読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

映画「アビゲイル」 

アビゲイルアビゲイル
1時間49分
2024
メリッサ・バレラ (出演), ダン・スティーヴンス (出演), マット・ベティネッリ=オルピン (監督)

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点数 4.0 ★★★★☆



 【内容紹介】

 大富豪の娘で12歳のバレリーナを誘拐した犯罪グループ。5,000万ドルの身代金を手に入れるため、残された仕事は郊外の豪邸で少女の身柄を一晩監視するだけ。だがこの少女の正体、実はバレリーナ・ヴァンパイア(踊る吸血鬼)。監禁されたのは人質ではなく誘拐犯だった。誰が何のために?返り討ちにあった彼らは、24時間のサバイバルに耐えられるのか?





 たいへん面白かったです。
 2024年公開のホラー映画で、ホラー映画ファンの間で結構話題になっていた作品。個人的にホラーはちょっと苦手なのですが、シチュエーションが面白そうだったので観てみました。
 犯罪者グループが大富豪の娘を誘拐するところから本作が始まります。犯罪者グループはお互いの素性を知らされておらず、さらにはターゲットの娘の素性までもが知らされていない、知らないづくしの少し変わった開幕です。ところが前半部分で、とんでもない娘を誘拐してしまったと知るや、犯罪者グループと娘の立場が逆転。クローズド・サークルと化したお屋敷から24時間いかに生き延びるか、いかに脱出を試みるかのサバイバルゲームが始まります。
 誘拐犯(犯人側)と女の子(被害者側)の立場が逆転してしまう、というシチュエーションは誘拐もののミステリとしても比較的めずらしいし、このシチュエーションだけでミステリファンは興味をそそられるのではないかと思います。劇中で象徴的に登場するクリスティの『そして誰もいなくなった』など、若干ミステリファンの視聴者を意識した創りなのも嬉しいところです。
 ホラー映画ファンの感想を見ていると、ほとんどに「あんまり怖くない」という言葉が見られたのですが、しかし流血シーンは血肉が飛び散るシーンなどはふんだんに有り、「ホラー映画感」は強いです。そこがまたホラー映画ファンに受けているのだと思いますが、単純にグロテスクなシーンを並べているのではなく、洋館+クラシック音楽+バレリーナ+流血!と言った感じで、とてつもなく「美しい絵面」が完成されています。ホラー映画をあまり見慣れていないわたしとしては、めっちゃホラー映画!といったような、「ホラー映画みの強さ」に大きな満足度を感じました。

 二転三転する犯人側と被害者側の立場が面白いし、クローズド・サークル内での鬼ごっこがハラハラして楽しかったです。やっぱりホラー映画って手っ取り早く高揚感を味わえて良いですね。怖いばかりでなく、犯人グループも個性的なメンツばかりで、海外映画のためかどこかユーモラスなところもあって面白かったです。
 和製ホラーでは味わえない魅力の大きい一作でした。ホラー映画ファンは既にチェックされている映画だと思いますが、ここではミステリファンに強くおすすめしたいところです。「本格ミステリ」では無いにせよ、誘拐もの+ホラーとして楽しめることと思います。

[ 2025/01/11 23:26 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「あのコはだぁれ?」 

あのコはだぁれ?あのコはだぁれ?
1時間47分
2024

監督:清水崇
出演者:渋谷凪咲, 早瀬憩, 山時聡真, 荒木飛羽, 蒼井旬, 今森茉耶, 穂紫朋子, 染谷将太

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点数 4.0 ★★★★☆



 【内容紹介】

 とある夏休み、臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのかの目の前で、ある女子生徒が突如屋上から飛び降り、不可解な死を遂げてしまう。“いないはずの生徒“の謎に気がついたほのかと、補習を受ける生徒たちは、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実にたどり着く……。彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖とは……?





