名盤合評 |
前回からだいぶ間が空いてしまいましたが、音楽ブロガー仲間であるヤボリさん(Twitter⇒@boriboriyabori)のブログ「新聞が書かないGood News」との合同企画として、9ヶ月ぶりとなる名盤合評の第二弾をお送りします。
前回は唐突にKula Shakerの「K」を取り上げましたが、今回のお題もまた唐突です(笑)。
今回のお題:Blondie - "Parallel Lines"(1978年)
唐突とは言ってもきっかけはありました。このアルバムに収録されている「Heart of Glass」が、最近某自動車メーカーのCMに使われているので、そこでBlondieの音に初めて触れた人たちに彼女たちの魅力を伝えるとともに、現代のインディー・ロック・シーンに与えた影響についても再検証してみたいと思います(以下、突然「~だ、~である」調に変わります笑)。
前回は唐突にKula Shakerの「K」を取り上げましたが、今回のお題もまた唐突です(笑)。
今回のお題:Blondie - "Parallel Lines"(1978年)
唐突とは言ってもきっかけはありました。このアルバムに収録されている「Heart of Glass」が、最近某自動車メーカーのCMに使われているので、そこでBlondieの音に初めて触れた人たちに彼女たちの魅力を伝えるとともに、現代のインディー・ロック・シーンに与えた影響についても再検証してみたいと思います(以下、突然「~だ、~である」調に変わります笑)。
名盤合評 |
Twitterで知り合ったブロガーさんboriboriyaboriさんのブログ
「時代を超えたマスターピース」と合同企画をやらせていただくことになりました。
僕も、こういったことは初めてなのでどんな形で合同企画するか手探りですが・・・今後も対談など、いろんな企画を一緒にやってくつもりです。
ということで、第一弾となる今回は、2人にとって思い入れのある1つの作品(アルバム)を、それぞれの視点で語ろう、って感じでやります。同じ作品について、自分と異なる視点の意見を聞くっていうのは大いなる刺激を受けますからね。
今回のお題:Kula Shaker - "K"(1996)
元々は、最近の作品にしようとしてたんですが、あえて15年以上前の作品にしてみました。この作品はboriboriyaboriさんのブログタイトル通り、時代を超えたものだし、リアルタイムでない世代にその名盤の魅力を伝えていきたいので。ではまず僕のレビューから!
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イギリスの5人組バンドによる、96年リリースのデビューアルバム。
96年と言えば、イギリスはブリットポップの過渡期。
そんな中で、彼らがドロップしたこのアルバムは、97年の「ブリットポップ崩壊」に向けて最初にクサビを打ち込んだ、と言えるのではないだろうか。
このアルバムは全英1位となったけど、1位になった理由はこの時代に数多く存在した所謂「ブリットポップ」とは一線を画すサウンドだったから。
飽和状態となったブリットポップに飽き飽きして、移り気なイギリス人が新しいものを求めていた証拠なんじゃないかと思う。
サイケとグルーヴに満ちたこのアルバムには、壮大なエスケーピズムがある。普段の生活の中で、ほとんど馴染みのない異空間。ヒンドゥーの世界観、インド風の女性コーラス何を言ってるか分からないマントラ、そしてシタールの音が、聴く者に現実逃避的なトリップ感覚を抱かせる。(まあ、シタールに関してはビートルズも取り入れているから、多少馴染みがあるかもしれないけど)
1曲目、「Hey Dude」ではうねるベースとグルーヴィーなドラムから始まり、やがてワウを使ったギターが絡む。それらのインストルメンタルが混沌と巻き上がったところで、ぷっつりとブレイク。そこから再び、各パートが絡んでの怒涛のグルーヴ。さらに、クリスピアンの寝起きのような歌唱法でもって歌が始まる。
"Hey Dude"
