はてなキーワード: ピースサインとは
正直、このタイトルを見たら多くの人は「どういう状況でそんなことを?」と首をかしげるだろう。私自身、まさか自分が「アヘ顔ダブルピース」をする日が来るなんて、思ってもみなかった。いわゆる成人向け作品などで見られる、あの衝撃的な表情とポーズ。目がとろんとして口元は半開き、両手でピースサインをする姿を指すわけだけれど、普通に生きていれば、まず現実でやる機会なんてないはずだ。それがどんな形であれ、一度やってしまうとものすごいインパクトがある。今回はそんな私が、なぜかあのアヘ顔ダブルピースをしてしまった――という、ちょっと(いや、かなり)恥ずかしくて笑える話を綴りたい。
私は都内のOLをしている、ごくごく普通の女性だ。華やかなパリピでもなければ、引きこもりのオタクというわけでもなく、休日にはカフェ巡りをしつつ、アニメやドラマを楽しむ程度の「そこそこサブカル好き」なタイプ。学生時代はアニメ研究会に顔を出していた時期もあるけれど、本格的にコスプレをするわけでもなく、ただアニメの感想を共有できる友人が欲しくて参加していただけだった。
そんな私が「アヘ顔ダブルピース」をする羽目になったのは、大学のサークル仲間でもある友人・A子の結婚式の二次会がきっかけだった。A子とは大学時代からの大の仲良しで、講義が終わると一緒にアニメショップを冷やかしたり、たまに同人イベントに遊びに行ったりする間柄。だけど卒業後は就職先もバラバラになって、年に数回しか会わなくなっていた。そんなA子から「結婚することになった!」と連絡を受けたときは、思わずスマホを持つ手が震えるほど嬉しかった。共にオタクな青春を送った彼女の花嫁姿が見られるなんて、想像するだけで胸がいっぱいになる。
そして迎えた結婚式当日。披露宴はとても素敵で、A子と新郎さんの仲睦まじい姿にこちらまで幸せな気持ちになる。私は高校や大学の旧友たちと同じテーブルになり、懐かしい話に花を咲かせていた。「あのとき一緒に観たアニメ、もう10年前だね」なんて盛り上がっているうちに、あっという間に披露宴が終わった。
その後、会場を移動して開かれた二次会は、思ったより規模が大きかった。貸し切りのパーティスペースには、A子や新郎さんの仕事関係の友人、大学の同級生たち、さらには新婦側の親戚筋まで含めて、ざっと50人近くが集まっている。入り口にはウェルカムボードならぬウェルカムイラスト(A子のオタク友達が描いたらしい)が飾られ、どうやら彼女らしい独特の演出が随所に散りばめられていた。
そんな雰囲気の中、司会を務める新郎友人の男性がマイクを握り、テンション高く二次会のゲーム企画を発表し始めた。私も二次会ではちょっとしたクイズ大会やビンゴくらいだろうと思っていたのだが、どうやらもう少し変わった内容になるらしい。
「さあ、今から皆さんをいくつかのチームに分けて、ゲーム大会を行いまーす! 本日の新郎新婦は、ご存じのとおり“大学アニメ研究会”出身。そしてなんと、大学時代はコスプレイベントにも一緒に参加していたそうなんです! そこで今回は、“アニメ・漫画の有名ポーズ再現選手権”を開催したいと思います!」
予想を超えたアナウンスに、会場のあちこちから笑い声とどよめきが起こった。確かにコスプレイベントにA子と出かけたことはあるが、実際に私がコスプレをしたかというと、せいぜいウィッグを付けてみた程度。どちらかというと、A子がガチのレイヤーで、私はカメラ係というポジションだった。そんな私でも、ステージで何かやらされる可能性があるという事実に、早くも冷や汗をかきはじめる。
案の定、司会は続ける。
「ルールは簡単! まず皆さんを5~6人ずつのチームに分けます。各チーム代表が“ポーズカード”をランダムに引いて、そのポーズを再現していただきます! そのポーズが何なのかを他のチームが当てたらポイントゲット! 一番ポイントを稼いだチームが優勝でーす!」
