BUCK-TICK |
今から35年前の1987年9月21日、ビクターインビテーションからメジャーデビューした5人組バンド、BUCK-TICK。彼らはすでに37年間不動のメンバーで、ライブやオリジナル・アルバムのリリースなど、なおも精力的に活動を続けている。まずは35周年、本当におめでとうございます。
35周年というコンセプトで撮影された最新アー写
いや、冷静に考えて35年て凄くないか?これを読んでいるあなたがもし35歳以下なら、生まれる前からメジャーで活動しているということだし、私と同世代(40代前半)だとすると物心ついた頃にはすでに活動していたということだし、間もなく還暦を迎える世代の人であればBUCK-TICKのメンバーと同世代ということだ。高校時代の友人やその兄弟が集まり結成されたバンドで35年以上、コンスタントに作品リリースやライブ活動を行うというのはなかなか容易なことではない。
もちろん、サザンやTHE ALFEEなど、それ以上に長く活動を続けているバンドは他にも数多く存在する。しかしBUCK-TICKの特筆すべき点は、一つは自発的な活動休止がない(※1989年に半年間の謹慎はあり)ことのほか、常にアメーバのように柔軟な姿勢で、さまざまなジャンルやスタイルを取り込んでは自分たちの音へと昇華させ、作品をリリースするたびに刺激的な新しいサウンドを鳴らしているところだ。中高生の頃に「JUST ONE MORE KISS」や「惡の華」といったオリコン・ヒット曲で彼らと出会った人たちは今は40代以上であるはずだが、それらの世代をも「次はどんな新しいことをやってくれるのだろうか?」と常にときめかせつつ、毎度のように「そう来ましたか!やりやがった!」みたいな驚きを与えてくれるのである。彼らは毎年12月29日に日本武道館でライブを行い、終演後はスクリーンに来年の予定が告知されるのだが、「ファンクラブ限定ライブ!ホールツアー!シングル!アルバム!12月29日、日本武道館!」みたいに怒涛の発表がされ、集まったファンを毎年歓喜させ続けている。さらに、昨今のライブ・アーカイブ映像の無料配信なども相まって、新しいファンも着実に増やしているのだ。かくいう私や私の妻も、2019年の夏からの新規ファンである。
[過去記事]BUCK-TICKにどハマりしたのでそのきっかけや魅力などいろいろ語ってみた<前編>
BUCK-TICKにどハマりしたのでそのきっかけや魅力などいろいろ語ってみた<後編>
彼らは高校時代の友人とその兄弟によって結成されたが、現メンバーでの活動としては間もなく37周年を迎える。同じメンバーで長いことやっていると同じような曲ができてしまったり、メンバー間で音楽の方向性や活動方針にズレが生じたり、ソロ活動によってバンド活動が停滞したり、それらがきっかけで仲悪くなったり、見た目が劣化したり(主に頭頂部とお腹周り)するものだ。しかも彼らはかつてレコード大賞の新人賞を受賞し、オリコン1位を獲得したりするようなバンドだったわけで、「昔のヒット曲」だけやっていればそこそこメシは食えるはずである。
だが、彼らはそういったマンネリや不和、劣化などとは無縁だ。ルックスは全員カッコよくて仲良し(シャイな方が多いせいか、変にベタベタしすぎない程度に)、アルバムは最近では2年ペースでリリースし、シングルも2016年以降は毎年リリースされている。これだけコンスタントに長期にわたり作品をリリースしているバンドが他にいるだろうか?…あ、TUBEがいるか(※デビューからは通算34枚、2000年代以降で見ても15枚)。まあそれでもBUCK-TICKが貴重な存在であることは確かだし、これもひとえにバンドのブレインであるギター・今井寿の飽くなき探求心や好奇心の強さ、そして持ち前の反骨精神によるところが大きい。なんたってThe Rolling Stonesの来日コンサート時、最前列で寝てた男なのだから。笑
そんな彼らが、35周年を記念したベスト・アルバムをリリースした。彼らは30周年となる2017年にもベスト・アルバムを出しているし、それ以前にも何枚かベストを出しているけど、シングル集とかメンバーセレクトとかファン投票などそれぞれ若干性質が異なる。今回のベスト『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』は5枚組の過去最大ヴォリュームとなるのだが、これまでの楽曲を5つのコンセプトのもとにシャッフルして再構築した内容となっている。
5枚のディスクはそれぞれ「RIBELO」「GOTIKA」「ELEKTRIZO」「FANTAZIO」「ESPERO」と名付けられているが、これらはエスペラント語で「反乱」「ゴシックの」「通電」「 幻想」「希望」を意味するそうだ(日本エスペラント協会によるツイートより)。
Japana rokbando BUCK-TICK uzis Esperanton por la titoloj de siaj memoraj albumoj de la 35a datreveno.
