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はてなキーワード: 鳥獣とは

2026-04-25

anond:20260425195348

鳥獣ギガだったら良かったのにね

2026-04-23

お伽草紙

太宰治


「あ、鳴つた。」

 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾かぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を背負つて壕の奥にうずくまつてゐる。

「近いやうだね。」

「ええ。どうも、この壕は窮屈で。」

「さうかね。」と父は不満さうに、「しかし、これくらゐで、ちやうどいいのだよ。あまり深いと生埋めの危険がある。」

「でも、もすこし広くしてもいいでせう。」

「うむ、まあ、さうだが、いまは土が凍つて固くなつてゐから掘るのが困難だ。そのうちに、」などあいまいな事を言つて、母をだまらせ、ラジオの防空情報に耳を澄ます

 母の苦情が一段落すると、こんどは、五歳の女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段絵本だ。桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読んで聞かせる。

 この父は服装もまづしく、容貌も愚なるに似てゐるが、しかし、元来ただものでないのである物語創作するといふまことに奇異なる術を体得してゐる男なのだ

 ムカシ ムカシノオ話ヨ

 などと、間まの抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、その胸中には、またおのづから別個の物語が※(「酉+榲のつくり」、第3水準1-92-88)醸せられてゐるのである

[#改頁]

瘤取り

ムカシ ムカシノオ話ヨ

ミギノ ホホニ ジヤマツケナ

コブヲ モツテル オヂイサン

 このお爺さんは、四国阿波剣山のふもとに住んでゐたのである。(といふやうな気がするだけの事で、別に典拠があるわけではない。もともと、この瘤取りの話は、宇治拾遺物語から発してゐものらしいが、防空壕の中で、あれこれ原典を詮議する事は不可能である。この瘤取りの話に限らず、次に展開して見ようと思ふ浦島さんの話でも、まづ日本書紀にその事実がちやんと記載せられてゐるし、また万葉にも浦島を詠じた長歌があり、そのほか、丹後風土記やら本朝神仙伝などといふものに依つても、それらしいものが伝へられてゐるやうだし、また、つい最近於いては鴎外の戯曲があるし、逍遥などもこの物語舞曲にした事は無かつたかしら、とにかく、能楽歌舞伎芸者の手踊りに到るまで、この浦島さんの登場はおびただしい。私には、読んだ本をすぐ人にやつたり、また売り払つたりする癖があるので、蔵書といふやうなものは昔から持つた事が無い。それで、こんな時に、おぼろげな記憶をたよつて、むかし読んだ筈の本を捜しに歩かなければならぬはめに立ち到るのであるが、いまは、それもむづかしいだらう。私は、いま、壕の中にしやがんでゐるのである。さうして、私の膝の上には、一冊の絵本がひろげられてゐるだけなのである。私はいまは、物語の考証はあきらめて、ただ自分ひとりの空想を繰りひろげるにとどめなければならぬだらう。いや、かへつてそのはうが、活き活きして面白いお話が出来上るかも知れぬ。などと、負け惜しみに似たやうな自問自答をして、さて、その父なる奇妙の人物は、

ムカシ ムカシノオ話ヨ

 と壕の片隅に於いて絵本を読みながら、その絵本物語と全く別個の新しい物語を胸中に描き出す。)

 このお爺さんは、お酒を、とても好きなのである。酒飲みといふものは、その家庭に於いて、たいてい孤独ものである孤独から酒を飲むのか、酒を飲むから家の者たちにきらはれて自然孤独の形になるのか、それはおそらく、両の掌をぽんと撃ち合せていづれの掌が鳴つたかを決定しようとするやうな、キザな穿鑿に終るだけの事であらう。とにかく、このお爺さんは、家庭に在つては、つねに浮かぬ顔をしてゐるのである。と言つても、このお爺さんの家庭は、別に悪い家庭では無いのである。お婆さんは健在である。もはや七十歳ちかいけれども、このお婆さんは、腰もまがらず、眼許も涼しい。昔は、なかなかの美人であつたさうである若いから無口であつて、ただ、まじめに家事にいそしんでゐる。

「もう、春だねえ。桜が咲いた。」とお爺さんがはしやいでも、

「さうですか。」と興の無いやうな返辞をして、「ちよつと、どいて下さい。ここを、お掃除しまから。」と言ふ。

 お爺さんは浮かぬ顔になる。

 また、このお爺さんには息子がひとりあつて、もうすでに四十ちかくになつてゐるが、これがまた世に珍しいくらゐの品行方正、酒も飲まず煙草も吸はず、どころか、笑はず怒らず、よろこばず、ただ黙々と野良仕事、近所近辺の人々もこれを畏敬せざるはなく、阿波聖人の名が高く、妻をめとらず鬚を剃らず、ほとんど木石ではないかと疑はれるくらゐ、結局、このお爺さんの家庭は、実に立派な家庭、と言はざるを得ない種類のものであつた。

 けれども、お爺さんは、何だか浮かぬ気持である。さうして、家族の者たちに遠慮しながらも、どうしてもお酒を飲まざるを得ないやうな気持になるのであるしかし、うちで飲んでは、いつそう浮かぬ気持になるばかりであつた。お婆さんも、また息子の阿波聖人も、お爺さんがお酒を飲んだつて、別にそれを叱りはしない。お爺さんが、ちびちび晩酌をやつてゐる傍で、黙つてごはんを食べてゐる。

「時に、なんだね、」とお爺さんは少し酔つて来ると話相手が欲しくなり、つまらぬ事を言ひ出す。「いよいよ、春になつたね。燕も来た。」

 言はなくたつていい事である

 お婆さんも息子も、黙つてゐる。

「春宵一刻、価千金、か。」と、また、言はなくてもいい事を呟いてみる。

「ごちそうさまでござりました。」と阿波聖人は、ごはんをすまして、お膳に向ひうやうやしく一礼して立つ。

「そろそろ、私もごはんにしよう。」とお爺さんは、悲しげに盃を伏せる。

 うちでお酒を飲むと、たいていそんな工合ひである

アルヒ アサカラ ヨイテンキ

ヤマヘ ユキマス シバカリ

 このお爺さんの楽しみは、お天気のよい日、腰に一瓢をさげて、剣山にのぼり、たきぎを拾ひ集める事である。いい加減、たきぎ拾ひに疲れると、岩上に大あぐらをかき、えへん! と偉さうに咳ばらひを一つして、

