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例年だと12月のリリースは比較的少なめで、それに伴い音源購入も少なくなりがちだけど、今年はなぜか年末にかけて注目作品のリリースが多かった。そこにこれまで買いそびれていたけど年内に聴いておきたい分も加わって、12月の初聴き音源もそれなりの数になった。
…のだけど、今回は推しの話を中心にいろいろ書きたいことがあるので、作品ごとのコメントは極力シンプルにした。では12月の初聴き音源まとめ。
まずはK-POPの新譜から。
ATEEZ / THE WORLD EP.FIN : WILL (2023)
★★★★★
K-POPボーイズ・グループの中で最推しなのがこのATEEZ。前作にあたる『THE WORLD EP.2:OUTLAW』は、私がK-POPにハマったきっかけの一つでもある。今回は一連の「THE WORLD」コンセプト・シリーズの終章となるアルバムで、リード曲の「Crazy Form」も非常にカッコイイのだけど、80sエレポップ感のある「Silver Light」が特にお気に入り。
ATEEZ - "Crazy Form"
Stray Kids / 樂-STAR (ROCK-STAR) (2023)
★★★★★
今やK-POP第四世代で最強規模のファンダムを持つスキズ、流石にカムバのペースも結構早い。LiSAをフィーチャーした「Social Path」の韓国語バージョンを含む8曲入りミニアルバム。
Stray Kids - "樂 (LALALALA)"
NiziU / Press Play (2023)
★★★★★
スキズのピリちゃんがMVにゲスト出演している「HEARTRIS」に、『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』の主題歌「Paradise」(3RACHAが作詞作曲・編曲にたずさわっている)の韓国語バージョンを含む全3曲を収録した韓国1stシングル。
NiziU - "HEARTRIS"
ZEROBASEONE / MELTING POINT (2023)
★★★★☆
グローバルオーディション番組、ボイプラ(BOYS PLANET)の人気投票上位9人で結成された、WAKEONE所属のボーイズ・グループ、ゼベワンの2ndミニアルバム。リード曲にもなっている「CRUSH (가시)」がとにかくカッコいい。
ZEROBASEONE - "CRUSH"
WayV / On My Youth (2023)
★★★★☆
SMエンターテインメント所属のNCTからの派生グルで、中華圏出身メンバーを中心に構成されているWayV(中国名は「威神V」)の正規2集。アジアン歌謡味のある哀愁メロディを持つタイトル曲「On My Youth」がお気に入り。
WayV - "On My Youth"
続いて邦楽新譜。
Ado / Adoの歌ってみたアルバム (2023)
★★★★★
ファンからの公募で選ばれた「歌ってほしいJ-POP曲」と「歌ってほしいボカロ曲」で構成された、歌い手・Adoとして初の「歌ってみた」アルバム。ボカロはあまり詳しくないので初めて知る曲もいくつかあったが、どの曲も素晴らしいし、どんな難曲もAdoらしさ全開で歌いこなしてしまうところが凄い。ボカロPのきくおによる「愛して愛して愛して」が特にお気に入り。Adoについては後ほどいろいろ書きます。
Ado - "愛して愛して愛して"
ano / 猫猫吐吐 (2023)
★★★★★
TVアニメ『チェンソーマン』第7話ED「ちゅ、多様性。」での大バズリ以降、冠番組や紅白出場など「今年の顔」とも言える存在となったあのちゃんの2枚組1stアルバム。神聖かまってちゃんのの子による作詞・作曲「涙くん、今日もおはようっ」のほか、Disc 2には2020年~2021年にリリースされたインディーズ期の配信シングルも全て収録。
そういえばあのちゃんがゲスト・ヴォーカルを務めたLLLLの「ふと全て夢と知った feat. あのfrom ゆるめるモ!」は2015年の年間ベストソング11位。この時はこんなに大きな存在になるとは夢にも思わなかったよ…。
ano - "涙くん、今日もおはようっ"
a子 / Steal your heart (2023)
★★★★★
ドラマ『初恋、ざらり』の主題歌「あたしの全部を愛せない」、クリエイターのテナテル、かぶきゅうが制作した全編アニメーションによるSFディストピアなMVが素晴らしい「racy」など全5曲を収録した3rd EP。作品をリリースするごとに楽曲クオリティやソングライティングのセンスがどんどん良くなっている。
a子 - "racy"
羊文学 / 12 hugs (like butterflies) (2023)
★★★★☆
TVアニメ『呪術廻戦』ED曲「more than words」、NTTドコモCM曲「永遠のブルー」などを含む通算4作目。シンセを取り入れた前作『our hope』を経て、今回はかつてのSUPERCARのような進化を見せるのか?とも思っていたけど、意外にもこれまで以上に疾走感のある骨太なギターロックが中心になっている印象。
羊文学 - "GO!!!"
