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『さんしょう太夫』だより

教えを伝えて
今回は、‘あんじゅ’を演じている小林祥子さんにお話を聞きました。
前進座では、あんじゅ役は女優さんだけですが、
づし王は男優だけでなく、
女優さんも演じています。
祥子さんはあんじゅとづし王という姉弟、
その両方を経験しています。

芳三郎「初めて『さんしょう太夫』という芝居についたときは、づし王でしたね」
祥 子「そう。二十代の頃ね。その時のあんじゅは先輩の女優さんだった、
    とても残念なことに、退座されたけど」
芳三郎「確かに残念でした。
    づし王時代に、なにか思い出ありますか?」
祥 子「一番の思い出は、あなたのお父さんに丁寧な演技指導を受けたことね。
    お父さんのおかげで、舞台に立てたのよ」
芳三郎「六代目芳三郎に教わったんですね。どんな教えでした」
祥 子「私は前進座に入ったばかりの新人だったのだけど、
    もう手取り足取り、ほんとに丁寧に教わったの。
    セリフはもちろん、足の運びから、歩幅まで。目線の高さ手の使い方。
    全て教わって舞台に立てたの」
芳三郎「そうですか・・・ちょっと、胸が熱くなってきますが・・・
    うちの父はほんとに丁寧な教え方でしかたからね。」
祥 子「私が‘づし王’の時教えて頂いたことは、
    今づし王を演じている竹下君に伝えているつもりよ」
芳三郎「その通りです。
ほかに何か思い出ってあります?」
祥 子「う~ん・・思い出って言うか、やっぱり失敗談に
    なっちゃうけど・・・」
芳三郎「いいですよー、もう昔のことなんだから」
祥 子「なら言うけど、づし王のセリフで『竹鋸を持て!!』
    というのがあるでしょ」
芳三郎「はい、‘たけのこぎり’ですね、その道具で、
    罪人の首をはねるという。芝居のクライマックスですね」
祥 子「そう、そのクライマックスでね、
    『‘たけのこ’を持て!』と言ってしまったの」
芳三郎「だーっはっはっはー・・・た、たけのこって、食材ですか・・
    たけのこご飯作るんですか・・はっはっは・・」
祥 子「・・・・・・・」
芳三郎「あ、・・すみません・・なんか、可笑しすぎて・・
    でも、祥子さん、そんな失敗誰でもしてますよ。
    僕もづし王やってた時、ありましたよ」
祥 子「どんなこと?」
芳三郎「づし王が、国分寺の聖に助けを求めるでしょ、
『おひじりさまー、おひじりさまー』って叫ぶ場面」
祥 子「うん、とっても盛り上がる場面よね」
芳三郎「その時にね、
    『おじりひさまー
     って、言っちゃったんです」
祥 子「笑、笑、笑・・なに、おじりひさまって・・・・」

お互いの失敗談で盛り上がっちゃいました。
なんだかとっても楽しいインタビューでした。
では、祥子さんの‘あんじゅ’の写真で、この記事を終わります。
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『初夏ナルホドネ』だより

外部出演します! 

一の会

皆さんこんにちは!佑一郎です。
今回、劇団一の会さんの舞台に出演させて頂きます。
散歩道楽の太田善也氏作・演出(画像・右)
前篇、後篇に分かれ3本ずつのオムニバスで前篇に出演。
男二人の不思議お話しで佑一郎は不倫してる陶芸家役!
前進座では絶対に観られない役です。
一の会主宰の坂口候一さん(画像真中)との二人芝居!

佑一郎の違う一面を観に来てください!


『初夏ナルホドネ』 作・演出 太田善也(散歩道楽)  

2012年7月29日(日)~8月3日(金)

江古田ONE'S STUDIO

再演と新作、6つの短編を日替わり上演

●前篇
「SEXの終焉」 坂口候一(劇団一の会)・高橋佑一郎(劇団前進座)
「かたつむりん」 坂口候一・和田太美夫(鈴舟)・広瀬貴史(tecconick)
「長崎は明日も晴れだった」 坂口候一・熊谷ニーナ(劇団一の会)・川原安紀子(プロダクション・タンク)

●後篇
「とっても☆デスマッチ」 坂口候一・代田正彦(北区AKT STAGE)・山口なな(7の椅子)
「荒野の二人」 坂口候一・瓜生和成(東京タンバリン)
「嵐を呼ぶ女」 坂口候一・大平原也(劇団一の会)・石目有司(劇団一の会)・西山竜一(タテヨコ企画)・青海衣央里(東京タンバリン)

