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ライブレポート

ライブレポート:The 1975@原宿ASTRO HALL

8月14日に原宿ASTRO HALLで行われたThe 1975のライブに行ってきました。

the-1975.jpg


当ブログでも昨年末の「SOUND OF 2013」で4位に、「2013年下半期版・デビューアルバムが期待される10組」の記事では2位に選出されたことからもわかるように、新曲を発表するたびに期待値が跳ね上がっていた彼ら。9月のデビューアルバムリリースに先駆けてのサマソニ出演と今回のショーケース単独公演だったわけだけど、サマソニ後に単独公演がソールドアウトしたことからもそのライブパフォーマンスの評判の高さが窺え、かなり楽しみにしていた。

このバンドの魅力は、カリスマ性のあるフロントマンを擁したメンバーのルックス偏差値の高さも確かにあるとは思うけど、それ以上に大物感というか、アルバムデビュー前だというのに既に大きなスタジアムで大観衆を前に演奏しているところが容易に想像できるところというのもある。あくまでキャッチーな歌メロを持ったギターロックを基調としつつ、浮遊感や奥行きのあるシンセとギターの音色が添えられ、しっかりした演奏技術を持つドラマーにより躍動感が生まれ、さらにはエモーショナルな歌声(ジミー・イート・ワールドのジム・アドキンスとフォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプに少し歌い方が似ている瞬間もある)が加わることで、アート性と大衆性が絶妙なバランスで成り立っていると思う。そのバランス感は、まるで2000年の第一回サマーソニックに出演したシガー・ロスやコールドプレイが持っていたそれに近いものがある。そういえばThe 1975は、サマーソニックではオープニングアクト枠を除くとソニックステージの一発目であり、2000年のサマソニでもG-SHOCK WINNER枠の後にインドアステージに立て続けに出演したシガー・ロスとコールドプレイのような存在になり得るのではと、主催者側が考えているような気さえさせる。つまり、数年後にはフェスのヘッドライナーを飾る存在になると確信を持っているのではないだろうか。

そんないわば「ダイヤの原石」による、将来語り草になるであろう伝説のライブをしっかりこの目に焼き付けようと、会場は期待に満ち溢れた人々でパンパンだった。4人がステージに登場するやの大歓声。ヴォーカルのマット・ヒーリー(Matt Healy)は腕のところにシルバーの鋲だかストーンがびっしりとついた皮ジャンを着こなしすごくファッショナブルで、トレードマークのヘアスタイル(サイドを刈ったロングヘア)も含めてカリスマ性があった。演奏中何度も髪を掻き上げるしぐさもとてもナルシスティックで、モノトーンで統一された彼らのアートワーク同様、このバンドの美意識の高さを窺わせた。

ライブはチルウェイヴ以降のR&Bを感じさせる空気感をまとった「Head.Cars.Bending」からスタート。この曲、オープニングにピッタリだと思う。続いてはパワフルな16ビートのドラミングが恐ろしくかっこいい「The City」。この曲はミュージックビデオもあるのでEPの中でもリード的なトラック。

The 1975 - "The City (Lowlands 2013)"



それにしても、彼らのように音源のクオリティがやたらと高すぎると「ライブはしょぼいのでは?」という不安も生まれてくるものだけど、彼らについてはそんなことは一切なかった。さすがに完璧とまではいかないけど、ドラマーはサンプリング・パッドを使っていたしギタリストはキーボードも弾いていて、エレクトリックな部分もしっかりと再現。重厚で奥行きのあるサウンドを見事に再現していた。特にこの二人の役割は本当に重要で、ギターの細かいフレージングはマス・ロックのように複雑でリズミカルだったし、力強いドラミングもスタジアムバンドには不可欠な要素だと思う。

マットは途中MCで「静かだね」と言っていたけど、それは彼らが今からしゃべろうとする時や演奏を始める時だけで、全体的にはかなり熱狂的に盛り上がっていたと思うし、冒頭の「The City」の他、後半の「Chocolate」「Sex」二連発の盛り上がりを見る限り、集まったオーディエンスもしっかりとEPの曲(おそらくはYouTubeなどで覚えた人も多いだろうけど)で盛り上がりどころを把握していていた。まだ本国でもデビューアルバムを出していないにもかかわらず、小さなハコだったとはいえ単独公演をソールドアウトさせ、アンセムが少なくとも3曲あり、熱狂的なファンを生み出しているバンドもなかなかいないのでは。マットによると2014年初頭に再び来日してくれるそうで、その会場規模や公演数は9月リリースのデビューアルバムの反応次第ということなのだろうけど、その頃には2,000人、3,000人規模でも満杯にするほどになっているのではないだろうか。

The 1975 - "Chocolate (Lowlands 2013)"



The 1975 - "Sex (Lowlands 2013)"



そんなワケでライブはラスト「You」で締めて終了。終演後に場内でLCDサウンドシステムが流れ始め客電が点いても、アンコールを求める拍手はしばらく鳴り止まなかった。さらにメンバーの希望により急遽サイン会も開催。普段サインには全く興味がない僕さえも並んでしまったし、全員と握手もしてしまった。僕はロックバンドをアイドル視することに抵抗はないものの、今までそういうバンドにあまり出会ってこなかったけど、彼らばかりはライブ後にホレボレしてしまったし、握手したときの手の大きさと感触(ちょっとじっとりしていた)にすっかり興奮しつつ、ジャスティン・ビーバーやワン・ダイレクションのファンの女の子の気持ちが少しわかった気がした。音楽的にはいろいろな引き出しを持っているのでまだまだこれからどんどん新しいことをやってくれそうだし、男女問わず熱狂させてくれるThe 1975はいま最も注目すべきバンドだと思う。


■2013/8/14 原宿ASTRO HALL set list
1 Head.Cars.Bending
2 The City
3 Milk
4 Settle Down
5 Heart Out
6 She Way Out
7 Girls
8 Me
9 Robbers
10 Chocolate
11 Sex
12 You




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