年間/半期ベスト[2023年] |
2023年のお気に入りアルバム。今年は本当にたくさんの素晴らしい作品に巡り合うことができ、充実した一年だった。そんなわけで選出数は過去最多の90作品となった。
【MYルール】
・2023年1月1日~12月31日にリリースされたアルバム、ミニアルバム、EP、ミックステープが対象
・コンピレーションアルバム、リマスター作品などは対象外
・シングルは対象外で、収録曲数が4曲以下の作品をシングル扱いとした
・音源を所有している作品のみが対象(CD購入/デジタル購入/レンタルetc.)
2015年以降、毎回記載していた「for fans of」は諸事情で取りやめた。またこれらの作品に収録されているお気に入り曲は「2023年 年間ベスト・ソングTOP80」にてSpotifyプレイリストと併せて掲載。末尾に総括コメントも書いた。
No. 90
君島大空 / 映帶する煙
No. 89
Yaeji / With A Hammer
No. 88
100 gecs / 10000 gecs
No. 87
BABYMETAL / THE OTHER ONE
No. 86
YUKI / パレードが続くなら
No. 85
Måneskin / Rush! (Are U Coming?)
No. 84
Heather Woods Broderick / Labyrinth
No. 83
boygenius / the record
No. 82
カネヨリマサル / わたしのノクターン
No. 81
chilldspot / ポートレイト
No. 80
カメレオン・ライム・ウーピーパイ / Orange
No. 79
LP / Love Lines
No. 78
cero / e o
No. 77
Kim Petras / Feed The Beast
No. 76
カネコアヤノ / タオルケットは穏やかな
No. 75
Ratboys / The Window
No. 74
MAISONdes / ノイジールーム
No. 73
The Smashing Pumpkins / ATUM : A Rock Opera in Three Acts
No. 72
Jorja Smith / Falling or Flying
No. 71
Maisie Peters / The Good Witch
No. 70
Stray Kids / THE SOUND
No. 69
Birdy / Portraits
No. 68
文藝天国 / 破壊的価値創造
No. 67
GRAPEVINE / Almost there
No. 66
Everything But the Girl / Fuse
No. 65
Aimer / Open α Door
No. 64
WARGASM / Venom
No. 63
King Gnu / THE GREATEST UNKNOWN
No. 62
GEZAN with Million Wish Collective / あのち
No. 61
Vaundy / replica
No. 60
Laufey / Bewitched
No. 59
諭吉佳作/men / ・archive:EIEN19
No. 58
WayV / On My Youth
No. 57
Subway Daydream / RIDE
No. 56
NCT DOJAEJUNG / Perfume
No. 55
Christine and the Queens / Paranoïa, Angels, True Love [Highlights]
No. 54
ZEROBASEONE / MELTING POINT
No. 53
EVNNE / Target : ME
No. 52
Jayda G / Guy
No. 51
尾崎リノ / open gate
No. 50
羊文学 / 12 hugs (like butterflies)
No. 49
Squirrel Flower / Tomorrow's Fire
No. 48
ano / 猫猫吐吐
No. 47
XG / NEW DNA
No. 46
Tate McRae / Think Later
No. 45
Angie Mcmahon / Light, Dark, Light Again
No. 44
礼賛 / WHOOPEE
No. 43
xikers / HOUSE OF TRICKY:HOW TO PLAY
No. 42
aespa / Drama
No. 41
NCT 127 / Fact Check
No. 40
tripleS EVOLution / [⟡]<Mujuk>
No. 39