 Xを眺めていると、2024年のベストホラーとしてこの映画を挙げている方が結構いて、気になったので見てみました。
 監督は清水崇氏で、見ている途中で「なんかどこかで見たことあるな」と既視感を抱いたのですが、実は本作は、同監督の『ミンナのウタ』と緩い繋がりがあるみたいです。続編と言えば続編ですが、『ミンナのウタ』とは姉妹作あるいは精神的続編といったような立ち位置の作品。本作から観ても問題有りませんが、背景となるエピソードは『ミンナのウタ』のほうがより詳細に描かれているので併せて観るとより楽しめそうです。
 しかし、そうはいっても本作単体でも、冷静に考えて令和の和製ホラーとしてなかなかのクオリティなのでは無いかと思います。視聴者がどういう視覚演出に対して恐怖を覚えるのかを心得て、制作者が的確にツボを突いて怖がらせてくる印象で、ともすればギャグ領域に踏み込んでしまいそうな場面でも、全編きちんとホラー領域に留まって見せているのが素晴らしいです。
 恐怖の本体が、ある動機から登場人物の死を看取る(というより死へ引きずり込む)恐怖演出が続くのですが、こういった「数珠つなぎ」の恐怖演出であっても、大きな物語の流れは損なわれておらず、最終場面の屋上のシーンへ収束していくプロットはしっかりしているし、やはり本作を語るうえで見逃せないのはフィニッシングストロークでしょう。こういった「めでたしめでたし」で視聴者を油断させてからの~……で恐怖の底へ叩き落とす演出はやっぱり好きです。

 ミステリ的な面白みは完全に度外視して、純粋にホラー映画として鑑賞し始めたのですが、ラストのどんでん返しはなかなか楽しめました。意外な収穫でした。おすすめします。

[ 2025/01/06 19:38 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「この動画は再生できません THE MOVIE」 

この動画は再生できませんTHE MOVIEこの動画は再生できませんTHE MOVIE
2024年
加賀翔 (出演), 賀屋壮也 (出演), 谷口恒平 (監督)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 ホラーDVDを制作している編集マンの江尻とオカルトライター・鬼頭のもとには、さまざまないわくつきの映像が届く。編集マンとしての知識や持ち前の洞察力を駆使して、動画の裏に隠された秘密を推理する江尻と、それを見守る鬼頭だったが…。





 『2025本格ミステリ・ベスト10』の映像本格ミステリのコーナーで紹介されていた作品です。
 フェイクドキュメンタリーホラーと謎解きミステリーを組みあわせた作品で、もともとは深夜帯に放送されていたTV番組の劇場版らしい。TV番組の方も過去の『本格ミステリ・ベスト10』で取り上げられていましたが、わたし自身はこのシリーズ自体観るのは実は初めてです。いきなりこの劇場版を視聴しても問題ないだろうと見始めましたが、主要キャラクターにまつわるシリーズを通した大きなネタバレを踏んでしまった気がします。なので、いきなり本劇場版を視聴するのは非推奨で、時間に余裕のある人はTVドラマ版から視聴するのをおすすめします。

 昨今のホラー作品のトレンドでもあるモキュメンタリーに、本格ミステリ的な要素を混ぜ込んだ今ふうの作品。主人公が動画編集マンということもあり、劇中にはYouTuberなども登場し、非常にカジュアルに観ることのできるホラー映画のように思えます。
 「この動画は再生できません」というタイトルから、「呪いのビデオ」的な雰囲気を想像してしまいますが、そのようなおどろおどろしさはなくて、視聴時の恐怖体験という点では物足りなさが残ります。しかし作中作として描かれる「動画」は、視聴者も主人公も同じものを視聴することになるのが本作の大きな特徴であり、あるタイミングで主人公が動画内に映り込んだわずかな「違和感」を指摘する瞬間は盛り上がりどころのひとつです。ホラー映画よりもミステリ映画としての魅力を強く感じました。視聴者も劇中人物も同じものを見ていたのにもかかわらず、視聴者が見落としていたものを指摘されるとそれ自体がミステリ的なサプライズにもホラーとしての恐怖演出にも、双方につながるのが上手いです。
 一方で、動画編集マンとしての立場から、動画内に「写っていないもの」を指摘するシーンは面白いです。ミステリ作品として斬新な「手がかりの隠蔽方法」として楽しめます。
 劇中内に登場する「動画」がミステリにおけるいわゆる「問題編」のような役割をしており、その「問題編」に映される手がかりは視聴者と探偵役(主人公の動画編集マン)に共有されます。このような創りは本格ミステリ的でミステリファンの琴線に触れることと思います。
 一応伏せますが、本作品はある種の「特殊設定」が描かれています。ホラー要素とミステリ要素を明確に分断するために「幽霊は映像や写真には映らない」というルールが敷かれており、これは単純なものですが視聴者にとっては分かりやすく、そのうえきちんとそのルールに沿って謎解きが行われるのはミステリとして好印象です。

 もともとが深夜のローカルTVドラマのためか、本劇場版もあまり制作費がかかっていない印象です。しかしそれは作品としてマイナスにはなっておらず、モキュメンタリーとしてはむしろプラスになっているようにも感じました。
 「本ミス」紹介作品とは言え、ホラーブームに乗っかって視聴するのも有りだと思います。おすすめです。