「よい眺めぢやなう。」

 と言ひ、それから、おもむろに腰の瓢のお酒を飲む。実に、楽しさうな顔をしてゐる。うちにゐる時とは別人の観がある。ただ変らないのは、右の頬の大きい瘤くらゐのものである。この瘤は、いまから二十年ほど前、お爺さんが五十の坂を越した年の秋、右の頬がへんに暖くなつて、むずかゆく、そのうちに頬が少しづつふくらみ、撫でさすつてゐると、いよいよ大きくなつて、お爺さんは淋しさうに笑ひ、

「こりや、いい孫が出来た。」と言つたが、息子の聖人は頗るまじめに、

「頬から子供が生れる事はござりません。」と興覚めた事を言ひ、また、お婆さんも、

いのちにかかはるものではないでせうね。」と、にこりともせず一言、尋ねただけで、それ以上、その瘤に対して何の関心も示してくれない。かへつて、近所の人が、同情して、どういふわけでそんな瘤が出来たのでせうね、痛みませんか、さぞやジヤマツケでせうね、などとお見舞ひの言葉を述べる。しかし、お爺さんは、笑つてかぶりを振る。ジヤマツケどころか、お爺さんは、いまは、この瘤を本当に、自分可愛い孫のやうに思ひ、自分孤独を慰めてくれる唯一の相手として、朝起きて顔を洗ふ時にも、特別にていねいにこの瘤に清水をかけて洗ひ清めてゐるのであるけふのやうに、山でひとりで、お酒を飲んで御機嫌の時には、この瘤は殊にも、お爺さんに無くてかなはぬ恰好の話相手である。お爺さんは岩の上に大あぐらをかき、瓢のお酒を飲みながら、頬の瘤を撫で、

「なあに、こはい事なんか無いさ。遠慮には及びませぬて。人間すべからく酔ふべしぢや。まじめにも、程度がありますよ。阿波聖人とは恐れいる。お見それ申しましたよ。偉いんだつてねえ。」など、誰やらの悪口を瘤に囁き、さうして、えへん! と高く咳ばらひをするのである

ハカニ クラク ナリマシタ

カゼガ ゴウゴウ フイテキテ

メモ ザアザア フリマシタ

 春の夕立ちは、珍しい。しかし、剣山ほどの高い山に於いては、このやうな天候の異変も、しばしばあると思はなければなるまい。山は雨のために白く煙り、雉、山鳥があちこちから、ぱつぱつと飛び立つて矢のやうに早く、雨を避けようとして林の中に逃げ込む。お爺さんは、あわてず、にこにこして、

「この瘤が、雨に打たれてヒンヤリするのも悪くないわい。」

 と言ひ、なほもしばらく岩の上にあぐらをかいたまま、雨の景色を眺めてゐたが、雨はいよいよ強くなり、いつかうに止みさうにも見えないので、

「こりや、どうも、ヒンヤリしすぎて寒くなつた。」と言つて立ち上り、大きいくしやみを一つして、それから拾ひ集めた柴を背負ひ、こそこそと林の中に這入つて行く。林の中は、雨宿りの鳥獣で大混雑である

はい、ごめんよ。ちよつと、ごめんよ。」

 とお爺さんは、猿や兎や山鳩に、いちいち上機嫌で挨拶して林の奥に進み、山桜大木の根もとが広い虚うろになつてゐるのに潜り込んで、

「やあ、これはいい座敷だ。どうです、みなさんも、」と兎たちに呼びかけ、「この座敷には偉いお婆さんも聖人もゐませんから、どうか、遠慮なく、どうぞ。」などと、ひどくはしやいで、そのうちに、すうすう小さい鼾をかいて寝てしまつた。酒飲みといふものは酔つてつまらぬ事も言ふけれど、しかし、たいていは、このやうに罪の無いものである

ユフダチ ヤムノヲ マツウチニ

ツカレガ デタカ オヂイサン

イツカ グツスリ ネムリマ

オヤマハ ハレテ クモモナ

アカルイ ツキヨニ ナリマシタ

 この月は、春の下弦の月である。浅みどり、とでもいふのか、水のやうな空に、その月が浮び、林の中にも月影が、松葉のやうに一ぱいこぼれ落ちてゐる。しかし、お爺さんは、まだすやすや眠つてゐる。蝙蝠が、はたはたと木の虚うろから飛んで出た。お爺さんは、ふと眼をさまし、もう夜になつてゐるので驚き、

「これは、いけない。」

 と言ひ、すぐ眼の前に浮ぶのは、あのまじめなお婆さんの顔と、おごそかな聖人の顔で、ああ、これは、とんだ事になつた、あの人たちは未だ私を叱つた事は無いけれども、しかし、どうも、こんなにおそく帰つたのでは、どうも気まづい事になりさうだ、えい、お酒はもう無いか、と瓢を振れば、底に幽かにピチヤピチヤといふ音がする。

「あるわい。」と、にはかに勢ひづいて、一滴のこさず飲みほして、ほろりと酔ひ、「や、月が出てゐる。春宵一刻、――」などと、つまらぬ事を呟きながら木の虚うろから這ひ出ると、

オヤ ナンデセウ サワグコヱ

ミレバ フシギダ ユメデシヨカ

 といふ事になるのである

 見よ。林の奥の草原に、この世のものとも思へぬ不可思議光景が展開されてゐるのである。鬼、といふものは、どんなものだか、私は知らない。見た事が無いかである。幼少の頃から、その絵姿には、うんざりするくらゐたくさんお目にかかつて来たが、その実物に面接するの光栄には未だ浴してゐないのである。鬼にも、いろいろの種類があるらしい。××××鬼、××××鬼、などと憎むべきものを鬼と呼ぶところから見ても、これはとにかく醜悪性格を有する生き物らしいと思つてゐると、また一方に於いては、文壇鬼才何某先生の傑作、などといふ文句新聞新刊書案内欄に出てゐたりするので、まごついてしまふ。まさか、その何某先生が鬼のやうな醜悪の才能を持つてゐるといふ事実暴露し、以て世人に警告を発するつもりで、その案内欄に鬼才などといふ怪しむべき奇妙な言葉使用したのでもあるまい。甚だしきに到つては、文学の鬼、などといふ、ぶしつけな、ひどい言葉を何某先生に捧げたりしてゐて、これではいくら何でも、その何某先生も御立腹なさるだらうと思ふと、また、さうでもないらしく、その何某先生は、そんな失礼千万醜悪綽名をつけられても、まんざらでないらしく、御自身ひそかにその奇怪の称号を許容してゐるらしいといふ噂などを聞いて、迂愚の私は、いよいよ戸惑ふばかりである。あの、虎の皮のふんどしをした赤つらの、さうしてぶざいくな鉄の棒みたいなものを持つた鬼が、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである鬼才だの、文学の鬼だのといふ難解な言葉は、あまり使用しないはうがいいのではあるまいか、とかねてから愚案してゐた次第であるが、しかし、それは私の見聞の狭い故であつて、鬼にも、いろいろの種類があるのかも知れない。このへんで、日本百科辞典でも、ちよつと覗いてみると、私もたちまち老幼婦女子の尊敬の的たる博学の士に一変して、(世の物識りといふものは、たいていそんなものである)しさいらしい顔をして、鬼に就いて縷々千万言を開陳できるのでもあらうが、生憎と私は壕の中にしやがんで、さうして膝の上には、子供絵本が一冊ひろげられてあるきりなのである。私は、ただこの絵本の絵に依つて、論断せざるを得ないのである