TM NETWORK / DEVOTION
No. 38
Moon In June / ロマンと水色の街
No. 37
JIMIN / FACE
No. 36
YOASOBI / THE BOOK 3
No. 35
NCT 127 / Ay-Yo
No. 34
Indigo De Souza / All of This Will End
No. 33
IVE / WAVE
No. 32
Blur / The Ballad of Darren [Deluxe]
No. 31
ATEEZ / THE WORLD EP.FIN : WILL
No. 30
ダズビー / orbit
No. 29
yeule / Softscars
No. 28
ENHYPEN / DARK BLOOD
No. 27
RL Grime / PLAY
No. 26
Stray Kids / 樂-STAR (ROCK-STAR)
No. 25
Depeche Mode / Memento Mori
No. 24
TOMORROW X TOGETHER / The Name Chapter: FREEFALL
No. 23
ぎがもえか / all ok
No. 22
Vagabon / Sorry I Haven't Called
No. 21
IVE / I'VE MINE
No. 20
Claud / Supermodels
No. 19
Coach Party / Killjoy
No. 18
NCT DREAM / ISTJ
No. 17
The Aces / I've Loved You for So Long
No. 16
Stray Kids / ★★★★★ (5-STAR)
No. 15
a子 / Steal your heart
No. 14
なとり / 劇場
No. 13
PinkPantheress / Heaven Knows
No. 12
NewJeans / Get Up
No. 11
JUNG KOOK / GOLDEN
No. 10
ATEEZ / THE WORLD EP.2 : OUTLAW
No. 9
紫 今 / Gallery
No. 8
Olivia Rodrigo / GUTS
No. 7
aespa / MY WORLD
No. 6
Ado / Adoの歌ってみたアルバム
No. 5
LE SSERAFIM / UNFORGIVEN
No. 4
BUCK-TICK / 異空 -IZORA-
No. 3
IVE / I've Ive
No. 2
Beachside talks / Marble Town
No. 1
Romy / Mid Air
2023年総括
■今までで一番選定に苦労した話
今回は正直、今までで一番選定が大変だった(とはいえ楽しんでやっているが)。というのもまず枚数の多さ。2022年、近年稀にみる大豊作とか言って前年のTOP40からいきなりTOP80に増やしたんだけど、今回さらに増えてるし。選出候補は去年と変わらずだいたい100枚ちょっとあったけど、全体的に質が高かったと思う。特に中間層が厚くて、あらためてこの並びを見ても「え、これめっちゃ良かったのに50位以内にも入ってないの…?噓でしょ?」みたいなものばかり。
そんな中、上位が全然決まらなかった。例年、年間1位の作品というのは最初に聴いた瞬間に「あ、これ年間1位になるわ」と確信するものなんだけど、今年はRomy、Beachside talks、IVE、BUCK-TICK、LE SSERAFIMの5作品が「これは多分年間1位…かなあ?」みたいな状態でつい昨日まで引っ張ってしまった。そんな五つ巴の状態であらためてそれぞれの作品を聴き比べて、ようやく12月30日にこの結果に落ち着いたという感じ。この5作品は本当に僅差だったと思う。
さらに、純粋に「アルバム作品としての魅力」だけで考えることにも苦慮した。なぜなら「推し」という概念が入ってくるようになったからだ。2023年を漢字一文字で表すとしたら私は「推」にすると思う。2021年から引き続きAdoを推してきた中で2023年はK-POPの沼にハマり(AdoとLE SSERAFIMのコラボがそのきっかけの一つでもある)、ユンジン(LE SSERAFIM)とレイ(IVE)、ユナ(ITZY)という新たな推しもできた。さらにはフィリックス(Stray Kids)、ミンギ(ATEEZ)、テヨン(NCT)、ソンフン(ENHYPEN)とボーイズ・グループの推しまでできてしまい、『【推しの子】』の中でルビーの言う「推しのいる生活はいいよ」にうんうんと頷いてしまうほど、そのお陰で毎日の生活が楽しく充実したものになったと思う。