こういう企画、結婚式の二次会ではそこそこあると聞いたことはあるが、まさか“アニメ・漫画の有名ポーズ”縛りだとは。私もある程度アニメや漫画には詳しいつもりだけれど、大勢の知らない人の前で再現するのは正直きつい。「ジョ○ョ立ち」とか「かめはめ波」くらいなら、恥ずかしいながらも笑いを取れるかもしれない。でも問題は、もっとディープなやつが来たときだ。これはもう運に任せるしかない。
そして私は、くじ引きで同じチームになった仲間と一緒に、横並びになってポーズカードを引く順番を待っていた。チームメイトは大学のサークル仲間が2人と、新郎さんの職場関係らしい男性2人、それに私、計5名。ある意味で、オタク度合いがまったく異なる人たちがごちゃ混ぜになっている。これはこれでカオスだ。私は「どうか無難なポーズを引きますように!」と心の中で祈りながら、手汗でベタついた手をこっそりスカートの裾で拭っていた。
しかし――。
人生にはどうしても避けたい瞬間というものがある。私がカードを引いて封を切ると、そこにはこう書いてあった。
絶句。脳内が真っ白になるとはまさにこのことだ。一瞬、文字の意味が理解できないほど頭が追いつかなかったが、そのあと猛烈な速度で血が頭に上っていくのが分かった。まさかよりによって、私が一番引きたくなかったカードを引いてしまうなんて……。薄々「アニメ・漫画系の有名な“アレ”」としてリストには入っているかも、とは思っていたが、実際に自分が引くと分かった瞬間、理性が吹っ飛びそうになる。
とはいえ、周囲にはほかのチームメイトもいるし、見守る観客もたくさんいる。ここで「すみません、やっぱり無理です」なんて逃げるわけにはいかない。私がそんな行動をすれば、他のチームメイトに迷惑がかかるし、二次会の進行にも支障をきたす。これはもう腹をくくってやるしかない。そう思いながらも、心臓はバクバクと音を立てているし、額には冷や汗がにじんでいる。かといって、一回やると決めた以上は中途半端な再現で終わらせたくないという妙なプライドが湧いてくるのが、オタクのサガでもある。
司会者が「それではチーム○番の皆さん、どうぞステージへ!」と声をかける。私のチームの番が来たようだ。ステージといっても、会場の端に設営された簡易的な台の上だが、そこに上がるだけで視線が一気に集中する。とくに今回のゲームは再現度を競うという趣旨もあるから、自然と注目度は高い。もう逃げられない。私は頭の中で静かに数を数え、なんとか気持ちを整えた。
最初に披露するのはチームメイトの男性陣。彼らが引いたカードはまだマシだったようで、「北○の拳の有名な“あべし!”的なポーズ」とか「ウ○シマンがポーズを決める場面」など、観客にも即座に伝わるレベルのものだった。彼らは多少照れながらも一生懸命ポーズをとり、会場からは笑いや拍手が起こる。おかげで雰囲気が和んだのはよいが、その分、私が最後に残した「アヘ顔ダブルピース」のハードルの高さが際立ってきている気がしてならない。
そして、ついに私の番だ。司会者が「最後はこの方! さてどんなポーズが来るんでしょうか!」と煽る。私は震える手でマイクを受け取り、死ぬ思いで宣言した。
この瞬間、オタクたちが理解し、悲鳴にも似た歓声を上げるのが分かった。逆にオタク文化に縁のない人たちは「何それ?」とぽかんとしている。両者の温度差が激しくてカオスな雰囲気になったが、私はもうやるしかない。心の中で「勝負だ!」と気合を入れ、息を大きく吸ってから、顔を崩す。
目をとろんとさせ、口元を緩ませ、舌をちょっと出してみる。肩の力を抜いて膝を少し曲げる。そして両手を顔の横に上げてピースサイン……いわゆる“アヘ顔ダブルピース”の定番ポーズだ。マンガやアニメで見慣れたあの姿を、自分が全力でやることになるとは夢にも思わなかった。しかも100人近くの参加者が見ている。この羞恥は一生分では収まらないレベルだ。