●上演スケジュール
29日 14:00
30日 19:00
31日 14:00
1日 20:00
2日 19:00
*佑一郎は前篇に出演の為、前篇スケジュールのみ掲示

 
●チケット料金
前売・・・2,500円
当日・・・2,800円
学生・・・2,000円
※全席自由・日時指定となります。

2本同時購入割引4,500円(学生3,500円)

チケットのお申し込み・問い合わせ
一の会 ℡050-3379-2826
佑一郎扱いとお伝え下さい

チラシ



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『さんしょう太夫』だより

テレビを降りて・・・

今回は『さんしょう太夫』で、太夫の末の倅・三郎を演じていらっしゃる、
益城宏さんにお話をうかがいました。
この先輩と私芳三郎は、『さぶ』という芝居で、
益城さんの栄二、私のさぶで、長いことコンビを組ませていただきました。
とっても面倒見の良い兄貴分です。

三郎の扮装です。
歌舞伎のメークを取り入れて、
荒々しさ、残忍さを出していますね。
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かつらも凝った作りになっていて、髪の毛がちぢれ毛になっています。

さて、益城さんも『さんしょう太夫』には長いこと関わっています。
きっといろんなエピソードがあるはず!
うかがってみましょう。

芳三郎「さんしょう太夫について、どんな思い出がありますか?」
益 城「忘れられないのは、なんといっても沖縄の体育館公演だね」
芳三郎「でました!体育館!・・そうきましたか、で、どんなことが?」
益 城「あれはね・・たしか、1979年の巡演だね」
芳三郎「33年前!!・・益城さんが、バリバリの若手だった頃ですね」
益 城「まあね。
    ある先輩が旅の始めに体調を崩してしまって、
    悪化したらこの先舞台を務められないかもしれない。
    だから急遽沖縄に飛んで、さんしょう班に参加しろと言われたんだな」
芳三郎「へぇ~・・そんなことが。
    でも益城さんのスケジュールが空いてて良かったですね」
益 城「いや、空いてなかったよ。
    梅之助さん主演の時代劇「伝七捕物帳」の出演が決まって、
    撮影の予定が入ってた。
    その仕事を降りて沖縄に飛んだ」
芳三郎「えー!!?・・それは・・ちょっと、悔しかったんじゃないですか?」
益 城「でもしょうがないよ、緊急事態だったんだから。
    当然稽古もなくて、とにかく沖縄に行って班に合流して、
    演出部の仕事を手伝いながら舞台を見て覚えて、
    その先輩の体調が悪化したら、すぐに代わって舞台に立てということだった」
芳三郎「いや~・・それは大変でしたね。
    で、結局代役に立ったんですか?」
益 城「うん・・それがな、その先輩体調が悪化することはなく、
    無事に千穐楽まで舞台を務めることができた。
    だから、おれはずっと演出部の仕事をして旅を終えた」
芳三郎「・・・・なんとも、気の毒でしたね・・」
益 城「でもな、そのおかげで体育館仕込みのことは、なにからなにまで覚えたよ」
芳三郎「そうですね!!
    ・・僕も益城さんから体育館仕込みのこと、いっぱい教わりましたもん!
    ほかに何かありますか?」
益 城「あのときの旅はな、巡演中に公演が増えていったんだな。
    スタートした時点では40ステージだったのが、最終的には45ステージになった」
芳三郎「巡演中に公演が増える・・・今じゃ絶対考えられないですね」
益 城「うん。
    あのとき芝居の評判が評判を呼んで、
    他の学校からぜひうちでも公演をと、要望が来た。
    なにしろ自分とこの体育館でやるわけだから、
    こっちのスケジュールさえ空いていれば公演はできたんだ。
    おかげで、旅中の空き日はほとんど無くなったけどな(笑)」
芳三郎「いくら自由の利く体育館公演と言っても、5回も公演が増えるなんて。
    『さんしょう太夫』って凄いですね」
益 城「それだけ魅力のある芝居なんだよ。
    だからもうすぐ1000回なんだ」

