は、辰五郎、女房お浜、その子猪之助、そして私のやります家主伝兵衛、この4人の芝居がじっくり噛み合う事がとても大事で、世話物のあじわいが要求されます。
 
 大好きな、落語の世界。江戸前の芝居作りは大変ですが、やりがいもタップリあります。
 今回の旅でも、志ん生さんや円生さんのCDテープを聴きまくっています。「江戸の空気」を出せる事に挑戦します。

 皆さん、こぞって吉祥寺までおでかけを!!

        9月21日  鳥取にて  山崎辰三郎

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『お登勢』旅日記13

矢之輔旅日記13

おおい裏方はん、
     裏方はんよ~


  磐田を終わって、浜松北へ。磐田市民劇場はんの発足第一回例会は、28年前の前進座公演「さんしょう太夫」。10周年記念例会が前進座の「五重塔」。再来年の30周年は、再び座の「さんしょう太夫」で、となれば、ありがたいことでおます。静岡県の皆さん、よろしゅうおたの申します。
 これからうかがう浜松北は、以前浜北と言うてはったところで、そこの第一回例会も、前進座公演「さぶ」。以来、何かと親戚付き合いさせてもうてます。その「さぶ」は、故芳三郎、当時芳夫はんの栄二に志村はんのさぶ、おのぶを勤めてはったのが世津子はん。まだ10代の役で、水溜まりを飛んだ芝居でポッと落としたのが「ホッカイロ」というのがこの静岡コースとか。
 で、当時の演出助手がご当地出身やったことから、さらにヒートアップして、座にも市民劇場はんにも忘れられん第一回例会になりましてん。
 今回も、多くのスタッフはんに支えられて毎日の公演を無事こなしてまんのやで、感謝しますわ、ほんまに。
 まだ暑い季節、汗かいたら役者の恥や言われても、出るもんは止めようがない。汗臭くなる衣裳を手入れして、気持ち良う着せてくれはる衣裳はん。毎回お登勢が斬られるたんびに、見事にパラリっと髪がさばける仕掛けをしたはる床山はん。ごちゃごちゃこまごまある小道具を、毎回引っ越しセンター以上に丁寧かつ手際よう梱包したはる小道具はん。重たい道具を、毎回決まった時間内で転換して、しかも各会場いろんな条件をクリアーしてはる大道具はん。明かりやらスモークやら、果ては暗い舞台裏の通行にも、懐中電灯で行く手を照らしてくれはる照明はん。そして、ぜ~んぶ積み込んだ荷物を安全かつ正確に次の会場まで運んでくれはる、トラックの運転手はん。皆さん外部のスタッフさんやけど、前進座の芝居を愛し、それを待ってくれてはるお客様のために、日夜奮励努力してくれはって、ありがとう、おおきに。
 皆さん裏の方は、裏に徹してなかなかお写真もままなりまへんけど、見はった舞台が、裏方さん皆さんの「魂の結晶」でんがな。


  「裏の人に可愛がられる役者になれ」 わての祖父がよう言うてました。ほんまや。
  毎日、それこそわてらの背中から芝居を観てはる、裏の皆さんが、一番怖いお客はんだっせ、気い抜いたらあかん。
【いまだに背中で芝居が出来ない 矢之輔 記】
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『くず~い』だより

小夜食はくず~いの素
『くず~い 屑屋でござい』の全国巡演も順調にすすみ、北海道、船橋、大阪、石川と続き、また東京に戻って来ました。

毎度各地で小夜食を用意して頂いてるんでが、それがとってもありがたいんですよね。
この間の金沢ではおでんをいただきました。
僕自身今シーズン初のおでんでした。
この『くず~い』班は劇団内では異例の少人数の班なので、毎回小夜食を食べる時は家で食卓を囲んでいるような感じになるのです。
これがチームワークを固めて次の舞台につながるのですね。

ごちそうさまです!


高木佐太夫役
上滝啓太郎


ここでお知らせ。
今回わたくし『くず~い』では“高木佐太夫”という若侍をやっておりますが、この旅が終わりましてすぐ10月17日より吉祥寺・前進座劇場で上演される『俊寛』に“舟子”として出演いたします。
そちらも是非お越しくださいませ。
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『俊寛』『一夕噺』だよ

          子はサプライズ

 ひと月ほど前、『人情一夕噺』の稽古入りをしました。
なにしろ、半世紀ぶり、全員初役での上演です。台本改訂の小池章太郎先生以外は、班の誰も嘗ての上演を見ていないのです。“一から”でないまでも、1.5位から作らなければなりません。

