Albums of the Month |
ライブ会場のロームシアター京都
今月3日、BUCK-TICKのデビュー35周年記念ツアーの京都公演に、旅行も兼ねて行ってきた。いわゆるライブ遠征ってやつ。遠征は今年8月の札幌に続き人生2度目だったが、終演後に地元の美味しいものを食べたり、翌日に観光したりで楽しい。
そして先週末は土曜にZepp HanedaでAdo、日曜はさいたまスーパーアリーナでLUNA SEAの黒服限定GIGに行ってきたのだが、どちらも大変満足なライブだった(詳しくは後述)。世の中的にもライブ開催数が徐々に増えてきて、発声に関する規制も緩和されていく傾向にあるようだが、「感染者数が減ってきた」「感染力が弱まった」という状況ではないため、依然としてライブ当日までの不安感はあり、結構なストレスだ(自分はもちろんのこと、出演者側も全員罹患していない必要がある)。年末のBUCK-TICKの日本武道館公演も無事に開催されれば良いが…。
というわけで、2022年最後となるAlbum of the Month、今月聴いた作品まとめです。さー、出揃ったので年間ベスト考えるか。
まずは邦楽の新譜から。
Mori Calliope / SINDERELLA (2022)
★★★★★
VTuberの名前とか誰ひとり知らないしホロライブについてもミリしら状態だったけど、新譜リリース情報の記事を書いているときに初めて聴いて、めっちゃカッコイイなと。で、この人ナニモノ?と思い調べてみて、VTuberと判明し驚かされた。ラップスキルも高く、普通の歌唱パートも上手くて楽曲クオリティも高いのだが、この作品を聴きながら頭に去来したのはBLACKPINKからAdo、DEATHNYANN、The 1975、TLC、Rina Sawayamaとバラエティに富んでいて、面白い音がたくさん鳴っている。
Mori Calliope - "Wanted, Waste"
三浦透子 / 点描 (2022)
★★★★★
2020年リリースの前作『ASTERISK』は、リリース翌年に購入して2021年旧譜ベスト・アルバムTOP60で2位に。俳優としても好きだが、歌声が素晴らしいので歌手としても大好きだ。羊文学の塩塚モエカが作詞・作曲した「風になれ」はとても羊文学っぽいフレーズ満載で、儚げなメロディが三浦透子の声ともマッチしている。『ASTERISK』と本作に共通していることなのだけど、ミニアルバムなのにそれぞれの楽曲クオリティも高くてバラエティに富んでいて、フルアルバムと同じくらいの満足度がある。
三浦透子 - "intersolid"
For Tracy Hyde / Hotel Insomnia (2022)
★★★☆☆
Radioheadの「Airbag」と「Planet Telex」(どちらもアルバムの1曲目)の空気感をまとった「Undulate」を冒頭に据え、成長と進化を感じさせる5作目。これまでも作品をリリースするごとに新しいこと(Porter Robinsonっぽいことをやってみたり、グランジ取り入れたり)にチャレンジしているが、本作では「House Of Mirrors」でラップを導入。が、ちょっとそこまでうまくいっていない感じがして、そこはやや残念かも。
For Tracy Hyde - "Milkshake"
続いて洋楽新譜。
Pinkshift / Love Me Forever (2022)
★★★★☆
グランジ、メタルコア、ポップ・パンクを絶妙にミックスしたボルティモアのスリーピースによるデビュー・アルバム。メロディはダーク寄りなものが多く、ラウドでドンシャリが効いたサウンドがカッコよすぎて、ミックス・エンジニア良い仕事しすぎだろ。こういうバンドはライブが観たくなるのでぜひ来日してほしい。
Pinkshift - "nothing (in my head)"
Lizzo / Special (2022)
★★★☆☆
Phoenix / Alpha Zulu (2022)
★★★★☆
LizzoとPhoenixは奥さんからのリクエストで購入。Lizzoの「About Damn Time」は今年の年間ベスト・トラックらしい。Phoenixは彼らの魅力の根本部分はブレることなく、作品ごとに少しずつ新しい要素を加えていくのが本当に上手くて、どのアルバムもPhoenixらしさ全開なんだけど実は似ている作品ってなかったりするから地味に凄い。
Lizzo - "About Damn Time"
Phoenix - "Tonight feat. Ezra Koenig"
M.I.A. / MATA (2022)
★★★★★
6年ぶりのアルバム。10月のサプライズ・リリース後にフィジカルでのリリースがあるのかと思ったが、全然されないのでデジタルで購入。ストリーミング主体でリリースされているのになんでわざわざデジタル・ダウンロードで1,900円で購入?と思う人もいるかもだけど、そこはまあ私のこだわりというか…(ストリーミングだと年間ベストの対象外だし)。