なとり / 劇場 (2023)
★★★★★
ストリーミング総再生回数1億5000万回を超えの「Overdose」しかまだ配信シングルとしては発表されていなかった去年の段階では、流行りのコード感やアレンジ、流行りのテイストのイラストを組み合わせた印象で少しナメていたけど、その後「猿芝居」「フライデー・ナイト」「エウレカ」とリリースを重ねるごとにその評価がひっくり返り「もしかしたらめちゃくちゃ凄い人が出てきたんじゃないか?」となっていた、なとり待望の1stアルバム。まず彼自身はこれまでデジタルでしかリリースをしてこなかったにもかかわらず、今回のパッケージはフィジカルの価値観をあらためて提示するような素晴らしい仕様になっている。
ジャケットアートはB4サイズほどのキャンバス地のような質感になっており、厚みが3センチくらいあったり、裏面上部に壁掛け用の穴が開いていたりと絵画を模した仕様。裏面を開けるとアナログレコードを模した盤面のCD、イラストがあしらわれたトランプ、パーティの招待状のような封筒入りの「スペシャルチケット」とメッセージカード、そして97ページに及ぶブックレットが収められている。このブックレットが非常に読みごたえがあり、未だ謎に包まれた「なとり」というアーティストを知るうえでなかなか貴重な資料になっていると思う。フォトブックはpre-schoolでお馴染みのデザインチームTLGF(リンカーン・グラフィックス・ファミリー)を思わせるオシャレなデザイン。「Overdose」誕生秘話コミック、キタニタツヤとの対談記事、インタビュー、プロフィール帳、セルフ・ライナーノーツと歌詞カード、さらには人生ゲーム(!)と盛りだくさんな内容になっている。Adoの1stアルバム『狂言』もそうだったけど、匿名性の高いアーティストだからこそ「アーティストそのものを紐解く遊び心満載のコンテンツ」が含まれたCDパッケージは、ぜひ手元に置いておきたいと強く感じさせる。
パッケージについてばかり書いてしまったけど、楽曲も素晴らしくて、既発の配信シングル8曲と並べても新曲5曲が全く見劣りしないクオリティなのも凄い。
なとり - "Sleepwalk"
King Gnu / THE GREATEST UNKNOWN (2023)
★★★★☆
全11曲にも及ぶシングル群をインタールードでシームレスに繋ぎ、全21曲構成のアルバムにするアイデアがユニーク。確かに、前のアルバム『CEREMONY』から4年ぶりということもあり、貯まるに貯まってしまったシングルを雑に並べるよりは全然こちらの方が良い。
King Gnu - "SPECIALZ"
Vaundy / replica (2023)
★★★★☆
King Gnu同様、次々とシングルをリリースしてきた稀代のヒットメーカーのバウくんだが、気付いたら前作以降のシングルだけで20曲近くになっちゃってました、アルバムどうしよっか?って時に、2枚組にして1枚のディスクはただのシングル集にしようなんて、並のアーティストに出来ることじゃない。全35曲収録でうち19曲がタイアップ曲というのも凄すぎる。
Vaundy - "トドメの一撃 feat. Cory Wong"
GRAPEVINE / Almost there (2023)
★★★★☆
90年代末から知っているバンドだけど、アルバムを聴くのは今回が初。というのも、メロディ重視のオーソドックスなギターロック系バンドだと思っていたので、「雀の子」を聴いてめちゃくちゃ驚かされたから。
GRAPEVINE – "雀の子"
洋楽新譜は1枚のみ。
Tate McRae / Think Later (2023)
