読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

二礼樹「リストランテ・ヴァンピーリ」 

リストランテ・ヴァンピーリ リストランテ・ヴァンピーリ
2025/3/19
二礼 樹 (著)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 おれは吸血鬼に会ったんだぜ、本当さ。
 食材として冷凍されていた男が生き返り、おれは咬まれ、殺されかけたわけだけど、冷静に考えるに最初から仕組まれていたんだ――。銀翼戦争後の北の街を、解体師のオズヴァルドと美少年ルカ、白髪の殺し屋エヴェリスたちが駆ける!




 第11回新潮ミステリー大賞受賞作です。
 受賞作品の『悪徳を喰らう』をリタイトルしたものです。

 高級レストラン「オンブレッロ」を舞台に、ヴァンパイアまでもが当たり前に作中に登場する世界観が個性的です。世界観の作り込みが入念で、キャラクターが個性的なこともあるのか、作中世界に妙な説得力・リアリティがあります。
 どちらかというとライトノベルや、それこそ講談社の「メフィスト賞」に受けが良さそうなオリジナリティある世界観ですが、「新潮ミステリー大賞」にこのような作品が投じられているのは、時代の移ろいを感じます。最近は乱歩賞も結構尖った作品が多くて、減点方式を意図的に回避するような、「優等生」的な作品は新人賞受賞作でも全体的に少なくなっているような印象があります。
 後半に差し掛かったあたりで、本作の大きな「偽り」が白日の下に晒されますが、どんでん返しというほどサプライズを狙った趣向ではありません。作品全体を通して見ても、「本格ミステリ」度合いは低いため、あまり「本格ミステリ」として期待して読まないほうが懸命です。
 しかし、前述のような個性的なキャラクターと、ファンタジックなフィクショナルな世界観の中に敢然と存在するリアリティは新人作品でありながら素晴らしく、それが決め手となって大賞を射止めたのであろうと想像します。ミステリとしてはこれまでに読んだことのないような強烈な物語性が潜んでおり、これを「落選」として手放して、他社に奪われるのは流石に回避するでしょう。

 選考委員の方も言っていますが、文章が極めて良く、「読みやすい」「読みづらい」とは別の次元で熱量があり、読んでいて引き込まれます。舞城王太郎あたりのいわゆる「圧倒的文圧」とベクトルの方向性は違っていないと思います。
 物語前半、早い段階で描かれる人体解体シーンは圧巻でしたね。人間を解体するそんな輩が視点人物なのですが、妙な魅力があって引き込まれます。
 今後、ミステリ以外の文学賞も受賞して、大成しそうな作家です。文章力(筆力)に個性があるのはやはり強いです。今後の活躍も期待したい作家です。

[ 2025/03/25 19:57 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

映画「スオミの話をしよう」 

スオミの話をしようスオミの話をしよう
1時間53分
2024


監督:三谷幸喜
出演者:長澤まさみ, 西島秀俊, 松坂桃李, 瀬戸康史, 遠藤憲一, 小林隆, 坂東彌十郎, 戸塚純貴, 宮澤エマ

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点数 2.0 ★★☆☆☆



 【内容紹介】

 その日、刑事が訪れたのは著名な詩人の豪邸。 ≪スオミ≫が昨日から行方不明だという。スオミとは詩人の妻で、そして刑事の元妻。刑事は、すぐに正式な捜査を開始すべきだと主張するが詩人は「大ごとにするな」と言って聞かない。やがて屋敷に続々と集まってくる、スオミの過去を知る男たち。誰が一番スオミを愛していたのか。誰が一番スオミに愛されていたのか。スオミの安否そっちのけで、男たちは熱く語り合う。だが不思議なことに、彼らの思い出の中のスオミは、見た目も、性格も、まるで別人…。スオミはどこへ消えたのか。スオミとは一体、何者なのか。





 『2025本格ミステリ・ベスト10』の映像本格のコーナーで紹介されていた映画です。
 本格ミステリ云々は置いておくとして、映画の感じとしては、男たちが集まって、不在の女性について論じあう、という点で『キサラギ』と方向性が似ています。
 そういう、なんとなく『キサラギ』と似ているシナリオと、なんてったって「古畑」の三谷幸喜ですから、めちゃくちゃ期待して観たのですが、なんか全然面白くなかったです。わたしの感じ方がおかしいのかな、と思ってネットのレビューを眺めてみると、おおむね酷評のようなので少し安心しました。

