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《母に捧げる『怒る富士』》

ラストシーン、切腹する伊奈半左衛門の介錯をする家臣の奥村…
私の手は震えていました。

桃の節句。
今日3月3日は私のふるさと岡山での公演です。
今日の舞台は私にとっては特別に意味のある公演でした。
1992年6月、今から25年前、同じ岡山市民会館で『怒る富士』は上演されました。
私はその時に百姓役で配役されていて、
3月には事前の交流会に参加させていただき、
地元での公演を心待ちにしていました。
その折自宅に戻り母にも会いました。
母は
「6月の舞台がとても待ち遠しい」
と言っておりました。
その母が5月に突然に倒れ、そのまま帰らぬ人になりました。
3月に会ったのが最期の別れとなったのです。
親の死に目にもあえないのが役者の宿命ですが、
稽古入り直前にもかかわらず劇団の特別の配慮で、
私の役は別の方に交代してもらい、
そのおかげで私は無事に母を見送ることができたのです。
あれから25年…
私はようやくこの岡山で『怒る富士』の舞台に立つことが出来ました。

奥村啓介


ずいぶん待たせてしまいましたが、
きっと母も喜んで観ていてくれたと思います。

今日の舞台は岡山医療生協65周年の記念事業として、
地元のたくさんの方々に支えられての素晴らしい公演となりました。

岡山富士対面式


満員の客席からの熱いオーラが本当にすごくて圧巻の集中力。
ラストシーンは涙が止まりませんでした。
「また次も頑張ります」
終演後の交流会では、
今日の公演を先頭になって支えてこられた若きリーダー、
田中裕子さんの力強いお言葉も飛び出し、大いに盛り上がりました。

岡山富士交流会


今度の再会は70周年の5年後でしょうか。
私たちは後ろ髪を引かれる思いで明日の公演地、
長崎県の島原へと向かったのでありました。


記・柳生啓介
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