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初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.83(2016年5月)

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2016年5月に初聴きした作品のディスクレポート。今月は比較的少なめです。ここ最近続いてますが、旧譜はDavid Bowie、Laura Nyro、Bauhausあたりを引き続き少しずつ聴いてます。



★★★★★ 年間ベスト20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースでない場合、旧譜のみの年間ベスト20位以内クラス




5月のALBUM OF THE MONTHは、2作品いずれにするかかなり迷ってこちらに。


■ALBUM OF THE MONTH■
小林うてな / VATONSE (2016)
★★★★★
小林うてな - VATONSE

D.A.N.や蓮沼執太フィルのサポートでも知られるマルチ・アーティスト/プロデューサーのソロ・デビュー作。マスタリングはseihoが担当。

サイケデリックな音像、変拍子を取り入れたミニマルなビート、そして言語以前の言語を紡ぐ小林うてなの浮遊感のあるヴォーカル。アマゾンの未接触部族に電子楽器を与えたら、こういう音楽が生まれるのかもしれない。

Spincoasterでも本作から「EN」を紹介しているが、ある意味この曲が最もわかりやすいと思う。全体的にコード感(歌モノとしてのメロディ)は弱いものの、不思議とアヴァンギャルドにならずにギリギリのところでポップの範疇に収まっているところがすごい。これまでどんな音楽を聴いて、どんな音楽から影響を受けてきているのか非常に気になるところ。

小林うてな - "EN"




乃木坂46 / それぞれの椅子 [通常盤] (2016)
★★★★★
乃木坂46 - それぞれの椅子

シングル4曲を収録した2nd。TYPE-A~Dと通常盤の5種類があってそれぞれ一部の収録曲が異なるというとてもイヤなパターンだが、よくわからないので通常盤を購入。

前半にシングル曲を並べるという構成がまず好きではないし、初期の軽快なポップ・チューンは影を潜め、全体的に四つ打ちのダンス・ポップ中心となったこともあって、ひとつのアルバム作品としては当ブログで年間ベスト4位に選んだ1st『透明な色』には遠く及ばないと思う。

ただそれでも各曲ごとには、(あまり好きではない曲も一部あったが)やはりポップスとしての強度は高く、アルバム曲もシングルと比べ遜色のない曲が多数。中でも「きっかけ」「光合成希望」「無表情」「あらかじめ語られるロマンス」「羽根の記憶」 は特に良かった。かつて「君の名は希望」という名曲を生み出した杉山勝彦氏による曲(「きっかけ」「羽根の記憶」)はやはり安定のクオリティだったが、やや「君の名は希望」路線を狙いすぎな気も。



Katy B / Honey (2016)
★★★★★
Katy B Honey

UKクラブ・シーンの最前線と最も密接な関係にある女性SSWの3作目。

今回は全曲が著名なアーティスト/トラックメイカーとのコラボで、タイトルリストも全て「Katy B × ○○」の表記となっている。そしてそのコラボ相手はKaytranada、Craig David、Major Lazer、Four Tet、Floating Points、Novelist…と、今が旬のアーティストからベテランまで超豪華。ということでその内容はいかにもUK産らしいガラージュからドラムンベース、ハウス、R&B、ダブステップとヴァラエティ豊かでどれもクオリティが高いのだけど、逆にそれがアダとなりアルバムとしてのトータル性はやや弱い。まるでコンピレーションを聴いているようにも感じられてしまう。

そんな中でも唯一、アルバムとしてのストーリー性が感じられるのがラストを飾る「Honey (Outro)」。オープニングの「Honey」のリプライズとも言えるこの曲でしっとりと終わることによって、Katy Bのいち作品としての体裁を保っている。

Katy B × Craig David, Major Lazer - "Who Am I"




seiho / Collapse (2016)
★★★★☆
seiho - Collapse

今日本で最も注目を集めている、そして最もセクシーであるDJ/トラックメイカー。DisclosureやM83の来日公演でオープニングアクトを務めるなど人気度・注目度が俄然高まる中、満を持してリリースされた3作目。そしてLeaving Recordsからのリリースという海外デビュー作でもある。