— 日本エスペラント協会 Japana Esperanto-Instituto (@jeiofic) August 2, 2022
Jen estas la titoloj:
RIBELO (反乱)
GOTIKA (ゴシックの)
ELEKTRIZO (通電)
FANTAZIO (幻想)
ESPERO (希望)
思いを込めてエスペラント語を使っていただき、うれしく思います。 https://t.co/XCWRmmggFl
先ほども触れたように、BUCK-TICKの楽曲にはいろんなタイプの曲があって、敢えて既存のジャンル名に当てはめるとすればエレクトロ・ポップ、ポスト・パンク、ダブ、スカ、シューゲイザー、グランジ、ダブステップ、ドラムンベース、ファンク、タンゴ、フラメンコ、ワルツ、歌謡曲などを挙げることができる。その幅広い音楽性ゆえ、人によっては「初めてアルバムを聴いてみたけど、結局BUCK-TICKがどういう音楽性なのかよくわからない…」ということもあるかもしれない。なので本作は入門編としても向いていると思う(5枚組で6,000円というのがネックかもしれないが)。
[過去記事]BUCK-TICK、どれから聴いたらいいのかわからない問題
ちなみにこの5つのコンセプト、BUCK-TICKファンである私からするとこれ以上ないくらい最適なチョイスだと思う。BUCK-TICKの魅力とは?と聞かれたら、個人的には『十三階は月光』が大好きなアルバムなのでゴシック要素は外せないし、『狂った太陽』以降、現在に至るまで通電(=エレクトロニック)はサウンド面における最重要エレメントだと思う。また、「ICONOCLASM」や「ナカユビ」といった反骨精神溢れる曲に加え、「Long Distance Call」「楽園」「ゲルニカの夜」など反戦・平和への願いを込めたメッセージを持つ曲も多い。それでいて持ち前のメロディーセンスを生かした希望に満ちた曲や、主に星野英彦が得意とする切なさやホーリィさが前面に出た楽曲抜きにBUCK-TICKは語れないし、歌詞に目を向ければ「ANGELIC CONVERSATION」や「Ophelia」、「幻想の花」などファンタジックな要素も目立つ(こういった歌詞も星野英彦の楽曲によく合う)。なので、私も「BUCK-TICKで思いつくコンセプトを5つ選べ」と言われたら、ほぼ同じ感じになるんじゃないだろうか。
しかもこのベスト・アルバムには新曲「さよならシェルター」が収録されているほか、いくつかの曲はニュー・ミックスになっていて(ティザーを聴く限り、完全に別アレンジみたいなものも)、さらに各ディスクごとに米・英・独・仏・日と異なる国でのマスタリングがされているようだ。今までのオリジナル・アルバムやベスト・アルバムを持っている人でもこれは買ってしまう。
ところで、同じテーマで私も5つのプレイリストを作ってみた。別に「何であの曲が入ってないんだ?こうすべきだろ!」などというつもりはない。単純に普段からムードやコンセプトに基づいたオリジナルのプレイリストを作るのが好きだし、『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』を初めて聴いたときによりワクワクできるように、各ディスクにどの曲がどういう曲順で入っているのか、敢えて見ないようにしているのだ(厳密には、チラッとは見た)。なので初めて聴くときまで自分なりに妄想を膨らませ、答え合わせしつつ楽しみながら聴きたい、みたいな。
ちなみに先日、35周年記念サイトがオープンし、バンドのヒストリーを深く知ることができる内容になっている。時代ごとのアー写がどれもカッコよく、眺めているだけでも楽しい。今後も更新されるようなのでこちらも楽しみだ。
BUCK-TICK 2022 DEBUT 35TH ANNIVERSARY YEAR SPECIAL SITE:HISTORY
さて、9月23日・24日には横浜アリーナにてデビュー35周年記念ライブが2日間にわたり開催される。私は2日間とも、奥さんと一緒に参加する予定。噂では2日間とも異なるセトリでやるらしい。元気すぎるだろ!
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