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五月国立大劇場公演だより

           
上野公園縁起




 
 東叡山(とうえいざん)の使い僧と偽って
松江候の上屋敷に強請りに行くのが
河内山のハイ・ライト。
様々な設定を変更し、現代語を駆使した大人の童話、
山中貞雄版『 河内山宗俊』も、この場面は歌舞伎を踏襲している。
       江戸の寛永寺               
 徳川の菩提寺でもある東叡山・寛永寺は、江戸初期に
江戸城の鬼門を守る聖地として企画。
比叡山や琵琶湖、竹生島、清水寺を模した広大な寺域は
最盛期には現在の上野公園の二倍と言われる。
        鴨たちに囲まれた五重塔
 現在その顔だけが残る大仏もあったし、
上野動物園内に建つ五重塔もその名残。


彰義隊の戦争で上野の山が焼け野原となった為に
現在の文化ゾーン上野の森が在る。

 現在の国立博物館の辺りがかつての寛永寺本坊、
その前の噴水辺りに根本中堂が建っていた。
         葵の紋
どちらも上野の戦争で消失。
現在の根本中堂は
江戸城明け渡しの頃、最期の将軍
慶喜が謹慎した大慈院の跡に建っている。
 来年の五月『江戸城総攻』の重要な舞台。
日暮里に近い根本中堂:この位置に慶喜は蟄居していた

真山青果先生は、『江戸城総攻』三部作に先立って
『彰義隊』をものしている。
もっとも彰義隊は、三部作の後に起きたこと。
 
 さて、話が先に走りましたが、
江戸城総攻と前進座映画、
歳を改めましてまたお目にかかります。  

            
                 来年は丑年

         喜八郎☆記
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五月国立大劇場公演だより

                梶原金八のアゴ


P8300028.jpg

    

 現在も観られる山中貞雄=前進座映画『河内山宗俊』『人情紙風船』は、
どちらも河竹黙阿弥の歌舞伎が原作。
原作は、前進座でも国立劇場ほかで上演しているが、
映画は観客の生活感に寄り添うように大胆にアレンジ、その感覚は今観ても決して古びない。
P8300027.jpg

 『河内山ー』の金子市之丞を演じた翫右衛門は、
衿にいっぱい爪楊枝を刺しているなど
様々な個性を工夫、
「三井(翫右衛門の本名)君は、えらい役者や」と述懐していたことを
稲垣浩監督が書き残している(『日本映画の若き日々』)。

 大人の童話ともいえる『河内山宗俊』のシナリオは、梶原金八。 
彗星のごとく現れて20数本を発表、ヒットを飛ばし続けて三年で消えた。
と言うと謎の画家・東洲斎写楽のようだが、
金八の場合、正体は判明している。

 「何が何でも梶原金八を引き抜け!」
と厳命した映画会社長もいたというが、
カジワラキンパチは、山中をはじめ八人の監督やライターが
会社を超えて合作する時のペンネーム。
 実は厳命した社長の映画社にもその中の二三名が在籍していた。

 事情を知っている評論家が提案した。
「みな、梶原金八の顔を見たがっているから、
八人の写真を重ね焼きしたらどうだ」
髭を立てたばかりの山中貞雄が言った。
「重ね焼きでも、髭は出るやろナ」
「そりゃ、髭とアゴは山中が持っていくさ。
シナリオの中身同様、半分は山中のものだ」
 遺されたポートレイトを見ても、山中貞雄の顎は立派。
それと同様に合作のシナリオの中でも、山中色は強かったらしい。

 山中が戦病死した年、山中が残した『木屋町三條』の構想を、
残された七人の金八がシナリオ化、
前進座ユニット出演で追悼映画『その前夜』が作られたのは、前にお話しした通り。

 梶原金八の名は、この映画を名残に消えた。

 


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『出雲の阿国』だより

「出雲のおくにっ記」  
今日は劇場稽古!

こんにちは。上滝啓太郎です。

正月南座公演を目指し
「出雲の阿国」は現在稽古の真っ最中です。
今日はいつもの稽古場を飛び出して、
劇場で稽古をしています。
劇場稽古

こういう稽古では本番と同じ実寸法の舞台をつかって
稽古が出来るので、制限がなくのびのびと動けるのです。
「出雲の阿国」の様な踊りが随所にあるお芝居には
とっても重要な稽古なのです。

さて、今回のわたくし上滝啓太郎の役どころですが、
阿国と敵対する遊女歌舞伎小屋から依頼で
阿国一座の舞台を壊しに来る大工の棟梁で出演します。
その他3役(計4役)それぞれ全く違った身分、
職業の役で出演してます。是非探して下さい。
では皆さんお正月は南座で会いましょう。


記 上滝啓太郎
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『出雲の阿国』だより

出雲のおくにっ記 

京都南座初春公演「出雲の阿国」の稽古がスタートしました。
まさに「出雲の阿国」の舞台である京都四條での公演、
稽古にも気合が入ります!

