moë |
今年2月、YouTubeでたまたま目に留まったサムネが気になりMVを再生したことがきっかけで出会ったmoëの音楽。
一聴してすぐにその音色、歌声、そして映像が醸し出すノスタルジックなムードに引き込まれたが、何より驚かされたのは作詞作曲編曲、MVの監督・編集、そしてミックス・マスタリングまで本人がクレジットされているところだった。才能もセンスもずば抜けたこのアーティストは一体何者…!?
鮮やかなライトブルーの髪色が目を引くmoëは、東京を拠点に活動する若林萌のステージネーム。4月にリリースされた1stフルアルバム『OCCULT』は、無垢だった幼少期に憧れたSF未来都市の原風景を思い浮かべてしまうようなノスタルジックな作品だ。この素晴らしいネオ・ベッドルーム・シティポップを作り上げたmoëというアーティストは一体どのような人物で、そして作品にどのような想いを込めたのだろう?──いろいろなことが気になり思い切ってインタビューをオファーしてみたところ、ありがたいことに快く受けてくださり実現した。
※This article will be published in English at a later date.
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若林萌(Moe Wakabayashi)によるプロジェクト、moëが4月28日にリリースした1stフルアルバム『OCCULT』をヘビロテしている。現時点で2024年の年間ベスト・アルバム候補と言っていいかもしれない。所謂「ベッドルーム・ポップ」を軸とした音楽性であり、そんな言葉からイメージされるもの──煌びやかなシンセ・サウンド、霞に包まれたようなサイケデリア、ローファイな質感──はもちろん備わっているが、それだけに留まらずK-POPやシューゲイザー、80年代アイドル歌謡といった様々な要素も加わり、moëのロマンティックかつメランコリックなポップ・センスを詰め込んだ素晴らしい作品に仕上がっている。今回はmoëという才能溢れるアーティストと、ローファイというよりはむしろハイファイなアルバム『OCCULT』について少し書き綴っていきたい。