でも、意外だったのは、その瞬間に会場が爆笑の渦に包まれたこと。男性陣だけでなく、女性陣からも「なんかすごい再現度!」「そこまでやるかー!」と口々に称賛(?)の声が上がった。特にA子は、ステージ脇から目を丸くしつつ大笑いしている。彼女からすれば、大学時代はそこまでコスプレにも熱心ではなかった私が、ここまで振り切った姿を見せるのが相当ツボらしかったようだ。
やる前はめちゃくちゃ恥ずかしかったが、こうしてみんなが大ウケしてくれたことで、吹っ切れたような気持ちになった。まるでコスプレイベントで全力パフォーマンスを決める人のように、自分の中の「どうせならやりきってやる!」というスイッチが完全に入ったのだ。そこから先は、むしろ楽しもうというモードに切り替わり、舌を出す角度を微調整してみたり、目をもう少しとろんとさせてみたりと、さらにバリエーションを試し始めてしまった。
すると観客側からも、「もっと目をやばくして!」「もうちょい頭傾ける感じで!」といった悪ノリの声援が飛んでくる。まさか結婚式の二次会でこんな盛り上がり方をするとは。もちろん、オタクではない人たちは「何が起こっているの?」と戸惑っていたかもしれないが、会場の全体的な空気としては「よく分からないけど面白い!」くらいの勢いで、みんな笑顔だった。
結局、私の渾身のアヘ顔ダブルピースは相当なインパクトを残したらしく、他のチームが再現したポーズを押しのけてダントツの得票数を獲得。優勝チームは私たちのチームとなった。「“アヘ顔ダブルピース”を全力再現した勇気に拍手!」というコメントとともに、司会からも特別賞として小さなトロフィーまでいただいてしまった。人生でアヘ顔ダブルピースのトロフィーなんてものを受け取るとは、思いもよらない展開だ。
その後も二次会は和気あいあいと進み、最終的にめでたくお開き。私は出口付近でA子に捕まえられ、「あんた最高だよ! まさかそこまでガチでやってくれるなんて!」と爆笑されながら感謝された。新郎さんも「僕もオタク寄りだけど、あそこまでの完成度は初めて見ました」と感心してくれた。さらに、先ほどステージで一緒だった新郎友人の男性からも「本当にありがとうございました! おかげで大盛り上がりでした」と声をかけられ、すっかり顔から火が出そうなくらい照れてしまった。
私はその場では笑って誤魔化したものの、帰りの電車に乗るころになると、「私、あんなポーズをこんな大勢の前でやってしまったんだ……」という事実がどんどん重くのしかかってきた。スマホを開くと、さっそくSNSに「A子の二次会めっちゃ盛り上がった!」「すごい芸人魂を感じた!」なんてツイートが上がっていて、どうやら私の恥ずかしい姿が写真や動画になって拡散されつつあるらしい。A子は「顔は隠しておくから安心して」と気を遣ってくれていたが、現地にいた人にはモロバレである。しばらくその恥ずかしさに悶える日々が続いた。
とはいえ、結局のところ、たくさんの人が喜んでくれたのは確かだし、A子からも「本当にありがとう。最高の思い出になったよ」と言われたら、やってよかったのかもと思えてくる。私自身、意外にも「開き直ると案外楽しい」という経験を積むことができたし、人生にネタになるエピソードが一つ増えたわけだ。いま思い出すと、顔から火が出るように恥ずかしいけれど、「あの日、ちょっとだけ自分の殻を破れたのかもしれない」と思うと、悪い気はしない。
――こうして私は、人生で初めての、そして(たぶん)最後になるであろう「アヘ顔ダブルピース」を披露してしまった。よくよく考えれば、あのポーズは現実の人間がやるにはかなりハードルの高い代物だ。でも、結婚式というめでたい場を盛り上げられたのなら、まぁこれもアリだろう。もしこの先、誰かが「結婚式の二次会で恥ずかしいポーズをやらされた」という話をしたら、私は間違いなくこう言う。
「私はアヘ顔ダブルピースをやったことがある。もう何も怖くない」