その通り!!『さんしょう太夫』班、本日富山にて、981回目の公演です。

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『さんしょう太夫』だより

ぎふ長良川の鵜飼

『さんしょう太夫』班、岐阜公演を終えて、
この日は完全オフ日。
班のみんなで鵜飼の見物に行きました。

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屋形船に乗って、長良川の鵜飼観覧ポイントに向かいます。

出発前に鵜匠さんによる、鵜飼の説明。
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鵜が鮎をくわえてから吐き出す様子を間近で見られました。

そして、出発。
雰囲気最高、風景も最高。
山の上には岐阜城。
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船の中ではお酒やおつまみを持ち込んで宴会です。
今日はお休みなので、みんな思いっきりリラックスして、お酒いただいてます。
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ありゃ、益城さんの顔、半分になっちゃってる、ごめんなさーい。

鵜飼観覧ポイントに着いたら、暗くなるまで休憩。
いさく君に船の前で写真撮ってと頼んだら、
船頭さんが、「はっぴ着たほうがかっこえーから」と。
終始にこやかで親切な船頭さんでした。
では、せっかくなのでお借りして・・・
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いよいよ鵜飼の始まりです。
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(小栗銀太郎君撮影)

舳先で焚かれるかがり火と、
鵜匠さんの恰好がなんともかっこいい。
このかがり火は照明と同時に、
鮎を驚かす役割もあるそうです。
そして、鵜匠さんの手縄に導かれ、
一生懸命に鮎を追う鵜の姿に、感動してしまいました。

頑張って働いた、鵜たち。
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アップもいただきました。
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気のせいかもしれませんが、この鵜たち、
なんとな~くカメラなれしてるような。
カメラ向けるとじっとするんですもん・・・

二匹が口を合わせています。
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船頭さんによると、語らっているのだそうです。
お互いの働きをねぎらっているのでしょうかね。
もしかして、ラブラブだったりして。

鵜飼、観覧できて本当によかった。
とてもいい休日になりました。
このツアーを仕切ってくれた、
班のメンバー、江林さんと、小栗君(元前進座の栗沢くんです)に、
感謝!!

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『さんしょう太夫』だより

こんな夢

今回は夢のお話です。
と言っても、将来こうなりたい、あぁなりたいという夢ではなくて、
睡眠中に見る夢の話です。
役者は芝居に関する様々な夢を見ます。
しかし残念ながら、いい演技ができたとか、褒められたとか、
そういう夢ではなく、
ありえない状況にいるとか、追い詰められているとか、
寝ているとき、多分うなされているであろう・・・そんな夢です。

たとえば、本番中の舞台にきちんと扮装して立っているのですが、
観たことも聞いたこともない芝居に出演していて、周りの役者が演技を続ける中、
自分だけは何をやればいいのか、全くわからない・・という夢。

明日初日なのにセリフも動きもなにもかも、全然覚えていない・・という夢。

芝居中の役替わりで、急いで衣装を着替えなければならないのに、
どうしても袖に腕が入らない、袴に足が入らない。
焦れば焦るほど着替えられず、
出番のきっかけがどんどん迫ってくる・・という夢。

役者なら誰でも一度はこんな夢を見るはずです。

私は今でも覚えている夢があります。
あれは20代前半の頃、京都の南座公演『瞼の母』という芝居で、
若いやくざ者と芸者をやっていて、毎回やくざ者から芸者に扮装替えするのが、
いつも時間ぎりぎりでした。
そんなあるとき、私は夢の中でも芸者の早変わりをしているのですが、
女形の役ですから、白粉で顔をきれいに白く塗らなければならないのに、
いくら塗っても顔が肌色のままという夢を見ました。

「え~!!?・・・な、なんでこの白粉、白くならないんだぁー??!!」
と、泣きそうになるんですけど、夢の中で「あれ、もしかしたら・・これ夢?・・あぁ、そうなんだな、きっと夢だ・・」
その途端目が覚めて、やっぱり夢か・・あぁ~よかった・・と、ほっとしました。

さて、我が『さんしょう太夫』班のメンバーN君が見たのはこんな夢。
状況説明をすると、前にも書いたようにこの芝居は、
舞台の上で説経師が笠と衣を脱ぐと、これから演じる役になるという演出。

その日は1,000人以上の客席がほぼ満席。
N君はいつものように、おごそかな気持ちでゆったりと笠をとり、
衣を脱ぐと・・・下にはなにも着ていなかった。

「どぁーっ!!!・・おれ、衣装着るの、わすれてるしー!!!」
と、そこで目が覚めたと。
しばらく胸がどきどきしていたそうです。

いやはや、千人のお客様の前で、衣脱いだら素っ裸だったとは・・・
N君、ほんっとに、夢でよかったね・・・

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『くず~い』旅だより

無事に千穐楽を迎えました!