舞台図面 踊りの稽古


歌舞伎の出発点である四條、南座で
皆様をお待ちしております!

担当 佑一郎 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『くず~い』旅だより

奈良演劇鑑賞会さん

『くず~い屑やでござい』班にとって初の演劇鑑賞会さん例会は、柳生さんの報告の通り、感動的に幕がおりました。

それにしても、奈良演劇鑑賞会の運営サークルの皆さんの細やかなご配慮にも、私たちは感動いたしました。

ホテルのロビーには、歓迎の手作りのポスターが飾られ、ホテルの部屋には、メッセージカードが添えられた冷たいビールとおつまみ。
そして楽屋には、心がこもった“お通し”。
手作りポスター  素敵なお通し

さすがは観劇のプロ。
演劇人の心をくすぐるツボを良くご存じです。
メッセージ

ますます気持ち良くなった私達は、エネルギー満点、今日の舞台に全力をそそぐことができました。
本当にありがとうございました。
鹿さんと…

横澤 寛美
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五月国立大劇場公演だより

     星と霜と  


 40日間九州一周の『法然と親鸞』も、ここ小倉で千穐樂を迎えます。

旅の初日鹿児島駅前ではクリスマス・ツリーの点灯式がありましたが、
小倉の会館周りはカラフルな聖夜のイルミネーション仕様。

京都南座で来年の幕開けをする『出雲の阿国』メンバーは、
旅の中でも踊りの稽古を重ねてきましたが、小倉の空き日には
振付けの吾妻寛穂先生にご足労願ってみて頂きました。
             出雲の阿国
 吉祥寺のトップ・バッター『双蝶々雪の子別れ』組も、
劇中の立回りを皆で工夫して準備に余念ない様子。
               小倉城となりの会館

 千穐樂の会館から小倉城を挟んだ反対側が、
朗読会などでもお世話になっている松本清張記念館。


 清張作品が初めて前進座の舞台に上ったのは、
『無宿人別帳 いびき』。
清張先生の処女戯曲。
 作者も主演した翫右衛門も名うてのイビキかき。


 翌年には、『無宿人別帳 左の腕』が、
新しい世話物歌舞伎として誕生、
併演の『御浜御殿綱豊卿』『屈原』と共にテアトロン賞を受賞。
 山中貞雄の『街の入墨者』が巡り巡って生まれた名作。 
以来そろそろ半世紀が経とうとしています。

 映画『無宿人別帳』(井上和男監督)も、この翌年に封切。
舞台は佐渡島、豪華な出演者の中、
前進座からは中村翫右衛門が参加しています。
           クリスマスの派手なイルミネーションから路地を入ると此処にもささやかな・・・

 この十二月五日、
松本清張記念館の十年間の活動に対し、
第56回菊池寛賞が贈られました。


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『くず~い』旅だより

命を託された屑屋さん
カーテンコールの鳴りやまない拍手と歓声に胸が熱くなりました。

昨日と今日、1300年の歴史をもつ古都、奈良でのこの2日間の公演は『くず~い屑屋でござい』という芝居の、新たなる歴史の始まりのようでもありました。
鹿さん!  古都


出前芝居『くず~い…』は3年前、子どもたちに日本の、和の文化を全国各地に届けたい!という思いで創った作品です。
その後、観ていただいた方々が口コミで拡げてくださり、いろいろな場所でたくさんの皆さんにご覧いただけるようになりました。
けれど、まさか演劇鑑賞会の例会にしていただけるとは思ってもいませんでした。

昨年の納涼会で上演した折、奈良演鑑の事務局長をされていた磯貝淑子さんが舞台を観て
「面白い!今やからこそ、こういう芝居を会員に観せなあかん」と大変感動されて、
奈良に帰って幹事さんたち、会員の皆さんとお話し合いを重ねてくださいました。