この、リズムも音階も無視した酔いどれのような歌い方は、ボブディランのようでもあり、しかし彼よりもさらに脱力気味だ。60'sのブリティッシュロックンロールやマッドチェスターなど(そう言えばこの曲は、前年にリリースされたThe Stone Rosesの「Begging You」とベースやドラムの雰囲気が似ている)、イギリスの過去の音楽を下敷きにしながらも、インド風味とボブディラン風歌唱、さらに未知なるインドの要素が加わることで、今まで耳にしたことのない斬新なサウンドがこのアルバムには詰まっている。
ただ物珍しい要素を取り入れただけでは、わざとらしく奇を衒ったようになってしまうところを、当時のブリットポップの要素も感じさせるシンガロング可能なメロディを乗せることで、このアルバムは全編が非常にポップ。ヴァースからコーラスの展開が見事な「Into The Deep」はその最も良い例で、このアルバムには一切の捨て曲がない。
ポップに振り切れようが、「Govinda」や「Temple of Everlasting Light」のようにシタールやらタブラなどが鳴り響くドベドベにディープなインド風サイケになろうが、どれも親しみやすいメロディを持っていることで、長く聴き続けても飽きない作品になっている。
"Into The Deep"
ここまでポップでありながら混沌としていて、ダンサブルで、ロックンロールなサウンドなんて、誰でも簡単に取り入れられるようなものではない。その証拠に、彼らは1位を獲るほどにヒットしたにもかかわらず、フォロワーがまったく存在しない。ブリットポップ終焉のきっかけを作った最初の一撃でありながら、その後彼らに追随する新たなムーブメントは起きなかった。
でもそれは、彼らのサウンドが唯一無二だったからこそだと思う。あの時代だからこそ、このアルバムは存在し得たんじゃないか。そう考えると、このアルバムは時代性を大いに感じる作品だし、Oasis、Blur、Pulp、Suedeといったブリットポップの名盤と対比して聴くのも面白い。
2011年、イギリスのロックシーンは再び活性化しつつある。
その中でも面白いのが、Brotherに代表されるようなブリットポップ・リヴァイヴァルだ。一時期は「単なる享楽的なバカ騒ぎ」などと揶揄されたムーブメントも、時が経ってロックバンドが「ひたすらポップであること」はダサいことではなくなった。だけど、これからのイギリスのロックシーンがより一層面白いものになるには、そんなシーンの中でKula Shakerのようなバンドの存在が必要不可欠だと思う。
イギリスのロックシーンの今後のゆくえを占うものとしても、このアルバムは楽しむことができる。メインストリームに対するカウンターの流れが、これまでのイギリスの、いや世界のロックミュージックを面白くしてきたことは、疑いようもない事実なのだから。(text:david_girl_)
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お次は、boriboriyaboriさんのレビュー。
オアシスがビートルズの最もポップかつシンガロングできる部分を受け継いだとするなら、クーラはビートルズのインド音楽とサイケを最も色濃く受け継いでいると言えるだろう。
この「K」というアルバムの魅力は1stにも関わらず、完全にバンドとしてのアイデンティティーを確立し、幅広いサウンドを味わえる所だ。
まず彼らのアイデンティティーとはブルース色の強いロックを基盤としながらも、完全にそのロックとインド音楽を融合させたサウンドにある。
アルバムの完成度と独自性の確立で言えば、Doorsの1stと比較しても遜色はないだろう。
Doorsは1stアルバムでオルガンとフラメンコ風のギターワーク、ジムのボーカルや詞世界で独自のサイケサウンドを生み出した。
そんな偉大なDoorsの作品と比べてみても、遜色のない時代を越えたマスターピースである。
なぜクーラはブリットポップ全盛期にここまで完璧にロックとインド音楽を融合出来たのだろうか?
