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初聴きディスクレポート

洋楽ひとことレビュー Vol.25(2011年7月)

7月に買った&借りたアルバムの、「一番最初に聴いたとき」の感想を紹介します。今月は・・・少ない。5枚です。しかも、うち2枚はフリーDLアルバム、2枚は借りもの。唯一購入したMemory Tapesも、届いたのは7月ですが注文は6月。つまり7月は1枚も買ってないんですな。いますぐ欲しい!というものがあまりなかったのと、フジロックのことばかり考えてて新譜をチェックしてなかったせいです。でも、しっかり星5つの作品はありますよ。


※6月のアルバム感想はこちら

※5月のアルバム感想はこちら

※4月のアルバム感想はこちら

※3月のアルバム感想はこちら

※2月のアルバム感想はこちら

※1月のアルバム感想はこちら

<★の解説>----------------------
★★★★★今年の名盤上位20位以内確実!
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆普通に良作
★★☆☆☆若干気になる部分もあり。もう少し聴きこみたい
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
---------------------------



では今月も、さっそく「Album of The Month」からご紹介します!

【Album of The Month - Ruby Coast / Whatever This Is】
★★★★★
RubyCoast

カナダ出身の3人組インディロックバンド。パッと聴くとサウンド的にはありきたりな感じがするのに、なぜか例えられるアーティストが全く思い浮かばないのが不思議。系統的には、The StrokesやThe Fratellisあたりのどキャッチーなロックンロールバンドが、キーボードをふんだんに取り入れて、さらにLos Campesinos!が持っているような陽性のポップネスを爆発させたと言ったところ。湿っぽさのないArcade Fireとも言えてしまうあたりも何となくカナダ出身の彼ららしい。ボーナストラックでアコースティックバージョンやエレクトリックなリミックスバージョンも入っているけど、メロディセンスが際立っているのでどちらも素晴らしい出来になっています。なんとこのアルバム、このクオリティでありながら彼らのサイトでフリーダウンロードされています(試聴もできます)。先ほど挙げたようなバンドが好きで、まだ未聴の方はパソコンのハードディスクを119MBを割いて必ずDLすべし、ですよ。


Memory Tapes / Player Piano
★★★★☆
チルウェイヴ四天王を選ぶなら、Washed Out、Toro Y Moi、Neon Indian、そしてこのMemory Tapes。これは勝手に僕が考えました。でも、シーンを代表するこれらのアーティストが、それぞれ枠から飛び出したクリエイティブな作品を出したことで、このジャンルもいろいろサブジャンルが生まれてきています。そんなことはさておき、このアルバムは完全にチルウェイヴに括っちゃいけない作品。どっちかっていうとネオアコやギターポップを、エレポップ調にアレンジしたという雰囲気。とにかく曲がどキャッチーでアップリフティングなので、チルウェイヴの枠に収めておくのはもったいなすぎな美メロポップ作品です。




Maia Hirasawa / Maia Hirasawa
★★★★☆
日本とスウェーデンのハーフである女性SSW。日本ではすでにシャンプーやJR北九州のCMで、お茶の間レベルで有名ですね。トランペットやピアノが軽快なチェンバーポップ。邦楽しか聴かない人がRegina Spektorとか聴くきっかけになればうれしいですね。このアルバムは日本編集盤みたいな感じですが、まさに全曲が明るくポップ。おおはた雄一とのコラボ曲のような静かな曲でも、ヘタに湿っぽく「○○したくて震える」みたいにならずに優しく包み込んでくれる歌声がいいです。フジロックのステージも楽しみだけど、果たしてオーディエンスはアヴァロンに収まるのか?が心配。




Wugazi / 13 Chambers
★★★☆☆
USエモーショナル・ハードコア・バンドのFugaziと、これまたハードコアなヒップホップ集団Wu-Tang Clan(今でいうところのOFWGKTA的存在)のマッシュアップ作品がフリーダウンロードされています。どちらのアーティストもそこまで入れ込んでるわけではないのですが、だからこそこの作品をニュートラルな視点で聴けました。ラップはかっこいいし、尖ったビートやピアノが入ったりするトラックも激クール。本家FugaziとWu-Tangも聴きたくなりますね、これは。画像クリックでDLサイトにジャンプします。

wugazi



Incubus / If Not Now, When?
★★☆☆☆
世間的にはどう評価されるんだろう…そればかりが気になってしまう作品。彼らの持ち味である、激しくてグルーヴィーな曲はほとんどなく、全体的にゆったりとしたグッドメロディが大半を占めます。そのため、最初に聴いたときは地味な印象があったのも否めません。でもやはりメロディがすばらしいので聴くほどに味が出るスルメ盤になりそうです。ただ、前作「Light Grenades」でUSチャート初登場1位から翌週には37位になり、急下降ランクダウンの不名誉な記録を作った彼らだけに、今作もアメリカでどのようなチャートアクションを見せるのか?が心配であります。

今週の10曲

今週の10曲(2011/7/24付)

今週よく聴いていた曲や初聴きした曲を紹介します。今回はフジロック直前なので、フジで絶対観たいアーティスト特集。また、7月23日に急逝したエイミー・ワインハウスを偲びます。



Amy Winehouse - "He Can Only Hold Her"
27歳にしてこの世を去りました。アルバム「Back To Black」の中でも一番好きな曲です。R.I.P.



Coldplay - "Sparks"
金曜日のグリーンステージヘッドライナー。予習しようと久しぶりにファーストを聴いたら、この曲のジャジーな雰囲気すごくいいですね、しばらく忘れてました。



Washed Out - "Eyes Be Closed"
金曜日の深夜のレッドマーキーに出演。バレアリックでロマンチックなサウンドが魅力的。PVも早回し映像のスクリーン前でバイクに乗ってる女性がクール。光のまばゆい感じもかっこいいです。



Jimmy Eat World - "Lucky Denver Mint"
金曜日のグリーンステージに出演。彼らが出演すると、必ず雨が降るので要注意(笑)!!



Fountains of Wayne - "Stacy's Mom"
土曜日のグリーンステージにお昼に登場。晴れた天気の下で彼らの曲を聴いたらものすごく気持ちよさそう。友達のお母さんを好きになってしまったという曲です。



Battles - "Wall Street"
土曜日のグリーンステージに出演。位置が高すぎなシンバルがトレードマークなだけでなく、どのメンバーも高い演奏力を持っているので、パフォーマンスは超期待。



Warpaint - "Elephants"
日曜日のレッドマーキーに出演。圧巻のパフォーマンスを見せること間違いなしのLAの女子4人組バンド。何を差し置いてもこれだけは見ます。観たい度は今年のNo.1。



Mogwai - "Mogwai Fear Satan"
日曜のグリーンステージ出演。12分近いインストですが、この轟音と美しいメロディはいつまでも聴いていたくなります。まさにノイズのシャワーを全身に浴びられます。



Beach House - "Norway"
日曜のレッドマーキーに出演。ボーカルはミシェル・ルグランの姪です。こちらも夕刻にドリーミーな空間を提供してくれそう。



Atari Teenage Riot - "Activate"
日曜のレッドマーキーのヘッドライナーとして出演。ATRをレッドマーキーで観ることになるとは…死者が出ませんように!