とはいえ本作に収められた楽曲は、彼がこれまでの作品やDJプレイで見せてきた楽曲とは少々趣が異なる。特に、彼とAvec AvecによるユニットSugar's Campaignとはある意味真逆のサウンドとも言えるだろう。Jポップマナーに則った歌モノだったシュガーズとは対照的に、こちらは単なるエレクトロ・ポップでもなければ「狭義の」ダンス・ミュージックでもない。「エクスペリメンタル」という曖昧な呼称にしてしまうのが一番ラクだ。でも、それだけでは本作を説明するには不十分すぎる。

個人的には、昨年リリースされたHolly Herndonの『Platform』を思い出した。さまざまな音(環境音も多数含む)が縦横無尽に打ち鳴らされ、定型のビートやメロディ、コード感を持たない自由奔放なサウンド。でもその音の配置は、一見ランダムなようで実は巧妙に計算しつくされていると思う。ここぞというところで「ポチャン」と響く水の音やクラップ音、サンプリング・ヴォイスなどが鳴らされるたびに、不思議と「この音はここにあるべき音だ」と納得してしまう。そういう意味ではAphex Twinにも近い天才肌だと言えると思う。



David Bowie / Pin Ups (1973)
★★★★☆
David Bowie Pin Ups

『The Rise and Fall of Ziggy Stardust~』、『Aladdin Sane』に続く7作目は、The WhoやThe Yardbirdsなどのカヴァー集。『Aladdin Sane』と同じ年にリリースされたということで、この頃のボウイの創作意欲の高さが窺える。

カヴァー元がカヴァー元なだけに、全体的にストレートなロックンロール曲が満載。1曲目のThe Pretty Things「Rosalyn」から性急に、パンキッシュに始まるが、この曲から次の「Here Comes the Night」(Them)への繋がり方にはかなりシビレた。



The Rolling Stones / Black and Blue (1976)
★★★★☆
The Rolling Stones Black and Blue

ロン・ウッド参加後初となるアルバム。レゲエ(カヴァー)があったりジャズがあったりファンクがあったり、何だか全体的にBlondieを思い起こさせる(いい意味での)節操のなさ。それでいて作品としては結構統一感があるところがとても好き。

ストーンズの代名詞でもある泥臭いロックンロールは控え目で、穏やかでしっとりとしていたノスタルジックな曲が多いが、それもビリー・プレストンによるピアノやオルガン、シンセサイザーによるところが大きいと思う。



Chance the Rapper / Coloring Book (2016)
★★★☆☆
Chance the Rapper Coloring Book

昨年リリースされたDonnie Trumpet & The Social Experiment名義の『Surf』がとても良かったアメリカ出身ラッパーによるアルバム。昨今のトレンドを反映させたサウンドは若干食傷気味ではあったけど、ゴスペルっぽい曲はとても良かった(でも、Chanceの声って全然好みではないんだよな…)。



Laura Nyro / New York Tendaberry (1969)
★★★☆☆
Laura Nyro New York Tendaberry

NYを拠点とするSSWの3作目。ジャジィでフォーキーでソウルフルという基本路線はこれまで通りで素晴らしいのだけど、今回は少し力み過ぎているというか、特に「Tom Cat Goodbye」における高音部分は少し無理をしているようにも感じられた。



Bauhaus / Singles (2013)
★★★☆☆
Bauhaus Singles

5枚組のBOXセットより、David BowieやT.Rexのカバーを含むシングル編集盤。80年代のバンドはアルバムにシングル曲を収録しないことも多々あり、単なるオリジナル・アルバムのBOXセットだと重要なシングル曲が漏れてしまうので、このような配慮はとてもうれしい。

このT.Rex「Telegram Sam」のカヴァーはBlankey Jet City「Skunk」の元ネタ?オリジナルは特に似ていないけど、このカヴァーは何となく似ていると思った。






【次月予告】※購入済みや予約済みでまだ聴けていないタイトル
Siouxsie and the Banshees / Nocturne (1983)
David Bowie / Scary Monsters (And Super Creeps) (1980)
David Bowie / Lodger (1979)
David Bowie / Heroes (1977) *
David Bowie / Low (1977) *
David Bowie / Station To Station (1976)
Laura Nyro / Smile (1976)
David Bowie / Young Americans (1975)
David Bowie / Diamond Dogs (ダイアモンドの犬) (1974)
Laura Nyro / Gonna Take a Miracle (1970)
Laura Nyro / Christmas and the Beads of Sweat (1970)


* 再購入
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