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京都南座初春公演だより

 身に余る大役
身に余るタイヤキ
劇団前進座、南座初出演から70年、初春を京都で迎えるようになって35年。
数えてみれば、私自身も20回目の京の正月。
京都年齢はたち、やっと一人前です。

昨秋東京で開けた『明治おばけ暦』は、この南座でとりあえず打上げ。
今週見ておかないと次の機会は判りません。
明治の改暦狂想曲ですが、御覧になったお客様からは「今とおんなじ」のお声。
明治初年のお話が、半年前よりますます“今”のことに感じるようになりました。
大工金公

口上を挟んで、『芝浜の革財布』は、
南座最多登板、六回目の登場。
『鳴神』と『毛抜』が共に五回で次点。
同じ平田兼三の筆による『文七元結』『唐茄子屋』と並んで、
前進座長屋ものの三幅対。
“三ドラ煩悩三部作”と私は密かに呼んでおります。

長屋ものなら前進座と言われた劇団
ドンチャン騒ぎの場面は、
吉祥寺の前進座村で長屋生活を実体験していた先輩たちが
細かい工夫と稽古を重ねて評判をとったもの。
他所の家でも「こんにちは」と言った時には上がっている生活だったんだ
てな昔噺を先輩たちから伺いながら、
若手で挑戦しております。
私は錚々たる先輩たちが勤めてこられた大工の金公。
初春早々光栄な役に日々挑戦です。
開幕前
平田兼三脚本の良い処へ、先輩たちが練り上げて来た型がありますから、
出演していながらもよく出来た芝居だなぁと感心してしまいます。

来月は大阪国立文楽劇場で『唐茄子屋』。
松竹座では前進座でも上演したデヴュー作『研辰の討たれ』が出ますから、
図らずも
没後35年の平田兼三名作競演。

今年も前進座に乞うご期待。

喜八郎☆記
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