※来週の「今週の10曲」はフジロック中のためお休みします。


出たばかりの新作から何曲やるのかな。

00年代ベストアルバム

Back To 00's - 「00年代の名盤」を1年ごとに振り返る(2005年編)

僕が初めてリアルタイムに実体験したディケイド、2000年から2009年までの「00年代」のロック名盤を、1年ごとに振り返るこの企画。第六回目となる今回のテーマは「2005年」です。

⇒第一回テーマ「2000年」記事へ

⇒第二回テーマ「2001年」記事へ

⇒第三回テーマ「2002年」記事へ

⇒第四回テーマ「2003年」記事へ

⇒第五回テーマ「2004年」記事へ


2005年の名盤 Best11weezer_make_believe


01 Weezer - Make Believe
02 Sigur Ros - Takk…
03 Royksopp - The Understanding
04 Soulwax - Nite Versions
05 LCD Soundsystem - LCD Soundsystem
06 M.I.A. - Arular
07 Caesars - Paper Tigers
08 Space Cowboy - Big City Nights
09 Vitalic - OK Cowboy
10 Bloc Party - Silent Alarm
11 Black Eyed Peas - Monkey Bussiness



2005年当時記録していた個人的な年間ベストを元に、当時リアルタイムで聴いていなかったものを足して決定しました。



この年の個人的年間ベスト1位になったのは、Weezerの5枚目のアルバム。ジャケはアレですけどね。世間的にはWeezerの人気アルバムと言うと、初期の2枚っていうのが一般的なんですが、僕の場合はPinkerton(セカンド)の次はコレなんです。全米シングルチャートでもヒットした「Beverly Hills」をはじめとして、珠玉の泣きナンバー目白押し。

"Perfect Situation" by Weezer

PVのストーリーも面白い。


で、この年に聴いていたものの傾向とすると…。


1、2、3、7なんかは従来の僕の志向通り、メロディに主眼を置いていて、どれもエモーショナルで「泣き」が入ったメロディも得意だったりします。別にこの時期悲しいことやつらいことがあったわけではありません(笑)。

それ以外に目を向けると、目立つのはエレクトロ系の音。Black Eyed Peasなんかも入ってるけど、好きだったのは「My Humps」みたいなマイアミ・ベース風エレクトロだったりと、傾向としては薄口のエレクトロではなくてアナログシンセがウニウニ言ってる感じでブーティーなゲットー・ベース風情なのが好きだったり。かつパンキッシュだと尚よしだったので、VitalicやLCD Soundsystemなんかが入ってきてます。代表曲「La Rock 01」が代表曲であるVitalicのこの曲なんかは、もはやメタル・エレクトロですね。

"My Friend Dario" by Vitalic



でも、そんなエレクトロ勢でも一番強烈だったのはM.I.A.でしょう。このアルバムは後追いでした。このアルバムはリリース時に試聴した時、まったくこれまで聴いたことのないサウンドだったので「ナンジャコレハ?」という感じですぐにヘッドホンを置いてしまった経験あり。でもなんかずっと心の中に引っ掛かってて、やっぱり聴いた方がいいんじゃないか?と思って翌年ロスに行ったときにお土産として買いました。あとから知ったけど、「ロッキーのテーマ」をサンプリングしたというこの曲、かっこいいですね。「M.I.A.」とは「Missing In Action」の略で、戦争で行方不明になる人のこと。テロ組織の指導者だった彼女の父が実際に行方不明と言うのは、よく知られた話です。

"Bucky Done Gun" by M.I.A.



さっきの文章で軽く流してしまいましたが、7位のCaesarsは今聴いてもすごく良いアルバムだと思える作品。iPodのCMに「Jerk It Out」が使われ、ジンクス通りに一発屋っぽい感じになってしまいましたが、全曲がメロディアスで捨て曲がないです。あとこのバンドのキモはThe Doors風のオルガン!これが全編に入っていて、60's風ビンテージサウンドなタッチを増強しています。

"My Heart Is Breaking Down" by Caesars



2000年代初頭から続いていたエレクトロクラッシュやポストパンクリヴァイヴァルの流れで、自分もエレクトリックでパンキッシュなサウンドの虜になっていた2005年。それでも、普遍的なメロディを奏でつつガラス細工のような儚い美しさを持つSigur RosやRoyksoppなどは、やはり時間が経っても飽きないですね。時代を切り取ったようなエッジィな音も名盤になりえるけど、その中でも特にメロディに主眼を置いた作品が、飽きのこない2000年代を代表する名盤たりえたような気がします。



持ってる方は久しぶりに聴いてみることをオススメします。

ライブレポート

ライブレポート:Emmy The Great@代官山UNIT

7月19日(火)に代官山UNITで行われたEmmy The Greatのアコースティックライヴに行ってきました。NANO-MUGEN Fes.にも出演していたAshのTim Wheelerの参加が直前にアナウンスされましたが、兼ねてより親交が深く、お互いの曲をカバーし合っている二人なので、そんな感じで曲をやるんだろうなという期待も抱きつつ、僕にとっては初のUNIT。

emmythegreat


会場についてビールをちびちびやっているうちに、オープニングのDSKさんのライヴが始まった。流麗なギターのアルペジオとペダルのみで、まるでオーロラのようなサウンドを紡ぎだす技はお見事。そう言えば、「Aurora」というユニットもやっていたんでしたこの人。しかし最後に、「この後はエイミー・ザ・グレイト」と言ってましたね、残念。


さて、セットチェンジののち登場したEmmy The Greatことエマ・リー・モスは、ファーストアルバムの頃とは全く違った雰囲気でグッと大人っぽい装い。黒のドレスに、10cmはありそうなハイヒール、髪は上の写真のように後ろでクシュクシュとまとめ上げた感じだけど、違うのは前髪を全部上げて上で留めていたところ。元々美人なのだけど、腕や指や首が細いのでさらにシックで大人っぽい雰囲気が増していました。エマちゃんから4,5メートルしか離れていないほぼ最前列で鑑賞。ステージでの第一声「ヨロシクオネガイチマス」に萌えました。あ、Emmy The Greatだと長いので、以下親しみを込めて「エマちゃん」と馴れ馴れしく呼びますが、ご了承ください。


曲の方が始まると、伸びやかで艶やか、だけど舌っ足らずというか、彼女のボーカリゼーションを特徴づけているキュートな舌と唇の触れる音(と書くとエロいが)が心地よく響く。元々アコーステック調だけど、アコギ一本であることでよりこうした息遣いやつま弾く音がクリアに聴こえて、まるで耳元で囁いてくれてるかのよう。これは嬉しい。2曲目にしてファーストアルバムの中でも最もポップ(そして僕が一番好きな)「We Almost Had A Baby」を披露。




4曲目からは、AshのTimがゲスト参加。ゲストと言うよりは、ダブルヘッダーと言う感じで出ずっぱりでしたが(笑)。そしていきなりストロークスのカバー。しかし、Timのギターの音が出ないトラブル発生。なんとか直すと、その後もAshの代表曲の数々だけでなく、バングルスやウィーザーのカバーも披露。優しい歌声のエマちゃんに対し、TimはAshのライブの時と同じように全力投球。アコースティックだろうがツバを大量に飛ばしながら歌ってくれました。リズム隊がいないため、リズムキープが難しかったのかTimがペースを乱してしまう場面も何回かあったけど、一生懸命なTimの姿を見てたらまあ許せた。


エマちゃんは結構日本語でMCをしてくれて、ステージ上でTimに日本語を教える一幕も。仲いいです。エマちゃんのファーストアルバムのボーナストラックとして収録されていたAshの「Burn Baby Burn」で本編終了。気付いたけど、エマちゃんの足元にはタオルと水が置いてあったにもかかわらず、ここまで一度も汗を拭いたり水を飲んだりと言うことはせず。何ともクールというか、淑女です


アンコールは、エマちゃんが独りで登場し、ファーストから「First Love」を。レナード・コーエンの「ハレルヤ」を引用したこの曲の物憂げなメロディと、エマちゃんの声はやっぱり相性がいいです。続いてエマちゃんは袖に下がり、Timが独りで「Girl From Mars」を。アンコールはお互いのファーストアルバムの代表曲をやるっていうコンセプトだったんでしょうか。ちなみにTimがこの曲をプレイしている間、エマちゃんは袖でやっと、コソコソと水を飲んでました。うん、やっぱり淑女