報告が遅くなりましたが、
『くず~い屑屋でござい』班は那須塩原で
千穐楽を迎えました!

6月の5日、福島の川俣町を皮切りに福島県下を約一ヶ月
1万人の小学生達に観てもらいました。
会津では高校生に、
鮫川村では子供からお父さんお母さん、お祖父ちゃんお祖母ちゃんまで幅広い年齢層の客席。
東京近郊では子ども劇場さん。
そして千穐楽の那須塩原では90%がシルバー世代という客席!

いやー、いろいろなお客様での公演でしたが、
どの世代でも確実に喜んでいただける作品であることを確信しました!

まだまだ発見や進化があり、
これからも『くず~い屑屋でござい』はつづきます!
全国制覇し、目指すは海外公演か!!

ではでは、旅の思い出写真で〆させていただきます。

千穐楽の集い
那須塩原で千穐楽の集い

不思議写真
佐太夫にちょうどよい高さの窓でも・・・。

しず宅
千穐楽の記念写真

屑屋と佐太夫と?
屑屋と佐太夫と・・?

伊東社長と屑屋さん
大道具も担当してくださったトラックの伊東さん

作・演出の幹二さん
演出の幹二さん

打ち上げ
そして打ち上げ!!

観劇してくださった皆様に感謝!!

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『さんしょう太夫』だより

900回以上もやれば・・・
『さんしょう太夫』班、今日も全員元気に旅を続けています。
今回は、
武井さんと共に“語り”を長年やってこられて、
語りだけでなくいろんな役もやられて、
『さんしょう太夫』のことは、
なんでも知り尽くしていらっしゃる。
そして若手の指導役でもある、
前園恵子さんにお話を伺いました。
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芳三郎 「恵子さんは、今までの『さんしょう太夫』の公演で、どんな思い出がありますか?」
前園  「900回以上もやればね、やっぱり失敗談というのも当然あるわね。
     今でも覚えているのは説経節の語りでね、
     同じ部分を二度繰り返し語ってしまったことがあるの。」
芳三郎 「へぇー・・そんなことが。めずらしいですね、どの部分でしょ?」
前園  「うん。初めてこの芝居をご覧になる方もいらっしゃるから詳しくは言えないけど、
     長い語りの最中に、ある登場人物が舞台上で扮装を変えるのね。」
芳三郎 「はい、はい、あの語りですね。」
前園  「そう。
     語りが終わるまでに、舞台上で衣装とかつらを変えなければならないのだけど、
     衣装替えがまだ慣れてなくて、語りが先に終わってしまうのね。
     だからなるべくゆっくり語って、
     衣裳替えの時間を稼いであげようということになったの。」
芳三郎 「あぁ、あの語り。三番まである長い語りですよね。
     その語りの間に、その人物の姿が変わるという。
     それでどうなったんですか?」
前園  「三人で語るのだけど、三人が三人とも、二番を繰り返し語ってしまったの。
     語っているうちに、『あら、これいま語ったのに、また同じところ語っている!』
     そう気づいたときは、もうどうすることもできなかった」
芳三郎 「そりゃ、語りが始まったら途中で戻るなんてできませんもんね。
     いやー・・そんなことがあったんですか。でも、どうして同じところを・・・」
前園  「そうね・・・いつもよりゆっくり語ろうと心掛けていたら、
     いつの間にか同じところを語っていた・・・
     あっちゃいけないことだけど、
     そうとしか言いようがないわね。」
芳三郎 「うーん・・・でも、大事な語りを飛ばしてしまったのではなくて、
     二度語ったわけですから、まだ良かったですよね。」 
前園  「そうなのかもね。衣装替えをしている子たちは、『今日は余裕でした』、
     なんて言ってたけど、そりゃ余裕よね、いつもより多く語ってるんだもの(笑)」

確かにミスだったかもしれないけど、同じミスは絶対に繰り返さない。
それが大事ですよね、恵子さん。

失敗談もあるけど、感動的なエピソードもいっぱい。
長い歴史のある『さんしょう太夫』班。
通算970回を越え、さらに旅は続きます。

と・・・ここでこのブログは終わりのはずでした。
ところがですね、今日の公演で私は舞台に、
ある小道具を落としてしまって。
それに気付かず袖に引っ込んでしまいました。