 シチュエーションとしてはやっぱり面白くて、長澤まさみ演じる「スオミ」の人となりを、男性たちが語り合うも、なかなかその「スオミ」の実像が掴めないミステリアスさが魅力的です。
 ただ、設定として、彼女のことを語り合う男たちが、スオミの元夫ばかりであるのが、なんだか観ていて、何て言うんでしょう、正直気持ち悪さを感じてしまいました。
 「あの女のことは俺が一番知っている!」「俺が一番長く付き合っていたんだ!」というような、「お前よりも俺のほうが…」的な視点で、しかも一人の女性を自分のステータスとしてあるいは所有物として扱うような感じも一部であり、そういう感覚で描かれてしまっているのは、正直令和の描かれ方では無いように思いました。その点で違和感というか気持ち悪さを感じます。そういう感覚の描写が、結果としてオチに結びついてしまっているので、自覚的にやってるのか無自覚なのか正直判断に困ります。
 三谷幸喜自身が過去の栄光があるとはいえ、やはり昭和~平成の古い人間であるので、こういう感覚はまあある程度仕方がないか、と観ていて思った一方で、多くの人が見る「作品」として描かれるのには首を傾げました。
 TVではないので「嫌なら見るな」でも良いのですが、とはいえやっぱり観なきゃ分からない。本格ミステリのクオリティ云々を論じる以前の問題として正直肌に合わない作品でした。

 一部でカメラの長回しがあったり、クライマックスの演出を除いても、俳優の大振りの演技、舞台転換の少なさなどが印象的で、舞台劇として描いた方が面白かったのではないかと思います。やはり演者は豪華で、そのぶん演技のクオリティも高いので、生で彼ら俳優の演技を見れたら、さぞ満足度は高かったことでしょう。




2025本格ミステリ・ベスト102025本格ミステリ・ベスト10
2024/12/9
探偵小説研究会 (編集, 著)

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[ 2025/03/24 19:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

『名探偵コナン スペシャルコンサート 2025』大阪公演に行きました👓🎀⚽🛹 

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Asueアリーナ大阪



 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 3月22日(土)と23日(日)の2日間に渡って行われた『名探偵コナン スペシャルコンサート 2025』大阪公演に行きました。
 わたしが参加したのは2日目の23日(日)のみです。

 家から比較的近い「Asueアリーナ大阪」で開催されたコンサートで、遠征費もかからないし、「名探偵コナン」で全く知らないわけではないし、倉木麻衣さんの生歌が聞けて8,500円なら悪くないかな、と思って、参加してみました。
 似たようなテレビ局主催のコンサートとしては、以前テレビ朝日の『相棒』コンサートに参加したことが有り、そちらが結構良かったので、こちらの読売テレビの『名探偵コナン』コンサートにも期待が高まります。


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物販列



 1日目の22日(土)は夜間帯のコンサートでしたが、こちらの2日目は午後の昼帯のコンサートで、13時に早くも開場です。
 物販が11時からで、10時30分頃に並んでみたのですが、12時前に購入を終えることが出来たので、だいたい1時間ちょっと並んだことになります。
 1日目の物販がめちゃくちゃ盛況していたと小耳に挟んだので、1日目で買うもの買って、2日目には並ばなかった人も多いのだと思います。2日目は比較的空いていた印象です。

 物販では、物販会場に入る時と、物販カウンターで注文する時の2回、チケットの確認が行われました。
 転売対策なのか結構厳重な確認が行われていました。ここまでのチケットの確認をされたのは初めてです。
 しかも、その当日のコンサートのチケットを持っていないとダメで、1日目のチケットで2日目の物販で買い物するのはダメみたいでした。


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トレーディング箔押しカード 音楽2025

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トレーディング箔押し缶バッジ 音楽2025



 お土産として、2025年のロゴが入った「パンフレット」「クリアファイル コンサート2025」、それからランダム要素のある「レーディング箔押し缶バッジ 音楽2025」「トレーディング箔押しカード 音楽2025」をひとつずつ買ってみました。
 缶バッジとカードについては「5種類ランダム」と「12種類ランダム」の2タイプがあったのですが「5種類ランダム」の方にしました。「12種類ランダム」のほうは元太や阿笠博士など、いらんキャラがラインナップにあり、わたしのようなにわかにはあまりにリスキーでした。