 見よ。林の奥の、やや広い草原に、異形の物が十数人、と言ふのか、十数匹と言ふのか、とにかく、まぎれもない虎の皮のふんどしをした、あの、赤い巨大の生き物が、円陣を作つて坐り、月下の宴のさいちゆうである

 お爺さん、はじめは、ぎよつとしたが、しかし、お酒飲みといふものは、お酒を飲んでゐない時には意気地が無くてからきし駄目でも、酔つてゐる時には、かへつて衆にすぐれて度胸のいいところなど、見せてくれるものである。お爺さんは、いまは、ほろ酔ひである。かの厳粛なるお婆さんをも、また品行方正の聖人をも、なに恐れんやといふやうなかなりの勇者になつてゐるのである。眼前の異様の風景に接して、腰を抜かすなどといふ醜態を示す事は無かつた。虚うろから出た四つ這ひの形のままで、前方の怪しい酒宴のさまを熟視し、

「気持よささうに、酔つてゐる。」とつぶやき、さうして何だか、胸の奥底から、妙なよろこばしさが湧いて出て来た。お酒飲みといふものは、よそのものたちが酔つてゐるのを見ても、一種のよろこばしさを覚えるものらしい。所謂利己主義者ではないのであらう。つまり隣家の仕合せに対して乾盃を挙げるといふやうな博愛心に似たものを持つてゐるのかも知れない。自分も酔ひたいが、隣人もまた、共に楽しく酔つてくれたら、そのよろこびは倍加するもののやうである。お爺さんだつて、知つてゐる。眼前の、その、人とも動物もつかぬ赤い巨大の生き物が、鬼といふおそろしい種族のものであるといふ事は、直覚してゐる。虎の皮のふんどし一つに依つても、それは間違ひの無い事だ。しかし、その鬼どもは、いま機嫌よく酔つてゐる。お爺さんも酔つてゐる。これは、どうしても、親和の感の起らざるを得ないところだ。お爺さんは、四つ這ひの形のままで、なほもよく月下の異様の酒宴を眺める。鬼、と言つても、この眼前の鬼どもは、××××鬼、××××鬼などの如く、佞悪の性質を有してゐ種族のものでは無く、顔こそ赤くおそろしげではあるが、ひどく陽気で無邪気な鬼のやうだ、とお爺さんは見てとつた。お爺さんのこの判定は、だいたいに於いて的中してゐた。つまり、この鬼どもは、剣山隠者とでも称すべき頗る温和な性格の鬼なのである地獄の鬼などとは、まるつきり種族が違つてゐるのである。だいいち、鉄棒などといふ物騒なものを持つてゐない。これすなはち、害心を有してゐない証拠と言つてよい。しかし、隠者とは言つても、かの竹林賢者たちのやうに、ありあまる知識をもてあまして、竹林に逃げ込んだといふやうなものでは無くて、この剣山隠者の心は甚だ愚である。仙といふ字は山の人と書かれてゐから、何でもかまはぬ、山の奥に住んでゐる人を仙人と称してよろしいといふ、ひどく簡明の学説を聞いた事があるけれども、かりにその学説に従ふなら、この剣山隠者たちも、その心いかに愚なりと雖も、仙の尊称を奏呈して然るべきものかも知れない。とにかく、いま月下の宴に打興じてゐるこの一群の赤く巨大の生き物は、鬼と呼ぶよりは、隠者または仙人呼称するはうが妥当のやうなしろものなのである。その心の愚なる事は既に言つたが、その酒宴の有様を見るに、ただ意味も無く奇声を発し、膝をたたいて大笑ひ、または立ち上つて矢鱈にはねまはり、または巨大のからだを丸くして円陣の端から端まで、ごろごろところがつて行き、それが踊りのつもりらしいのだから、その智能の程度は察するにあまりあり、芸の無い事おびただしい。この一事を以てしても、鬼才とか、文学の鬼とかい言葉は、まるで無意味ものだといふことを証明できるやうに思はれる。こんな愚かな芸無しどもが、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである。お爺さんも、この低能の踊りには呆れた。ひとりでくすくす笑ひ、

「なんてまあ、下手な踊りだ。ひとつ、私の手踊りでも見せてあげませうかい。」とつぶやく

ヲドリノ スキナ オヂイサン

スグニ トビダシ ヲドツタラ

コブガ フラフラ ユレルノデ

トテモ ヲカシイ オモシロ

 お爺さんには、ほろ酔ひの勇気がある。なほその上、鬼どもに対し、親和の情を抱いてゐるのであるから、何の恐れるところもなく、円陣のまんなかに飛び込んで、お爺さんご自慢の阿波踊りを踊つて、

むすめ島田年寄りやかつらぢや

赤い襷に迷ふも無理やない

嫁も笠きて行かぬか来い来い

 とかい阿波俗謡をいい声で歌ふ。鬼ども、喜んだのなんの、キヤツキヤツケタケタと奇妙な声を発し、よだれやら涙やらを流して笑ひころげる。お爺さんは調子に乗つて、

大谷通れば石ばかり

笹山通れば笹ばかり

 とさらに一段と声をはり上げて歌ひつづけ、いよいよ軽妙に踊り抜く。

オニドモ タイソウ ヨロコン

ツキヨニヤ カナラズ ヤツテキテ

ヲドリ ヲドツテ ミセトクレ

ソノ ヤクソクノ オシルシ

ダイジナ モノヲ アヅカラウ

 と言ひ出し、鬼たち互ひにひそひそ小声で相談し合ひ、どうもあの頬ぺたの瘤はてかてか光つて、なみなみならぬ宝物のやうに見えるではないか、あれをあづかつて置いたら、きつとまたやつて来るに違ひない、と愚昧なる推量をして、矢庭に瘤をむしり取る。無智ではあるが、やはり永く山奥に住んでゐるおかげで、何か仙術みたいなものを覚え込んでゐたのかも知れない。何の造作も無く綺麗に瘤をむしり取つた。