ラスト、2人揃ってのピクシーズのカバー。本家ではキム・ディールが歌うコーラス部分をエマちゃんが歌ったのだけどこのファルセット具合がすごく素敵だった。元々彼女の声は割と低めだけど、すごく艶やかで安定感のあるファルセット。本当に歌がうまいなあ。




全体を通して見ると、カバー曲が多くてEmmy The Greatの曲が少なかったのは事実だし、ゲストな割にTimが目立ち過ぎてはいたけど、自分はそこはまったく気にならず、むしろ嬉しかったし、ツボを押さえたエマちゃんらしいカバー曲のチョイスも素晴らしかった。おかげで僕はバングルスをちゃんと聴かなきゃと思ったし、ピクシーズも久々に聴こうって気になった。そして何より、まだあまり深く聴けていなかった彼女の最新アルバム「Virtue」をあらためて聴いて、素晴らしい作品だと気がつくことができた。彼女は僕の中で、ジョニ・ミッチェルやスザンヌ・ヴェガと肩を並べても遜色ない女性シンガーになりました。


-7月19日 代官山UNIT セットリスト-
【Emmy The Great】
Paper Forest(Birds)
We Almost Had A Baby
Cassandra

【Emmy The Great with Tim Wheeler】
What Ever Happened? [The Strokes]
Shining Light [Ash]
Exit Night
If She Knew What She Wants[The Bangles]
Tracers[Ash]
Paper Forest(In The Afterglow of Rapture)
Modern Girl[Sleater-Kinney]
A Life Less Ordinary[Ash]
Iris
Island In The Sun[Weezer]
Dinosaur Sex
Burn Baby Burn[Ash]

【Encore : Emmy The Great】
First Love

【Encore : Tim Wheeler】
Girl From Mars[Ash]

【Encore : Emmy The Great with Tim Wheeler】
Where Is My Mind?[Pixies]


ライブ後に遅ればせながら評価上がりました。


年間/半期ベスト[2011年]

2011年 上半期ベストトラック10

上半期の個人的なベストアルバムはすでに前の記事発表したので、調子こいてベスト・トラックも発表。アルバム全体としては評価がそこまで高くなくっても、曲単位になるとすごく好きなのとかありますよね。僕はアルバム至上主義なので、曲順やアートワークやアルバムの長さなども含めて評価するので、アルバムランキングには反映されないけど、曲単位でものすごく好きな曲とか出てくるんです。そんなわけで上半期のベストトラック10曲を発表。

ちなみに、シングルの正確な発売時期などはわからないので、確実に今年発表されたシングルもしくは、今年発表されたアルバムの収録曲から選んでます。「アルバムは2011年だけどこの曲のシングル出たのは去年ですけどー」っていうツッコミはナシで!



1. "Belong" by The Pains of Being Pure At Heart


すでに2011年上半期ベストアルバムの対談の中でチョロっと出てきたように、ベストトラックの1位も、アルバムと同様にペインズなのですが。一応、このランキングは1アーティスト1曲までとしてますが、その制限しなかったらベスト10内に2、3曲はペインズの曲入りそうです。このミッドテンポの曲調と、イントロのノイジーなギターの入り、完全にスマパン入ってます。今にも壊れそうなガラス細工みたいな繊細なボーカルと、ノイジーなギターのアンバランスな感じが好きです。



2. "The Beat Goes On" by Beady Eye


正直、最初はあんまり期待してなかったBeady Eye。やっぱり、オアシスはノエルあってのあの名曲群だから、他の人が曲作ってたら大したことないだろうと思ってたら大間違い。「The Roller」を聴いたとき、「これはアルバム聴かねば!」と驚愕したのですが、いざ聴いてみるとさらに上を行く曲が。それがこの曲で、ちょっとFountains of Wayneがやりそうなミディアムテンポナンバー。アンディ・ベル作曲だそうです。



3. "All Die Young" by Smith Westerns


この曲はもう、魔法です。魔法にかかったみたいに、サビで色彩がブワッと広がっていく感じがたまりません。クリスマスに聴きたい曲として、昨年のMagic Kids「Hey Boy」と双璧をなす名曲。



4. "Punching In A Dream" by The Naked And Famous


シングルではたぶん去年くらいに出てたとは思いますが。アルバム全体としては、クオリティにバラツキがあったのでそこまで高くなかったのだけど、この曲はPassion Pit好きのハートのど真ん中を打ち抜きます。しかも「うぇいえいえいえいえい」なんてシンガロングで盛り上がるの必至なフックもあり。



5. "Glass Jar" by Gang Gang Dance


僕は3、4分でコンパクトにまとまってる曲が好きで、冗長な感じの長い曲は好きではないんですが…。この曲だけは別。11分半に及ぶ長尺曲ですが、めくるめくように展開していくのでまったく冗長さを感じさせません。この辺の編集能力とか盛り上げ方がうまいです。お時間のない方は、3:30あたりから聴いてみてください。



6. "Best Lasts Forever" by The View


3枚目のアルバムですが、実は今作で初めてちゃんと聴きました。本編ラストを飾るこの3連バラードは、ありがちなコード進行ではあるけど、アレンジの妙でアンセミックな感じをこれでもかと演出しています。他の曲もそうだけど、ソングライターのカイルは最小限のコードですごくメロディアスな曲を作る天才。



7. "Get In Line" by I'm From Barcelona


AKBかってぐらいに大所帯メンバー。それだけ、ストリングスやホーンやシンセなど音も多彩なわけですが、アンセム調のオーケストラル・ポップと四つ打ちエレクトロのミックスは斬新。チアフルなコーラスが楽しげなこの曲がクラブでかかったら、笑顔で踊らない人なんているんだろうか?ってくらいにキャッチーなダンスナンバー。



8. "Lions In Cages" by Wolf Gang


アルバムはまだ出てませんが。Coldplayのスタジアム映えするスケール感と、MGMTの「Kids」を掛け合わせて生まれたような曲。両方好きな方はぜひ聴いてみてください。デイヴ・フリッドマンがプロデュースしたデビューアルバム「Suego Faults」は7月中に出る予定。



9. "Someone Like You" by Adele


アルバム初めて聴いた時から、ラストを飾るこの曲が一番好きだったんだけど、今ではシングルカットもされてセールスは100万枚を記録。うれしいですねー。後半、ピアノでブレイクを入れて歌う部分が特に好き。生でこれ聴いたら絶対泣ける自信がある、うん。



10. "Just Like Honey" by The Submarines

「お…このタイトルは…!」と思った方。正解です。The Jesus & Mary Chainの名曲を、夫婦デュオがカヴァー。アルバム「Love Notes / Letter Bombs」の、iTunes限定ボートラとして発表されていて、ここ日本では結構レアな代物。




【オマケ】2011年上半期に発表された曲ではないのですが…

"I Wanna Be Adored" by The Raveonettes


The SubmarinesによるJ&MCのカヴァー曲が出たところで、The RaveonettesによるThe Stone Rosesのカヴァー曲を紹介します。やはり、ニューウェーヴを通過したハイブリッドなサウンドを奏でるバンドが80年代の名曲をカヴァーすると、とんでもないものクオリティーになります。この曲は彼らの今年リリースされたアルバムには入っておらず、ブーツブランドのドクター・マーチンのサイトでフリーDLされていたもの。