舞台に残っていてはいけないはずのものが落ちている・・・
で、その小道具を芝居中に拾ってきてくださったのが、
なんと前園さんでした。
恵子さん、すみませんでした、もう二度と落としません・・がっくり

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『さんしょう太夫』だより

最も長く舞台にいる役者
『さんしょう太夫』では、説経節の語りと同じくらい大事なものがあります。
それは、楽器演奏です。
藤井偉策(いさく)君は、
太鼓、締め太鼓、銅鑼担当で、誰よりも長く舞台に登場している役者です。
つまり、誰でも何度か袖に引っ込んで、ほっと息を付ける時間がありますが、
いさく君は場面転換の時も、ずっと舞台に残って太鼓を叩き、
芝居の進行を助けています。

開演前は楽器の点検、準備
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締め太鼓の、「調べの緒」または「しらべひも」とも言いますが、
この紐を毎日丹念に締め直します。
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仕上げは2本のばちを使ってこのように締めます。
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これで、締め太鼓はいつものように良い音が鳴ります。
我が班でこの作業ができるのはいさく君だけです。

全ての準備が整うと彼なりの稽古開始。
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幕が開くと彼はずっとここに座って楽器を演奏します。
彼の太鼓を合図に芝居が進行しますので、
この芝居の指令塔のような存在です。
太鼓や締め太鼓の単独演奏だけでなく、
時には太鼓と締め太鼓、または太鼓と銅鑼を同時に演奏します。
その演奏には抜群の安定感があり、安心して聞いていられます。

そんないさく君にいくつか質問してみました。
芳三郎 「さんしょう太夫で太鼓叩くようになって、何回くらいステージ踏んだ?」
いさく 「150回以上っすかね」
芳三郎 「ずいぶんやったねぇ、なにか印象に残ってることある?」
いさく 「印象ってゆーか、すごく困ったことがありました」
芳三郎 「ほー、どんなこと?」
いさく 「みなさんは芝居で汗をかいて、暑いっておっしゃってますけど、
     僕はずっとここに座っているので、
     ほとんど汗もかきません。
     ある時、舞台の冷房が僕の座っている場所に直接当たっていて、
     芝居中にとても体が冷えてきて、
     だんだんお腹まで痛くなってしまいました。
     なんとか、持ちこたえましたけど、あの時はほんとに辛かったです。
     その日以来、
     念のため衣装の下に腹巻きをしています。」
芳三郎 「そうなんだ、そりゃ辛かったろうね・・・
     でも、腹巻きはグッドアイディアだね、
     あ、ホッカイロ!四、五枚腹巻きに突っ込んどいたら?」
いさく 「い、いえ、そこまでしなくても・・・汗だくになっちゃいます・・よね・・」
芳三郎 「あっそ・・・ほかになんか、そうだな、嬉しかったこととか」
いさく 「嬉しかったこと・・・そうですね。
     ここに座っているとお客さんの顔がよく見えるんですけど、
     みなさんがとても引き込まれて観てくださってるんです。
     それが嬉しいっすね。」
芳三郎 「そうだよなぁ、それが一番だよ。
     じゃ、おしまいに、突然だけど、今何がしたい?」
いさく 「子供と遊びたいっす・・会いたいっすねぇ・・」
芳三郎 「そうか~・・いくつになった?」
いさく 「三つっす」
芳三郎 「三つ・・・そりゃ、会いたいよなぁ」
いさく 「はい・・でも、久しぶりに会ったときの感動が大きいんで、
     それ楽しみに旅、頑張ります。」

三歳の息子さんに会えるのを楽しみに、「パパいさく」は今日も太鼓を叩きます。

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『さんしょう太夫』だより

今年中に、1000回目

『さんしょう太夫』という作品は、説経節の語りが大きな役割を担っています。
語りがしっかりしていないと、この芝居は成功しません。

語りと言っても、節がついているので謡うのですが、
「ただ謡うのではなく、内容をしっかり伝えるために、語って聞かせる気持ちを強くもって」
ということで謡いではなく、「語り」と呼んでいます。