★★★★☆
リアリティ番組「アメリカン・ダンスアイドル」のファイナリストでもあるカナダのSSW/ダンサー/俳優による2作目のアルバム。
Tate McRae - "greedy"
旧譜(2023年リリース以外)は1枚。
BLACKPINK / BORN PINK (2022)
★★★★★
2ndフルアルバム。パガニーニの「La Campanella」をサンプリングした「Shut Down」がめちゃくちゃ好きなので購入。パッケージはロゼをフィーチャーしたデジパック盤をチョイス。
BLACKPINK - "Shut Down"
■推し(K-POP)の話
12月9日にベルーナドームで開催されたK-POPのコンサートイベント、ミューバン(Music Bank Global Festival 2023)に行ってきた!2023年は自分がK-POPに目覚めた年として記憶しておきたいし、そんな一年を締め括る意味でもどうしてもK-POPコンサートデビューをしておきたかったのだが、先行抽選では一次も二次も落選。出演アーティストが超豪華ということもあってチケットは当然のごとく高倍率の争奪戦だったけど、一般販売にて「比較的競争率の低そうな」立見席に絞って申し込みアタックを繰り広げた結果、奇跡的にチケットが取れたのだ(ちなみに3分ほどで完売していた)。
が、K-POPのコンサートは聞くところによると客層のほとんどが女性ということだし、初めてのK-POPコンサート、しかも一人での参加で非常に緊張したが…。結果、超楽しめた!推しに会えるというのは非常にプレシャスな体験だし、一生の思い出になった。あとやはりこういう場では恥じらいを捨てて思いっきり楽しむのが私の流儀なので、年甲斐もなく最後列の立見エリアで飛び跳ねていた。全パフォーマンス終了後、花道に出演者全員が登場し手を振ってくれたんだけど、推しがこちら側を向いてくれていたし、何ならオペラグラス越しに目が合ってんじゃね?と思った(キモ)。
▲うちわ(あとペンラも)しっかり用意して参加
ミューバンに行く前日~当日の昼までは、12月2日に行われたK-POPの最大級アワード「Melon Music Awards」のABEMAでの無料配信を視聴。NewJeansもaespaもアレンジがCD音源とかなり変わっていて、めちゃくちゃカッコよくなってたな。あとこのアワードでは「J-POP FAVORITE ARTIST」の項目があったのだけど、受賞したimaseのスピーチがなかなか素敵だった。最初は韓国語を暗唱してスピーチしていたものの途中で詰まってしまい、「Sorry…」といってカンペを見ながら韓国語でスピーチしたのだけど、アワードという大舞台で、母国語ではない言語を暗唱でスピーチしようとする精神は素晴らしいと思ったし、プロデューサー、エンジニア、レコード会社、スタッフ、「NIGHT DANCER」を歌って踊ってくれたファンへの感謝を述べつつ、自分の音楽をきっかけにこれからたくさんのJ-POPを聴いてもらえたら嬉しいというコメント、控えめに言って完璧じゃね?
K-POP関連のネタをもう少し。12月4日、「CDTVライブ!ライブ!2時間スペシャル」にアチズが初出演して「Crazy Form」を披露。女優帽被ったミンギがめちゃくちゃカッコイイ!アチズは韓国KBSの音楽番組「Music Bank」の12月1日O.A.にも出演していたけど、エンディング妖精がミンギとソンファだったの俺得すぎか。ちなみにこのパフォーマンス映像はKBS Worldの公式チャンネルにもアップされている。日本の音楽番組も公式YouTubeチャンネルにもっと動画あげません?