人生、意外なところで度胸がつくものだ。こうして文章にしてみると、ますます自分でも信じられない出来事だけれど、これが私の「アヘ顔ダブルピースしてしまった話」だ。どうか皆さんも、運悪く(?)くじで“ヤバい”ポーズを引いてしまった時には、ぜひ思い切って振り切ってみてほしい。中途半端に恥じらうよりも、全力でやって笑ってもらったほうが、ずっと気持ちがいいと私は思うのだ。そしていつか、私のように「ネタとして笑い話にできるエピソード」に昇華できたら、それはそれで、人生の思い出としては最高に面白いのではないだろうか。
不動産屋的には人間など隠すべき部分にはぼかしを入れてるし、検体の前でピースサインをして撮影しているわけでもなく、出かけてくるのでピースサインして行ってきます。
https://x.com/asoutoru/status/1871452287874555971
様々な方々から、大学の先生を含め、黒田医師を解雇するように助言がございました。
確かに不適切な投稿はございましたが、黒田医師は東京美容外科の方針に従って、より患者さんに対して安全な治療を学ぶためにグアム解剖に参加されました。
昨今の美容外科では、顎下脂肪吸引など、死亡事故が頻発し、私共も解剖の必要性を痛感し、このような機会を設けました。
黒田先生は、学生時代のホルマリン固定標本とは異なる、精度の高いfresh cadaverを初めて目にした感動をなんとか伝えようと、あのような投稿になってしまいました。ピースサインをして撮っていた事は当然不適切であると考えます。
もちろん一般の方々とはかけ離れた行動で、日本では、常軌を逸しているとお思いの方が大多数であることは良くわかります。
一般の方々からのご批判は、当然受け止め、反省は致しますが、同業医師でありながら不勉強でfresh cadaverという言葉すら知らない医師に批判されたまま、炎上でトカゲの尻尾切りのように解雇する事はできないと判断しました。
もし自分が手術を受けるなら、医師になってからも更に研鑽を詰み、解剖を熟知した医師に施術して貰いたいと考えます。
現に私は自分のフェイスリフトは私が何度か開催した解剖セミナーで講師をしてくださった解剖を熟知したドクターにお任せしました。
このような不祥事で我々が患者様から選ばれる事は、もうないかもしれませんが、解剖セミナーを実施した事やこれから勉強しようとしている先生達を守る事がより良い未来に繋がると考えています。
この騒動で我々のクリニックを去る専門医の先生もいらっしゃいますし、それは考え方の違いであるし、仕方の無い事だと理解しています。
あの投稿のせいで献体を躊躇ったりやめる人がいるとのご指摘ですが、お金儲けの美容医療のために献体はしたくないという人達が大多数であるという事もわかります。
今回の事で、国内の施設で我々が、解剖する事は今後絶望的となってしまいましたし、
ですが、死者への尊厳ももちろん大切ですが、今生きている人の命や安全も大切なんじゃないでしょうか?それが解剖セミナーの趣旨ですし、どんな言い訳や神妙な態度をとったところでご遺体を損壊する事実に変わりありません。
故人に感謝しながらも、その知見を今後の患者さんに活かしたいと思います。
海外のfresh cadaverのセミナーでは割とフランクに記念撮影もしますし、セミナーの様子もネット上に出てきます。
日本と海外のルールの違いはあるかと思いますが、日本の医療の進歩を妨げているのはどちらの方なのか今一度考えて頂きたく思います。
が謝罪文を書いた。
これにたいし、AIが死者への敬意がないとか正当化に終始してるといってるけど、AIはいまいち踏み込みが足りないなあ…
一言でいうとな。
死者は我々の国では王様だ。
王様に対し敬意を払わないことは死罪に値する。
そして、死罪に当たる行為をしたのにその行いが正しいことだということは馬車引きの刑に当たる。
ただ、この死者に敬わなくてもいいラベルがついたら話は別だ。
https://anond.hatelabo.jp/20220329025632
俺は襲われたわけではないが、ソロキャン中に逃げ出したことがある。
あれは20年ほど前。
俺がまだ大学生だった頃だ。
そんな時「一人でキャンプツーリングに行きたい!」と思い立った。