早く聴きたい。

ライブレポート

ライブレポート:Weezer@ZEPP TOKYO

7月14日(木)に行われたWeezerの“Memories & Best of”公演2日目、セカンドアルバム「Pinkerton」の全曲再現ライヴに行ってきました。

weezer
※写真は今回のライブとは無関係です
(が、リヴァースはこの写真と同じポロシャツ着用。しかも2005年のサマソニでは写真と同じポロシャツ&ジャケット着用。相当お気に入りのようです笑)


彼らのライヴを観るのは6回目くらいなんだけど、稀代のメロディーメイカーであるリヴァース・クオモによって名曲量産型バンドである彼らにとっては、命題となっているのがセットリスト。人気曲が決してシングル曲だけではないどころか、B面曲や未CD化曲にも人気が高いバンドは、彼らの他にはなかなか見当たらないもんです。そんなわけで、ファンの中でも好きな曲はかなりバラけているし、単純に好きというよりも、たぶん「学生時代にバンドでコピーした」とか「好きな子にフラれたとき、この曲で思いっきり泣いた」とか、はたまた「自分の書いたファンレターが基になって、この曲ができた」…なんていうさまざまな思いをそれぞれのファンが抱えている、それがWeezerというバンド。よって、多くの人が満足いくセットリストというのは正直「ありえない」のです。


しかし先に結論から言ってしまうと、今回のライヴは、たぶんきっと多くの人にとって最高のセットリストだったはず。少なくとも、自分はそう。なぜなら、僕にとっては「Pinkerton」というアルバムは生涯のフェイバリットアルバムの中の1枚だからというのももちろんだけど、前半のセットリストがツボ過ぎたから。今回の公演は、前半は全体からの選曲、後半は「Pinkerton」の10曲をアルバムの曲順通りに再現するという二部構成で、前日はファーストである通称「ブルー・アルバム」を後半に演奏するというものでした。この日の前半のセットは、ライヴであまりやらない曲や初期のシングルB面曲など・・・ま、順を追って書きます!





ほぼ定刻にメンバーが登場すると、往年のファンが特大の拍手でお出迎え。リヴァースは、メッセージがたくさん書かれた日本の国旗を抱えていたけど、震災の応援メッセージなのかな?と思いつつ、まずは昨年リリースの最新アルバムからの先行シングル「Memories」でスタート。オーディエンスのテンションもさながら「Jackass」状態※にノリノリ。みんなが笑顔で飛び跳ね、「Oi!Oi!」コールまで飛び出すという展開に。そんな、ボルテージ上がりきった状態で2曲目にプレイされたのは、「Susanne」!!彼らのファーストシングル「Undone - The Sweater Song」のB面曲であり、自分にとってはWeezerの中でもベスト5(いやベスト3か?)に入るほど好きな曲。ドラムからの短いイントロのあと、一斉に鳴らされる各パートの音とリヴァースの声を聴いた瞬間に、目の奥で熱いものが思わず「ブワッ」となるのを覚えました。この曲は何てせつなくて、美しくて、力強いんだろう。気付けば周りの人も自分と同様に、涙を流しながら一緒に歌っていた。
※「Memories」は映画「Jackass」のテーマ曲に起用されました


途中、リヴァースのMCはほとんど日本語で、続く「Pork And Beans」ではあのリフを繰り返しながらリヴァースが「ブライアンサン!」などと各メンバーを紹介しながら、紹介されたメンバーにAメロを歌わせる演出。しまいには、パットにAメロを歌わせた後、リヴァースは「マイクにパットのツバがかかって汚いなあ…」と言わんばかりに、苦笑いしながら上着でマイクをフキフキ。これには場内大爆笑。あと、例の「I Don't Care I Don't Care…」連呼の部分ではリヴァースがオーディエンスにマイクを向け、全員で絶唱。


その後、5曲目にプレイされたのは「Susanne」同様に人気の高いB面曲「I Just Threw Out The Love Of My Dreams」。ファンにとっては、初代ベーシストであるマット・シャープがWeezer脱退後に結成したThe Rentals(今年のNANO-MUGEN Fesにも出演)の雛型となった曲として有名。ブライアンがキーボードの位置に付き、リヴァースが「ツギノキョクハムズカシイデス」「ガンバッテ」と言いながら、イントロでミスってやり直し(笑)。確かにキーボードの「ビヨ~ン」という音から始まって、カウントでウラから入るというのはちょっと難しいのです。ちなみにこの曲もたぶん、個人的に好きな曲ベスト10に入るかも。


人気のB面曲が2曲プレイされただけでも最高だったけど、たぶんこの頃には会場に集まったオーディエンスは、「もしかしたら"アレ"も演るんじゃねーの」という思いが去来した…かどうかはわからないけど、自分もライヴ前に「演ってほしいなー」と思っていた曲、「You Gave Your Love To Me Softly」が鳴らされると、もうオーディエンスは待ってましたと言わんばかりの熱狂の渦。2分にも満たないこの曲で、拳を振り上げつつ力の限りに最後の「ラーラーラー」を歌っていました。もう、この「B面の神曲」が3曲もプレイされたという時点で、最高のセットリスト決定。


でもこれだけではなかったのです。リヴァースがふいに、「ナニ?」と言うと、アコギでつま弾き始めたのはレディオヘッドの「Paranoid Android」のカヴァー(ていうかコピーだよね、コレ)。すでに先日、Youtubeでは公開されていたけど、この曲の持つ不穏な感じと、Weezerのポップな泣きメロは一見相容れないようでいて、実は結構ハマりカヴァー。海外の音楽ブログ「Stereogum」における「Weezerによるカヴァー曲ベスト30」の特集記事でも見事1位に輝きました。オーディエンスの中には、思わず笑い出す人や「おおおお・・・!」とどよめく人、「きゃっほー^^」と歓喜する人が入り乱れることに。確かにノリにくい曲ではあったけど、ゆらゆらと揺れながらラストのギターソロのガシャメシャ感にアドレナリン出まくり。続く第一部のラストは、ファーストから「Buddy Holly」でシメ。前日の「ブルーアルバム再現ライブ」でも演ったこの曲は、前日来た人も来なかった人も同じように熱狂。さすが彼らの代表曲!


さて、第一部と第二部の間には彼らの初期からのベテランスタッフとして有名なカール・コッチさん(自分はこの方とメールやり取りしたこともあります)のガイドによる懐かしの秘蔵写真スライドショー。これは「Memories」に掛けてるんですね。これがまた面白く、グウェン・ステファニーやスパイク・ジョーンズが出てきたり、タイの船上でパットが不機嫌な顔をしていたり、リヴァースが変な遊具にまたがっていたり、初来日時のライヴ写真だったり、・・・転換の約15分間をまったく飽きさせませんでした。


そして再びメンバーが登場すると、いよいよ本編「Pinkerton」再現ライヴがスタート。もちろん、今日ここに集まった人たちは僕と同様にあのアルバムを愛して止まない人たち。ステージのバックに、アルバムのジャケとなった葛飾北斎の「東海道五十三次」が張られると、初っ端「Tired of Sex」から全員がエモーショナルにシンガロング!リヴァースは「あの時」とは違って無理にシャウトしたり、悶々とした感情を爆発させはしないものの、やっぱり曲の持つブリリアントな魅力は失われないまま。


4曲目、このアルバムの中でも屈指の名曲であり、歌詞が日本に住む18歳の女の子からのファンレターを基に書かれていることで、日本人にとっても特別な曲である「Across The Sea」にて、またもや涙腺が決壊。ブライアンが弾くイントロは、ちょっとミスってた(笑)、そんなところも含めて彼ららしいっちゃ、らしい。




続く「The Good Life」ではダイブする観客もあらわれ、徐々にクライマックスに向けてオーディエンスのボルテージも盛り上がる。再現ライブっていうのは、あと何曲で終わるかが分かっているから、オーディエンス側もラストに向けた気持ちの持っていき方がわかっているし、それによってオーディエンス同士の一体感だけでなくアーティストとの一体感が出るあの感じ、すごく素敵な体験でした(ボキャ貧でうまく表現できずすみません)。


