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年末の恒例企画「今年のベスト映画」。2021年は51作品、2022年は59作品と、ここ数年は比較的たくさんの映画を観ることができていたけど今年は半減して全26作品。その中で特に面白かった15作品を書き留めておきたい。劇場、TV(地上波やCSチャンネル)、ネット(アマプラ)など視聴形態は不問。
No.15 『鉄道員 (ぽっぽや)』
1999年 日本
監督:降旗康男
脚本:岩間芳樹 / 降旗康男
原作:浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』
キャスト:高倉健 / 大竹しのぶ / 広末涼子 / 吉岡秀隆 / 安藤政信 / 平田満
No.14 『ユージュアル・サスペクツ』
The Usual Suspects - 1995年 アメリカ
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
キャスト:スティーヴン・ボールドウィン / ガブリエル・バーン / チャズ・パルミンテリ / ケヴィン・ポラック / ピート・ポスルスウェイト / ケヴィン・スペイシー / スージー・エイミス / ベニチオ・デル・トロ / ジャンカルロ・エスポジート
No.13 『M3GAN/ミーガン』
M3GAN - 2023年 アメリカ
監督:ジェラード・ジョンストーン
脚本:アケラ・クーパー
キャスト:アリソン・ウィリアムズ / ヴァイオレット・マッグロウ / エイミー・ドナルド / ロニー・チェン
No.12 『桜桃の味』
Ta'm-e-Gīlāss (英題:Taste of Cherry) - 1997年 イラン
監督:アッバス・キアロスタミ
脚本:アッバス・キアロスタミ
キャスト:ホマユン・エルシャディ / アブドルホセイン・バゲリ
No.11 『リスペクト』
Respect - 2021年 アメリカ
監督:リースル・トミー
脚本:トレイシー・スコット・ウィルソン
キャスト:ジェニファー・ハドソン / フォレスト・ウィテカー / マーロン・ウェイアンズ / オードラ・マクドナルド
No.10 『怪物』
2023年 日本
監督:是枝裕和
脚本:坂元 裕二
キャスト: 安藤サクラ / 永山瑛太 / 黒川想矢 / 柊木陽太 / 高畑充希 / 角田晃広 / 中村獅童 / 田中裕子
No.9 『エルヴィス』
Elvis - 2022年 アメリカ
監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン / クレイグ・ピアース / サム・ブロメル / ジェレミー・ドネル
キャスト:オースティン・バトラー / トム・ハンクス / オリヴィア・デヨング
No.8 『カジノ』
Casino - 1995年 アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ニコラス・ピレッジ / マーティン・スコセッシ
原作:ニコラス・ピレッジ『カジノ』
キャスト:ロバート・デ・ニーロ / シャロン・ストーン / ジョー・ペシ
No.7 『それでもボクはやってない』
I Just Didn't Do It - 2007年 日本
監督:周防正行
脚本:周防正行
キャスト:加瀬亮 / 瀬戸朝香 / もたいまさこ / 山本耕史 / 鈴木蘭々 / 光石研 / 野間口徹 / 大森南朋 / 田中哲司 / 正名僕蔵 / 高橋長英 / 小日向文世 / 役所広司
No.6 『アド・アストラ』
Ad Astra - 2019年 アメリカ
監督:ジェームズ・グレイ
脚本:ジェームズ・グレイ / イーサン・グロス
キャスト:ブラッド・ピット / トミー・リー・ジョーンズ / ルース・ネッガ / リヴ・タイラー / ドナルド・サザーランド
No.5 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』
2010年 日本
監督:水島精二
脚本:黒田洋介
原作:矢立肇 / 富野由悠季
CV:宮野真守 / 三木眞一郎 / 吉野裕行 / 神谷浩史 / 勝地涼
No.4 『昼顔』
2017年 日本
監督:西谷弘
脚本:井上由美子
キャスト:上戸彩 / 斎藤工 / 伊藤歩 / 平山浩行
No.3 『空白』
2021年 日本
監督:𠮷田恵輔
脚本:𠮷田恵輔
キャスト:古田新太 / 松坂桃李 / 田畑智子 / 藤原季節 / 趣里 / 伊東蒼 / 片岡礼子 / 寺島しのぶ
No.2 『ロケットマン』
Rocketman - 2019年 イギリス・アメリカ
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:リー・ホール