俺は思い立ったらすぐに行動するタイプのため、すぐにホームセンターで適当なテントと寝袋を買った。
あとは懐中電灯、携帯食、服、その他生活雑貨をかき集めて、バイクに積んだ。
パーキングエリアでテントを張るのは気が引けたため、そのままベンチに寝転んだ。
疲れていたし、駐車場からは少し離れた場所にあるベンチだったため、熟睡できた。
翌日の早朝には、伊豆半島に着いていた。
沢山のバイカーが居て、ピースサインを送りあったり、とても楽しかった。
その夜は伊豆の真ん中あたりにある、キャンプ場に泊まることにした。
ただそこは廃業したようで、少し荒れ果てた感じだった。
水もないし、トイレも無い。
暗くなる前にテントを張ろうと頑張った。
何とか張り終えたとき、辺りは真っ暗だった。
買ってきたパンを食べた。
食べ終えたのは、19時ごろだった。
寝るにはまだ早い。
が、何もすることは無い。
当時はスマホなんて無い。
懐中電灯で本を読もうにも、つけっぱなしにする電池がもったい(当時はLEDなんてなかった)
真っ暗闇だった。
懐中電灯で少し奥を照らすと、石造があることに気が付いた。
何気なしにその石造の近くで用を足した。
その時、石造をチラリと見た。
というのも、この真っ暗闇で、少し恐怖を感じていたからだ。
考えるな、考えるな。。。。と自分に言い聞かせた。
俺は寝袋にもぐりこんだ。
しかしなかなか寝付けない。
ウトウトしつつ、少し寝ては起きて、少し寝ては起きて。
そんな浅い眠りのターンを繰り返していた。
するとやはりと言っていいのか、目がさえて寝られないターンがきてしまった。
時計に目をやると0時30分。
朝まであと5時間以上ある。。。
何とか寝ようとするものの、暗闇の恐怖が心をざわつかせ、眠れない。
するとどうだろう。
俺が寝ている時に、他のキャンパーが来た?
俺は恐る恐る、外を見まわした。
そこには誰もいなかった。
だがその後も、ラジオの音や人の話し声が聞こえてきた。。。
俺は怖くてガクブル震えていた。
どうしよう?
逃げ出すか?
朝まで耐えるか?
俺は逃げすのを選んだ。
暗闇が怖かった。
それでも何とかバイクを走らせた。
その時ようやく、助かった・・・・と思った。
安心感抜群でぐっすり熟睡できた。
朝起きたら、犬の散歩をしているおばあちゃんに話しかけられた。
何故か5000円もらった。
よほど貧相に見えたのだろう。
まあ何が言いたいかといえば、あれだ。
暗闇を甘く見るなって事。
山を甘く見るなって事。
人生なめんなよって事。
「普通の人でいいのに!」であらゆるSNSにて阿鼻叫喚を巻き起こした冬野梅子先生の新作「まじめな会社員」を読んだ。相変わらず圧倒的情報量でぶん殴ってくる凄まじい漫画。連載というのだから毎週身が持つか心配である。才能があるが、絵に描いたようなイケメンではないサブカルっぽい男性(芸能人で例えるなら星野源、仲野太賀みたいな雰囲気)に秒で恋をし(しかも中身ではなく肩書きに眩んでいる)、恋愛経験の浅さから普通の男女が仲良くなる手筈を踏まず暴走して自爆するの、身に覚えがありすぎて眩暈がした。
自分も拗らせまくったサブカル女で、容姿がよろしくなく恋愛経験はペラペラ、家の都合で地元を離れられず地方で冬野梅子先生的暮らしをしていた。地方といっても中途半端な政令指定都市のため、それなりにおしゃれっぽい場所はポツポツと存在する。東京からUターンしてきて、クリエイティブ的活動しながら地方でゆるく暮らそうみたいなコミュニティもある。だけど、東京と比べてあまりに規模が小さいため、「一方的に恋をして自爆」をすると速攻で噂が広まってしまう。なんとなく行きづらい場所ができると、コミュニティが小さいため連鎖して行けるおしゃれプレイスがどんどん少なくなっていく。あとそういう地方コミュニティでオシャレ男性の彼女ポジの人って、もちろんもれなく美人だけど、「誰々と浮気してる」とか「誰々から略奪した」みたいな噂が飛び交っててもツユ知らぬ顔でDJイベントに我が物顔でいるようなタフな人である。私はそうはなれなかった。
