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初聴きディスクレポート

洋楽ひとことレビュー Vol.20(2011年2月)

2月もまもなく終わりなので、2月に買った&借りたアルバムの感想を紹介します。今月も衝動が抑えきれず、バカ買いしてしまった…。
ちなみに、先月のはこちら

<★の解説>----------------------
★★★★★今年の名盤上位20位以内確実!
★★★★☆すばらしい!
★★★☆☆普通に良作!
★★☆☆☆若干気になる部分もあり。もう少し聴きこみたい!
★☆☆☆☆あらら期待外れ・・・
☆☆☆☆☆全然ダメ・・・
---------------------------



ではさっそく「Album of The Month」からご紹介します!

【Album of The Month - Akron/Family / Akron/Family II: The Cosmic Birth And Journey of Shinju TNT】
★★★★★
akronfamily


まず、メインタイトルの「ST」はSelf Titledのこと。つまりこのアルバムの正式タイトルは「Akron/Family」。でも以前にもそのタイトルのアルバムがあったので「2回目のセルフタイトル」ということで便宜上「STⅡ」となっています。にも関わらず、長くて立派なサブタイトルが付いているのが謎。そんな今作は、前作「Set 'Em Wild, Set 'Em Free」の路線を踏襲しつつも、メロディが飛躍的にメロディアスでポップに。ジャケ通りの神秘的な世界観、深淵で幽玄で壮大なサウンドスケープを思い描かせるものになっています。冒頭曲"Silly Bears"から陽性の弾けるポップ感覚で、パンキッシュに疾走。後半に行くにつれ、これまでにも見せたような、深い森を想起させるフォーキーなアコースティック曲もあり、トライバル感やサイケデリック感が混然一体となった音はAnimal Collectiveの名作「Merriweather Post Pavilion」と双璧をなす作品と言えると思います。

Radiohead / The Kings of Limbs
★★★★★
2月14日に突然リリースがアナウンスされ、18日にはダウンロード開始。レディオヘッドにしかできない方法で発表された本作は、トム・ヨークの音楽的嗜好(IDM/エレクトロニカ/ダブステップ)がこれまでの作品よりも色濃く反映されつつ、Atoms For Peaceからの影響も大きいであろうトライバルでメタリックなパーカッションの連打により、過去最高にリズム・コンシャスな作品となりました。彼らのこれまでのアルバムに順位を付けることは到底不可能ですが、オールタイムで上位3位以内に入るのでは、という気がします。Akron/Familyの新作と同様、こちらも来世紀もしくは火星で鳴っているような、幽玄な音楽を鳴らしています。

Adele / 21
★★★★★
イギリス他、世界各地でバカ売れ。日本ではあんまり売れていないらしいAdeleのセカンド。21歳にしてこの風格と色気のある声。色気というより、エモーショナルで時に鬼気迫る感じ。歌で人の心を動かす、もしくは心を震えさせることのできる数少ないシンガーだと思います。19歳で制作した1stもバラエティ豊かなトラックに最高の歌声をのせて届けてくれましたが、今作ではサウンドはよりオーガニックな作りに。そして声はさらに表現豊かに、深みが増しました。

PJ Harvey / Let England Shake
★★★★★
先行で公開された「Written On The Forehead」を聴いたときは、アンビエントかつゴスペル調でヒーリング・ミュージック的な作風になりビックリしました。ポーリーも落ち着いたなーと思ってしまいましたが、アルバムを聴くとそんなことはありませんでした。全体としては静かなのに、なんだか穏やかではない張りつめた空気が流れて、乾いたギターやドラム音が、妙にヒリヒリした感覚を与える不思議さ。でもそんな不思議さと、ポーリーの可憐で女性的な歌声が溶け合うのが、彼女たちの最大の魅力であり、今作はそれがよく発揮された作品になっています。「ただただ美しい」アルバム。