陽気な「El Scorcho」の倍速パートではまたもダイバーが出て、最高潮を迎えた後は「Falling For You」で泣きモード全開。この曲、実は以前はあまり好きじゃなかったのです。なんかコード進行変だし。でも、2回目のサビが終わった後のパートのエモーショナル感の凄まじさに気付いて、ここ数年で好きになりました。もちろん、ライヴではその部分でまた涙腺決壊。

↓2:07~2:50あたりの部分。



さて、リヴァース以外のメンバーが全員ハケると、リヴァースが独りでアコギを手にする。いよいよラストの「Butterfly」だ。アルバムと同様に、リヴァースによるシンプルな弾き語り(途中でさきほどのカール・コッチさんが軽いドラムを添えた)。この時ばかりは、オーディエンスも歌うのをやめてこの15年間あのアルバムを聴き続けた思い出を噛みしめるように静かに聴き入っていました。「I'm Sorry, I'm Sorry, I'm Sorry」の歌詞で曲が終わると、リヴァースはステージを静かに去っていった。アンコールなし。でも、物足りなさを感じた人は誰もいなかったと思う。間違いなく素晴らしいライヴだったけど、「Butterfly」で終わることの意味を、オーディエンスはみんなよくわかっていた。ラストにメンバーが一列に並ぶこともなく、ピックやスティックが客席に投げられることもなく、本当に静かに終わった。誰もがその余韻に浸っていた。会場を出る途中でみんなの顔を見たら、誰もが思いっきり泣いて泣きはらしたあとみたいな、清々しくはればれとした顔で笑っていた。





-7月14日 ZEPP TOKYO セットリスト-
Memories
Susanne
Pork And Beans
Keep Fishin
I Just Threw Out The Love Of My Dreams
Don’t Let Go
You Gave Your Love To Me Softly
Hash Pipe
Paranoid Android
Buddy Holly

---

Tired Of Sex
Getchoo
No Other One
Why Bother?
Across The Sea
The Good Life
El Scorcho
Pink Triangle
Falling For You
Butterfly

今週の10曲

今週の10曲(2011/7/17付)

今週よく聴いていた曲や、初聴きした曲を紹介します。先週に引き続きハマってしまったRuby Coast、最近知ったばかりのDinosaur Feathers、Little Dragon、Desireの他、ライヴ行ってきたWeezer、来週行く予定のEmmy The Greatも。


Dinosaur Feathers - "Please, Please George"
この曲のような70'sサーフポップみたいな曲だけでなく、ヴァンパイア・ウィークエンドっぽい曲やジプシーっぽい曲などもあり、引き出しの多さを感じさせるUSインディバンド。今後要注目です。



Ruby Coast - "Creep Me Out"
先週に引き続き。これは本当にハマりました。こんな素敵なアルバムをフリーDLしてしまうとは…The Strokes、Los Campesinos!好きはDLして損なし。こちらからDLできます。



I Break Horses - "Winter Beats"
M83やスロウダイヴが引き合いに出される、スウェーデンはストックホルム出身のエレクトロ・シューゲイザーバンド。ミニマルに繰り返されるシンセリフと、ほどよいギター、柔らかなボーカルが心地よいです。



Yuck - "Daughter"
Yuckのデビューアルバムの国内盤が9月にようやく出るそうですが、6曲あるボーナストラックにも含まれないこの曲はオフィシャルサイトでフリーDL可。Yuckの中でも指折りの超名曲なのでぜひこちらからDLしてみてください。



Little Dragon - "Ritual Union"
間もなくサードアルバム「Ritual Union」がリリースされる、スウェーデン出身のエレポップバンド。ボーカルは日本人女性。



Desire - "Don't Call"
ドラマティックで静かなCrystal Castlesとも言えそうなカナダの男女ユニット。愁いのある艶やかなボーカルが魅力的です。イントロはちょっと「Billy Jean」っぽい(笑)。



Weezer - "Susanne"
Weezerのピンカートン再現ライヴ行ってきました。自分も大好きなこのB面人気曲は、2曲目にプレイ。



The Rentals - "Please Let That Be You"
アジカン主催のNANO-MUGENフェスで来日。かつてWeezerのベーシストだったマット・シャープのバンドということで、Weezerとの共演はファンにも感慨ひとしおでしょう。洋楽をあまり知らない人にこういうバンドを紹介する機会を作ってくれたアジカンGJです。



Emmy The Great - "Paper Forest (In The Afterglow Of Rapture)"
間もなく一夜限りの来日公演、楽しみです。ダウナーな曲調が増えた最新アルバムより。なんか、ますますスザンヌ・ヴェガ化してます。



Wugazi - "Sleep Rules Everything Around Me"
ヒップホップのスーパーグループWu-Tang Clanとエモーショナル・ハードコアのFugaziのマッシュアップ作品「13 Chambers」がこちらでフリーDLされています。




フェスとか出たらすごく雰囲気よさそう。

今週の10曲

今週の10曲(2011/7/10付)

今週よく聴いていた曲や、初聴きした曲を紹介します。今週は初聴きのものメインでお届けします。自分へのメモ代わりというか。Twitterのフォロワーさんに教えていただいたものがほとんどです。多謝!!



Memory Tapes - "Yes I Know"
チルウェイヴに分類されるソロユニットの、先日リリースされたばかりのセカンドアルバムより。これはチルウェイヴ括りではなく、ポップ・ミュージックとして広く聴かれるべき。



Computer Magic - "The End of Time"
ブルックリン出身の、かわいらしいエレポップサウンドを奏でる女の子。数枚のEPをリリースしているものの、フルアルバムはまだです。こちらも期待大。



Ruby Coast - "Whatever This Is"
カナダ出身の新人によるデビューアルバム。やってることはオーソドックスなのに、比較するアーティストがない個性を持ってると思います。Arcade Fireが陽性に弾けたかのように、とにかくめちゃくちゃポップ。アルバムはフリーDLできます。



Tribes - Sappho"
なんだかすごくブリットポップな曲調。Blurのポップ性とSuedeのグラマラス感をミックスして、ラウドにした感じ感じです。後半がヘドウィグ・アンド・アングリー・インチみたいなPVも素敵です。



Wild Honey - "1918-1920"
スペインはマドリード出身、GUILLERMO FARREによるソロプロジェクト。この曲はフリッパーズギターやサイモン&ガーファンクルを思わせるセンシティブなコーラスワークが光るフォーク調バラードです。



Sondre Lerche - "Stupid Memory"
フォークやカントリー調のサウンドにちょっとエレクトリックな要素もミックスし、独自のポップなサウンドを奏でる男性SSW。PVも素敵です。



Fixers - "Crystals"
シューゲイザー風のアトモスフェリックな音にダンスビート。超絶にキラキラしつつ踊れるサウンドで、クラブでかかったらテンション上がること間違いなし。



Givers - "Saw You First"
先週に引き続き取り上げます。6月にアルバムを出したルイジアナ出身の5人組マジカル・ポップバンド5人組。



Bon Iver - "Calgary"
数々の著名アーティストからもリスペクトを集めるアメリカのバンド(元はソロユニット)。どこまでも美しいサウンドです。フォークを下敷きにしつつも、気持ちの良いキーボードの音が個性を出しています。



Mutemath - "Drums Plus Bass"
10月にリリース予定のサード「Odd Soul」の広告的な映像。これはヤバすぎる音と映像です。何がヤバいかは、文字だけでは伝わらないのでとにかく見てください。





期待したよりもさらによかったです。夏の清涼剤にオススメ。

年間/半期ベスト[2011年]