どんどん行ける場所が少なくなる中、頼みの綱であるマッチングアプリには改造車とピースサインしているようなマイルドヤンキー(死語)しかマッチしないし、たまに飲み屋とかイベントとかで同年代と出会いがあっても普通に既婚者で不倫のお誘いである。(地方は結婚が早い)望んでいるオシャレ暮らしもできず、恋人もおらず、仕事も凡庸で、まじで気が病みそうだったので死に物狂いで転職活動して今東京で暮らしている。実家とは縁が切れかけたけどなんとかなった。年収も上がった。
東京に来てびっくりしているのは、地元では県に一個しかないようなオシャレスポット・コミュニティが、各駅レベルであること。これでは、一個でしくじっても、次々!と明るく切り替えられるよな。冬野梅子先生の漫画に湿り気とか暗さがないのって、「まあこのコミュニティ無くしても他があるし」っていう東京特有の気楽さが全体に満ちていることだと思う。地方ではこうはいかない。
本当に上京してよかった。あのまま地方にいたらどん詰まりで狂ってた。あと才能ある男と付き合って自分もなんかそのコミュニティに入ってサブカルロンダリングしようみたいな気持ちが消え失せて、自分自身が面白い人になろうと思った。(コロナ前に)あちこち顔を出して作った縁で細々書いてるエッセイが形になりそうなので、なんか似た文体の人間見つけたらほくそ笑んでやってください。
義母は農業を営んでいて、いつもなら絶対家に顔を出す時間に帰ってこなかった。
もしかして、と思い探してみてもいない。
そして、家から離れた畑の、かなり見通しの悪い場所で発見した。本人が言うには、5時のゆうやけこやけが流れた瞬間にガタッときたと言ったから、もう1時間は経っていた。
私は救急車に付き添いで乗り、夫に連絡を取り、病院でおちあった。
今夜が山です、と救急医が言ったので、夫は弟2人と連絡をし、私は車で帰宅した。
眠れない夜を過ごした明け方、意識が戻った、話せる状態ではある、とLINEが入った。
朝一番の新幹線で我が家にきた義弟が、おかあの容態はどうなんだと詰め寄るので、病院に連れて行った。
次男はその場で泣き崩れ、三男は無言で神妙な顔をしていた。
義母も含めた私たちのかかりつけの病院の入院承諾書には、もし患者が入院費が払えなかった場合の、同居家族以外の連帯保証人と保証人の2人が必要だったのだ。
次男は俺が連帯保証人で構わんよ、と二つ返事で署名捺印したが、問題は三男だった。
三男の妻、私から見ると義妹は、中流よりちょっと上というか、わかりづらい例えをすると子供の服を西松屋ではなくアカチャンホンポで買うような人たちである。
それに、私(たち)の名字を使う代わりに、資金とローンを出しあって二世帯住宅に住んでいて、まあ、事実上婿入りなのだ。
なので三男は、義父さんに許可取ってみるわ、と電話をしてみた。すると
と言われる。
三男が言われた通り送ると、それでも納得いかないのか
「娘をそっちに遣るからそれまで何もするな」
と言われたようだった。
私はとても気が短いので、んなことしとる間があったら義弟らをはやいとこ義母に合わせたいんだが、と奥歯をギチギチ言わせていた。
2時間くらいで義妹到着。全員揃ったから病院に行き、夫と義母に会った。
次男はその場にうずくまり、三男は固まって神妙な顔で、義妹は涙を流していた。
そして主治医の説明で、義母は発見が割と遅かったので、後遺症の残る可能性が高いだろう、と言われたと夫が言うと、皆再び同じ反応をした。
さて帰ろう、と病院を後にしようとすると
「まだ待って!」
と義妹が言い、相談員のところに行こうと言う。
義妹は看護師なので、まあ腑に落ちない点でもあるのか、と私は思ったし、何故かまでは知らないが皆義妹について行った。
・義母が完全に治る見込みはあるのか(主治医が難しいって言ってたじゃん)
・治らなかった場合、手帳や社会保障などはおりるのか(後遺症の度合いによらないか?)