そんな中で櫻井敦司という、「推し」と呼ぶことも憚られるあまりに尊い存在がこの世を去るということもあった。私の人生観にも大きな影響を及ぼしたこの出来事も含め、様々な想いが、ベスト・アルバムを決める過程で(適切な表現ではないが)邪魔をした。自分としてはそういう「その人が好き」という感情抜きに、純粋に音楽的な内容で決めることにこだわりがあったからだ。そんなわけで2023年は、20年以上年間ベスト企画をやってきた中で一番大変だった。
あと、2023年は結構スロースタートだったように思う。4月くらいまでは「去年はあんなに大豊作だったのに、今年はちょっと勢いがないな」なんて思っていた。春頃からポツポツ良い作品と出会えたが、8月にK-POPにハマってからは過去遡ってK-POPを掘り始めたからとても楽しかったし、9月あたりからは洋楽もRomyやOlivia Rodrigoをはじめ勢いづいてきた感じがする。それだけでもかなり充実していたけど、J-POPもVaundy、YOASOBI、King Gnu、ano、Ado、羊文学、なとりといった私の注目する人気アーティストたちがこぞって10月~12月にリリースしたものだから、「いや年末にかけてそんな集中砲火したら年間ベスト選定が大変になるじゃん!」と思いつつ、なんだかんだで楽しい音楽ライフを送ることができた。
■K-POP沼にハマった話
すでに書いたように、2023年はK-POPに目覚めた年ということで私にとって「K-POP元年」として記憶されることになると思う。おそらく、以前からK-POPファンだった人たちから見ても「2023年のK-POPは勢いが凄まじかった」ということになるのではないだろうか。去年まではK-POP作品がランクインしたことは一度もなかったけど、2023年は90作品のうち26作品がK-POPとなった。12月にはK-POPのコンサート・イベントにも初参加することができ、アイテム面だけでなく気持ち的にもかなり満たされた。2024年はK-POPアーティストの単独コンサート・デビューもしたい(ただし「当たれば」ね…)。
▲ほんの4ヶ月ほどの間で集まってしまったK-POPのCDたち(撮り忘れたものもいくつかあり)。どれもフォトブックやポストカードなどが充実していてパッケージが大きい。サイズ比較用に中央に置いたCDでこのヴォリューム感が伝わるかなと思う
またK-POPにおいては、フルアルバムやシングルよりも5曲~7曲ほどのミニアルバムが主流になっている。私はこれまでフルアルバム至上主義でミニアルバムがあまり好きではなく、年間ベスト・アルバムを決める際にもミニアルバムというだけで少し評価を下げがちだったけど、K-POPにハマってからはミニアルバムに抵抗がなくなり、作品時間としても非常に聴きやすいし、作品ごとにコンセプトがある場合などはむしろ良い感じにまとまりやすいと思うようになった。そんなことも影響してか、J-POPに関してもミニアルバムやEPが多くランクインするようになったと思う(Beachside talks、紫 今、a子、尾崎リノetc.)。
■TOP10作品について
1位のRomyは、パーソナルな心情を綴った歌詞はさておき、まず00年代トランスからの影響を感じさせるサウンドが刺さった。私の音楽的嗜好は小室サウンドやPet Shop Boysなど、哀愁メロディと美麗なシンセ・サウンドをフィーチャーしたダンス・ミュージックが根底にあるから、どストライクだったと言える。今年は「for fans of」の記載をやめてしまったけど、もし加えるとすればこの作品には「globe」と書いていただろう。
2位のBeachside talksは東京を拠点に活動する4人組バンドの1stミニアルバムだが、年始に解散を発表したFor Tracy Hydeと入れ替わるように、こうした素晴らしいドリーム・ポップ・バンドが出てきたことは非常に嬉しい。38位のMoon In Juneとともに、これからのこのシーンを牽引していってほしい。
3位のIVEは韓国の6人組ガールズ・グループの1stアルバム。ルックスレベルが非常に高いのも人気な理由だけど、とにかく楽曲が良いことでも定評があるから、メロディ至上主義の私にはとても刺さる内容だった。「2023年 年間ベスト・ソングTOP80」では本作から「I AM」が5位、「Kitsch」が13位にランクインしており、またK-POP最大級のアワード「メロン・ミュージック・アワード2023」でも本作はALBUM OF THE YEARを受賞、「I AM」を手掛けたライアン・S・ジューンはSONG WRITER賞を受賞している。