2025本格ミステリ・ベスト102025本格ミステリ・ベスト10
2024/12/9
探偵小説研究会 (編集, 著)

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[ 2025/01/04 21:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「Cloud クラウド」 

Cloud クラウドCloud クラウド
2時間4分
2024

監督:黒沢清
出演者:菅田将暉, 古川琴音, 奥平大兼, 岡山天音, 荒川良々, 窪田正孝

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点数 2.0 ★★☆☆☆



 【内容紹介】

 世間から忌み嫌われる“転売ヤー”として真面目に働く主人公・吉井。彼が知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒はネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い“集団狂気”へとエスカレートしてゆく。誹謗中傷、フェイクニュース――悪意のスパイラルによって拡がった憎悪は、実体をもった不特定多数の集団へと姿を変え、暴走をはじめる。やがて彼らがはじめた“狩りゲーム”の標的となった吉井の「日常」は、急速に破壊されていく……。





 円盤化はまだのようですが、Amazonのプライムビデオで見放題独占配信が始まったので見てみました。
 2024年9月公開の映画です。
 ジャンルとしては「スリラー」や「サスペンス」に属されるような作品ですが、ミステリ的なサプライズは求めないほうが良いでしょう。

 主人公は菅田将暉くん扮する吉井。彼は転売ヤーで、仕入先の足元を見て安く仕入れたものを高額で売る、というような結構えげつない転売行為が行われる様子が前半部分で描かれます。この前半部分は導入部分ということもあり結構面白く観れます。社会問題にもなっている転売行為によって、菅田将暉くんが四方八方から恨みを買う前半は、水面下で増幅する邪悪な「何か」を視聴者に予感させ、後半の展開を期待させるのです。
 ところが、後半になると一転して菅田将暉くんを含めたバトルロイヤル的な展開になってしまい、一気に冷めてしまいました。好調であった前半部分が、後半で悪い方向へ接続されてしまった印象で、恨みの発散=バトルロイヤルはなんだか安直に感じます。
 全体的に何考えてるのかよく分からない登場人物が多く、たとえば菅田将暉くんの転売パートナーである佐野くんが本性不明な不思議な存在として終始描かれるものの、劇中でキャラが深堀りされないため、結局彼は何者だったんだ、というモヤモヤ感が残ったまま映画は幕を閉じます。
 こういった「よくわからないキャラ」が登場人物ほぼすべてを占めており、パートナーの佐野くんの他、恋人の秋子、学生時代の先輩の村岡、職場の上司の滝本など、菅田将暉くんに関わるキャラクターが、何考えてるのかほんとによく分からないヤツばかりで、逆にそれが面白かったです。ただ、このような「何考えてるのかよく分からないキャラ」の量産は、実は「転売ヤーは自身が知らぬ間に恨みを買う」という転売ヤー描写のための演出であることも考えられ、意図的にキャラクターの掘り下げが行われていないのかもしれません。それならそれで構いませんが、こういう「演出」が事実であれば、制作者の自己満足に終わっていると言わざるを得ず「手術には成功したが、患者は死んだ」映画に成り下がっており、エンタメとしてはちっとも面白く有りませんでした。

[ 2025/01/04 14:15 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」 

ゴジラxコング 新たなる帝国ゴジラxコング 新たなる帝国
1時間56分
2024

アダム・ウィンガード (監督), レベッカ・ホール (出演), ブライアン・タイリー・ヘンリー (出演)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 怪獣と人類が共生する世界で、未確認生物特務機関:モナークが察知した異常なシグナル。交錯する<地上世界/ゴジラテリトリー>と<地下空洞/コングテリトリー>。ついに一線を越えるゴジラとコングの激突のその先には、我々人類が知る由もなかった未知なる脅威が待ち構えていた。