と、心の中でツッコミを入れながら
「あ、これは火の粉を払いたいんだな」
とさすがに気がついた。てか全部入院2日目にする質問じゃないだろうが。
で、家に帰ったら、今度は三男が夫婦で
と言ってきた。
これを聞いて2人を引っ叩きたくなったが、夫が私の服の背中を引っ張り
「お前、部屋でジッとしてな」
と言われた。夫はこういう時に私が激昂して何を口走るか、何をしたものだか分からないのを知っていたから。
そして色々な部屋で色々な棚を探す音に耳を塞いでいてどれくらい経っただろうか。夫が
「おぅ、もう出てきて大丈夫だぞ」
と言ったので出てきたら、居間で義祖母のアクセサリーケースを品定めしつつ
「金になりそうなもんはねーな」
と言った三男の頭を後ろから殴って、全然大丈夫じゃない、と夫に平手打ちを喰らわせたくなった。
その家探しも無駄ではなかったのかもしれない。
義母が入院保険に2つ加入してることが判明し、半年間は一定額が保障されるのがわかったから。
そして保証人のことは私が実の弟に頭を下げることで決着がついた。
「うちよりも親類縁者が多いのにどうして僕に飛んでくるのかは知らんが」
そして話は飛んで、年も跨いだ頃、どうしても最後の入院費が10万円足りない計算になった。
長男である夫が、俺が4万払うから、お前ら2人で3万ずつ折半して払ってくれないか?と頼んだ。
三男は嫁が払えない、というから、申し訳ないが払わないと言う。
次男はその頃事業が破産宣告間近とかなんだかで、三男に乗っかり払うのを渋った。
私は怒りに怒ったし、夫もここまでくると堪忍袋の尾が切れたのか、次男は俺が怒ったは逆らえないヤツだから、お前は三男をやれという。
こいつが全ての元凶だろ、と思い、義妹に電話をかけ、私たち長男夫婦は、同居してる身だから見舞いや着替えの交換、リハビリの見学や介護認定も同伴して、あなた方より入院費も多めに払ったというのに、何故そんなにも金銭的なことへは手をださないのか、と。
すると
「あのですね、私たちは3000万のローンが残っていて、福祉に頼っていられる身でもなくて、子供もあと1人欲しいからカツカツなのに、その上3万なんて払ってられないです!あなたたち持ち家持ち土地でしょう?それ、あなたたちが自分のお金で買ったものでもないでしょう?収入だって、今まで義母さんの分があったんでしょう?逆に、なのに何で私たちに払えって言うんです?!」
確かに私障害年金もらってますけど、年間80万くらいでして。一家の服は全員ユニクロでして。持ち家持ち土地とはいえ固定資産税がかからない程度の資産価値しかない場所にありましてね…?
もう何もかも言う気が失せ、わかりました、こちらで払いますので、と電話を切った。
直後に
「お金のことばっかり言ってごめんなさい」
と絵文字付きのLINEが飛んできたけど、払いますって文言は全くなかった。
結局、私たちが7万円負担して入院費を全部出し切り、その後祖母が退院してきて、自宅介護生活が始まった。
そしてその数ヶ月後のお盆に、三男から何かの連絡で私に電話があり、その時、ついでのように
「ああ、娘が幼稚園に入園したから、嫁が休みを取りづらくなったから、これからは俺だけで帰る時は帰省するわ」
と言い、あーもうホントに交流絶たれたわーいやもういいわあそんなんと顔合わせたくもないし、とまた奥歯をギチギチ言わせた。
これを夫に話したらば、深いため息をついたあと、スマホを渡した。
そこには、Facebookで3万円を渡さなかった家族が、あの後の日付でアメリカのディズニーランドで幸せそうな笑顔でピースサインを出している写真。
「お前に見せたら何するかわからんから黙ってたが、俺ら、ことごとく馬鹿にされてるよな」
と、いつもは冷静沈着ではあるものの穏やかな夫の目が、光の代わりに怒りで満たされていた。