「あの~これだけですか?」
昨日、荷下ろしにきて下さった運営サークルの方々はトラックを見て唖然。
『くず~い』のトラックは2トン車。
通常の前進座のトラックは11トンですからあまりの道具の少なさに驚かれたようです。
いつも30人以上はいる人頭も今回はたったの10人…
「本当に大丈夫かしら」
不安を感じられた方もきっとおられたことでしょう。
何よりも、実は私が一番不安でした。

2日間の公演はそんな心配を吹き飛ばす、信じられないくらいの盛り上がりで、あまりに凄い笑いと拍手に思わず泣いてしまいました。
「信じてました。磯貝さんのお墨付きでしたから!」と担当サークルの皆さんも大喜び。
私も本当にほっとしました。

『くず~い』例会を実現させた前事務局長に今日の舞台をご覧いただくことはできませんでした。
磯貝さんは今年9月、帰らぬ人となりました。

私はたくさんの人の大切な命を託されて舞台に立たせてもらっているのだと思います。
今年はあと5ステージ。
精一杯務めます。


12月12日 柳生啓介 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『くず~い』旅だより

高槻
約1ケ月インターバル中だった『くず~い屑屋でござい』公演は、12月10日再開いたしました。

再スタートの地は、大阪の高槻市。
一年程前から準備を始めて下さった“前進座公演「くず~い屑屋でござい」を観る会”さんが主催です。
メンバーは、高槻市とその周辺にお住まいの皆さんで、もちろん中心は、前進座友の会高槻ファンクラブ。
まるで江戸の長屋の住人のようににぎやかで、人情あふれる、あったかい皆さんです。
高槻市内のたくさんの団体にもご協力いただき、客席は満席に!

本番前には、久しぶりの公演なので、舞台稽古をいたしました。
その舞台稽古を、特別に実行委員会事務局の皆さんに見学していただいたのですが、舞台稽古とは思えないくらいリラックスして大笑いしていただき、これなら本番も成功間違いなしと、一同自信がつきました。
笑いの本場・大阪での公演で、しかも大人の方がほとんどのお客さまということで、かなり緊張していたのです。

でもやっぱり、客席は大いに盛り上がり、観客動員にご苦労された実行委員の皆様にも本当に喜んでいただきました。
「チケット売りは、はんまに大変やけど、誘った方み~んなにお礼言われたんは、はじめてやわ、これならまたやってもいいかと思ったわ」と言われたと時には、本当に嬉しくなりました。

終演後には、公演班全員が参加しての大交流会。
「2年後には何をやろうか!」なんて、嬉しいお話も聞かれ、帰り初日は、無事終了しました。

このメンバーで再開です

横澤 寛美

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五月国立大劇場公演だより

   「馬関海峡 波高し」

 九州各地を巡る『法然と親鸞』もあと十日。
今日は周南市で、今コース唯一の本州公演。
昨日は大分から山口県の徳山へ、バスで五時間の大移動。
    めかり神社から長州を臨む

 昼食休憩は、めかりPA。
眼下に広がるのは、『平家物語』とも所縁深い海峡。

 新撰組が出来、薩英戦争が起こった年、
この海峡は馬関(ばかん)戦争の舞台となった。
馬関海峡は、関門海峡の古名。
         めかりPAの“ふぐ焼”は、尾まで餡子がたっぷり。

 この海峡を通る外国船を砲撃した長州藩は、
米英仏蘭4国の報復攻撃に完膚なきまでに叩きのめされ、
一転、欧米の知識・技術の吸収に方向転換。
 薩英戦争後同じような道を辿った薩摩藩と、三年後に同盟を結び、
倒幕の役者が揃う。

                  中国では花咲か爺のことを花神と呼ぶ。
           
 この旅の初日、鹿児島での挨拶で、
大河ドラマ『花神』で村田蔵六(のちの大村益次郎)を勤める前、
鹿児島に飛んで蔵六ゆかりの大砲だけ見て大急ぎで帰った、と梅之助は語った。 

 「…というのは、村田蔵六は西郷(隆盛)さんを大分いじめたので」
                 彼は花神の仕事を背負ったのかもしれない。彼、村田蔵六、後の大村益次郎である。

 司馬遼太郎さんの言葉を借りるなら、
維新の仕事が終わると大急ぎで去った花咲か爺―村田蔵六は、
死の直前に西南戦争を見越した布石を打っている。  

 40日の九州巡演も大詰。
徳山を終えると明日は佐賀公演。
今夜のうちに九州に戻ります。


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『法然と親鸞』だより

            