Dream Diary / You Are The Beat
★★★★★
The Pains of Being Pure At Heart好きには絶対オススメのこのバンド。ブルックリン発のメガネ男子2人+女子1人のバンドのデビュー作は、POBPAH同様にネオアコやC86と言ったタームで語られることが多そう。ただ、シューゲイザー的な要素はほとんどなく、純粋にギターポップファンに長く愛されると思います。キラキラなシンセもカラフルさを添えています。

Esben And The Witch / Violet Cries
★★★★☆
ジャケ通りの冷たいサウンド。硬質のエレクトロビート×ノイジーな轟音ギター×女性ボーカルで、The XXやWarpaint、Telepatheあたりにも通じるものがあります。デビュー作にして圧倒的なクオリティと世界観を持っていて、楽曲単体では素晴らしいですが、アルバム全体通して聴くとやや単調な印象も。もう少しメリハリが欲しかったかも。

Ringo Deathstarr / Colour Trip
★★★★☆
マイブラ+ジザメリ直系の轟音シューゲイザーバンドのデビューフルアルバム。先行で公開された曲が素晴らしかったので期待していましたが、その曲やEPを聴いたときほどの衝撃はこのアルバムにはなかったかも。とはいえ、まだ一回しか聴けておらず、メロディは普遍的なポップなので、これからさらに聴きこんでいきたいと思います。

Moscow Olympics / Cut The World
★★★★☆
珍しくフィリピン出身ながら、スウェーデンのレーベルからデビューしたバンド。シューゲイザーとネオアコのミックス具合がちょうどいいです。最近コレ系のバンドが多いですが、音の作り方などは非常によくできています。




David Lynch / Good Day Today/I Know
★★★★☆
「ツイン・ピークス」などの映画監督による初の音楽作品。ダークなトーンのエレクトリックなサウンド。オリジナルは2曲のみですが、UnderworldやBoys Noizeなどがリミックスした曲が3,4曲収録されていて、オリジナル2曲とは思えないバラエティ感を与えています。

Cut Copy / Zonoscope
★★★☆☆
前作のエレポップ/サイケデリック感/ちょこっとシューゲイザー感が好きだったのですが、今回は前作には及ばない感じ。全体的に長尺なのも、コンパクトな作品好きな自分としては気になります。「Take Me Over」などでは少しトロピカルな要素もあり、前作からの飛躍も見られます。

Beady Eye / Different Gear, Still Speeding
★★★☆☆
オアシスとの比較は避けられませんが、そんなプレッシャーをまったく感じさせない、ビートルズ愛とジョン・レノン愛にあふれたアルバム。後半の流れが秀逸です。ただ、1曲目の「Four Letter Words」がどうも好きになれないので、第一印象は悪かったです。

Kate Nash / Made of Bricks
★★★☆☆
昨年のセカンドが個人的には年間ベスト7位になった彼女の、2007年のデビューアルバム。今までスルーしていました。コケティッシュなボーカルと繊細かつキュートなサウンドが素晴らしいですが、2ndで魅せた才能がまだ開花する前といった感じですが、こちらも好きです。




Yuck / Yuck
★★★☆☆
元Cajun Dance Partyのダニエルとマックスによる、日本人女性を含むバンドのデビュー作。先行でフリー配信されていた曲のクオリティから、大いに期待していたのですが、期待が大き過ぎた分アルバムは少し肩すかし。特に、フリー配信されていた名曲「The Base Of A Dream Is Empty」が未収録なのは残念。他の曲は、単調なヴァースの部分を長く引っ張る曲が多く、冗長な印象も。ただ、最近では珍しくなったザラザラした質感のギターが逆に新鮮。ダイナソーJr.やグランダディ好きにもおススメです。

James Blake / James Blake
★★★☆☆
ダブステップ界のみならず世界中の音楽ファンの注目を集めた、イギリスのSSW。2011年最大注目のアーティストであることは間違いないです。ダブステップに留まらず、ゴスペルやR&Bからの影響もうかがわせるサウンドは、もはやジャンル分け不能。EP「CMYK」ほどの衝撃がなかった(CMYKは未収録)のが残念でしたが、今後の音楽シーンに与える影響力は大きいと思います。