2011年 上半期ベストアルバム【後編:ベスト10感想とその他の作品】

先日発表したyaboriさんとの「2011年上半期ベスト10」対談はご覧いただけましたでしょうか?あちらでは上半期を振り返る対談をメインに、お互いの好きなアルバム10枚などを駆け足で紹介したので、今回はもう少し深くそれらの作品についてツッコんでいきたいと思います。


それではまず対談の中でも書いた私の選ぶ2011年上半期ベスト・アルバムTOP10をあらためて。試聴できるように、小さくだけどYoutubeも貼っておきます。1位のペインズを除き、全部アルバム中で一番好きな曲をセレクトしました。


1. The Pains of Being Pure At Heart - Belong
"Even In Dreams"
POBPAH-belong
「C86」「ジャングリー・ギター・ポップ」「アノラック」「ネオアコ」などのタームで括られるムーブメントを、Vivian Girlsとともに牽引するデビュー作を放った、ブルックリン出身の4人組。今作はそんな「夢見る少年少女」がまさに逞しい大人の世界へと踏み出した作品。それは決して幼少期との決別でもないし、大人の世界への不安に怯えてるわけでもなく、あどけなさを残しながらもしっかりと地に足を付けて毅然と歩む姿が音に顕れています。
そんな抽象的な表現はさておき、メンバーが憧れていたスマパンの「Siamese Dream」やマイブラ「Loveless」と同じくアラン・モウルダーをミキサーに起用し、プロデュースはU2、デぺッシュ・モード、スマパンと枚挙に暇がない名プロデューサー・フラッドという最強布陣。そのせいか、青春まっしぐらな甘酸っぱいメロディとか弱き心(それこそまさにバンド名のような)を持ったファーストと比べ、今作はスマパンの「Siamese Dream」を思い起こさせる太いギターと繊細なボーカルと美しいメロディが同居する作品となりました。
このサウンドの変化の驚き、以前にもどこかで経験したことがある・・・と思っていたのですが。そう、これはまさに、我らがAshのファースト「1977」とサード「Free All Angels」の関係にソックリだと思いませんか?(セカンドすっとばしてすみません。でも、ペインズはAshよりも早くそこに到達することができたってことだと思います)この発見をした時、僕は心の中でガッツポーズしました。とにかく、メロディだけでなくアルバム全体の完成度なども含めダントツの1位です。


2. Glasvegas - Euphoric /// Heartbreak \\\
"You"
glasvegas
初めて聴いた時の評価では、5つ星中3つ星だったこの作品。今にもツバ飛んできそうなこのムサ苦しいボーカルが苦手だったはずが、二度三度聴くうちにあれよあれよとハマっていき、なんと上半期の2位にまで上昇。自分でも驚きです。シューゲイズサウンドはさらに壮大さを増し、ドラマーが変わりリズム面も強化(が、アルバムではボーカルのアランがドラム叩いているらしい)。キラキラのシンセをまぶせ、スタジアム映えするアンセミックで激エモーショナルなナンバーのオンパレード。そしてこのアルバムも、ペインズと同じくフラッドのプロデュース。いい仕事してますなあ。


3. Noah And The Whale - Last Night On Earth
"Tonight's The Kind Of Night"
noahandthewhale
これまではフォーク調のちょっと切なげなサウンドを奏でていた彼らが、今作で大胆チェンジ。フォークが下敷きになってはいるものの、エレクトリックでダンサブルな要素が目立ちます。さらにメロディの瑞々しさや、ゴスペル調な多重コーラスが導き出す高揚感も白眉。自身の失恋をテーマにしたコンセプチュアルな前作も素晴らしかったですが、陽性に弾けた今回の方向性も自分にとってはうれしいです。


4. Gypsy And The Cat - Gilgamesh
"Running Romeo"
gypsyandthecat
オーストラリア出身の2人組。本国では昨年アルバムがリリースされていますが、今年になってRCAからワールドリリースされたので入れてしまいました。ペット・ショップ・ボーイズにも通じる甘美なエレポップ。時折見せるキラーズな感じもいいです。


5. The Submarines - Love Notes / Letter Bombs
"Fire"
thesubmarines
前作収録曲がアップルのCMに使われたことでも話題となり、前作リリース後夫婦となったデュオ。透明感のあるかわいらしい歌声は、The Ting TingsやCults好きにもオススメです。生楽器とエレクトロニクスのバランスが絶妙。


6. Secret Shine - The Beginning And The End
"Perfect Life"
secretshine
こんなに素晴らしいシューゲイザー名盤を作り出したのに、どうやら日本以外ではリリースされていない様子。もったいない!もう20年選手ですが、こんなに瑞々しい音とキャッチーなメロディを鳴らせるところがすごいです。シンセを大幅に導入していて、Slowdiveっぽいボーカルエフェクトも、うるさすぎないギターもお互いの音を邪魔せずにきれいに配置されています。最近のシューゲイザーはやたらとギターがひずんでいたり、ボーカルにリヴァーブをかけ過ぎなのが多いですが、これはシューゲイザーの理想形。


7. The Go! Team - Rolling Blackouts
"Secretary Song"
the go! team rolling blackouts
彼らの持ってる陽性のヴァイヴと、雑食な音楽性をいかんなく発揮した3作目。これまで同様にオールドスクールなヒップホップと、チアリーディングと、60'sガールポップとあれやこれがごっちゃになりつつも、しっかりと彼らのフィルターを通してGo! Teamサウンドにまとめ上げています。これがラストアルバムな噂も・・・イヤだ!


8. Adele - 21
"Someone Like You"
adele21
今更説明するまでもなく、全英で14度1位、全米で6度1位の記録(今はもっと更新してるかも)を持つ、今年最大のヒット作。19歳の時に作ったファーストのクオリティを軽く超え、ソウルフルでエモーショナルな歌声は圧巻で、まさに絶唱とはこのこと。多くの人々の心を捉え、心を震わせる曲が詰まっていて、そりゃ世界中で売れて当然です(日本は除く)。


9. Death Cab For Cutie - Codes And Keys
"You Are A Tourist"
DCFC
今やベテラン、アメリカを代表するロックバンドに成長した彼ら。でも成功で方向性を見失うことなく、飽くなき実験性とすばらしいメロディをもって最近作でもっともエキサイティングな作品に仕上がりました。ちなみに一発撮りで撮られ、撮影風景がリアルタイム配信された「You Are A Tourist」のPVは上半期のマイ・ベスト・ビデオ。


10. Radiohead - The King of Limbs
"Bloom"
radiohead
またも突然に届けられたRadioheadの新作。世間的には、「驚きや新鮮な点がない」なんて見方が多いようですが、自分は大いに驚きました。一番驚いたのはリズム・アプローチの進化。これまでもトムのソロ作で顕著なように、バスドラがランダムな位置に入ってるIDMみたいな複雑なビートを取り入れてましたが、今作のリズムアプローチはAtoms For Peaceでの活動の延長にあると言っていいと思います。トライバルなパーカッションを連打し、そこに複数のドラムパターン(わざとタイミングをずらしているようなところも)を乗せるという手法。ポスト・ダブステップの流れも組んでいると言われているけど、僕はその次元すらも遥かに飛び越えてしまったと思います。後半は特に美しいメロディーが続き、もやのかかった深い森の中でトリップしているかのような気分にさせられます。


では続いて、惜しくもTOP10を逃した11位~20位を発表。個人的には、「くっそ!こんなに好きなのにTOP10入らねーよこれ!!」ってぐらい好きなんで、かなり悩みました。


