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Albums of the Month

Albums of the Month (2024年7月)

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今月末はフジロックに行ってきた。例年と比べるとやや弱いというか地味な気がしていたラインナップも、いざMYタイムテーブルを組んでみると無理して動き回ったり何かを泣く泣く断念するということも少なく、また当日の天気予報に反して雨量も少なかったので、終わってみればかなり満足度が高かったと思う。例年通り、観たアーティストや食べたゴハンなどを記録したフジロック日記は後日あらためて書こうと思っている。


一方サマソニもタイムテーブルが発表された。私は東京2日目のみ行くのだけど、メンツが豪華なだけあってこちらは被りがかなり深刻だ。ゼベワンと乃紫のようにメッセ内同士の別ステージで微妙に時間がズレていればまだ両方少しずつ観れそうだけど、マリンステージのChristina Aguileraとマウンテンステージのベビモンがまる被りなのは痛い。しかもベビモンの後はPinkPantheressも控えているし、Early NoiseステージのTOMOOもできれば観たい。そしてアギレラを観に行くと、時間は被っていないもののパシフィックステージのIVEまでもが観れなくなる可能性も。そこいらのアーティストであれば簡単にマリンステージ行きを諦められるほどこの時間帯のメッセ側ラインナップが激アツなのだけど、アギレラだよ?17年ぶりの来日だよ?今からでもサマソニエクストラのブッキングしてくれないかなあ。アギレラは単独公演でも観たいっす…。


そんな悩める私が2024年7月に初聴きした音源まとめ。





Ado / 残夢 (2024)
★★★★★
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今年最もリリースを待ち望んでいたといっても過言ではない、Adoの2作目のオリジナル・アルバム。とはいえ、期待値がそこまで高いわけではなかった。というのもデビュー・アルバム『狂言』から2ヶ月後の2022年3月にリリースされた配信シングル「永遠のあくる日」から、本作の5日前にリリースされた「ルル」まで、本作収録の全16曲のうち14曲が事前リリース済みであり、アルバムとしては新鮮味に欠けるものになるだろうと考えていたし、またAdoの表現力を最大限に引き出せるのはJ-POP系ソングライターよりもボカロPだと思うので、今回J-POP系アーティストによる楽曲提供の比重が増えたことで、ネガティブな言い方を敢えてするならば「無難な」楽曲が多くなるのではという心配があった。


が、それは全くの杞憂で、まずオープニング曲「抜け空」の開始10秒で新境地というか「おっとそうきましたか…!」と思わせてくれるのはさすがAdo。そして2曲目以降はしばらく既発シングルが続くにもかかわらず、曲順がよく練られているので緩急があって飽きさせないどころか、その流れで聴くことでそれぞれの楽曲の新たな一面を発見できたりも。そしてAdoの感情表現や歌唱表現の極致とも言える「ルル」、ヒット・シングル「唱」と後半へのピークの持っていき方も上手い。ラストはこれまた新境地と言えるインダストリアル・ブレイクビーツ曲「0」でオートチューンと高速ラップを披露しつつ、蠟燭の灯を消すかのような余韻で終了。ついもう一度「抜け空」から聴きたくなるような構成になっている。

Ado - "ルル"




a子 / GENE (2024)
★★★★★
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これまでにリリースされた3枚のミニアルバムも素晴らしかったa子のメジャーデビュー・アルバム。シングル曲「惑星」や「LAZY」、そして3rd EP『Steal your heart』からの再録となる「あたしの全部を愛せない」「racy」「samurai」が良いのはもちろんだが、「good morning」「ベージュと桃色」「ボーダーライン」など新曲群も出色の出来。そんな中でも90年代J-POPの洋楽オルタナ風解釈とも言えそうな「miss u」が特にお気に入り。


アルバム本編も最高なのだけど、早期予約特典のZINEもかなり読み応えがある。a子自らによるライナーノーツでは各曲ごとにリファレンスになったアーティストや楽曲が挙げられており、正直あまりそういうことをアーティスト自ら口すべきではないと常々思っているのだけど、a子の場合は「確かにこの曲〇〇っぽいよね」となるのではなく「え、この曲のリファレンスが〇〇なの?それでこういう音になるの面白いな」「リファレンスの解釈のしかた、自分の曲への昇華のさせかたがユニークだな」などとa子の感性についてあれこれ考察しながら聴くのも楽しい。そのリファレンス元というのも工藤静香やSteve Lacy、PinkPantheress、Olivia Rodrigo、Sam Gendel、JUDY AND MARY、Nujabes、高橋洋子、久石譲、HYUKOH、Maroon 5などかなりバラエティに富んでいる。この人、さてはオタク(誉め言葉)だな。