 お爺さんは驚き、

「や、それは困ります。私の孫ですよ。」と言へば、鬼たち、得意さうにわつと歓声を挙げる。

アサデス ツユノ ヒカルミチ

コブヲ トラレタ オヂイサン

ツマラナサウニ ホホヲ ナデ

オヤマヲ オリテ ユキマシタ

 瘤は孤独のお爺さんにとつて、唯一の話相手だつたのだから、その瘤を取られて、お爺さんは少し淋しい。しかしまた、軽くなつた頬が朝風に撫でられるのも、悪い気持のものではない。結局まあ、損も得も無く、一長一短といふやうなところか、久しぶりで思ふぞんぶん歌つたり踊つたりしただけが得とく、といふ事になるかな? など、のんきな事を考へながら山を降りて来たら、途中で、野良へ出かける息子の聖人とばつたり出逢ふ。

「おはやうござります。」と聖人は、頬被りをとつて荘重に朝の挨拶をする。

「いやあ。」とお爺さんは、ただまごついてゐる。それだけで左右に別れる。お爺さんの瘤が一夜のうちに消失てゐるのを見てとつて、さすがの聖人も、内心すこしく驚いたのであるが、しかし、父母の容貌に就いてとやかくの批評がましい事を言ふのは、聖人の道にそむくと思ひ、気附かぬ振りして黙つて別れたのである

 家に帰るとお婆さんは、

「お帰りなさいまし。」と落ちついて言ひ、昨夜はどうしましたとか何とかいふ事はいつさい問はず、「おみおつけが冷たくなりまして、」と低くつぶやいて、お爺さんの朝食の支度をする。

「いや、冷たくてもいいさ。あたためるには及びませんよ。」とお爺さんは、やたらに遠慮して小さくかしこまり、朝食のお膳につく。お婆さんにお給仕されてごはんを食べながら、お爺さんは、昨夜の不思議出来事を知らせてやりたくて仕様が無い。しかし、お婆さんの儼然たる態度に圧倒されて、言葉が喉のあたりにひつからまつて何も言へない。うつむいて、わびしくごはんを食べてゐる。

「瘤が、しなびたやうですね。」お婆さんは、ぽつんと言つた。

「うむ。」もう何も言ひたくなかつた。

「破れて、水が出たのでせう。」とお婆さんは事も無げに言つて、澄ましてゐる。

「うむ。」

「また、水がたまつて腫れるんでせうね。」

「さうだらう。」

 結局、このお爺さんの一家於いて、瘤の事などは何の問題にもならなかつたわけである。ところが、このお爺さんの近所に、もうひとり、左の頬にジヤマツケな瘤を持つてるお爺さんがゐたのである。さうして、このお爺さんこそ、その左の頬の瘤を、本当に、ジヤマツケなものとして憎み、とかくこの瘤が私の出世のさまたげ、この瘤のため、私はどんなに人からあなどられ嘲笑せられて来た事か、と日に幾度か鏡を覗いて溜息を吐き、頬髯を長く伸ばしてその瘤を髯の中に埋没させて見えなくしてしまはうとたくらんだが、悲しい哉、瘤の頂きが白髯の四海波の間から初日出のやうにあざやかにあらはれ、かへつて天下の奇観を呈するやうになつたのである。もともとこのお爺さんの人品骨柄は、いやしく無い。体躯は堂々、鼻も大きく眼光も鋭い。言語動作は重々しく、思慮分別も十分の如くに見える。服装だつて、どうしてなかなか立派で、それに何やら学問もあるさうで、また、財産も、あのお酒飲みのお爺さんなどとは較べものにならぬくらゐどつさりあるかいふ話で、近所の人たちも皆このお爺さんに一目いちもく置いて、「旦那」あるいは「先生」などといふ尊称を奉り、何もかも結構、立派なお方ではあつたが、どうもその左の頬のジヤマツケな瘤のために、旦那は日夜、鬱々として楽しまない。このお爺さんのおかみさんは、ひどく若い。三十六歳である。そんなに Permalink | 記事への反応(0) | 18:24

2026-04-18

anond:20260417163935

一日で骨まで分解する南丹市野生鳥獣捕獲個体減容化施設の話が出てこなかったら、そのまま消えててもおかしくなかった

裁判所遺体発見まで自宅捜査令状を出さな主義だったら、次はヤバいだろ

遺体見つかったの、大本営発表じゃないだろうな

2026-04-14

「野生鳥獣捕獲個体減容化施設」

こんな事が囁かれてたからなあ...

京都小学生行方不明事件

ある噂について…。

南丹市には「野生鳥獣捕獲個体減容化施設」という施設がある。

https://x.com/nyohhira/status/2043528020347269180

義理父の前職は野生鳥獣捕獲個体減容化施設で1人で勤務していた。現在義理父の弟が基本的には1人で働いている

京都行方不明事件、野生鳥獣処分施設の噂が浮上してから遺体があがったのも謎なんだよなあ

2026-03-29

ちょっとびっくりヒグマ駆除ハンターライフル銃の所持の許可取り消し違法判決

詳しくは、行政処分取消訴訟の専門の人が解説を書くだろうから各自読むと良いよ。

ここでは、「そらそうよ」という感情最高裁が沿うためにどれぐらいアクロバティックなことをしているかの話だけするよ。

日本三審制と呼ばれてるけど、事実上やり直せるのは1回までだよ

地方裁判所とか家庭裁判所裁判して、気に入らなかったら控訴(もっかい!)ってして、

高等裁判所裁判して駄目だったら上告(おかわり!)で、

3回やれるから三審制って言われてるけど実は違うんだな。

事実審と法律審というのがあって、最高裁判所は法律しかしません。

と言うよりも、「この裁判話題になってる事件証拠とかの事実認定はねー、こう!」って決めるのは、高等裁判所がやったら取り消せないの。

地方裁判所がやった事実認定は高等裁判所がひっくり返せるんだけど、高等裁判所がやっちゃう最高裁判所はその事実認定は取り消したりできないの。

はい、ココだけ覚えて帰ってください。

事実認定は高等裁判所ラストで、ここで決まったことは最高裁でもひっくり返せません。

ハンターライフル銃の所持許可取り消しの事件(令和7年(行ヒ)第25号行政処分取消請求事件)の流れ

地方裁判所で「まあ、建物に弾が跳弾で行くことは無いっしょ、なんか長々話してたけどそれは信用できんなあ、処分は取り消してね(所持許可取消の取消)」

高等裁判所で「ヒグマ貫通した弾は、他の人の銃床に当たったでしょ。跳弾で、隣にいた人にあたる危険もあったでしょ。狩猟安全心得にも違反してるでしょ。取消は裁量範囲内でしょ(所持許可取消は有効)」

