BUCK-TICK |
心に巨大な穴が空いてしまった状態でこの3週間ほどを過ごした。未だに実感が湧かないというか、まるで心がそのことについて深く考えることを拒絶しているかのような感覚。考えようとすると、虚無感がそれを覆い隠そうとしてくるのだ。
現実的なところでは、12月29日に開催予定だった日本武道館公演「THE DAY IN QUESTION 2023」はどうなるのかな、と考えるのがやっとだった。
そんな中、11月14日に公式でアナウンスされた「バクチク現象-2023-」の開催。式典やグッズ販売イベントなどではない、紛れもないコンサート形式での開催だ。そして同時に公開された15秒のスポットムービーは、お馴染みの「THEME OF B-T」をバックにこんな言葉から始まる。
さあ、始めよう──
▼バクチク現象-2023- spot
かっこよすぎる。あまりにかっこよすぎて、仕事中にもかかわらず泣いてしまった。かっこよさに泣くなんて初めての経験である。
そう、これなんだよ。私が、そしてきっと多くの「おさかなさん」(ファン)がBUCK-TICKに惹かれ続ける理由は。みんなが驚くようなことを、一番かっこいいやり方でやってみせる。彼らは今までずっと、作品を通してその姿勢を提示してきたじゃないか。悲しみに暮れすぎて、ついそんなことも忘れてしまっていた。
元々予定されていたコンサート名の「THE DAY IN QUESTION」は、2001年以降毎年、日本武道館で(例外もあるということを覚えておいた方がいい)12月29日に開催されている公演のことだ。今回はその名を冠したコンサートとしては「中止」となり、新たに銘打たれたのが「バクチク現象-2023-」ということになる。彼らのファンには今さら説明するまでもないが、この「バクチク現象」とは1987年に開催されたコンサート&ツアータイトルであり、1989年の東京ドーム公演のタイトルであり、2013年に公開された映画『劇場版BUCK-TICK』のサブタイトルでもある。突然の「大切なお知らせ」から3週間というこのタイミングで、新たに"現象"を起こしてやるぜという気概にまず胸を打たれたし、覚悟や気合いのようなものも感じられる、まさに最強のコンサートタイトルだと思う。そう来たか。これはさすがに予測できなかった。
そしてそのキャッチコピーが「さあ、始めよう──」なのだ。私にはこの言葉、櫻井さんの声で再生されたぞ。
BUCK-TICKに特に思い入れのない人たちであれば、「大切なお知らせ」の報に「これで解散かね」などと思ったかもしれないし、今回の発表にも「え、どうやってライブやるの?」と思うだけかもしれない。
でも、彼らを長く追い続けてきた人はもちろん、数年しか追えていない新規の「おさかなさん」でも、これで全てが終わりだと思った人はいないのではないだろうか。コロナ禍でも配信ライブを行い、実際のライブ音響システムを使ったフィルム・コンサートツアーも行い、メンバーの骨折や病気、さらには自然災害によるコンサート中止に見舞われても、しっかりと振替公演などでフォローする姿勢を見せてくれていたBUCK-TICKの誠実さをずっと信じてきたと思うから。
あの「大切なお知らせ」のタイミングで、今井さんはInstagramに「ま、でもね。続けるからね♪」と投稿していた。一見その場にそぐわないノリの言葉のように見えたが、その言葉が唯一の救いでもあった。しかし「でも、どうやって…?」という戸惑いも正直感じていた中で、今回それがただのリップサービスや、一時(いっとき)の気休めの言葉ではなかったことがわかって、ようやく哀しみが少し癒えた気がする。
彼らは以前、インタビューなどで「解散はしない。死ぬまで一生BUCK-TICKを続ける」というようなことを言っていた。それは素敵なことだと思ったけど、私はあまりその意味を深く考えてはいなかったから、「もしもメンバーの誰かがいなくなってしまったら、それはバンドの終わりを意味する」ということに気付けていなかった。でもそれは「誰かがいなくなってしまったせいで、バンドが終わってしまった」というネガティヴな言葉と表裏一体なわけで、BUCK-TICKという強い絆で結ばれた5人が、そんな風にバンドを終わらせるはずがないという思いもあったから、今回の「バクチク現象-2023-」の報せには「ああ、BUCK-TICKはやっぱりBUCK-TICKなんだなあ」と安心したり。なんか文章下手だな。伝わるかなこれ。
当日は、全部今井さんが歌うのか?所縁のあるゲストが多数登場して歌うのか?櫻井さんの歌唱部分だけ流すのか?スクリーンに歌詞が表示されて、観客みんなで歌うのか?まさか…「ロクス・ソルスの獣たち」以来となるホログラム!?どっちだ!わからねぇ…。でもBUCK-TICKのことだ。そのどれでもないかもしれないし、事前に予想するだけ野暮かもしれない。我々はただ、その日その場所に行って、その"現象"を自らの眼で確かめるだけだ。
BUCK-TICKはまだ終わらない。進め、未来だ。蹴散らせ、弾けてみせろ。
…まあでも、その前に「THE CEREMONY -櫻井敦司へ-」で気持ちを前向きに切り替えなくては。
【あとがき】
今回、あまり推敲せずに勢いで感情のままに書いたので、若干"ナルシス"なテキストになっていると思うし、誤字脱字もあるかもしれないけどご容赦を。あと、12月29日にBUCK-TICKベストソングの記事をやろうと思ってます。
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