個人的には『Matangi』が彼女の最高傑作だと思っているのだが、本作はわりとそれに近い印象で、フリーキーでトライバル、ヒンドゥー要素強めでかなり好みの音だ。「F.I.A.S.O.M. Pt. 2」「Energy Freq」「Puththi」「MATA LIFE」などは特にその要素が強くて最高。これ聴いちゃうと、前作『AIM』はとても凡庸なアルバムだったとあらためて思ってしまうな…。
M.I.A. - "Energy Freq"
Lexie Liu / The Happy Star [刘柏辛 / 幸福星] (2022)
★★★★☆
こちらもiTunesストアでデジタル購入。中国出身のSSWで、曲によってはt.A.T.u.(2020年に個人的に再ブレイクして、その年の旧譜年間ベストでは3位と4位にランクインしている)っぽさが感じられて好き。
Lexie Liu - "MAGICIAN"
旧譜は洋楽1枚のみ。TSUTAYAの旧譜無料クーポンがあったので。
Paramore / Brand New Eyes (2009)
★★★★☆
Pinkshiftの『Love Me Forever』を聴いて「かっけえ!」ってなってるときに、初期のParamoreに近いなと感じて。と言ってもParamoreのアルバムは4作目『Paramore』しか持ってなくて、それ以前の曲はラジオやTVで流れるようなシングル数曲しか聴いたことなかったから、あくまでそれらシングルのイメージに過ぎないのだけど。
このアルバムがリリースされた2009年当時、USチャート上ではポップ・パンクが流行っていたから、私もThe All-American Rejectsなんかは好きだったけど、それに比べるとParamoreはメロディがやや暗めだなと感じてそこまで興味そそられなかったんだよね…。Pinkshiftを聴いて真っ先に「Ignorance」が思い浮かんだのがきっかけで本作を聴いてみようと思ったんだけど、意外にも明るめの曲の方が多かった。でも曲調がどちらであってもどの曲もキャッチーだ。そしてヘイリーの声が良い。
ちなみに2023年2月には約6年ぶりの新作『This Is Why』がリリースされる。先行シングルはあまりピンと来なかったし、2017年の前作『After Laughter』の路線は全く好きではない…。今だからこそ、ポップ・パンクに回帰しても良かったと思うのだけど。
Paramore - "Ignorance"
■ライブ
今月行ったライブは先述の通りBUCK-TICK、Ado、LUNA SEAというラインナップ。BUCK-TICKは35周年という節目の記念公演であっても懐古的なセトリにするのではなく、「現在と、これから」を明確に示す姿勢に尊さすら感じられた。京都では平安神宮や金閣寺、南禅寺のほか京都府立図書館に行ったり。紅葉シーズンで、市内を取り囲む山々が色付いていたのも良かった。
Adoは前回(8月のさいたまスーパーアリーナ公演)と比べるとだいぶ小さなハコだったので、バンドの音がよりダイレクトに聴こえたせいかそこらのロックバンドよりも遥かにロックなステージだったと思う。表現力豊かなAdoの圧巻の歌声にシビレまくりだったし、曲が終わると観客から「おぉぉ・・・!(スゲエ)(歌うめえ)」みたいな、声にならない感嘆のどよめきが起こるのが印象的だった。
LUNA SEAは「黒服限定GIG 2022 LUNACY」と銘打たれた、インディーズ期の楽曲を中心にプレイするライブ企画を12年ぶりに開催。「ROSIER」や「DESIRE」といった代表曲を封印し、初期のデモテープ音源なども交えた超マニアックなセトリだったが、スラッシュメタル色の強かったインディーズ期の楽曲が次々と繰り出させるアグレッシヴなパフォーマンスは、さすがに初期デモ曲までは知らない自分でも大満足・大興奮な内容だった。
■映画
年内にもう少し観るかもしれないが、現時点で今月観たのはスパイク・リーが監督・製作・脚本・主演を務めた『ドゥ・ザ・ライト・シング』、地上波でOAされた『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『ベニスに死す』で一躍脚光を浴びたビョルン・アンドレセンの生涯に迫るドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』、アンソニー・ホプキンス主演で認知症をその"内"と"外"の対比で描いた『ファーザー』の4作品。中でも『ファーザー』は冒頭からとても引き込まれるし、構成や展開、エンディング含めて素晴らしかった。自分の身の回りでもいずれ起こることだと思うので、なかなか考えさせられる映画だ。あとイモージェン・プーツの演技がとてもかわいらしかった。
■ドラマ
wowowオリジナル・ドラマ『両刃の刃』が先日最終回を迎えた。いやー凄く見応えのある、重厚なドラマだった。民放局でもこれぐらいのクオリティのドラマ作っておくれよ…。事件の真犯人は誰も予測できなかった展開だったし、柴田恭兵も井浦新も演技上手すぎるし、これは泣いてしまうわ。
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