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『さんしょう太夫』だより
900回以上もやれば・・・
『さんしょう太夫』班、今日も全員元気に旅を続けています。
今回は、
武井さんと共に“語り”を長年やってこられて、
語りだけでなくいろんな役もやられて、
『さんしょう太夫』のことは、
なんでも知り尽くしていらっしゃる。
そして若手の指導役でもある、
前園恵子さんにお話を伺いました。

芳三郎 「恵子さんは、今までの『さんしょう太夫』の公演で、どんな思い出がありますか?」
前園 「900回以上もやればね、やっぱり失敗談というのも当然あるわね。
今でも覚えているのは説経節の語りでね、
同じ部分を二度繰り返し語ってしまったことがあるの。」
芳三郎 「へぇー・・そんなことが。めずらしいですね、どの部分でしょ?」
前園 「うん。初めてこの芝居をご覧になる方もいらっしゃるから詳しくは言えないけど、
長い語りの最中に、ある登場人物が舞台上で扮装を変えるのね。」
芳三郎 「はい、はい、あの語りですね。」
前園 「そう。
語りが終わるまでに、舞台上で衣装とかつらを変えなければならないのだけど、
衣装替えがまだ慣れてなくて、語りが先に終わってしまうのね。
だからなるべくゆっくり語って、
衣裳替えの時間を稼いであげようということになったの。」
芳三郎 「あぁ、あの語り。三番まである長い語りですよね。
その語りの間に、その人物の姿が変わるという。
それでどうなったんですか?」
前園 「三人で語るのだけど、三人が三人とも、二番を繰り返し語ってしまったの。
語っているうちに、『あら、これいま語ったのに、また同じところ語っている!』
そう気づいたときは、もうどうすることもできなかった」
芳三郎 「そりゃ、語りが始まったら途中で戻るなんてできませんもんね。
いやー・・そんなことがあったんですか。でも、どうして同じところを・・・」
前園 「そうね・・・いつもよりゆっくり語ろうと心掛けていたら、
いつの間にか同じところを語っていた・・・
あっちゃいけないことだけど、
そうとしか言いようがないわね。」
芳三郎 「うーん・・・でも、大事な語りを飛ばしてしまったのではなくて、
二度語ったわけですから、まだ良かったですよね。」
前園 「そうなのかもね。衣装替えをしている子たちは、『今日は余裕でした』、
なんて言ってたけど、そりゃ余裕よね、いつもより多く語ってるんだもの(笑)」
確かにミスだったかもしれないけど、同じミスは絶対に繰り返さない。
それが大事ですよね、恵子さん。
失敗談もあるけど、感動的なエピソードもいっぱい。
長い歴史のある『さんしょう太夫』班。
通算970回を越え、さらに旅は続きます。
と・・・ここでこのブログは終わりのはずでした。
ところがですね、今日の公演で私は舞台に、
ある小道具を落としてしまって。
それに気付かず袖に引っ込んでしまいました。
舞台に残っていてはいけないはずのものが落ちている・・・
で、その小道具を芝居中に拾ってきてくださったのが、
なんと前園さんでした。
恵子さん、すみませんでした、もう二度と落としません・・がっくり
嵐芳三郎
『さんしょう太夫』班、今日も全員元気に旅を続けています。
今回は、
武井さんと共に“語り”を長年やってこられて、
語りだけでなくいろんな役もやられて、
『さんしょう太夫』のことは、
なんでも知り尽くしていらっしゃる。
そして若手の指導役でもある、
前園恵子さんにお話を伺いました。

芳三郎 「恵子さんは、今までの『さんしょう太夫』の公演で、どんな思い出がありますか?」
前園 「900回以上もやればね、やっぱり失敗談というのも当然あるわね。
今でも覚えているのは説経節の語りでね、
同じ部分を二度繰り返し語ってしまったことがあるの。」
芳三郎 「へぇー・・そんなことが。めずらしいですね、どの部分でしょ?」
前園 「うん。初めてこの芝居をご覧になる方もいらっしゃるから詳しくは言えないけど、
長い語りの最中に、ある登場人物が舞台上で扮装を変えるのね。」
芳三郎 「はい、はい、あの語りですね。」
前園 「そう。
語りが終わるまでに、舞台上で衣装とかつらを変えなければならないのだけど、
衣装替えがまだ慣れてなくて、語りが先に終わってしまうのね。
だからなるべくゆっくり語って、
衣裳替えの時間を稼いであげようということになったの。」
芳三郎 「あぁ、あの語り。三番まである長い語りですよね。
その語りの間に、その人物の姿が変わるという。
それでどうなったんですか?」
前園 「三人で語るのだけど、三人が三人とも、二番を繰り返し語ってしまったの。
語っているうちに、『あら、これいま語ったのに、また同じところ語っている!』
そう気づいたときは、もうどうすることもできなかった」
芳三郎 「そりゃ、語りが始まったら途中で戻るなんてできませんもんね。
いやー・・そんなことがあったんですか。でも、どうして同じところを・・・」
前園 「そうね・・・いつもよりゆっくり語ろうと心掛けていたら、
いつの間にか同じところを語っていた・・・
あっちゃいけないことだけど、
そうとしか言いようがないわね。」
芳三郎 「うーん・・・でも、大事な語りを飛ばしてしまったのではなくて、
二度語ったわけですから、まだ良かったですよね。」
前園 「そうなのかもね。衣装替えをしている子たちは、『今日は余裕でした』、
なんて言ってたけど、そりゃ余裕よね、いつもより多く語ってるんだもの(笑)」
確かにミスだったかもしれないけど、同じミスは絶対に繰り返さない。
それが大事ですよね、恵子さん。
失敗談もあるけど、感動的なエピソードもいっぱい。
長い歴史のある『さんしょう太夫』班。
通算970回を越え、さらに旅は続きます。
と・・・ここでこのブログは終わりのはずでした。
ところがですね、今日の公演で私は舞台に、
ある小道具を落としてしまって。
それに気付かず袖に引っ込んでしまいました。
舞台に残っていてはいけないはずのものが落ちている・・・
で、その小道具を芝居中に拾ってきてくださったのが、
なんと前園さんでした。
恵子さん、すみませんでした、もう二度と落としません・・がっくり

嵐芳三郎
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- カテゴリ : さんしょう太夫
- 2012-07-15
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