 2024年に見逃していた映画を消化です。
 「モンスター・ヴァース」のシリーズ第5作。今作では、地球の地下空洞がメインの舞台になっていて、人類にとっては未知の世界のため、アドベンチャー要素(冒険要素)が過去作に比べて強い印象を受けます。地上でもいくらかゴジラとコングの戦いが描かれるものの、基本的には地下空洞内での戦いが描かれるため、人類による戦争兵器の介入はなく、ひたすらコングたちの戦いを傍観する展開です。
 コジラやコング以外にも多数のモンスターが登場し、手に汗握る展開は確かにあるものの、過去作の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」に比べて、それは随分と後退する印象。ジェットコースター的エンタメとして鑑賞すると明確に劣ります。「エイリアン」シリーズでもそうでしたが、「殺るか殺られるか」が醍醐味である作品に、「親子愛」などのじっくり見せる要素を入れると、とたんに「これじゃない感」が出てきてしまうのは残念です。シリーズ作品の差別化、という意味では、本作のような作品は緩急付くし、まあありっちゃありな視聴感でした。
 コングやゴジラなどのコミュニケーションに言葉はなく、それでも我々視聴者には彼らの言わんとしていることが分かる、克明な表情表現は見事です。今のところコング(モンスター)と強い接点を持てるキャラクターがジアのみで、彼女がいることでモンスターと人類が繋がっている感はあるものの、もう少し人類全体を深く絡ませる事はできないものかと思ったりします。特に人類側が大きなピンチに見舞われていないせいか、なんか「動物園」的な愉しみの強い作品でした。冒頭でアナウンスされる、地球を支配してきたのは人類ではなかった、という言葉に対して、はいそうですね、と従っている人類の姿に若干の違和感は感じたりします。

[ 2024/12/23 19:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」 

劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血
1時間42分
2024

劇団ひとり (出演), 光岡麦 (監督), 剛力彩芽 (出演)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 劇場版の舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、 村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、警察が到着する迄にはかなりの時間を要する。当時、屋敷にいたのは8人。それぞれ人には言えない秘密を抱えており、殺害の動機を持っていた。事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと 導かれていく!





 『2025本格ミステリ・ベスト10』の映像本格のコーナーで紹介されていた映画です。
 最近流行りの「マーダーミステリーゲーム」をドラマ仕立てに映画化した作品。わたしは「マーダーミステリーゲーム」をプレイしたことがないので、どのような手続きを踏んでゲームが展開していくのか全然分かっていないのですが、それでもまあまあ映画自体は楽しめました。
 ドラマパートと推理パートがあって、おそらく推理パートが出演者たちのアドリブで展開されている感じでした。スタッフロールを見ると、次に誰が殺されるのかは演者には明らかにされていなかったようで、そのレベルで展開が伏せられているのであれば、真犯人が誰であるのかも伏せられていたのでしょうか?どこからどこまでが、事前に出演者に知らされていたのかイマイチ不明瞭でした。最後少しグダグダになっていましたが、アドリブでここまで犯人に迫ったのであれば立派だと思います。結局最後は「良きところで」犯人が名乗り出るので、ゲーム性の強い、例えばドラマの「安楽椅子探偵」ほどのフーダニットの愉しみはありません。「めっちゃ謎解きやってる!」気分になれる雰囲気は良いんですけどね。

 物語は横溝正史の『悪魔の手毬唄』を彷彿とさせる舞台や伝承が使用されており、こういったある意味「ステレオタイプ」のミステリの道具立ては、視聴者に負担を強いること無く物語へいざなってくれるので良いのではないかと思います。
 一方で謎解きについては突っ込みたいところが色々あって、これは「アドリブ」らしいので仕方がないのかもしれませんが、例えば被害者の死因を特定しないまま、あれやこれや謎解きをやりだすのは手順的にどうかと思います。物語の展開上「わざと」死因の特定を後回しにしているのだろうと、制作者の恣意性を感じるところでした。そのため、事故死である可能性が微レ存していたのにも関わらず、関係者がのっけから他殺の方向で議論をしだす展開が不自然に映りました。それから、この手の遺産相続問題でたいてい議論されるべき「病気を患っていて余命いくばくもない老人に、何故犯人は手をかけたのか?」からの「被害者の不整脈を知っていた(or知らなかった)のは誰なのか?」という議論が一切されていないのも不自然で、結果的にその謎の真相は真犯人の動機が明らかになることで分かるのですが、死因の問題と併せて「推理を行う上で当然やらなければならないことを、何故かやっていない」という不自然さは強く残ります。

 全体としては「マーダーミステリー」とあらかじめ断っているためか、「完成度の高いロジック」を楽しむよりも「演者のアドリブ」によるバラエティ的要素を楽しむ方が良さそうな内容でした。
 会話が繰り返されるうちに、関係者や事件の過去が見えてくる展開はミステリドラマとしては十分楽しめます。
 やっぱりミステリファンとしては「ゲーム」といわれると「フェアプレイのフーダニット」をイメージしてしまうので、そのあたりのギャップは感じてしまいましたね。「マーダーミステリー」の熱心なファンは本作をどう鑑賞するのか興味はあります。




2025本格ミステリ・ベスト102025本格ミステリ・ベスト10
2024/12/9
探偵小説研究会 (編集, 著)

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[ 2024/12/22 15:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「身代わり忠臣蔵」 

