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Albums of the Month

Albums of the Month (2023年2月)

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今月聴いた作品まとめ。新譜・旧譜合わせて3枚と先月に続いて少なめで、若干スロースターター気味ではある。そう考えるとやはり去年の大豊作リリースラッシュって異常だったなーと。





まずは新譜から。


Beachside talks / Marble Town (2023)
★★★★★
Beachside talks Marble Town

The Cure、Cocteau Twins、Beach Fossils、DIIV、そして国内ではFor Tracy Hydeからの影響を感じさせる、東京の4人組ドリームポップ・バンドによる6曲入り1stミニ・アルバム。


うん、めちゃくちゃ良い。宇宙ネコ子のkanoにも通じる儚げな歌声と、甘美な陶酔を感じさせるギター・サウンドの組み合わせはやはり相性抜群で、これぞドリーム・ポップという感じだが、ソングライティングもアレンジも数多のドリーム・ポップ勢から頭一つ抜けている気がする。それに加えミックス・バランスも素晴らしく、ギターの音色が非常にクリアに聞こえるほか、ドラムやベースも含めて全ての音が立体的に聞こえるところも素晴らしい。これは一体どなたの仕業?と思いクレジットを見ると、ミックスはKensei Ogata氏によるもの。このクオリティ、絶対にそこそこ名の通った人によるものだと思ったよ。「海辺の話」ではオートチューン使ったりもしているけど、これが思いのほかドリーム・ポップと相性が良い。

Beachside talks - "海辺の話"




黒岩あすかと夜 / 夜がくる (2023)
★★★☆☆
黒岩あすかと夜

日本のChelsea Wolfe、と勝手に思っている黒岩あすかのライブ盤。やや音が悪いのが残念ではあるけど、ライブならではの生々しいサウンドはサイケデリックな雰囲気と彼女が持つ神秘的かつダークな側面を醸し出すのに一役買っている。今後、岡田拓郎がプロデュースしたりしても面白いかも。スタジオ盤も是非入手したいところ。

黒岩あすか+稲田誠+山内弘太 - "呪い"







続いて旧譜。

dropz / SWEET OBLIVION (2007)
★★★☆☆
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BUCK-TICKのギタリスト、星野英彦によるソロ・プロジェクトdropzのアルバム。以前ストリーミングで聴いたことはあったが、奥さんがCDを購入。


パンクやニューウェイヴ的な側面が強い今井寿に比べると、どうしても星野英彦はアコースティックや美メロといった風に見られがちだが、このプロジェクトでは私も大学の頃好きだったトリップ・ホップ・バンド、Sneaker PimpsのKelli Daytonをヴォーカルに据えてエレクトロニカを展開。今となってはやや古臭さも感じられる音だが、BUCK-TICKの多面的な音楽性の1ピースを担うものとして興味深い一枚。YouTube上に公式音源はないので、Sneaker Pimpsの好きな曲でも貼っておこう。よりポップになったPortisheadって感じでお気に入りだったやつ。

Sneaker Pimps - "Walking Zero"







■Hi-STANDARDのこと
ハイスタのファンかと言われると、正直そんなわけでもない。でも私の世代にとって、ハイスタはあの時代を象徴する「現象」であり「カルチャー」だったと思う。大学生の頃に経験したあれやこれがハイスタとはどこかしらで繋がっていて、切り離せなかったりする。ヘアサロンで、当時流行っていたパンク・スタイルの髪型をオーダーすれば「ハイスタとか好き?」と言われたりしたし、音楽サークルでは仲間がハイスタのコピバンをやっていたし、私はと言えばハイスタのようなドラムを叩ける技術がなくて歯がゆい思いをしていた。


今思い出したけど、それまでTM NETWORKやaccess、trfみたいな打ち込み多用のポップス系くらいしか邦楽CDを持っていなかった私が1997年に洋楽オルタナティヴ・ロックに傾倒するようになってから、最初に買ったロック系の邦楽CDはハイスタの『ANGRY FIST』だった。ミッシェルやブランキーとはまた全然質感の異なる、乾いた音が妙にクセになるミックスで、明らかにこれまでに知っていた日本のロックとは違うものを感じた。アメリカ西海岸の音なんて当時はどんなものなのか全く知らないのに、なぜか直感的に「これはアメリカ西海岸の音だ」と感じたのを覚えている。


そんなハイスタの常岡さんがこの世を去ってしまった。結局ライブは見れず仕舞いだった…。ご冥福をお祈りします。



■最近流行っているJ-POP
5年くらい前までと比べると、邦楽のいわゆるチャートものを能動的に聴く機会はとても増えた。別に「世の中の流行りを押さえておきたい」などと言うつもりはないのだけど、流行っているので耳にする機会も多く、その中で「お、これは」と思うものが割合としてかなり多くなった。そんな経緯もあって去年は「番外編」と称した年間ベスト・ソング記事にて、収録アルバムが未リリースのため音源こそ持っていないがお気に入りという曲を選出したが、そういった曲をまとめてガンガン聴きたいと思い、「J-POP流行りもの2022-2023」という約2時間のプレイリストを作ってみた。



これは文字通り、昨年から現在にかけてバイラル・ヒットしている曲の中から自分が好きな曲のみチョイスしたもの。一応、自分なりのこだわりをもって曲順も考えた。ちなみに日本デビューしているK-POPアーティストもいくつか含まれる。