通常、この流れが最高裁でひっくり返ることは無いです。

もっかい言いますね。高裁事実認定したのって、(少なくともその事件においては)事実なんすよ。事実誤認はもう争えないんです。

なので、

という点についてはもう事実(として扱うしか無い)で、これを踏まえてさて法律はどうなっておりますか?という状況なわけです。

なんでびっくりしたか

最高裁でも事実認定はすることもあるとか、差し戻しもあるよとか言われると思うんすけど、この場合出来ないんすよ。

不足があるんで別途調査して、追加で事実認定しますとか、なーんか事実認定からの建付け悪くない?変じゃない?もちょっと調べなおしてよ荒いよ差し戻しね、は、ある。

でもね、事実認定でガッチリ跳弾はしてる危険可能性はあった猟銃使う人なら守ることも違反してた行政許可取り消す裁量もあります、までは決まってるんすよ。

そして、法律審では、法律はどうなってますかの判断しかしないんすよ。

なので、「銃刀法規定に、違反したら取消できるって書いてあるっていうけど、その法律解釈って変じゃね?」という形で解消するんすよ。

法律解釈が誤っているので、結論はそうならんと思いますねー、法律を正しく解釈した上でやり直してもらえます?(差し戻し)なんすよ。

今回、「言ってることは分かる、事実確認すると危なかったね、それからすると取消は妥当。でもね、ヒグマ駆除してんだよ?お願いしてやってもらっておいたらそこを鑑みないの変でしょ?ハンター萎縮するよ?ヒグマ狩ってるのは地域住民を守る為っていう趣旨にもそぐわないでしょ北海道公安委員会判断は、フツーに考えたら明らかに変(社会通念上著しく妥当を欠き)なので裁量の乱用、違法」というのが出たのよね。

この勢いでオマエフツーに考えたらわかるやろ変ですって書かれるの相当ですわ。裁判官の全員一致だし。

裁判は思ったよりもウェットな世界です

というわけで、「駆除目的で撃ってんだから、例え明らかに判断に誤りがあって跳弾が生じても、結果として誰も死んでないのに猟銃取り上げんのはおかしいでしょ」という判例がこの世に生まれました。

先例が出来たからには、これは無視できないわけですよ。良かったですね。(個人的には良かったと思います

(ただし、本人は子熊だし逃がすべきだって言ってんのに強く要請されて駆除してますよね、というのを入れてあるので無条件ではない)

鳥獣被害対策を防ぐための特別措置法としての鉄砲使用解釈踏み込むことで、最高裁結論出したのがクールでしたね。

ただ、くっついてる意見を読むとわかる通り、クマ被害増えてんだからもうちょっと考えなさいよ、みたいな話が出ている通り、実は杓子定規と言うよりも世の中の状況に応じて裁判官は判断してることが多いっすね。

取消か維持かの二択も変じゃね?そもそも銃刀法には依頼されてクマ狩りするとか想定されて無いっしょ、みたいな意見がついてるのも、それはそう、という感じで大変に味わい深いです。

まとめ

詳しい人が解説してくれると思うのでそっち読むのが良いと思うよ。

事実認定は高等裁判所最後で、最高裁判所は事実誤認の判断はしてくれないよ!と言うのだけ覚えて帰ってください。

2025-12-12

膝に矢を受けてな…

訴えなどによりますと、原告男性はおととし4月9日小国町から鳥獣被害対策実施隊として委嘱を受け、他の隊員2人とともに3人で山に入りました。

男性クマを追い込む「勢子」を担当し、他の2人が猟銃で撃つ担当でした。

クマが現れた際、1人が発射した銃弾男性の右ひざに命中し、現在後遺症があるということです。

小国町には誤射した男性委嘱した責任があるとしています

被弾ハンターVS誤射ハンター裁判は続く・・・

2025-12-01

2026年 新語・流行語大賞 ノミネート

2026新語・流行語大賞ノミネート語が発表された。本記事では、選出された30語の中から注目の用語について、その概要と背景を解説する。


【見せ善】

お笑いコンビさや香新山が、被災地でのボランティア活動の様子をSNS投稿した際、「これは見せ善です」とハッシュタグを付けたことが発端。これまで著名人ボランティア報告は「売名」「偽善」と批判されがちだったが、自ら「見せ善」と名乗ることで批判を逆手に取るスタイルが称賛された。以降、Z世代を中心に、ゴミ拾いや席譲りなどの善行SNSにアップする際の「炎上回避免罪符」として定着した。


ゴブリンマインド

物価高や増税が続く中、見栄を張ることを完全にやめた開き直り精神状態のこと。ファンタジー作品ゴブリンのように、他人の目を気にせず「安いものをむさぼる」「服は着られれば何でもいい」「欲望に忠実に生きる」というスタイル。かつての「丁寧な暮らし」の対極にあるが、その生命力の強さが逆にクールだと捉えられた。


【屁】

トップアーティスト米津玄師が突如リリースした配信限定シングル『屁』。自身放屁音をサンプリングし、重厚ビートと融合させた前衛的な楽曲は、瞬く間にYouTubeで1億再生突破した。「屁すらも芸術に変える男」と評される一方、全国ツアーではマイクに臀部を向け、生の音を集音させるパフォーマンスも大きな話題となった。


【爆盛り葬儀費】

多死社会の進行に伴い、葬儀業界での競争トラブルが激化。格安の基本プラン集客し、遺族の混乱に乗じてオプションを過剰に追加させる手口が横行した。最終的な請求額が当初の見積もりから数倍に膨れ上がる様を、飲食店デカ盛りメニューになぞらえて揶揄した言葉


【食べる蕎麦湯

健康志向とフードロス削減の観点から、これまで廃棄されがちだった「蕎麦湯」がスーパーフードとして再注目された。ゼラチン寒天で固め、黒蜜きな粉をかけた「食べる蕎麦湯」がコンビニスイーツとして爆発的ヒットを記録。ルチン豊富で腹持ちが良い点が、ダイエット中の若者層に支持された。