身代わり忠臣蔵身代わり忠臣蔵
1時間59分
2024

ムロツヨシ (出演), 永山瑛太 (出演)

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点数 4.0 ★★★★☆



 【内容紹介】

 嫌われ者の殿・吉良上野介(ムロツヨシ)が江戸城内で斬られ、あの世行き!斬った赤穂藩主は当然切腹。だが、殿を失った吉良家も幕府の謀略によって、お家存亡の危機に!! そんな一族の大ピンチを切り抜けるべく、上野介にそっくりな弟の坊主・孝証(ムロツヨシ)が身代わりとなって幕府をダマす、前代未聞の【身代わりミッション】に挑む!さらに、敵だったはずの赤穂藩家老・大石内蔵助(永山瑛太)と共謀して討ち入りを阻止するというまさかの事態に発展!? 幕府に吉良家に赤穂藩も入り乱れ、バレてはならない正体が…遂に!?





 赤穂浪士たちによる吉良邸襲撃事件を描いた『忠臣蔵』は今でも多くの人に愛されており、その討ち入りを果たした12月14日になると、毎年兵庫県赤穂市では「赤穂義士祭」が開催され、多くの人で賑わっています。
 わたし自身、語れるほど『忠臣蔵』には詳しくないし、そもそも時代劇すらあんまり視聴しないのですが、本作『身代わり忠臣蔵』は、時代劇ビギナーのわたしでも十分に楽しめる内容でした。そもそも本作のターゲットを比較的低い年齢層に設定してるらしく、時代劇視聴者層の拡大を狙ったものであると小耳に挟んだ覚えがあります。
 たしかに、ドラマの主役級の俳優陣を揃えていながらも、大御所俳優の起用は柄本明さんなど一部に留まっており、全体的に若い視聴者に受けの良い、話題にのぼる俳優で固められているのが印象的です。

 開幕から全体的にムロツヨシさんの濃いボケで駆動するような物語で、少し辟易したものの、中盤以降は吉良上野介とその弟の入れ替わり、という本作の要となる設定が、きちんと生きてくる筋運びへと変化していくのが良いですね。ボケ倒しのクセの強さで見えにくくなっていますが、物語のプロット自体はなかなか良いのではないかと思います。
 吉良上野介と入れ替わりを果たす、その弟というのが僧侶であるという設定が地味に考えられています。この弟(僧侶)の考えというのが、俗世を離れたものであり、当時の武士の思想よりも、現代の令和の我々の思想に近いふうに描かれているのです。そのため『忠臣蔵』の世界で、令和の価値観を導入するとどうなるか、といった方向へナチュラルに「if」を描くことに成功しています。
 武士の忠義か、上下関係の無い家族関係か、のはざまで揺れ動く『忠臣蔵』は面白かったし、クライマックスではそれを「とあるミステリ的なテクニック」でもって解決が図られるのは、上手く考えたな、と膝を打ちます。ミステリ映画として制作されたわけではないので、その一点を評価してミステリファンにお薦めするわけにはいかないのですが、「身代わり」を上手く利用した不意打ちは楽しめました。

 表面的なユーモアやボケを楽しむだけの映画ではなくて、骨組みはしっかりした映画のように思います。
 今とは違う価値観や文化が描かれるのが時代劇の醍醐味であると思う一方で、それが「取っ付きづらさ」にも繋がっているように思います。本作は時代劇を今ふうに近づけて、そういう「取っ付きづらさ」を無くしながらも、同時に時代劇でしか描き得ない魅力も内包した良作です。
 ちょうど12月でタイムリーな時期なので、クリスマス映画も良いですが、こういう『忠臣蔵』もおすすめです。
[ 2024/12/15 14:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮
・波除稲荷神社
・富岡八幡宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・生國魂神社 干支(戌)
・生國魂神社 干支(亥)
・生國魂神社 干支(子)
・生國魂神社 干支(丑)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺
・多治速比売神社

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・鈴虫寺(その3)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・清水寺(西国三十三所草創1300年記念)
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社
・梅宮大社
・錦天満宮
・藤森神社(あじさい祭り限定)
・智積院
・御香宮神社
・神護寺
・西明寺
・高山寺
・大豊神社
・三室戸寺
・吉祥院天満宮

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社
・般若寺

【和歌山】
・金剛峯寺
・金剛峯寺 六波羅蜜
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・高野山 徳川家霊台
・高野山 南院(波切不動尊)
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮
・滋賀縣護國神社

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)
・厳島神社
・大願寺
・千光寺
・艮神社

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
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2016年の水樹奈々さん
ハーイ!ハーイ! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!