 先ずは台本の字を拾いながら、それぞれ自分の役を探り始める中、ふと子役さんの台本を見ると、ページが違ってます。
台本なんかハナから見ずに憶えた台詞を言っていたのでした。
 しかも、江戸のアクセントを指摘されると、一回で直ってしまう。
只でさえ、“子どもと動物には勝てない”というのが、お芝居の国の言い伝え。
 大人たち顔色なしの稽古入りでした。
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 初日まで一月をきりました。『お登勢』の旅先にも時々来て貰って稽古を重ねる日々です。


           松涛喜八郎■記

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『お登勢』旅日記12

矢之輔旅日記12

アクシデント、いや、「悪氏」が「出んと」納まらん

 今回、浅葱足袋の津田貢の母で、頼母のかみさん、りくを勤めてはる恵子はんは、京都の営業所にここんとこ長く居たはったこともあって、京都ツアーをしてくれはった皆様にもお馴染み。是非ひと言、ご挨拶を。ただし、ここんとこ宿泊先のサーバーと、わてのパソちゃんの相性が悪い、っちゅうのんか、暫くお休みしましたんで、ネタは古いかも知れまへんが、どうぞ。

 こんにちは 前園恵子です。「お登勢」公演も富士・修善寺・富士宮・静岡・三島と十日間が過ぎました。各地で温かく迎えて頂いて、舞台も好評で大変嬉しい毎日です。
 このお芝居には女優は四人しか出演していません。その四人が、先日の静岡公演で、これからも劇団内の語り種になるだろうという珍事をヤラカシテしまいました~!!
 静岡の楽屋は隣り合わせの二人部屋。世津子、恵子。文美、実貴。今日は二回公演、お化粧するのは1時間前からだから 四人は思い思いに体操したり……アイロンかけたり……。そろそろ1時間前ね~などと、いつもの平和な開演前タイム。(その時、歴史は動いた。すなわち12時半。)
 そこへ若手美人演出部のTちゃんから「開演30分前です」のおしらせ。?????世津子ネエサン「何言ってんの!間違えてるわよ!まだ1時間前じゃない!!」Tちゃん小声で「今日は1時開演です。」世津子ネエサン「エエ~~ッ!!」すると隣りの部屋からも「ひぇ~!!」
 なんと四人共 開演1時30分だと思っていたのです。普通だったらメイクは終わってなきゃいけない時間にナ~ンにもしてないのですからヒェ~!です。
 それからの早業はヤレバデキルの一言。30分後には お白粉化粧して、衣裳着て、皆、平気な顔してお芝居してました。f^_^;
自分だけ平気そうで、実は、という、津田りくのお恵さん。
写真では自分だけ平気そうに見えますが、実は、という、津田りくのお恵さん。

 時間は慎重に、注意一秒、怪我一生。それにしても、女優打ち揃っての時間間違え、ようやってくれるわ、ほんまに。いまむらいづみさんは、女優陣の大先輩。ある時JRの小さい切符で自動改札を通って、切符は回収され自分は改札を出た。それでも振り替えって、次に改札を通って出た女学生の定期券を見て「あら、あたしの切符、大きくなっちゃった」。伝統は確かに受け継がれています、わが座は。
【笑っていられない、いづみさんの甥の 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記11

矢之輔旅日記11

先輩、万歳

  この旅日記で、毎回写真をご覧いただいてまっけど、撮ったはるのは、お登勢の恋人・津田貢の父親、津田頼母を勤めてはる、志村智雄先輩だす。ちなみに、頼母は「たのも」と読んで、わての家に、お「たのも」うす、と声をかけはります。智雄も「のりお」と読ませる、っちゅう、ややこしい方やけど、心持ちはストレートな、ラサール・早稲田という賢い道産子。
志村先輩の、頼母。自分のカメラやから決ってま。
志村先輩の、頼母。自分のカメラやから決ってま。

 わての同役で碁敵の石毛弥一郎を勤めてはる、山崎竜之介先輩は、初舞台が「権三と助十」のお猿さんという、か~なり長い芸歴を持ってはって、長十郎・翫右衛門の時代をよう知ったはる。
碁
碁敵は、憎さも憎し。竜さまの石毛。

 うちの下僕の儀平を勤めてはる小佐川源次郎先輩も、初代のメンバーと一緒に芝居してはって、飲むとその話になる貴重な方、お三方とも、ええ話をいっぱい持ったはります。
耳が遠い顔して、ほんまは。源さんの儀平。
耳が遠い顔して、ほんまは。源さんの儀平。

  劇団の歴史が長いというのんは、それだけでえらい財産やな、と、つくづく思う今日この頃。うちの劇団大事にせな、あの世に行って大先輩たちに怒られまんな。ええ芝居しよっと。
【ええ先輩もって、幸せもんの、矢之輔 記】 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『お登勢』旅日記10