11. I'm From Barcelona - Forever Today
12. The Strokes - Angles
13. Gang Gang Dance - Eye Contact
14. Beady Eye - Different Gear, Still Speeding
15. Acrylics - Lives And Treasure
16. Akron/Family - S/T II: The Cosmic Birth And Journey of Shinju TNT
17. The View - Bread And Circuses
18. The Vaccines - What Did You Expect From The Vaccines?
19. Cults - Cults
20. Friendly Fires - Pala


2011sofar11-20




さらに、21位~30位の発表です。この辺も、かなり好きな作品ばかりですが…。今年は去年よりもさらに豊作でしたね。

21. The Beastie Boys - Hot Sauce Committee Pt.2
22. Smith Westerns - Dye It Blonde
23. The Raveonettes - Raven In The Grave
24. Foster The People - Torches
25. Yuck - Yuck
26. Metronomy - The English Riviera
27. Destroyer - Kaputt
28. Gil Scott-Heron & Jamie XX - We Are New Here
29. The Crookes - Chasing Them Ghosts
30. PJ Harvey - Let England Shake


2011sofar21-30




【オマケ】次第点の10枚
これらの作品もよかったんですが…残念なことにベスト30には入らず。もうここまで来ると順位付けできないので、単純にアルファベット順です。


Acid House Kings - Music Sounds Better With You
Atari Teenage Riot - Is This Hyperreal?
Battles - Gloss Drop
Beyonce - 4
Cut Copy - Zonoscope
Dream Diary - You Are The Beat
Emmy The Great - Virtue
The Naked And Famous - Passive Me, Aggressive You
Ringo Deathstarr - Colour Trip
Tennis - Cape Dory


2011sofarothers


以上です。長々とした文章読んでいただき、ありがとうございました。ここに下半期のアルバムも加わるとなると、年間ベストは相当に悩ましいことになる気がします。それが楽しかったりするんですけどね。このランキング作成にあたり、この半年に買ったCDをあらためて1枚ずつ聴き直すことができてよかったと思います。1回聴いてあんまり良くないと思ったものも、新発見があったりしましたからね。
それではこの辺で。

年間/半期ベスト[2011年]

2011年上半期ベストアルバム【前編:BEST10対談】

2011年、上半期終わりましたね!各音楽メディアや音楽ブロガーさん、さらにTwitterのフォロワーさんたちの間でも続々と上半期のベストアルバムが発表されていますが、そんな中で当ブログも「わりと遅く」発表です。今回は、以前にもブログで【名盤合評 Kula Shaker - K】の記事と【相互インタビュー「洋楽を好きになったきっかけは?」】の記事を書かせていただいた、yaboriさんのブログ「時代を超えたマスターピース」との合同企画として、yaboriさんと対談形式でお互いの好きなアルバム10枚ずつを双方のブログで発表していきます。



対談『2011 上半期ベストアルバム』
[Y]yabori
[D]David


*********************

『トムの謎の踊りのやつ(笑)。あれは事件でしたね!』



D: こんにちわー。1ヶ月ぶりの対談ですね。
Y: こんにちは!さてさて今回は上半期ベストでしたね!さっそく出していきますか!?
D: えーと、まずじゃあ、上半期の音楽シーンの総括から軽く振り返ってみましょうか。大きなトピックとか出来事とか。何が印象的でした?
Y: 今年の上半期は、UKギターロック復活の兆しがありましたね!
D: ありましたね。yaboriさん的には、具体的にどんなアーティストが目立ってましたかね。
Y: Yuckとかマイルズ・ケインとか。素晴らしい作品が出ました!
D: あ、マイルズ・ケインまだ聴いてないや(笑)。
Y: 聴いて損はないっすよ!アークティック・モンキーズの新譜にもヒケを取らないと思います♪
D: アークティック・モンキーズも聴いてないという…(笑)。
Y: あらら(笑)。あと、ザ・ヴァクシーンズもかなり注目されてましたね。
D: そうそう、ザ・ヴァクシーンズね!あれは結構好きでした。僕はでも、まだまだUSの方が全然元気だったなーって印象ですね。
Y: 確かにまだまだUSですよね。
D: やっぱりまだブルックリンが面白いなーって感じでしたね。ペインズ(・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート)もギャング・ギャング・ダンスもブルックリンだし。
Y: ブルックリンは熱いですね!まだまだいいの出て来ると思います。Davidさん的にはこの上半期、USの方をよく聴いていた感じっすか?
D: いえ、実はあんまり意識はしてなかったですけど…今あらためて見たら、上半期ベストアルバム10枚にはUSアーティストはあんまいなかったです(笑)。
Y: そうなんすか(笑)。じゃあ、上半期の世界的な動きはどう見てました?
D: 結構今年は、去年までのトレンドの流れを引き継いでる感じでしたね。新しいジャンルとかはなかったけど、シューゲイザーやチルウェイブやダブステップがまた進化して、次のフェーズに移ったなって印象でした。
Y: なるほど!ジェイムズ・ブレイクとかペインズがそれを牽引したみたいな!?
D: ジェイムズ・ブレイクは話題でしたね。でも自分はあんまし…でした。
Y: 僕もジェイムズ・ブレイクはあんまり聴けてないですね。どんなの聴いてました!?
D: よく聴いてたのは、あんまり流行とは関係なく、これまでも自分が好きだったようなメロディアスでポップなものですね。
Y: デスキャブ(・フォー・キューティー)とか、まさに流行に流されずって感じやと思いますね~。
D: そうそう。実はデスキャブはベスト10入ってます(笑)。yaboriさんは全体的にはどんな傾向ですか?
Y: 傾向的にはUKギターロックとインディー系とシューゲイザーですね!
D: なるほどね!そしたらたぶん、10枚挙げたら何枚かカブってるんじゃないかな。
Y: やっぱり(笑)。でも今年はダンス系やエレクトロ系は個人的に受け付けられなかったですねー。
D: そうですねー。僕も数年前はダンス&エレクトロ系はすごく好きだったんですけど、今年はほとんど聴かずですね。多分いい作品は出てるんだろうけど、なんとなく気分ではないって感じで。
Y: フレンドリー・ファイアーズは買う気満々で試聴しましたが、イマイチでしたね。すっごくパワフルなんだけど、別に俺が聴かなくてもいいやろみたいな(笑)。
D: あ、そうですか?僕はフレンドリー・ファイアーズはいい方向に向かったなって思いました。時代読めてるな、と(笑)。メトロノミーとかも、脱・エレクトロしてますよね。
Y: そうですね!メトロノミー、前作はあまり聴いてないけどエレクトロって印象があったけど、今作のあのレイドバックした雰囲気は好きです!
D: レイドバックは上半期の大きなトレンド・テーマだった気がしますね。ちょっと音数とかも絞ってたり。音圧もあえて抑えてるの多かった気がします。
Y: そうですね!メトロノミーの新譜なんかまさにそんな感じですし!モンチコンってブログの記事にはフリートウッド・マックに回帰してるってのがあって面白かったです。
D: あ、僕もモンチコンはたまに読んでます。結構フリートウッド・マックは、上半期で一番引き合いに出されたバンドでしたね。僕も「噂」を数年ぶりに引っ張り出して聴いてました。
Y: 僕はあと、ローファイ系に走りましたね~。
D: 確かにローファイ系はアツかった!ローファイで夏っぽいのとか。
Y: ローファイで夏っぽいのならワイルド・ハニーってのが凄く良かったですよ!
D: それ全く聴いたことないです!チェックせねば(笑)。あと思い出した!レディオヘッドのいきなりの新作リリースが結構事件でした。
Y: あートムの謎の踊りのやつ(笑)。あれは事件でしたね!

"Lotus Flower" by Radiohead


D: ではそろそろ、そんな上半期を振り返ってそれぞれのベスト10作品を発表しますか。
Y: そうしますか!