この「語り」で、『さんしょう太夫』という作品を長年支え続けてこられたのが、
武井茂先輩と、前園恵子先輩です。

今日は、武井さんにお話をうかがいました。
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芳三郎「『さんしょう太夫』について、どんな思い出がありますか?」
武 井「う~ん・・・たくさんありすぎて困っちゃうなぁ。
    なにしろ960回以上やってるからね。
    そう言えば600回記念公演はちょっと悔しかったな」
芳三郎「え、悔しいというと?」
武 井「あの頃『さんしょう太夫』は、二班に分かれて巡演をしていたんだよね。
    さんしょうA班、さんしょうB班というぐあいに。
    それで、ちょうど600回目の時は同じ日に二班とも公演があった。
    しかも開演時間も全く同じだったので、いったいどっちの班が
    600回目の公演になるんだということになった。
    ところがB班は直前になって開演が5分遅れて、
    A班は定刻で開演した。
    そのために、5分早く始まったA班が600回目、
    B班は601回目ということになっちゃった。
    で、僕はB班だったから、600回目の舞台は踏めなかった」
芳三郎「なるほど~・・・たった5分の差で600回記念公演を逃したと!!
    う~ん、それはちょっと悔しいかも・・・でも、武井さん、1000回目は・・・」
武 井「そう!!1000回記念公演は、
間違いなく勤めさせていただきますよ!!」

武井さんの目がらんらんと輝いていました。
自分が心から大事に思える芝居があるって、とっても素敵ですね。

『さんしょう太夫』班、本日965回目の公演です。

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『くず~い』旅だより

『屑屋さんの籠の中』

屑屋さんの屑篭
「もう大丈夫」「シー」
客席で子どもたちがお互いに声をかけあっています。
郡山の公演二日目午後の部。
本番中に地震発生。
舞台が揺れる中でも、私は何とか台詞を言うことはできましたが、
本当はとても怖かったです。
そんな臆病な私よりも、小学生たちは余程毅然としていました。
揺れがおさまるとみんなで声をかけあって、すぐに舞台に集中してくれました。
私には一つになった子どもたちの心が、地震を追い返したようにしか思えませんでした。
この芝居の本当の主人公は屑屋さんではない、
この子どもたち自身なのだと思いました。

小学校公演17回、
高校公演1回、
一般公演2回。
川俣、須賀川、相馬、矢吹、会津若松、南会津、いわき、棚倉、白河、鮫川、福島、そして郡山。
福島県下12公演地、全20ステージはこうして無事に終了しました。

屑屋さんの籠の中には福島の一万人以上の子どもたちの驚異的なパワーと元気と笑顔が、
そして大人も子どもも、みんなの、復興への願いがぎっしりつまっています。
私たちはこれを持ち帰り、全国の仲間に伝えなければなりません。
その大切な仕事は今始まったばかりです。

福島での一ヶ月は、一生忘れることのできない、貴重な、尊い体験でした。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。

千穐楽まであと4ステージ、屑屋さんの旅はもう少し続きます。

記・柳生啓介 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『さんしょう太夫』だより

旅、始まりました
『さんしょう太夫』班、舞台稽古を終えて中部北陸の旅が始まりました。
東京に帰ってくるのは8月5日。
暑い、暑い夏の旅です。
熱中症に注意ですね。
全員が一度も体調を崩すことなく、
全ての公演を充実したものにできるよう旅を続けたいです。

この芝居は、説経師たちが『さんしょう太夫』という物語を語るというものです。
玉木、あんじゅ、づし王など様々な役がありますが、
それは説経師たちが、
その役に扮しているという設定です。

楽屋廊下で開演を待つ一人の説経師。
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彼もまた、舞台上で笠と衣を脱ぐと、
『さんしょう太夫』という物語の登場人物の一人となります。

大勢の説経師がどこからともなく現れて、
それぞれの役に扮し演じ、
説経節を語り楽器を演奏します。
物語が終わると説経師の姿にもどって、
何処ともなく去っていく。
そしてまた別の土地で、
『さんしょう太夫』という、あんじゅとづし王の哀しい物語を語り継いでいくのです。

でも、でも、そんな説経師たちだって、一日の勤めを終えるときっと、

かんぱーい!!なんて言って、楽しいひと時を過ごすのでしょうね。

嵐芳三郎 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『鳴神』旅だより

おかげさまで千穐楽
演劇鑑賞会近畿ブロックの巡演を、京都で迎えました。
京都は『鳴神』の舞台、岩屋山志明院があります。
その土地での千穐楽。
身も引き締まりますね。

5月の国立劇場から今回の巡演で、33ステージ。
この間に通算1300ステージも達成しました。
台風4号の為公演が延期になるというアクシデントもありましたが、
無事に千穐楽を迎えられました。
お越し下さいました皆様、
本当にありがとうございました。