【野獣圏内

気候変動によりクマイノシシ等の動物都市部進出常態化したことを受け、政府が新たに策定したハザードマップ上の区分名称正式には「特定野生鳥獣高頻度出没区域」だが、環境省の啓発ポスターで使われた「ここはもう、野獣圏内。」というキャッチコピーが一部国民に衝撃を与え、そのまま一般名称として定着した。


【もう走らなくていい】

北米3カ国共催のサッカーワールドカップにて。日本代表FW前田大善が、予選リーグから決勝トーナメントまで驚異的なスプリント回数を記録し続けた。準々決勝での敗退が決まった瞬間、実況アナウンサーが涙声でかけた「もう走らなくていい、大善。胸を張れ」という言葉国民の涙を誘った。過酷労働環境にいる人への労いの言葉としてもネット上で広く使われた。


キンタマーニドッグ

インドネシア原産犬種。人気K-POPアイドルが飼い始めたことで日本でも知名度が急上昇した。その独特な語感が小中学生を中心に面白がられ、実物を見たことがない層にまで名前けが独り歩きして大流行した。


【無敵外交

国際会議において、自国の主張だけを一方的にまくし立て、他国批判質問を一切受け付けずに退席する強硬外交スタイルのこと。会議で人の話を聞かない上司を指すビジネススラングとしても使われた。


大谷覚悟しろ

メジャーリーグ前人未到の記録を更新し続ける大谷翔平に対し、日本小学1年生の野球少年テレビインタビューで言い放った一言。その純粋さとあまりスケールの大きさが愛され、何かに挑戦する際の決まり文句としてミーム化した。


以上が2026年の主なノミネートである。なお、年間大賞は2026年12月1日14時頃に発表される予定だ。

2025-11-21

国政と地方自治と熊ちゃん

この国の民衆は国政と地方自治区別がついていない。

5chを見てたら、山口二郎法政大学教授高市政権クマ対策がなっとらんと批判しているニュースを見かけた。

山口くんの出自を調べると、

日本の政治学者政治活動家。専門は行政学現代日本政治論。北海道大学名誉教授法政大学法学部教授

 

。。。

行政学やってる法学部教授がこのレベル発言しているのに驚き。

 

対策地方行政範疇で国政、高市関係ない。

 

鳥獣保護管理法ってのがあるの、これは国会で作られた法律

この中、第三条で国の責務が定義されてる、「鳥獣保護の基本指針」を定めなさいと、これは国、内閣環境大臣仕事

都道府県はこの基本指針に沿って具体的な「鳥獣保護管理事業計画」を策定実施する(5条、6条)。

鳥獣管理実施主体は都道府県なの、国では無い。こんなもん鳥獣保護管理法読めばアホでもわかる。

まして法学部教授なんだよね?

 

対策にどの程度の予算を割くか、どういう方針で行動するか、全て都道府県裁量に任されてる、国はノータッチ

国の基本指針に則っていれば各都道府県で好きにすればいい。

対策無視して老人介護に全振りするも良し。

急に熊がたくさん出たから緊急的な予算を組むも良し。

関係する許認可の匙加減も全て地方自治範疇

 

高市はまったく関係ない。

 

国は大枠のガイドラインを定めて、各地方自治体ごとに地方特性などを考慮しながら予算配分を変える。

その裁量地方自治に委ねられている。

国がなんでもかんでも直接やってるわけじゃないの。地方自治なの、分権なの。昔から変わらない。

 

こんな低レベルの話を東大卒政治学者に突っ込まなきゃならないのが情けない。

この国はエリート階層ですら国政と地方自治区別がついてない。

2025-11-11

anond:20251111122408

タヌキは日本の野生鳥獣無許可で捕まえたり飼うことは鳥獣保護管理法で禁止

違反罰則対象です。

許可必要捕獲・飼養は被害防止や個体数調整など特定目的に限られ、一般ペット目的は想定されていません。

2025-11-06

anond:20251106081419

被害であと200人くらい死んだら1年以内くらいどころか即座に法整備以前に「災害対策」として自衛隊内で鳥獣駆除班みたいなのが設立されてとりあえず熊駆除に関しては一気に話が進むと思うで。

現状では熊被害ブームから問題に感じるけど実害の規模で言えば到底自衛隊を出すという判断ができない程度のレベルからなんかマゴマゴしてるだけで。自衛隊は山岳訓練もしてるし、猟銃訓練はしてないだろうけどやるってなったら一気にやれる程度の下地はあるし、自衛隊にその能力がないわけじゃないからね。

2025-11-01

何度でも書くけど、この人の問題はあるけど、猟友会ジジイどもはほんっとに横柄」というコメントがつく背景について分析して

町議暴言とされる発言に焦点が当たり、それに対する猟友会の「出動拒否」という対応が報じられています

町議言動批判されるのは当然の流れかもしれませんが、

はてなブックマークコメントで指摘されている

猟友会ジジイどもはほんっとに横柄」

自分たちに頼らざるを得ないことを理解していて態度がデカくなっている」

という視点から猟友会側の構造的な問題や、なぜ彼らが「横柄」と受け取られ得るのかについて論じます

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000463540.html

1. 「代替不可能」な専門家集団という立場

クマ駆除は、単に銃が撃てるというだけでは務まりません。対象猛獣であり、市街地や民家近くに出没した場合安全確保、正確な射撃技術、獲物の回収・処理など、高度な専門知識経験、そして何より危険を顧みない覚悟が求められます

この危険かつ専門的な業務を、現実的に担えるのは(特に地方においては)地元猟友会メンバーに限られているのが実情です。彼ら自身も、そして行政住民も、「自分たちがいなければクマの脅威に対応できない」ことを熟知しています

ご指摘の通り、この「頼らざるを得ない」という状況、すなわち業務代替不可能性が、彼らの立場構造的に強固なものにしています。この優位性が、外部から要求批判に対し、強い態度に出る(=横柄と映る)土壌となっている可能性は否定できません。

2. 専門家プライドと「素人からの介入への反発

記事の中で、海田副議長は「こんなに10何人も来ないと駄目なのか」と、現場ハンターの人数に疑問を呈したことを認めています

猟友会からすれば、これは「現場危険性も作業内容理解していない素人からの口出し」と受け取られた可能性が極めて高いです。

安全確保のための見張り、クマを刺激しないための連携、万が一の反撃への備え、そして駆除後の(時に数百キロにもなる)クマの搬出作業などを考慮すれば、13人という人数が彼らの経験則に基づいた「必要最低限」であったのかもしれません。