 『法然と親鸞』の長い巡業も
終盤に差し掛かりました。
ご挨拶が遅くなりました。亀井栄克です。

 皆元気ですよ。
その元気の源となったのが、前半での阿蘇での休養でした。
阿蘇は宮崎から熊本への間の道中。
宮崎のホテルを出発したのち
日向・碁石の里(ハマグリから造る碁石が名産です)で
バイキングのランチタイム そして高千穂峡へ。

 天孫降臨神話の故郷は、
水の恵み豊かな神々しいたたずまい。
バスを降りてしばらく眼下に見える川に向って下っていき、
川沿いに歩くと現われる峡。激しく落ちる滝。
 絶景かな。しばし足を止めて見とれる…その後宿泊先の旅館“朝陽”へ。

 夜は大宴会
女優黒河内雅子さんの進行によるゲームやクイズ大会から
しまいにはカラオケ大会になり、予想以上の大盛り上がりでした。

  温泉にも浸かってのんびり。
熊本出身の圭史夫人寺田裕子さんのご尽力により
楽しい一日を過ごすことができました。

 千秋楽まで元気にやっていきます。


             亀井栄克○記
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全国飛びある記

武雄
佐賀の武雄は、古い温泉町です。
でも今回は、温泉に入る暇もなく、
ハードなスケジュールで『龍の子太郎』公演の事前学習会が待っています。
来年2月に、伊万里で公演をご覧いただく、武雄子ども劇場の皆さんが出迎えて下さいました。
武雄のみなさんが…
こちらの劇場さんは、小さいお子さんをお持ちのお母さんが多く、2年前に『くず~い屑屋でござい』で出会った方が半数。
新しい方もいらっしゃるので前進座のことを中心にお話させていただきました。

学習会の後は子ども達をまじえての楽しいランチタイム。
にぎやかランチタイム
まるで保育園のような賑やかさで、微笑ましい光景でした。
こんな小さな子ども達にも楽しめる作品になるように、隅々にまで気を配り稽古に励みたいという思いを新たにした出会いでした。


■横澤 寛美:記■
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五月国立大劇場公演だより

          百年目


 前進座映画第一作は、サイレント映画『段七しぐれ』、創立三年目のことだった。
さらに日活と提携して、トーキーの『清水次郎長』を撮った。
 どちらも現在は観ることが出来ないが、慣れない映画に出演者一同固くなって
力を発揮できなかったと言われている。

 見兼ねて監督の名乗りを挙げたのが、
前進座創立と相前後してデビューし、処女作から天才と謳われた山中貞雄。
25歳だった。

  映画は、キネマ旬報ベストテン第二位を獲得。
山中・前進座による映画制作は続き、三作ともに名作の誉れ高い。

 この記念すべき第一作は、長谷川伸原作『街の入墨者』。
更生した前科者を見守る家族の温かさと世間の冷たい目とを描いたドラマ。
残念ながら山中・前進座映画中、この一作のみが残っていない。
 
 が、当時この映画を観た松本清張は、
此処からインスピレイションを得て、一篇の小説を産んだ。
 『無宿人別帳』中の一篇
『左の腕』である。

 1909年12月21日生まれの松本清張は、
山中より43日年下。
明年ともに生誕100年を迎える。



                   喜八郎☆記
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五月国立大劇場公演だより

       『その前夜』
 
「津田の倅は、京で新撰組に斬られよった」
昨年まで上演した『お登勢』で、
勤皇派・津田貢が挫折を感じるのが、
池田屋事件。

 8.18政変の活躍で“新撰組”の名を頂いた隊は、
この池田屋斬り込みで日本中にその名を轟かせた。
池田屋事件は、京の町の幕末動乱の始まりでもあった。
 動乱前夜の京の庶民を描いたのが、
前進座ユニット出演映画『その前夜』。
“勤皇の志士”古高俊太郎の捕縛が池田屋事件の始まり

 三條木屋町、池田屋と三條小橋を挟んで向かい合う大原屋は
少々落ち目。
 入り婿の主人は池田屋とヘボ将棋の好敵手。
『花神』第一回も「三條木屋町」。大村益次郎が襲撃されたのも此処。

 友禅職人の息子(翫右衛門)は、新撰組相手のクリーニング商売を思いつく。
 上の妹(山田五十鈴)は、家のため先斗町の芸妓になっている。
 おきゃんな下の妹(高峰秀子)は若き新撰組隊士に心を寄せていく。
 原田屋には絵描き修行をする元長州藩士(河原崎長十郎)が寄宿するが、
姉娘は彼に魅かれている。