長十郎さんから、公三郎さん、先代菊之丞さん、梅之助さん、圭史さん、矢之輔さんと受け継がれてきた“鳴神上人”。
私と圭史さんのコンビでも200回以上勤めさせていただきました。
更に受け継いで1400ステージ、1500ステージと積み重ねていきたい演目です。

併演の『楽しい歌舞伎入門』も大変ご好評を頂きました。

帰ったら納涼会に向けて『勧進帳』のお稽古です。
こちらは若手全員で取り組んでおりますので、どうぞご期待下さい。

國太郎
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『鳴神』旅だより

奈良演劇鑑賞会25周年記念!
一昨日ですが、奈良演劇鑑賞会25周年パーティーがありました。
前進座からは俳優全員で参加。
もちろん出し物も用意してまいりました!

トップバッターは生島喜五郎によります御祝儀舞踊、宝船。
御祝儀舞踊
         宝船

続いてはご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、
寺田昌樹、亀井栄克、上滝啓太郎、新村宗二郎、本村祐樹、松浦海之介での大江戸東京音頭!
大江戸東京音頭…なかなか踊りごたえあります。
写真は動きすぎてわからない感じですが、これぐらいフレッシュに盛り上げましたよ!!(笑)

そしてありがたいことにアンコール!!!

ただ、何も用意していなかったんです。
予測するべきでした。。。

というのも、2日間の公演共カーテンコールで拍手が鳴り止まず、さらに手拍子まで!
鳴神では異例の3回カーテンコールでした♪

そうなんです、こんなことになっているのに、出し物の時ももしかしたらと…。

ですが、そこはさすが圭史さん。
「みんなで座歌を歌いましょう。」
なんとかアンコールにお応えすることができました。

最後は25年間を映像と解説で振り返り、
これまでの鑑賞会への思い、
そしてこれからの思いを数人の会員の方からお聞きすることができました。

演劇の力、そして人と人との繋がりの大切さ。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、本当に大切なこと。
改めて実感しました。

会の締めの一言も忘れられませんね(笑)

「人間は冬にエネルギーを蓄えて、夏に発散するそうです。
ですから、そのエネルギーを鑑賞会の発展に使いましょう!!」

力強い一言でした。

私は冬も発散して(るはず)ますが、夏もますます発散して精進していきます!

本当に奈良演劇鑑賞会の皆様、25周年おめでとうございます。

本村祐樹:記 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『くず~い』旅だより

81年目で
日本全国を巡演してきた前進座。
81年の歴史の中で初めて、
『くず~い屑屋でござい』班が
鮫川村で公演をいたしました!

人口4,037人、豊かな自然と水田が広がる素敵な村。
到着した日は移動日なので、鮫川村の大自然を満喫しました!
鹿角平

邦寿さんの焼きそば
鹿角平でバーベキュー。

滝

滝2
江竜田の滝で大自然を満喫。

宿からの景色
宿の前は豊かな水田が広がります。
とにかく大自然のど真ん中!
半径20キロにコンビには存在しません。

公演する会場はホールではなく村の公民館。
出前芝居くずい班の本領発揮!
どんな条件でも公演可能!
村役場の皆さんと一緒に会場をつくり、素敵な劇場空間へ。
茣蓙を敷いて座席つくり
お客様も子供から大人、お年寄りまで3世代で観劇。
大変喜んでいただけました。

創立81年経ってもまだまだ公演してないところがあるんですねー。
新たな第一歩に感激のくずい班でした。


PS.
こんな豊かな自然の鮫川村でも放射線量は都内の3.5倍、
村の数ヶ所には線量計が。
これが福島の現状だと改めて感じました。
線量計

記・佑一郎 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『鳴神』旅だより

亀井さんが飲みすぎて原稿をくれなかったので、日がたってしまいました(笑)
では!
亀井さんのブログ、No .2です!

姫路二日目、無事終わり良かったです。
天候にも恵まれ、芝居の評判も良く、カーテンコールも暫く拍手止まずでした。
姫路は女性パワーが強いのか、
交流会は事務局長以外全員女性。

写真は交流会の辰三郎さんと会員さん。
会員さんとにこやかに~

と、改装工事中の姫路城 
早く美しい姿を見せてね

皆様本当にありがとうございました。

亀井栄克:記 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

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