このプレイリストでバーッと聴いていると、数年前までのJ-POPとは曲の長さや曲構成のトレンドが変わってきているのが如実に分かって面白い。以前は5分台の曲が当たり前だったのに今はほとんどが3分台。これはストリーミングの再生回数でアーティスト側の収益が変わるのだから当然の流れだろう。前々からJ-POPって長ったらしい曲多いなと思ってたのでこの変化は個人的にありがたい。


曲が短くなっているのだから、当然曲の構成も変わってきている。例えば米津玄師「KICK BACK」で言えば、「幸せになりたい」から始まるパートは従来パターンならば2回目のコーラス(サビ)が終わってギターソロなどが入ったあとに来ていたような部分だけど、2回目のコーラスに入る前に来ているから、実質2コーラス目のヴァース~ブリッジ~コーラスが全カットになった形だ。同様のことはAimer「残響散歌」における「逃げ出すため ここまで来たんじゃないだろ?」以降の部分やYOASOBI「祝福」における「決めつけられた運命」で始まる部分など、いわゆる「Cメロ」的な部分の前にサビが1回しか出てきていなかったりするところからも明らかだ。


また、英米のメインストリーム・ポップスではヴァース~ブリッジ~コーラスが同一コードのシンプルな構成がトレンドなのに対し、従来のJ-POPは比較的目まぐるしくコード展開する特徴があったのだが、セカオワ「Habit」、なとり「Overdose」、asmi「PAKU」、Vaundy「踊り子」などワンフレーズ主体の曲が増えたなと。こういう曲がヒットしているのを見ると、世の中変わったなあとつくづく感じる。



■今月行ったライブ
2023年最初のライブ参加は2月22日にSpotify O-Eastで行われたNight Tempoとなった。序盤こそオーディエンスも静かだったが、流暢な日本語による軽快なトーク、そして第二部のシティポップユニット、Fancylaboのパフォーマンスによって徐々に熱を帯びてきて、第三部の昭和歌謡グルーヴではオーディエンスも大熱狂&大熱唱で盛り上がった。中でも特大の盛り上がりを見せたのは渡辺美里「My Revolution」。お客さんも10代~40代(50代?)と幅広かったな。


生のライブとしてはNight Tempoのみだったけど、wowowでレッチリやMegadethの来日公演とグラミー授賞式のオンエアを観たり、BUCK-TICKの1987年のライブ映像作品「バクチク現象 at THE LIVE INN」のブルーレイを観たりもした。デビュー前のライブということで当然今とは全然パフォーマンスも音楽性も異なるけど、この頃から独自の美学を貫いているのが凄い。



■フジロック
チケットも宿も押さえたどー!しかも苗プリ取れた、ということでテンション爆上がり。アクトも今のところ観たいメンツが多く並んでいるので楽しみ。出演アーティスト第二弾の発表はいつかしら。



■礼賛
ラランドのサーヤ、ゲスの極み乙女。の川谷絵音、休日課長らによるバンド、礼賛が今年1月にリリースしたアルバム『WHOOPEE』をストリーミングで聴いたのだけど、これ良すぎない?今のところデジタル・リリースのみで、購入はしていないので今月初聴きした作品には含めなかったが、演奏技術の高さは言わずもがなだけどCLR(サーヤ)のリリック・スキル、ラップ・スキルも非常に高い。是非CDでもリリースしてほしいし、フジロックのフィールド・オブ・ヘブンにでも出てほしい。

礼賛 - "TRUMAN"




■今月観た映画
今月は『チェルノブイリ1986』『鉄道員(ぽっぽや)』の2本を鑑賞。2022年日本公開の『チェルノブイリ1986』は原発事故がストーリーの根幹になってはいるものの、登場人物は完全にフィクション。レビューサイトなど見るとイマイチ評判がよろしくないようで、理由としては史実に基づいたものが観たかったという意見が多いようだった。自分としては完全にフィクションとして捉えた上で、この映画は結構面白かった(表現が適正ではないと思うが、あくまで作品として)。原発事故関係だと去年『チャイナ・シンドローム』(1979年)も観たけど、あちらが「事故が起こりそう」というハラハラ感だったのに対し、こちらは事故が起こった後でこれヤバい、詰んだという絶望感が押し寄せてきて、両作品で異なる恐怖感が味わえると思った。軽装のまま現場に立ち入ったりと放射能に対する理解のなさが印象的に描かれていて、この辺は当時の様子をリアルに再現しているのだろうか。


1999年公開『鉄道員(ぽっぽや)』は、主題歌になっている坂本美雨の「鉄道員」(※こちらの読みは「てつどういん」)という曲が好きだからというのと、そういえば高倉健主演映画って『八甲田山』(1977年)くらいしか観たことなかったので。人気絶頂期の広末涼子、そして本作が唯一の映画出演となった志村けんと、注目すべきトピックも多い。

坂本美雨- "鉄道員"




■今月買った本
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人生で初めてロッキング・オン・ジャパンを買ったよ。お目当てはもちろん、表紙を飾り、2万字インタビューが掲載されているAdo。ORIHARA氏による書きおろし特製ポスターも付いている。発売日に書店でさらっと立ち読みして、あとで買おうと思っていたらどこも完売になってしまってたんだよね。いつの間に増刷されていたのでタワーオンラインでポイント20倍のタイミングで購入。売り切れ直後はプレ値になっていたけど、フリマサイトで買わないで良かったぜ。インタビューは含蓄のある言葉が並んでいて、とても二十歳とは思えない、自身を客観的に見つめて物事を俯瞰で見るAdoの凄さに触れることができ、とても読み応えがあった。





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