 京の街に生きる人々の日常ドラマの中、
季節は祇園祭を迎え、事件は起きる。
山鉾巡幸
 
 
  「あんたらは、気楽なもんどすなぁ。
ワシら銭にならんことすんのアホらしいと思うけどな。」
(『その前夜』)


 丁度70年前の今月始まった撮影は、
公演の合間を縫って十ヶ月続き翌年秋に封切られた。

 前年に前進座ユニット出演映画『人情紙風船』を遺して出征、
この年九月に中国で戦病死した
名匠・山中貞雄の追悼映画だった。



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五月国立大劇場だより

      『新撰組』

三船敏郎主演の映画『新撰組』(沢島忠監督)で、
勝海舟を演じたのは、前進座創立者のひとり中村翫右衛門。
                      流山えんま堂は三千歳・金子市之丞の墓所でもある

 『新門辰五郎』の舞台の頃、
時の将軍警護のため京にのぼった
武蔵国多摩の男たちが後の新撰組。
 山岡鉄舟も、この際、一役かっている。
                 
 映画は、彼らの上洛から始まる。
 そのイキサツを話しているのは何処かで聞いた声と思ったら、
『法然と親鸞』の舞台で毎日聞いている
中村梅之助と山崎竜之介。
他にも幕閣役の津田伸らが出演している。

 三船近藤勇に、三國連太郎AS芹沢鴨、
小林桂樹AS土方歳三、北大路欣也AS沖田総司、etc.
錚々たる顔ぶれの中、
梅之助は隊の中心で活躍しながら、そのあり方に疑問を抱き
脱走、切腹する山南敬助。


 新撰組が名を上げる池田屋斬り込み事件の立ち回りも迫力だが、
武士に憧れて入隊する商人の倅の末路などなど
見応えある人間ドラマが展開する。

  
 「近藤様の新撰組と諸隊の脱走兵が一緒になって、
勝尾峠で官軍と大砲の撃ち合いがはじまったそうでござります。」
(『江戸城総攻』)

                     近藤勇が最期の陣所跡

 江戸無血開城前夜の戦闘が新撰組の最期だった。

 前進座総出演映画にも
『新選組』があるが、
それはまた稿を改めて。
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五月国立大劇場公演だより

生麦生米生卵


「此処ここ!!此処で“生麦事件”が起こって、何人も人が死んだんだよ」
「ふ~ん、“生麦生米生卵”、そりゃあ舌噛むよな」
久留米駅前には郷土の偉人からくり儀右衛門の時計が建つ

前進座劇場で不定期に開催される永六輔トークショーでは、
永さんのこんなコントを前進座俳優が即興で演じたこともありました。

                    時間になると“上を向いて歩こう”が流れてカラクリが動く


 実は……
生麦事件で人が死んだ原因は、早口言葉で舌を噛んだのではありません。

生麦は、羽田空港に行く時利用する京浜急行で、品川から17km。
イギリス人が薩摩藩士に斬られた国際事件。

 幕末の始まりと言われるペリー黒船来航から九年。
 この年、幕府改革の為、薩摩の島津久光は京都、江戸を訪れた。京都四条某デパート裏の薩摩屋敷跡

その京都滞在中に起こったのが、前述“寺田屋事件”(寺田屋騒動とも)。
 江戸で首尾よく改革を通した帰途の行列の鼻先を
イギリス商人たちの騎馬が横切ったとき事件が起こった。

 「イギリス人を斬ったのは足軽岡野新助。
逃亡してまだ捕まらない」と薩摩藩は報告。
もちろん言い逃れ。“岡野新助”は存在しないというのが通説。

江戸薩摩屋敷跡の文字は西郷吉之助筆

 歌舞伎らしく想像の翼を広げて、
屈折したアンチ・ヒーロー岡野新助を描いたのが、
真山青果の『償金四十万弗(ドル)』。
『新門辰五郎』と同じく、
前進座が初演して好評を博した真山歌舞伎。
岡野新助は、中村翫右衛門だった。


 自国民の殺傷事件に対し、
イギリス本国は、幕府に40万ドルの補償金を要求。
真山作品の題名はこの金額による。
石橋記念館そばの砲台跡

薩摩と英国は鹿児島湾で砲撃戦を演ずる。
が、この薩英戦争後、
薩摩藩は英国に留学生を派遣するなど結びつきを強め、
幕府に対抗する大きな力を得る。
 五年後に江戸無血開城のステージに立つ
ターニング・ポイントの事件だった。

薩英戦争記念碑

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