副議長の主張によれば、これに対して猟友会側は「(クマを)引っ張ってみろ」と返したとされています。これが事実であれば、まさに「危険を知らない素人が口を出すな。できるものならお前がやってみろ」という、専門家の強い自負と素人への侮蔑が入り混じった反発であり、典型的な「横柄」と受け取られる態度と言えます

3. 危険報酬アンバランスと、「金目当て」という侮辱

猟友会活動は、多くの場合危険任務に見合った十分な報酬が支払われているとは言えません。むしろ地域貢献や義務感、あるいは狩猟者としての矜持(きょうじ)に支えられている側面が強いです。

そのような中で、今回の報道猟友会側が主張する(副議長否定暴言の中に、「金もらえるからだろう」という言葉があります

もしこれが事実であれば、命がけで出動している彼らにとって、これ以上ない侮辱です。自分たち活動の根幹である義務感」や「誇り」を金銭で測られ、貶められたと感じれば、激しい怒りや拒絶反応(=出動拒否)につながるのは当然とも言えます

日頃から行政住民から感謝理解が不十分だと感じている(あるいは、危険作業押し付けられていると感じている)場合、こうした「素人から無理解発言」は、積年の不満を爆発させる引き金となり得ます。その結果としての強硬な態度は、部外者からは「横柄」「態度がデカい」と映ることになります

4. 「閉鎖的な組織」としての側面

猟友会は、その専門性伝統ゆえに、外部から実態が見えにくい「閉鎖的な組織」と見られがちです。独自ルールや、師弟関係のような強い縦割り構造を持つことも多く、外部の論理(例えば行政コスト意識議会の介入)が通用しにくい側面があります

行政町議)側からすれば、彼らは「コントロールしにくい集団」であり、予算支出しているにもかかわらず、やり方や態度に口を出すと強い反発を受ける(あるいは、今回のようにボイコットされる)というジレンマを抱えている可能性があります

副議長の(とされる)「予算を減らす」「辞めさせてやる」といった発言は、まさにこの行政側の不満や無力感、「言うことを聞かない専門家集団」を力で抑え込もうとする不適切な試みであったとも解釈できます

結論

海田副議長言動が適切であったかは別問題として、ご指摘の通り、猟友会が「横柄」と見られがちな背景には、彼らが「危険業務を独占的に担わざるを得ない」という構造的な優位性があります

専門家としての強いプライド危険任務への自負、そして「素人には分かるまい」という意識が、外部(特に行政からの介入に対して過敏な反応や高圧的な態度として現れることは、想像に難くありません。

今回の騒動は、単なる一個人暴言問題としてだけでなく

危険鳥獣駆除を、高齢化が進む特定ボランティア組織猟友会)に依存し続けている日本社会構造のものの歪みが

町議との衝突という形で噴出した事例であるとも言えるでしょう。

2025-10-30

危険鳥獣対策班でも作るしかないんだろうけど

猟友会高齢化崩壊寸前な今、その役割自衛隊が行うのも範囲が違いすぎるし

そうなると警察組織の中にその機能を取り込むしかない。

SATとかが使用する「特殊銃」の中に狩猟用「猟銃」「麻酔銃」を含める規定を新たに作って

警察任務に「市民に著しく危険を及ぼすと思われる鳥獣駆除」という項目を追加して

銃の発射許可範囲に「市民に著しく危険を及ぼすと思われる鳥獣駆除の際」を加えて

更に「撃っていい場所」の規定とかも作り直して

既存警官の中から人員を募って訓練して、猟銃保管用に警察署も改築して

それらの予算もどこからともなく捻りだして

40年後くらいには実現してるといいなぁ

2025-10-29

anond:20251029153409

今の狩猟制度鳥獣保護の為に少しだけしか狩ってはいけませんよっていう前提の制度からねぇ。

法で罠を仕掛けられる上限も決まってる上に毎日見回らないと違反免許取り消しになるから、どうしても厳選して仕掛けることになっちゃう。

後処理の方法規制でがんじがらめだし、緩和して一頭を狩る労力を減らさないと狩る数なんて増やせるわけないのよ。

2025-10-28

anond:20251028122227

クマシカなんてそうそう捕まえられないし、むしろシカが増えてクマの食料が減って人里まで降りてきてるのが今の流れ。

くくり罠は当然シカも捕らえられるから一石二鳥だよ。

今の狩猟鳥獣保護に寄りすぎてるのが一番の問題ってこと。

クマ害を減らしたいなら罠猟の規制を緩和すればいいのに

自衛隊に出動を要請したみたいな報道を見て、その前にやることあるやろ・・・と思ったのが正直なところ。

狩猟免許持ってる人間からすると常識だけど、今の制度狩猟効率的に行えないように様々な規制が行われていて、それは鳥獣保護するという目的からすれば当然だろうけどこのままでいいの?っていうね。

ハンター不足なんて当たり前なんよ、効率的狩猟が行えないような規制でがんじがらめってことは時間も労力も無駄にかかるってことで、更に結構金額狩猟を許してもらわないと駄目なんだから必要に迫られた人しかならないでしょ。

で、タイトル、本当にクマを減らしたいなら罠猟の規制を緩和するだけでいい。

今の罠猟ってクマの錯誤捕獲をしないように12cm規制とか設置数規制とかでクマを守ってるけど、錯誤捕獲を気にしなくていいとするだけでいい。

言っちゃなんだけど、くくり罠をたくさん設置すればクマなんてすぐに減らせると思うよ。

狩猟は県ごとだから全国的にやる必要はなくて、被害の多い東北でだけでもやってみればいい。

でもやらないだろうな。

たぶんさ、この期に及んでも行政クマを減らしすぎることを危惧していて、県民の命なんて二の次なんだよ。

2025-10-27

クマ被害問題

なんでそんなにクマ害獣として駆除することに対して及び腰なのかわからない。

駆除反対意見がそんなに気になる?

鉄砲を使うことに問題がある?