キャスト:タロン・エガートン / ジェイミー・ベル / リチャード・マッデン / ブライス・ダラス・ハワード
No.1 『劇場版 ほんとにあった! 呪いのビデオ100』
2023年 日本
演出:中村義洋
構成:中村義洋
■総評(ネタバレ含む)
おそらく映画好きの人ほど、1位の結果に「は?」ってなると思う。心霊ドキュメンタリーのオリジナルビデオ作品による、シリーズ100作目を記念しての劇場公開作品なんて「映画」の範疇から外す人もいるのでは。映画と呼べるかどうかはさておき、この作品は本当に面白かった。心霊なんて興味ない人からしたら悪趣味だし、ましてやドキュメンタリーとくれば「どうせヤラセでしょ」と思う人もいるだろう。そんな人に向けて説明するとすれば、これはれっきとした「エンタメ作品」であるということだ。実際、劇場では随所で笑いが起きていたし、扱っているテーマは心霊やホラーといった禍々しいものであり実際怖いシーンもあるものの、ホラーが苦手な人でも十分に楽しめるような内容になっている。本作を観れば、このシリーズがなぜ100巻以上続いているのか、その理由がおわかりいただけるのではないだろうか…。
2位はエルトン・ジョン、9位はエルヴィス・プレスリー、10位はアレサ(アリーサ)・フランクリンと、ミュージシャンの伝記映画も多め。その中でもエルトン・ジョンの『ロケットマン』が一番面白かったかな。序盤にちょっとミュージカル映画的なシーンがあったので嫌な予感がしたけど、物語が進んでいくにつれてそんな心配は消え去り、エルトンってこんなに繊細な人だったんだなとあらためてその人柄を思い知ることができた。エルヴィスもアリーサも基本繊細だよね。繊細だけど皆、不屈の精神を持っていて、だからこそ人生がドラマティックになり得るということか。
『空白』は事故で娘を亡くした遺族と、事故のきっかけを生んだ一人の青年との関係を描いた作品、『それでもボクはやってない』は電車の痴漢冤罪を描いた作品で、どちらも感情移入するとやり切れない思いに満たされる重めの社会派ドラマ。前者は古田新太、松坂桃李、片岡礼子、そして後者は加瀬亮、小日向文世、役所広司が本当に見事に役をこなしていて、まるで本当にこのストーリーの当事者であるかのような高い演技力には流石と思った。それだけに、リアリティがありすぎて観ていてすごく辛くなったけど。
この15作品の中では実は初見でないものもある。それは『昼顔』と『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』で、いずれも前回はTVシリーズをすっ飛ばして劇場版から観てしまったのだ。それはそれでそこそこ楽しめたのだけど、『昼顔』はTVドラマシリーズ(『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』全11話を観てからだと登場人物の人間性がより深く理解できるし行動原理もよくわかったりする。何より、TVドラマと映画で全くテイスト(演出上の「ノリ」)が異なるのが面白いなと思った。ドラマの方は、あれはあれで面白かったけど、映画も同じノリにしていたらここまで面白くならなかったと思う。ガンダムの方も、TVアニメの1stシーズン&2ndシーズン全50話を経てのそれぞれの登場人物の心情や生きざまが興味深いし、エピローグの感動度合いも全然変わってくる。当たり前なんだけど、やっぱり作品は観る順番を誤ってはダメだなと。
このベスト映画の企画で毎年必ず何かしらランクインするのが、私個人として大好きなジャンルである宇宙関連のSFモノなんだけど、2023年はまさにその『劇場版 機動戦士ガンダム00~』がそれに該当すると思う。ガンダム作品として「地球外生命体との闘い」は割とタブーだったと思うけど、よくここまで壮大なSF作品として見事に描ききることができたなと。
そしてもう一つ宇宙SFモノと言えば『アド・アストラ』だが、前半の次から次へと困難が巻き起こる息もつかせぬ展開は王道ながら、後半は宇宙SF映画史上最高の映像美に加え、静謐なトーンで展開されるのが個人的にツボだった。ここは結構宇宙SFファンの間でも賛否が分かれるポイントなのではないだろうか。おそらく宇宙SFとしては派手な展開を好む人の方が多そうだけど、私は音やセリフが極端に少ない後半は『2001年宇宙の旅』や『月に囚われた男』のトーンを思わせるものがあってとても好きだ。
実在の人物フランク・"レフティ"・ローゼンタールを描いた『カジノ』は登場人物の多さとその関係性を把握するのがなかなか難しかったものの、舞台となった70~80年代のラスヴェガスの風景は非常に興味深いものがあった。また、ロバート・デ・ニーロとジョー・ペシの演技が素晴らしいのはもちろんだけど、シャロン・ストーンのキ〇ガイっぷりは一見の価値アリ。ヒロインキャラをここまで同情できないクズとして描いた作品もわりと珍しいのでは。余談だけど、『エルヴィス』と『カジノ』を観たら一層ラスヴェガス旅行したくなった。