それはKulaのボーカルのクリスピアン・ミルズの思想から来たものである。彼はイギリス人でありながらも、インド古典音楽についての知識と尊敬の念、音楽的な技術の三者が揃っていた。
実際にクリスピアンは熱心にインド仏教を信仰しており、ハレ・クリシュナ運動にも参加している。
それゆえ高いレベルでのインド音楽とロックとの融合ができたのだ。
クーラの曲の幅広さはロックとインド音楽との融合したような曲だけではない。
サイケな曲もあればブルース色の強いロックもあり、ポップで聴きやすい曲と多岐に渡った音作りをしている点に魅力があるのだ。
Into The Deepではクーラのポップさが最大限に発揮された曲で、ボーカルにオルガンを含めたバンドのアンサンブルが優しく寄り添うような曲である。
Grateful When You're Dead/Jerry Was Thereという曲はヴィンテージ風のブルース色の強いギターロックから、一転して妖しい雰囲気のサイケなサウンドになる。Gratefulとは全く違った表情を見せ、別世界へと誘うようなボーカルと浮遊感のあるギターと打楽器が魅力的だ。
Temple Of Everlasting Lightでは深い森に入り込むような深淵さがあり、この曲の続きで聴くGovindaはこのアルバムの一番の聴き所である。
鳥のさえずり等の効果音から入るGovindaの繋がりは格別で、続くGovindaはまさにインド音楽とロックを融合させたこのアルバム屈指の名曲である。
この違和感なくインド音楽とロックを融合させる手腕はUKの中でも破格の才能だろう。
この文章で言いたいことはクーラはそこまで知名度はないものの、Oasisと並ぶくらいの才能とクリエイティビティーに恵まれたバンドと言う事である。
ルーツミュージックを四方八方から引っ張り出してくる、インディーロック全盛の今だからこそ、インド音楽とロックの融合を最良の形で再構築したクーラはもっと評価されるべきバンドだと思う。(text:boriboriyabori)
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いかがでしたでしょうか?boriboriyaboriさんのレビューと自分のレビューを見比べてみて、やっぱり同じ作品に対して視点が違うっていうのはすごく面白い。僕は、ブリットポップのカウンターの存在として彼らを位置付けました。yaboriさんはもう少し深く踏み込んで、なぜあの時代に彼らは、インド音楽とブルース色の強いロックを融合するに至り、またそれが成功に繋がったか?という視点で書いています。そんな中でも二人とも共通して書いてあることがあります。
ひとつは、ブリットポップの中における彼らの特異性。
そしてもうひとつは、様々な要素を取り入れつつ、根底にあるのはポップさであること。
面白いのは、2人とも彼らのポップさを象徴する曲として「Into The Deep」を取り上げているところ。それだけ、この曲のヴァースからブリッジ、コーラスに至るメロディ展開は最高なのです。
僕のレビューで、彼らのフォロワーは存在しないと書きました。それは音楽的に、という意味だけど、立場的に彼らを彷彿させるバンドがいます。それは先頃解散を表明したThe Music。2000年初頭のガレージ/ロックンロール・リヴァイヴァルの中で突然変異的にシーンに登場し、いきなり大ヒットした点や、どちらもグルーヴとサイケデリックという文脈で語ることができる点で、比較できる存在だと思います。
もしKula Shakerを聴いたことがなくて、The Musicが好きなら。もしくは、Kasabianでもいいです。グルーヴィでサイケデリックなサウンドが好きなら、このKula Shaker「K」は必ず名盤にとして心に刻まれるはず。
ジャケも面白い。
「時代を超えたマスターピース」と合同企画をやらせていただくことになりました。
僕も、こういったことは初めてなのでどんな形で合同企画するか手探りですが・・・今後も対談など、いろんな企画を一緒にやってくつもりです。
ということで、第一弾となる今回は、2人にとって思い入れのある1つの作品(アルバム)を、それぞれの視点で語ろう、って感じでやります。同じ作品について、自分と異なる視点の意見を聞くっていうのは大いなる刺激を受けますからね。
今回のお題:Kula Shaker - "K"(1996)
元々は、最近の作品にしようとしてたんですが、あえて15年以上前の作品にしてみました。この作品はboriboriyaboriさんのブログタイトル通り、時代を超えたものだし、リアルタイムでない世代にその名盤の魅力を伝えていきたいので。ではまず僕のレビューから!