Crazy Form - ATEEZ [Music Bank] | KBS WORLD TV 231201
翌12月5日には渋谷109で展開されていたスキズのポップアップストアへ。事前申し込みにより入場時間帯があらかじめ決められていて、ひと枠あたり20~30人くらい並んでたのかな。ストアだけでなく109全体をスキズがジャックしていて、エントランスや階段、エスカレーターなどいろんなところにフォトスポットがあってあちこちにSTAYたちが溢れていた。ストア内もフォトスポットも自分以外に男性は見掛けなかったなー。
▲購入したグッズ。ランダム缶バッヂはトェッキ(チャンビンの豚ウサギ)でした
■推し(Ado)の話
来年4月に予定されている国立競技場公演、「Ado SPECIAL LIVE 2024 『心臓』」のチケットが取れた!チケ代は3万円とサマソニ2日間行けちゃうくらいの値段ながら、推しのライブとなると全く高いと思わないから怖い怖い。ちなみに先日も少し書いたけど、ファッションブランド・HAREとAdoのコラボアイテムのWEB限定受注販売が決まり、リアル店舗で試着したうえでいくつか購入した。4月に届く予定なので、ぜひ国立競技場に着ていきたい。
▲店舗ではパネル展示もされていた
ところでAdoさんは12月に入ってからTV番組で初パフォーマンスを披露し、立て続けに3本の番組に出演。まず一発目は12月2日の「日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト」で、「唱」と「Tot Musica」を披露。特に後者は破壊力抜群の歌唱力と憑依型のパフォーマンスを堂々と見せつけ、Adoさんのライブで生歌を体験している自分ですら震えるほどだった。
二発目の12月6日「FNS歌謡祭」はフジテレビの屋上でのパフォーマンスだったのだけど、普段はバックにLED映像を映すのに今回はスポットライトだったので、肝心の本人の衣装(のシルエット)やダンスが見えづらかったのは少し残念。
三発目は12月18日の「CDTVライブ!ライブ!クリスマス4時間半スペシャル」で、「クラクラ」「向日葵」「DIGNITY」「唱」の4曲を披露。このパフォーマンスと演出が一番良かった。今回はバンドのメンバーも加わり、最も実際のライブに近い形だったし、デカいLEDパネルをいくつも使って重層的に映像を見せる演出が見事。さらに最後には「メリ~クリスマ~ス♪」とぴょんぴょん飛び跳ねていた。先日の秘密基地配信で「声のトーンが低いので、スタッフから『もっと明るくしゃべってください』と言われたから、次にTV出るときはめちゃくちゃ明るくしゃべってやろうと思います」と語っていたが、有言実行しててエライ。
■推し(BUCK-TICK)の話
12月8日はZEPP HANEDAへ。この日行われていた「THE CEREMONY-櫻井敦司へ-」に参加するためだ。本当にたくさんの著名人、ミュージシャン、業界関係者から花が届いており、櫻井敦司という人間がいかに愛され、多大なリスペクトを受けていたかがあらためて実感できる。私が献花した際には「Coyote」「THE SEASIDE STORY」「LOVE PARADE」「愛の葬列」が場内で流れていた。
BUCK-TICKはコロナ禍以降、定期的に過去のライブ映像の無料配信を行ってきたが、12月10日からの日曜日、3週連続での配信があった。コロナ禍直後の配信時の視聴者はだいたい8,000人ほどだったけど、今年4月の28年ぶりのMステ出演の後は1.3万人くらいに増えていた。そして櫻井さんが新しい世界に旅立ってから初となる今回の配信、10日は3万人、17日は2.7万人、24日は2.5万人となっていた。最近は離れていたかつてのファンや、ニュースをきっかけに新しくファンになった人も増えたのかな。そういえば、昨年12月29日の日本武道館公演を収めた『TOUR THE BEST 35th anniv.FINALO in Budokan』は「オリコン週間ミュージックDVD・Blu-ray Discランキング」において、映像作品では自身初のオリコン1位となったらしい。
そして彼らは今年も12月29日に日本武道館で「バクチク現象-2023-」と銘打ったライブを行う。チケットはかなりの競争率だったようだけど、奇跡的に私も当選することができた。どんなライブになるのか全く読めないけど、彼らが提示した「さあ、始めよう──」の真意をしっかり見届けたいと思う。
[過去記事] 「バクチク現象-2023-」開催、ってことで。
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