David Garle's 2011 上半期ベスト・アルバム TOP10POBPAH-belong

01. The Pains of Being Pure At Heart - Belong
02. Glasvegas - Euphoric /// Heartbreak \\\
03. Noah And The Whale - Last Night On Earth
04. Gypsy And The Cat - Gilgamesh
05. The Submarines - Love Notes / Letter Bombs
06. Secret Shine - The Beginning And The End
07. The Go! Team - Rolling Blackouts
08. Adele - 21
09. Death Cab For Cutie - Codes And Keys
10. Radiohead - The King of Limbs


davidgarle2011



boriboriyabori's 2011 上半期ベスト・アルバム TOP10
yuck-yuck

01. Yuck - Yuck
02. Toro Y Moi - Underneath The Pine
03. The Strokes - Angles
04. Arctic Monkeys - Suck It And See
05. Naked Hearts - Mass Hysteria
06. Miles Kane - Colour of The Trap
07. The Raveonettes - Raven In The Grave
08. Wild Honey - Epic Handshakes And A Bear Hug
09. Metronomy - The English Riviera
10. Bertoia - Modern Synthesis


yabori2011



Y: おお!一位がペインズ!
D: 何もカブってない(笑)!!
Y: 見事にですね(笑)。ペインズは入れることも考えましたが、やっぱり違う気がしたんですよね。
D: 聴いてないのが半分以上…6つもありました。2,4,5,6,8,10位が未聴ですね。チェックしなくては…(汗)。
Y: 僕も半分くらい聴けてないですね。雰囲気は分かるんですけど(笑)。今回はかなりマイナーなインディ系入れてますよ。ワイルド・ハニーとかネイキッド・ハーツとか。
D: ネイキッド・ハーツはYoutubeで何曲か聴きましたね。その時はあんまりグッと来なかったんですけど…。ちゃんと聴き直してみます。
Y: あっ!知ってはったんですか!是非聴いてみてください♪僕はDavidさんがペインズを一位にした理由がめっちゃ気になります。
D: んー、単純にメロディがいいからですかね。あとは、前作から結構音の感じが変わったじゃないですか。
Y: はい!ガッツリ変わりましたね!
D: 前作と同じような感じで作ってたら、たぶんそのアルバムは聴くし好きだっただろうけど、3枚目も聴く気になるかどうか…って。でも今回はあの変化がすごく好きでした。前作もあれはあれで好きでしたけど。
Y: 僕は逆に1stとその間までのEPが凄く好きで、ペインズにはそっち方向には進んで欲しくなかったんだと思いました。
D: なるほどねー。yaboriさん的に、ペインズは10位以内には入らずってことで、何位くらいでしたか?
Y: 恐らくペインズは15位くらいだと思います(´Д`)僕の中でペインズはスピッツに一番近い存在だと思ってたんです。だからこそ変わって欲しくなかったのかも。
D: なるほど。
Y: 実はYuckを試聴した時にペインズと一緒に聴いてたんですよ(笑)。
D: yaboriさんがYuckを一位にした理由もききたいです。
Y: Yuckの楽曲の初期衝動、メリハリ、ソングライティングにやられました。今年の上半期リリースされた中で一番のソングライティングなのはYuckだったように思います。
D: うん、あれはメリハリよかったですね!静かな曲と、ノイジーな曲のバランス。
Y: そこに完全にやられましたね(笑)。あとギターロック復活の兆しを感じましたし。
D: USオルタナの片鱗ですね。ヨ・ラ・テンゴとかにも似てますし。でも僕ん中でちょっと惜しい部分もあって、Yuckはあんまり上位ではなかったですね。
Y: オルタナ色強かったですね。ちなみにどこが惜しかったですか!?
D: 例えば「The Wall」とか、ちょっとメロディ単調かなって。イイ曲はすごくいいんですけどね。特に静かめな曲と、「Georgia」とかは大好きですけど。
Y: なるほど。「Georgia」は必殺ですね(笑)。あのアナログな感じも良かったですね。
D: あのザラザラしたギターの音は最近なかったので、懐かしいというよりも逆に新鮮でした。
Y: そうですね。もろに90年代みたいな。90年代と言えば、90'sリバイバルの波も来てますよね。
D: ブリットポップね。下半期はそこらへん期待ですね!
Y: そうです!それ以外にもソニック・ユースみたいな音を出すバンドも出てきてます。それがネイキッド・ハーツだったり(笑)。
D: Yuckが撒いた種で、そういうのこれからたくさん出てきそう。USからもUKからも。
Y: そうっす!下半期はそういうのを収穫しないと(笑)。
D: あとはダンス系で言うと、四つ打ちがもう飽和状態なので、ブレイクビーツとかトリップホップとか、ダンス系も90'sリバイバルがあったりしたらもうちょっと面白い気がします!
Y: それは熱い!第二のポーティスヘッドみたいな!
D: 第二のポーティスヘッドみたいなバンド出てきてほしいですね。本家もアルバム、年内には出るか出ないからしいですよ!
Y: そうなんですか!楽しみ♪


『チルゲイザーとかチルステップとか出てくるかも(笑)』


D: じゃあそろそろ、上半期のベスト・トラックとかも発表しちゃいますか。
Y: はい!行きますか!
D: 僕はペインズの「Belong」です。アルバムと同じで面白くないですが(笑)。

"Belong" by The Pains of Being Pure At Heart


Y: 「Belong」ですか!やっぱり一曲目から変化がわかりますもんね!僕はトロ・イ・モアの「Before I'm Done」です。
D: マジッすか!ジャケがダメで聴いてない…(笑)。
Y: ジャケちょいキモいですけど、凄い傑作でしたよあれ。チルウェイブで括られてるけど、遥かその上をいってますね。
D: トロ・イ・モア、今度試聴してみよう(笑)。
Y: もっと言うなら去年のMGMTに一番近い作品だったような気がします。
D: それは俄然聴きたくなってきました!
Y: 是非に!音の小宇宙みたいな作品ですよ♪
D: チルウェイブと言えば、あの辺はまだまだ続きますかね?
Y: 日本からもホテル・メキシコなんかのバンドが出るくらいですから、もっと広がる可能性は十分にあると思いますよ。
D: そうですね。もっと細分化して、「チルゲイザー」とか「チルステップ」とか出てくるかも(笑)。まあ、メディアが勝手に名付けるだけなんですけどね。
Y: 細かっ!みたいな(笑)。トロ・イ・モアはモンチコンではチル・ソウルみたいに言われてますけどね(笑)。
D: 上半期がかなり豊潤だったので、下半期も楽しみですね!ジャンルもいろいろ出てくるし、ジャンルに捉われない新しい人たちも期待ということで。
Y: そうですね!期待!

"Before I'm Done" by Toro Y Moi




D: では最後に、まだアルバムは出てないけど、たぶん下半期にデビュー盤出すようなアーティストで期待してるのとかあります?
Y: それってかなり新人っすよねー。うーんいたかなー。Davidさんは何かいますか!?
D: そうだな、DOMってバンドですね。たぶん秋ぐらいにはアルバム出るんじゃないかと思いますけど。
Y: DOM!?どんなのですか!?
D: 「Living In America」って曲、今度Youtubeで探してみてください~。一言で言うと、MGMT・ミーツ・パッション・ピットかなー。
Y: おっ!でもそのMGMTはセカンドじゃなくてファーストの方みたいですねー。今度チェックしてみます!
D: 何だかすごくテキトーな表現しちゃった気がしますけど(笑)。
Y: (笑)

"Living In America" by DOM



2011年上半期ベスト 後編(11位~30位+10枚)


来たるデビューアルバムに「Living In America」は収録されない可能性も高いので、ぜひこのEPでゲットを。

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