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彼らは1位を獲るほどにヒットしたにもかかわらず、フォロワーがまったく存在しない
イギリスの5人組バンドによる、96年リリースのデビューアルバム。
96年と言えば、イギリスはブリットポップの過渡期。
そんな中で、彼らがドロップしたこのアルバムは、97年の「ブリットポップ崩壊」に向けて最初にクサビを打ち込んだ、と言えるのではないだろうか。
このアルバムは全英1位となったけど、1位になった理由はこの時代に数多く存在した所謂「ブリットポップ」とは一線を画すサウンドだったから。
飽和状態となったブリットポップに飽き飽きして、移り気なイギリス人が新しいものを求めていた証拠なんじゃないかと思う。
サイケとグルーヴに満ちたこのアルバムには、壮大なエスケーピズムがある。普段の生活の中で、ほとんど馴染みのない異空間。ヒンドゥーの世界観、インド風の女性コーラス何を言ってるか分からないマントラ、そしてシタールの音が、聴く者に現実逃避的なトリップ感覚を抱かせる。(まあ、シタールに関してはビートルズも取り入れているから、多少馴染みがあるかもしれないけど)
1曲目、「Hey Dude」ではうねるベースとグルーヴィーなドラムから始まり、やがてワウを使ったギターが絡む。それらのインストルメンタルが混沌と巻き上がったところで、ぷっつりとブレイク。そこから再び、各パートが絡んでの怒涛のグルーヴ。さらに、クリスピアンの寝起きのような歌唱法でもって歌が始まる。
"Hey Dude"
この、リズムも音階も無視した酔いどれのような歌い方は、ボブディランのようでもあり、しかし彼よりもさらに脱力気味だ。60'sのブリティッシュロックンロールやマッドチェスターなど(そう言えばこの曲は、前年にリリースされたThe Stone Rosesの「Begging You」とベースやドラムの雰囲気が似ている)、イギリスの過去の音楽を下敷きにしながらも、インド風味とボブディラン風歌唱、さらに未知なるインドの要素が加わることで、今まで耳にしたことのない斬新なサウンドがこのアルバムには詰まっている。
ただ物珍しい要素を取り入れただけでは、わざとらしく奇を衒ったようになってしまうところを、当時のブリットポップの要素も感じさせるシンガロング可能なメロディを乗せることで、このアルバムは全編が非常にポップ。ヴァースからコーラスの展開が見事な「Into The Deep」はその最も良い例で、このアルバムには一切の捨て曲がない。
ポップに振り切れようが、「Govinda」や「Temple of Everlasting Light」のようにシタールやらタブラなどが鳴り響くドベドベにディープなインド風サイケになろうが、どれも親しみやすいメロディを持っていることで、長く聴き続けても飽きない作品になっている。
"Into The Deep"
ここまでポップでありながら混沌としていて、ダンサブルで、ロックンロールなサウンドなんて、誰でも簡単に取り入れられるようなものではない。その証拠に、彼らは1位を獲るほどにヒットしたにもかかわらず、フォロワーがまったく存在しない。ブリットポップ終焉のきっかけを作った最初の一撃でありながら、その後彼らに追随する新たなムーブメントは起きなかった。
でもそれは、彼らのサウンドが唯一無二だったからこそだと思う。あの時代だからこそ、このアルバムは存在し得たんじゃないか。そう考えると、このアルバムは時代性を大いに感じる作品だし、Oasis、Blur、Pulp、Suedeといったブリットポップの名盤と対比して聴くのも面白い。
2011年、イギリスのロックシーンは再び活性化しつつある。
その中でも面白いのが、Brotherに代表されるようなブリットポップ・リヴァイヴァルだ。一時期は「単なる享楽的なバカ騒ぎ」などと揶揄されたムーブメントも、時が経ってロックバンドが「ひたすらポップであること」はダサいことではなくなった。だけど、これからのイギリスのロックシーンがより一層面白いものになるには、そんなシーンの中でKula Shakerのようなバンドの存在が必要不可欠だと思う。
イギリスのロックシーンの今後のゆくえを占うものとしても、このアルバムは楽しむことができる。メインストリームに対するカウンターの流れが、これまでのイギリスの、いや世界のロックミュージックを面白くしてきたことは、疑いようもない事実なのだから。(text:david_girl_)
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お次は、boriboriyaboriさんのレビュー。
なぜブリットポップ全盛期にここまで完璧にロックとインド音楽を融合出来たのだろうか
オアシスがビートルズの最もポップかつシンガロングできる部分を受け継いだとするなら、クーラはビートルズのインド音楽とサイケを最も色濃く受け継いでいると言えるだろう。
この「K」というアルバムの魅力は1stにも関わらず、完全にバンドとしてのアイデンティティーを確立し、幅広いサウンドを味わえる所だ。
まず彼らのアイデンティティーとはブルース色の強いロックを基盤としながらも、完全にそのロックとインド音楽を融合させたサウンドにある。
アルバムの完成度と独自性の確立で言えば、Doorsの1stと比較しても遜色はないだろう。
Doorsは1stアルバムでオルガンとフラメンコ風のギターワーク、ジムのボーカルや詞世界で独自のサイケサウンドを生み出した。
そんな偉大なDoorsの作品と比べてみても、遜色のない時代を越えたマスターピースである。
なぜクーラはブリットポップ全盛期にここまで完璧にロックとインド音楽を融合出来たのだろうか?