矢之輔旅日記10

嫁はん、最高

 17日、三島公演が終わって、次は藤枝・清水・磐田・浜松北・島田と続きまんのや。そやから昔と違うて、富士山ともしばらくお別れや。そやのに、三島を離れる日もちゃんとしたお顔は拝めへんかった。
  ところで、この「お登勢」の見どころ、わてらと違うて、静岡各地の会員さんは、まあどこも一緒やけど、ご婦人が多いせいか、前の静岡の交流会でも、お登勢派と志津派に別れまんねん。
 耐えて堪えて、芯はしっかりしてる女中のお登勢と、対照的に自由奔放、勝手気ままにあの時代を生きたわての娘・志津。自分が共感出来るのは、どっちの女性でショー、って、関口宏と三宅裕司の番組みたいに比較するのも、この芝居の「お召し上がり方」としてはええかも知れまへん。
 わてから言うたら、うちの嫁はんみたいなんが最高やと思いまっけど。えぇ?芝居の中の女房・はまのこと?違いま、実生活のわてのかみさんのことでんがな。芝居の中の女房・はまは、強い、怖過ぎます。頭上がらへん。わて養子やしね。
 怖いかみさんの方の遺影、いや写真をご覧下さい。(こんな間違いしたら、また怒られるわ)
わての奥様、はま様。せっちゃんでおます。

 実生活では、はま役の田中世津子、通称「せっちゃん」は、優しい、温かな、富山生まれの「風の盆」でも踊っていそうな、たおやかな女性です、ほんまの話が。
 主催してくれはった鑑賞団体の皆さんに、毎回お礼のお葉書書いてまんのは、このせっちゃんでおます。

  わては、来月せっちゃんとは別れて、新しい女房を貰います。瀬川菊之丞。すぐに別れますが、子供のお蔭で又ヨリを戻します。「人情一夕噺」をお楽しみに。
【ころころ女房を変える、矢之輔 記】

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『くず~い』だより

『自信作』
「お母さま! 今日はもう、お米がございません」
「お母さま! もう、お金も、お米もございません」
毎日、毎日、娘しずに言われ続け、切ない思いをしておりましたが、どっさりお米が届きました。
カーテンコールのプレゼント“自信作”

大阪と石川の往復を繰り返した、超ハード過密スケジュールも一段落。
9月17日は、小松おやこ劇場さん、加賀おやこ劇場さんの合同例会でした。
ロビーも、『くず~い屑屋でござい』の江戸のエコロジーにちなんで、いろいろな工夫の飾りつけをされ、小夜食は手作り笹寿司、そしてカーテンコールのプレゼントが、お米!
その銘柄は“自信作” 新米だそうです。芝居の中では、「お米がございません」と、つつましやかな生活をしている娘しず事、山本ひとみの瞳がキラキラ輝いていました。
お客さまの反応もとても良く、楽しい舞台を勤めることができました。

トラック運転手の伊東さんは、連日の深夜走行に、もう当分、この道を走りたくない!と言っておりましたが、やっと今夜は、ホテルで寝てもらえます。

北陸路の公演は、9月18日の金沢を残すのみとなりました。


★横澤寛美・記★
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『俊寛』『一夕噺』だより

        ガラになく…
                又野佐紋


 現在、「お登勢」で静岡県内巡演中の又野佐紋です。
お登勢人形と人形遣い

 「俊寛」では舟子、「人情一夕噺」では小網町の太物問屋伊豆屋の手代清三(これで一人です)の二役で出演いたします。

 手代清三では今まで僕が演じたことのない役に初挑戦となります。僕の中に無い柄なのでいろいろと苦労しそうですが頑張ります。
                      『お登勢』の若侍、三善歩

 両演目とも胸にグッとくるお芝居です。是非観に来てください。


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『くず~い』だより

一転して…
熱烈歓迎、七尾の翌朝は朝7時金沢発のサンダーバードに乗って大阪に向かってます。横澤さんは朝早くから甘エビ寿司をご購入です。ほおばってごきげんで~す!車窓からは虹が見えて、みんな眠い目を擦りながら、畑の上にのびる虹を眺めてました。今日はどんな一日かなぁ~♪
甘海老寿司を手に…
「おいし~い」

★山本ひとみ・記★

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『オッペケペ』だより

千穐楽
9月17日、『オッペケペ』の公演が無事に千穐楽を迎えました。
7月22日に顔合わせをして稽古入りしましたが、足掛け3ヶ月。ほんとうに暑い暑い夏でした。
13日間の15ステージ、とても楽しく有意義に舞台を勤めることができ、自分にとっても良い経験だっと思います。
流山児★事務所の皆様、またご観劇くださいましたお客様方、心より感謝申し上げます。
打ち上げでは
大入り袋が配られました。
流山児祥氏より“大入り袋”が…

◆河原崎國太郎・記◆
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