Mogwai / Hardcore Will Never Die, But You Will
★★★☆☆
ここ最近の作品は聴いていませんでしたが、いつの間にか作風が変わっていました。彼らの最大の個性である静と動のコントラストを強調した展開は今作でも数曲で見られますが、初期EPやアルバム1st~3rdに見られた幽玄な感じは後退し、テンポが早くなって、よりオーガニックなロックに近づいた印象。

Cage the Elephant / Thank You Happy Birthday
★★★☆☆
数年前のフジロックではスルーしてしまったバンドのセカンド。バーストしたガレージ・ロックンロールを基調にしつつ、ミディアムテンポでメロディアスやアコースティックで静かな曲、性急なパンクもあり、アルバム通して聴くと楽しめます。The Hives meets Switchesのようなサウンド。




Rihanna / Rated R
★★★☆☆
2009年リリースのアルバム。前作の「Good Girls Gone Bad」がバカ売れしたので、世界中の期待も高かったのですがクリス・ブラウンとのDV事件の直後に制作されたためか全体的にダークなトーンだったためにあまり売れなかったようです。でも、メインストリームのポップスで最初にダブステップを取り入れており、自分は好きです。

Shrag / Life! Death! Prizes!
★★★☆☆
名曲「Rabbit Kids」収録のアルバム。Love Is Allのような、ガーリィでちょっとパンキッシュに歌う女の子ボーカルが魅力です。ロスキャン好きにもオススメです。

Tahiti 80 / The Past, The Present & The Possible
★★★☆☆
エレクトリック度高めで、少しダークなトーンの曲もあるものの、名盤「Puzzle」同様に相変わらずポップで爽やかな仕上がり。ボーナストラックのSex Pistolsカバー「Holidays In The Sun」の爽やかカバーは見事にタヒチ色に染められていて、そのアレンジセンスに脱帽です。

Eliza Doolittle / Eliza Doolittle
★★☆☆☆
リリー・アレンと比較されたりしていますが、こちらはよりオールディーズに近いサウンドを忠実に再現していてモダンな要素は薄く、そこが残念な点。もう少し古い音楽を取り入れつつも現代風アレンジを付け加えてほしかったです。曲が薄口過ぎて、アルバム通して曲の印象がない感じ。Youtubeにいくつか上がっている、Radiohead「Creep」やCee-Lo Green「Fuck You」などのカバーが秀逸なだけに惜しい。




毛皮のマリーズ / ティン・パン・アレイ
★★☆☆☆
いろいろと気になっていたバンドを初めてまともに聴きました。癖のあるボーカルは変幻自在で、1曲の中でも様々な表情を見せます。はっぴぃえんど風な曲もあったりと面白いのですが、中毒性は低いかも。

Hercules And Love Affair / Blue Songs
★☆☆☆☆
デビュー作である前作が、アントニー・ヘガティをフィーチャリングして話題を呼んだニューヨークのディスコ・ハウス集団の2作目。完全に80年代後期~90年代初期のハウスのサウンドマナーにのっとっていますが、狙っているんだと思いますがかなり音が古臭い。まだリバイバルなムードにもなっていないので、ヘタをするとダサい。そこがカッコイイという見方もできるし、狙いすぎてダサいという見方もできます。あと数年すればカッコイイということになるんでしょうか。うーむ。

A-ha / 25
★☆☆☆☆
昨年、25年のキャリアに終止符を打ったバンドのベストアルバム。ラスト・アルバム「Foot of The Mountain」は、哀愁に満ちた美しいメロディに溢れていたのですが、メロディに磨きがかかってきたのがごく最近だけだったのか、昔の曲はそれほどメロディアスではなく、かなり期待外れでした。そんな中でも、名曲「Take On Me」は光り輝いています。

Rehanna / Loud
★☆☆☆☆
昨年末にリリースされた最新作。「Rated R」の不振を振り払おうとしたのかどうか分かりませんが、かなり方向性を見失った印象。すでにシングルになっている数曲はいいものの、ニューエイジ系のようななんだかよくわからない曲もあります。


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