それはKulaのボーカルのクリスピアン・ミルズの思想から来たものである。彼はイギリス人でありながらも、インド古典音楽についての知識と尊敬の念、音楽的な技術の三者が揃っていた。
実際にクリスピアンは熱心にインド仏教を信仰しており、ハレ・クリシュナ運動にも参加している。
それゆえ高いレベルでのインド音楽とロックとの融合ができたのだ。
クーラの曲の幅広さはロックとインド音楽との融合したような曲だけではない。
サイケな曲もあればブルース色の強いロックもあり、ポップで聴きやすい曲と多岐に渡った音作りをしている点に魅力があるのだ。
Into The Deepではクーラのポップさが最大限に発揮された曲で、ボーカルにオルガンを含めたバンドのアンサンブルが優しく寄り添うような曲である。
Grateful When You're Dead/Jerry Was Thereという曲はヴィンテージ風のブルース色の強いギターロックから、一転して妖しい雰囲気のサイケなサウンドになる。Gratefulとは全く違った表情を見せ、別世界へと誘うようなボーカルと浮遊感のあるギターと打楽器が魅力的だ。
Temple Of Everlasting Lightでは深い森に入り込むような深淵さがあり、この曲の続きで聴くGovindaはこのアルバムの一番の聴き所である。
鳥のさえずり等の効果音から入るGovindaの繋がりは格別で、続くGovindaはまさにインド音楽とロックを融合させたこのアルバム屈指の名曲である。
この違和感なくインド音楽とロックを融合させる手腕はUKの中でも破格の才能だろう。
この文章で言いたいことはクーラはそこまで知名度はないものの、Oasisと並ぶくらいの才能とクリエイティビティーに恵まれたバンドと言う事である。
ルーツミュージックを四方八方から引っ張り出してくる、インディーロック全盛の今だからこそ、インド音楽とロックの融合を最良の形で再構築したクーラはもっと評価されるべきバンドだと思う。(text:boriboriyabori)
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いかがでしたでしょうか?boriboriyaboriさんのレビューと自分のレビューを見比べてみて、やっぱり同じ作品に対して視点が違うっていうのはすごく面白い。僕は、ブリットポップのカウンターの存在として彼らを位置付けました。yaboriさんはもう少し深く踏み込んで、なぜあの時代に彼らは、インド音楽とブルース色の強いロックを融合するに至り、またそれが成功に繋がったか?という視点で書いています。そんな中でも二人とも共通して書いてあることがあります。
ひとつは、ブリットポップの中における彼らの特異性。
そしてもうひとつは、様々な要素を取り入れつつ、根底にあるのはポップさであること。
面白いのは、2人とも彼らのポップさを象徴する曲として「Into The Deep」を取り上げているところ。それだけ、この曲のヴァースからブリッジ、コーラスに至るメロディ展開は最高なのです。
僕のレビューで、彼らのフォロワーは存在しないと書きました。それは音楽的に、という意味だけど、立場的に彼らを彷彿させるバンドがいます。それは先頃解散を表明したThe Music。2000年初頭のガレージ/ロックンロール・リヴァイヴァルの中で突然変異的にシーンに登場し、いきなり大ヒットした点や、どちらもグルーヴとサイケデリックという文脈で語ることができる点で、比較できる存在だと思います。
もしKula Shakerを聴いたことがなくて、The Musicが好きなら。もしくは、Kasabianでもいいです。グルーヴィでサイケデリックなサウンドが好きなら、このKula Shaker「K」は必ず名盤にとして心に刻まれるはず。
ジャケも面白い。