2010年02月25日 (木) | 編集 |
この前の話の続き。昨年初秋・・まだ少し夏の暑さが少しだけ、残っていた頃のこと。
それまで、私の人生の中ではあまり、タクシーに乗るなどということは、
あまりなかった。特に、一人で、なんて・・。
でもタクシー運転手さんは(もちろんだが)慣れた様子で「西新井署ですねー」と、
返事をしてくれた。
とにかく、これで間違いなく到着できるだろうということでほっとしたが、
まったく見知らぬ町の中で、人も車も勢いがあるように見えて圧倒された。
途中、団地群があったが、私の住んでいるところの団地といってもせいぜい、5階立てくらい。
それが、
12,3階建てくらいの建物が並んでいて、空が隠れていて、これにも圧倒される。
それでも、東京の普通の人々が生活している雰囲気やにおいなんかが、
タクシーの窓越しに伝わってきた。
タクシーの運転手さんが、「環7通りを通っていきましょうか?」と聞くが、分からないので、
あいまいに「はい・・お願いします・・」と言った。
途中、大きな川を渡った。それは覚えている。
電車が走っているのも・・見えたかな。
私が住んでいる辺とは違って、川幅が広い。
タクシーの窓から、ずっと、見ていた。
橋を渡り終わる頃、川岸のところに月極の有料駐車場があるのがちらっと見えた。
「一月一万円」と書いてあった。
こんなところにも駐車場が・・。そんなことを思った。
とうとう、西新井署に着いた。ホッとした・・。
入り口に警察官の人が立っていて、ちょっと緊張。
(少し記憶があいまいだが)中に入って、「落し物を受け取りにきたんですけど・・」
と言った気がする。
係の人は今風の明るい茶色の髪の、少しメークが濃い目の若い女の人だった。
地域の人と思われる人たちがいろんな用事で来ているのだろう、椅子に座って待っていた。
警察署の中は十何人かの職員の人が勤務中だった。
ちょっと、明かりが薄暗く感じた。
私の携帯電話の受け取りはすぐに終わった。
携帯会社から着た紙を渡すと、「これですね」と、見慣れたケータイを、
透明な事務用引き出しから出して、渡してくれた。
パンダの大きなプクプクシールが貼ってあるシルバーのケータイ。間違いない。
嬉しかった。また会えたよ~、という気分だった。
拾われた状況の話を聞いたのだが、詳細は忘れてしまった。路上に落ちていたところを、
届けてくれた人がいたらしかった。
(こういうときはやはり、お礼の電話でもしないと・・と思い)
「お礼をしたいので、拾ってくれた方のお名前とか知りたいんですが・・」と言ったら、
「名前や連絡先は教えられない、ということなので・・」ということだった。
なにしろ、拾ってくれた人がいて、ありがたいと思った。
帰りもタクシーがいいかな・・と思い、思い切って、玄関に立っている警察官に聞いてみた。
「うーん・・。ここでタクシー拾うよりかは、すぐそこに、バス停がありますよ」と。
うそっ・・。本当だ・・。「ありがとうございます」と言って離れた。
あっけなく、バス停発見。それに落ち着いてよく見回すと、「何とか扇」という駅もある。
・・電車でもあまり歩かずに来られたのか・・。
(でも仕方ない。あの時は頭の中が真っ白になっていたのだから・・・)
(そして、帰りはバスで王子駅まで戻り→京浜東北線→目的駅→バスで病院 へ。)
タクシーに乗っていた時は不安で、「早く着いて欲しいな・・」と思っていたが
帰りはあっという間だった。
「バスを間違えてないよね・・」とちょっと緊張した。
(この年にもなって恥ずかしいんだけど)バッグに着けている小さいぬいぐるみを、
握り締めていた。
曇りの日だった。9月下旬でも空気が少し湿っていて、蒸し暑かった。
バスの中が涼しくて、気持ちよかった。
行きとは違う道だった。
風景を、ぼーっと見ていた。
こんなところに携帯電話を取りにくることになるなんて、思ってもみなかった・・とか、
バスでここに来ることなんて、もう二度とないのかな・・とか、考えて。
私と、あのパンダシールの母の携帯電話しか知らない、それ以外の誰も知らない、道のり。
そうか。でも、パンダの携帯も一人きりで寂しかったね・・なんて思った。
病院に着いた。
母は携帯電話を見るなり顔がほころんで、「よかったよー。ありがとうね」と言っていた。
同室の患者さんも、「携帯、見つかって良かったね」と言ってくれた。
警察署までどう行くか調べたり、ドキドキしたり大変だったんだけど、
心に残る一日になった。