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▲早期予約特典のZINEとa子が表紙のbounce2024年8月号(488号)


ちなみに7月23日にはアルバムリリース記念としてフリーライブ"Good News Sessions"が開催され、会場には足を運べなかったがYouTubeでも無料配信されたので視聴した。長方形の白い床がとてもスタイリッシュなステージで、バンドメンバーも腕利きが揃っており(特に「samurai」のドラムプレイ最高だった)、全7曲30分ほどのパフォーマンスだったがかなり見どころの多いライブだった。a子は普段のヴィジュアルでは基本無表情でアンニュイに決めているけど、ライブMCはバリバリの関西弁で笑顔でしゃべるのでその辺のギャップも魅力的だ。

a子 - "good morning"




ナツ・サマー / オレンジ通信 (2024)
★★★★☆
ナツ・サマー オレンジ通信

RYUSENKEIのクニモンド瀧口プロデュースによる、ラヴァーズロックとシティポップの要素を合わせたサウンドが酷暑の夏に爽やかな風を運んでくれる全7曲収録のミニアルバム。深津絵里が92年にリリースした「神様お願い」のカヴァーも収録。

ナツ・サマー - "楽園"




Ariana Grande / eternal sunshine (2024)
★★★★☆
Ariana Grande eternal sunshine

奥さんが購入。7枚目のオリジナル・アルバムにして、アルバムをちゃんと聴くのは今回が初となる。シングルにもなっている「we can't be friends (wait for your love)」が好みど真ん中の哀愁エレクトロ・ポップで特にお気に入り。

Ariana Grande - "we can't be friends (wait for your love)"







■今月のAdoさん
『残夢』リリースに伴い原宿にオープンしたポップアップショップに行ってみたり、コラボキャンペーンをきっかけに初めてくら寿司に行ったり、今月からスタートした全国ツアー「モナ・リザの横顔」のツアーグッズが届いたりという話は先日「Adoという沼にハマった人の話」の記事でも書いた通り。その後「徹子の部屋」にゲスト出演というトピックもあったが、番組ではなかなか緊張している感じも伝わってきつつ、一方でとても楽しく会話できていたのではと思う(徹子さんと一緒に服買いに行ったら顔バレしてしまうから行かなそうではあるが笑)。それにしても自身のツアーをやりながらワールドツアー「Wish」のVlogを自ら編集したり、先日デビューしたばかりの5人組アイドル・グループ、ファントムシータのプロデュースやプロモーション活動も行っていて、Adoは「歌い手」でありながらマルチ・クリエイターと化している。本当に凄い。






■「EIGHT-JAM」のTM NETWORK特集
7月21日放送の「EIGHT-JAM」(ex.関ジャム)はTM NETWORK特集だった。クラムボンのミトに出てほしいなと思っていたらまさにその通りだったが、清塚信也はちょっと意外。しかし、「どうやったらあんなあり得ない転調や展開を思いつくのか」ということを作曲家/ピアニストとして質問されていて、それに対して小室哲哉が答えるという内容は非常に興味深かった。私自身、高校時代に小室哲哉に憧れてEOS(小室哲哉プロデュースのシンセサイザー)を手に入れ、どうすれば「小室サウンド」のような音やメロディが作れるか研究していたし、最も尊敬するアーティストでもあるので小室哲哉の作曲法を深掘りできて良かった。スタジオにはメンバー3人ともに出演し、ウツは相変わらずの天然っぷり、木根さんは相変わらずの面白トークで、幼少期からTMのラジオなど聴いてきた私としては懐かしさや心地よさも感じられた。


が、やはり1時間では到底尺が足りないとも思った。ウツのダンスや木根バラの魅力、シンクラヴィアやPro Toolsなど当時最先端の機材の話、「CAROL」ツアーや「EXPO」ツアーの革新性、そして日本のコンサートで初めてレーザーを使ったりしたなどのライブ演出の話、音楽配信の話、小室みつ子のロマンティックな詞世界の話など語るべき部分がまだまだありすぎるので、第二弾、第三弾を是非ともやってほしい。もしくは特番で未公開シーンとか。



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