そのほか、是枝裕和監督作品『怪物』、何とも不思議な後味を残す『桜桃の味』、SFホラーという割と珍しい内容の『M3GAN/ミーガン』、ラストを知っていても楽しめた『ユージュアル・サスペクツ』、意外にもファンタジー色が強く、厳寒の地での日本の原風景とエンディング(坂本美雨の歌声がマッチしすぎ)が素晴らしかった『鉄道員 (ぽっぽや)』など、いずれの作品も楽しめた。
その他の観た作品も記録のため掲載。公開年順。
『ティファニーで朝食を』
Breakfast at Tiffany's - 1961年 アメリカ
監督:ブレイク・エドワーズ
脚本:ジョージ・アクセルロッド
原作:トルーマン・カポーティ
キャスト:オードリー・ヘプバーン / ジョージ・ペパード / パトリシア・ニール
『恋する惑星』
重慶森林 (英題:Chungking Express) - 1994年 香港
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
キャスト:トニー・レオン / フェイ・ウォン / ブリジット・リン / 金城武
『アス』
Us ー 2019年 アメリカ
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
キャスト:ルピタ・ニョンゴ / ウィンストン・デューク / エリザベス・モス / ティム・ハイデッカー
『親愛なる同志たちへ』
Dorogie Tovarischi - 2020年 ロシア
監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー / エレナ・キセリョワ
キャスト:ユリア・ビソツカヤ / アンドレイ・グセフ / ウラジスラフ・コマロフ / セルゲイ・アーリッシュ
『チェルノブイリ1986』
Chernobyl - 2021年 ロシア
監督:ダニーラ・コズロフスキー
脚本:アレクセイ・カザコフ / エレーナ・イヴァノヴァ
キャスト:ダニーラ・コズロフスキー / オクサナ・アキンシナ / フィリップ・アヴデーエフ / ラフシャナ・クルコヴァ
『東京リベンジャーズ』
TOKYO REVENGERS - 2021年 日本
監督:英勉
脚本:髙橋泉
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』
キャスト:北村匠海 / 山田裕貴 / 杉野遥亮 / 今田美桜 / 鈴木伸之 / 眞栄田郷敦 / 清水尋也 / 磯村勇斗 / 間宮祥太朗 / 吉沢亮
『ベルファスト』
Belfast - 2021年 アイルランド・イギリス
監督:ケネス・ブラナー
脚本:ケネス・ブラナー
キャスト:ジュード・ヒル / カトリーナ・バルフ / ジェイミー・ドーナン / ジュディ・デンチ
『リコリス・ピザ』
Licorice Pizza - 2021年 アメリカ
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
キャスト:アラナ・ハイム / クーパー・ホフマン / ショーン・ペン / トム・ウェイツ / ブラッドリー・クーパー
『PLAN75』
2022年 日本・フランス・フィリピン・カタール
監督:早川千絵
脚本:早川千絵
キャスト:倍賞千恵子 / 磯村勇斗 / たかお鷹 / 河合優実 / ステファニー・アリアン / 大方斐紗子 / 串田和美
『大怪獣のあとしまつ』
WHAT TO DO WITH THE DEAD KAIJU? - 2022年 日本
監督:三木聡
脚本:三木聡
キャスト:山田涼介 / 土屋太鳳 / 濱田岳 / 眞島秀和 / ふせえり / 六角精児 / 矢柴俊博 / 二階堂ふみ / 染谷将太 / 有薗芳記 / SUMIRE / 笠兼三 / MEGUMI / 岩松了 / 田中要次 / 銀粉蝶 / 嶋田久作 / 笹野高史 / 松重豊 / オダギリジョー / 西田敏行
『ブレット・トレイン』
Bullet Train - 2022年 アメリカ
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ
原作:伊坂幸太郎『マリアビートル』
キャスト:ブラッド・ピット / ジョーイ・キング / アーロン・テイラー=ジョンソン / ブライアン・タイリー・ヘンリー / アンドリュー・小路 / 真田広之 / マイケル・シャノン / サンドラ・ブロック / ベニート・A・マルティネス・オカシオ / ローガン・ラーマン / ザジー・ビーツ / マシ・オカ / 福原かれん
世間的に評価の低い作品って逆に観たくなってしまうタチだけど、実際観てみると世間とだいたい同じ感想だったりする。そんな作品がいくつかあった(どれとは言わないが)。
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