それまで、私の人生の中ではあまり、タクシーに乗るなどということは、
あまりなかった。特に、一人で、なんて・・。
でもタクシー運転手さんは(もちろんだが)慣れた様子で「西新井署ですねー」と、
返事をしてくれた。
とにかく、これで間違いなく到着できるだろうということでほっとしたが、
まったく見知らぬ町の中で、人も車も勢いがあるように見えて圧倒された。
途中、団地群があったが、私の住んでいるところの団地といってもせいぜい、5階立てくらい。
それが、
12,3階建てくらいの建物が並んでいて、空が隠れていて、これにも圧倒される。
それでも、東京の普通の人々が生活している雰囲気やにおいなんかが、
タクシーの窓越しに伝わってきた。
タクシーの運転手さんが、「環7通りを通っていきましょうか?」と聞くが、分からないので、
あいまいに「はい・・お願いします・・」と言った。
途中、大きな川を渡った。それは覚えている。
電車が走っているのも・・見えたかな。
私が住んでいる辺とは違って、川幅が広い。
タクシーの窓から、ずっと、見ていた。
橋を渡り終わる頃、川岸のところに月極の有料駐車場があるのがちらっと見えた。
「一月一万円」と書いてあった。
こんなところにも駐車場が・・。そんなことを思った。
とうとう、西新井署に着いた。ホッとした・・。
入り口に警察官の人が立っていて、ちょっと緊張。
(少し記憶があいまいだが)中に入って、「落し物を受け取りにきたんですけど・・」
と言った気がする。
係の人は今風の明るい茶色の髪の、少しメークが濃い目の若い女の人だった。
地域の人と思われる人たちがいろんな用事で来ているのだろう、椅子に座って待っていた。
警察署の中は十何人かの職員の人が勤務中だった。
ちょっと、明かりが薄暗く感じた。
私の携帯電話の受け取りはすぐに終わった。
携帯会社から着た紙を渡すと、「これですね」と、見慣れたケータイを、
透明な事務用引き出しから出して、渡してくれた。
パンダの大きなプクプクシールが貼ってあるシルバーのケータイ。間違いない。
嬉しかった。また会えたよ~、という気分だった。
拾われた状況の話を聞いたのだが、詳細は忘れてしまった。路上に落ちていたところを、
届けてくれた人がいたらしかった。
(こういうときはやはり、お礼の電話でもしないと・・と思い)
「お礼をしたいので、拾ってくれた方のお名前とか知りたいんですが・・」と言ったら、
「名前や連絡先は教えられない、ということなので・・」ということだった。
なにしろ、拾ってくれた人がいて、ありがたいと思った。
帰りもタクシーがいいかな・・と思い、思い切って、玄関に立っている警察官に聞いてみた。
「うーん・・。ここでタクシー拾うよりかは、すぐそこに、バス停がありますよ」と。
うそっ・・。本当だ・・。「ありがとうございます」と言って離れた。
あっけなく、バス停発見。それに落ち着いてよく見回すと、「何とか扇」という駅もある。
・・電車でもあまり歩かずに来られたのか・・。
(でも仕方ない。あの時は頭の中が真っ白になっていたのだから・・・)
(そして、帰りはバスで王子駅まで戻り→京浜東北線→目的駅→バスで病院 へ。)
タクシーに乗っていた時は不安で、「早く着いて欲しいな・・」と思っていたが
帰りはあっという間だった。
「バスを間違えてないよね・・」とちょっと緊張した。
(この年にもなって恥ずかしいんだけど)バッグに着けている小さいぬいぐるみを、
握り締めていた。
曇りの日だった。9月下旬でも空気が少し湿っていて、蒸し暑かった。
バスの中が涼しくて、気持ちよかった。
行きとは違う道だった。
風景を、ぼーっと見ていた。
こんなところに携帯電話を取りにくることになるなんて、思ってもみなかった・・とか、
バスでここに来ることなんて、もう二度とないのかな・・とか、考えて。
私と、あのパンダシールの母の携帯電話しか知らない、それ以外の誰も知らない、道のり。
そうか。でも、パンダの携帯も一人きりで寂しかったね・・なんて思った。
病院に着いた。
母は携帯電話を見るなり顔がほころんで、「よかったよー。ありがとうね」と言っていた。
同室の患者さんも、「携帯、見つかって良かったね」と言ってくれた。
警察署までどう行くか調べたり、ドキドキしたり大変だったんだけど、
心に残る一日になった。
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