鳥獣保護法律問題

2025-10-08

anond:20251008124456

は? 読解力のないバカはこれだから・・・・・殺処分依頼したから捕まったわけじゃない。

箱罠っつーのはな、貸し出す時に、どこの自治体でも必ず

野生鳥獣捕獲するには「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護管理法」という)」により許可必要です。

許可なく野生鳥獣捕獲すると、鳥獣保護管理法違反となり、罰則(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)の対象となることがありますので、ご注意ください。

猫等が誤って箱わなに捕獲された場合は、速やかに解放してください。

こう説明されて、理解しました守りますという誓約書を書いてる。

でないと許可もらえず、箱罠使えない。

その誓約を忘れて、捕まえた猫を持ってきてる時点で法律破っとるの。

なのに聞く耳持たないから捕まるの。

2025-07-14

鳥獣保護しないと罰則なのにとげとげ凹凸ベンチで家無しおじさんを排除しても罰則ないの?

2024-11-14

はてなー、いつまで跳弾が~とか何周遅れの話してるんやろ

猟友会の経緯まとめ

2018年8月北海道砂川市住宅近くにクマ出没

自治体駆除お願いします」

猟師OK

猟友会「子グマだし撃たなくても…」

職員市民から不安の声もあって…」

警察官「撃つなら人払いするね」

猟師安全確認して撃ちます

警察立ち会いのもと発砲)

↓ 2ヶ月後

砂川署「鳥獣保護違反銃刀法違反の容疑で署まで来てください」

猟師???

自宅から猟銃4丁が押収され、銃刀法違反公安委員は銃の所持許可取り消しを決定

猟師意味不明なので取り消してください」

公安委員「無理です」

2020年5月に取り消し撤回を求めて裁判

警察建物に向かって撃ってた」

猟師クマの背後には高い土手があるが?」

裁判長「現地で確認するね」

翌年に猟師側が勝訴。

しかし3年以上も理不尽に所持許可が取り消されることに。

裁判長「所持許可の取り消しは裁量権範囲を逸脱してる」

ちなみに跳弾云々の件がXでも話題になりましたが、勝訴した地裁判決文にはそれを踏まえても判決内容に影響はないと片付けられています

https://x.com/youko_rou/status/1856861663951237544

公安委員会はこの結果を不服として控訴

2022年から札幌高裁に移り、2024年10月に完全な判決が出る

まさかの逆転敗訴。

これでは猟師駆除要請に応えられないと駆除拒否することに。

https://x.com/youko_rou/status/1856857761663127832

そもそも、生き物相手に跳弾1回起きたくらいで一発取り消しは無理ありすぎ。しかも人に当たったわけでもない。

北海道公安委員会が難癖付けて控訴した裁判なので、基本的に道警が関わってると見て差し支えない。

2024-10-10

ちょっと面白い法律9選

ちょっと面白い法律を9個紹介するね!

1. 軽犯罪法 第1条 第13号(正当な理由なく道路で寝ることの禁止

「正当な理由がなければ、道路に寝転んじゃダメ!」って法律だよ。

軽犯罪法第1条第13号によると、道路で寝てると罰せられる可能性があるんだ。

お祭りの後や、飲みすぎて路上で寝てしまう人もいるけど、これ実は法律禁止されてるんだよ!ちょっと意外だよね。

2. 鉄道営業法 第34条(列車内での泥酔禁止

電車に乗るときに「酔っぱらって騒がないでね!」という法律

鉄道営業法第34条では、酔っぱらいすぎて他の乗客迷惑をかけると、鉄道会社がその人を車両から降ろす権利があるんだ。

酔ってもほどほどにしないと、降ろされても文句言えないんだね。

3. 刑法 第718条(決闘罪

これは今ではほとんど使われないけど、昔は決闘っていうのが真剣勝負であったんだよね。

刑法第718条によると、決闘に応じたり、それを主催したりした人は罪に問われるんだよ。

時代劇世界みたいだけど、今でも正式法律として残っているってのが面白いね。

4. 軽犯罪法 第1条 第21号(正当な理由なく他人の家の塀に落書きをすることの禁止

普通にダメなことだけど、ここがポイント。「正当な理由がなければ」という部分!

から、もし塀の持ち主から「ここにアートを描いてくれ!」って頼まれたら、法律的にはOKなんだよ。

もちろん、勝手にやったらアウトだけどね!バンクシーならOKかもしれないけど。

5. 鳥獣保護法(鳩を捕まえると罪)

公園パンくずを鳩にあげる人は多いけど、鳥獣保護法では鳩を捕まえるのは違法なんだよ。

鳩は「鳥獣」に含まれていて、勝手に捕まえたり、飼おうとすると罰せられるんだ。

「え、鳩捕まえたくなる人なんている?」って思うかもしれないけど、昔は食べるために捕まえることがあったみたい。

6. 軽犯罪法 第1条 第23号(正当な理由なく他人の家を覗くことの禁止

これは要するに「のぞき見禁止」なんだけど、法律でしっかり明記されてる。

どんな理由でも「覗き見」は絶対ダメだけど、正当な理由があれば…例えば、家の外から何か異変に気づいて助けを呼ぶ場合などは別なんだ。

7. 電波法 第4条(勝手電波を発信することの禁止

なんと、電波を発信するにも免許必要

例えば、無許可ラジオ局を開設したり、自分デバイスから強力な電波を発信すると、電波法違反するんだよ。

まり、街中で「ラジオ番組やるぞ!」って気軽にやったらダメ。地味に意外じゃない?

8. 騒音規制法(犬が鳴き続けると罰則あり)

もし自分の飼っている犬がずっと吠え続けて、近隣住民迷惑をかけた場合騒音として罰せられる可能性があるんだよ!

可愛いワンちゃんでも、鳴き声がうるさすぎると法律違反になるんだ。

ペットの鳴き声が法律に触れるって、ちょっと面白いよね。

9. 郵便法17条(郵便物を開けると罪)

他人郵便物を開けたら罪になるのは分かるけど、この法律では、例え道に落ちている封筒を拾っても開けちゃダメなんだよ。

好奇心で開けると罪に問われることがあるから、「道で手紙見つけた!」ってときは触らず、郵便局に届けるのが正解。


みんなも面白い法律を知ってたら、教えてくれたら嬉しいな!

2024-08-04

anond:20240804032418

ボールを持っている味方を残り全員で囲めばボール奪われないんじゃね?

これは単純にその輪に潜り込まれボール取られたらそのままゴールされちゃうからやらないだけなのでは?

鳥も「侵入してきた鳥獣危害を与えてはいけない」ってルールルール改訂時に追加すればいいだけだし

常識なんてない時代なんだし時代錯誤では?

2024-07-07

サッカー場をつぶすな

赤字が何だ

行政の持ちもの

プロでもない程度の奴がサッカーできないからってさ

鳥が上空を飛ぶだろ

鳥獣保護のためにも残せ

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