4位のBUCK-TICKはデビュー35周年を経てさらなる高みに到達した作品だと思う。背景としては制作中に起こった大きな戦争に対する思いが色濃く反映されているけど、綺麗ごとのように反戦を声高に歌うのではなく、「愛し合いましょう」という普遍的なメッセージが随所に感じられ、「ダークでヘヴィだけどポップ」というBUCK-TICKの魅力を体現していて、かつこれまでの22枚のアルバムとも全く異なる印象を抱かせる。BUCK-TICKはすでに先日の日本武道館公演にて、2024年にニュー・アルバムをリリースすることと12月に日本武道館公演を行うことを明言している。始まったばかりの第二期BUCK-TICKも楽しみにしたい。
5位のLE SSERAFIMは、年間ベスト・ソングの1位に選出した「Eve, Psyche & The Bluebeard's wife」のほか、これまでのヒットシングルを多数収録。既発のミニアルバムの曲も多く含むためアルバムとしてのまとまりは少し弱いが、それを補って余りあるほどに楽曲が強い。K-POP沼にハマったいくつかの要因のうち、最も大きかったのがこの作品との出会いだった。
6位はデビュー・アルバム『狂言』が当ブログの2022年ベスト・アルバム1位となったAdo。タイトルの通り「歌ってみたアルバム」、所謂カバー・アルバムではあるけど、ボカロ曲も多く含まれており、ボカロ系にあまり詳しくない私としてはオリジナル・アルバムと同様に新鮮な内容だった。そしてAdoという歌い手の表現力の高さ、アーティスト性の凄さをあらためて思い知らされた。おそらく2024年にはオリジナル・アルバムもリリースされるだろうし、ワールドツアーをはじめ海外展開もされるし、Adoがプロデューサーを務めるアイドル・プロジェクトも進行している。Adoという"アーティスト"はこれからもどんどん進化していくだろうけど、どんなに活動の幅を広げても"歌い手"であることは変わらない。これからの活動がますます楽しみ。
7位のaespaはグループとしてのバランスがK-POPの中で最も優れたガールズ・グループだと思う。4人それぞれが圧倒的な歌唱力を持つにもかかわらず、ユニゾンで歌った際に気持ちよくピタリとハマる「似ているようで各々個性のある歌声」。年間ベスト・ソングでは3位に選出した「Spicy」における「hey」や「next step, myself」部分の気持ちよさは格別。ヘヴィな曲もレイドバックしたバラードもここまで完璧なハーモニーとパワーバランスで歌いこなせるグループはそうそういないと思う。
8位のOlivia Rodrigoの2ndアルバムは、ポップ・ロックな楽曲とギターやピアノによる弾き語り系バラード楽曲のバランスがとても良い。どちらか片方に振り切れていたらここまで高い評価はしなかったと思う。両方がバランスよく配置されることにより緩急が生まれ、「アルバム」としての価値を高めているけど、どちらのタイプの楽曲にも言えることはメロディの良さ。歌詞のユニークさも含め、ソングライターとしての才能は随一だと思う。
9位の紫 今は作詞・作曲・編曲だけでなく映像編集、MVなどで使用しているイラスト制作も行うマルチ・クリエイター。こういうアーティストがどんどん出てくる令和以降のJ-POP、マジで面白いことになっている。
10位のATEEZは、これもLE SSERAFIMに次いでK-POP沼にハマるきっかけの大部分を占める作品。サイバーパンクやSFディストピアといった要素がコンセプトになっているので、個人的に入り口としてとても入りやすかった。「THE WORLD」コンセプト・シリーズとしては3作目の「WILL」が31位にランクインしているし、1作目の「MOVEMENT」(2022年)は「2023年旧譜ベスト・アルバムTOP25」で1位に選出している。
■2024年
この流れで2024年の音楽が面白くならないわけがない。K-POPに関しては年明けから早速ITZY、NMIXX、(G)I-DLEとフルスロットルでカムバがあるほか、LE SSERAFIM、NewJeansもそろそろ情報が解禁されそうな予感。
J-POPに関しては先ほど書いたようにAdoとBUCK-TICKは間違いなく出るだろうし、Official髭男dismや藤井 風らもタイミング的にアルバム・リリースの可能性が高い。AMEFURASSHI、BE:FIRST、冨岡 愛、缶缶、乃紫、aoなんかもアルバムがリリースされたら絶対聴きたいし、すでにリリース情報が解禁されている中では由薫と柴田聡子が楽しみ。
洋楽は2024年も若干スロースタートな気がするけど、現時点ではBill Ryder-JonesとOdetta Hartmanのアルバムを楽しみにしている。それではまた来年。
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