 カードの方は怪盗キッド缶バッジの方は安室透が当たりました。良いのではないかと思います。
 というか、そもそもハズレキャラがいないので、何が当たっても良かったです。


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 物販会場の片隅には、新浜レオンさんRainy。さん(句点まで含めてアーティスト名)のCDが販売されていました。
 なにやら新浜レオンさんの握手会もあったみたいです。
 物販列に並んでいると、新浜レオンさんがやってきて待機列の人に笑顔を振りまいて「CD買ってね!」と営業した後去っていきました。



新浜レオン「捕まえて、今夜。」
TVアニメ『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』ノンクレジットOP



 新浜レオンさんって、紅白歌合戦のイメージしか無かったのですが『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』のオープニングの、いわゆる「窓拭きダンス」が、TikTokでめちゃくちゃバズった過去があったんですね。今回のコナンコンサートで予習していて初めて知りました。
 そもそも紅白歌合戦の出場についても、その「窓拭きダンス」のバズりがきっかけだったとか。オープニングアクトでご本人が話されていました。
 もう少しTikTokの流行に敏感になろ、と心に誓ったのでした。


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 開演は14時でしたが、その15分くらい前から既にオープニングアクトが始まりました。
 トイレに行っていた人が急いで戻ってきていました。
 開演時間から遅れることはよくあれど、今回のように開演時間の前から始まるのには驚きました。
 オープニングアクトというのがいまいちよく分かっていないのですが、オーケストラを使ったコンサートは定刻の14時からだけど、オーケストラを伴わないステージ(オープニングアクト)はその前に行いますよ、ということでしょうか。なんだかフェアじゃないように思います。



Rainy。「But ノーラヴ」
『名探偵コナン』新ノンクレジットOP



 とはいえ、Rainy。さんも新浜レオンさんも、オープニングアクトとはいえ圧巻のステージで、開幕早々テンションが上ります。
 どちらも1曲ずつ歌って、Rainy。さんは、現在TVアニメのオープニングになっている「But ノーラヴ」、新浜レオンさんのほうは、前述の「窓拭きダンス」がバズった「捕まえて、今夜。」でした。
 TVアニメを見ていないので、今回のコナンコンサート参加にあたってRainy。さんの「But ノーラヴ」を予習して行ったのですが、個人的にこの楽曲は結構好みで、知らず知らずの内にヘビロテして聴いてしました。ステージもアクティブで、若さを感じます。コナンのオープニングで聴いていたのとまるで同じ歌声で、遜色のないいわゆる「喉からCD音源」にも驚きました。ステージから去る時に「SNSもやってるのでフォローお願いします」と客席にアピールし、ふつうに今風の若い女の子でした。
 新浜レオンさんの歌については、歌唱前に振り付けの指導があって、サビのところでは観客みんなで「窓拭きダンス」をやって盛り上がります。


+++++

 オープニングアクトが終わると、いよいよメインプログラムの『名探偵コナン スペシャルコンサート』です。
 読売テレビのアナウンサーが最初に出てきて少し仕切ってから、その後楽曲の合間については、江戸川コナン、毛利蘭、毛利小五郎、工藤新一の4人がいわゆる「天の声」でコンサートの進行役を務めます。

 TVアニメの名シーンや名セリフ(毛利小五郎の場合は「迷台詞」)の映像とともに、オーケストラの演奏を楽しみます。
 ステージ前方の巨大スクリーンに、当時のTVアニメのワンシーンが流れるのですが、ネタバレには一切配慮していない感じで、このあたりは完全にコナンファンしか視野に入れていない構成でした。
 たとえば毛利小五郎がいわゆる「眠りの小五郎」にならず自力で犯人を特定したシーンを集めたパートがあり、「やっぱり同窓会の事件だよな」とわたしもむかしのエピソードを思い出しながら見ていたのですが、スクリーンにはその「同窓会事件」はもちろん、劇場版の「水平線上の陰謀(ストラテジー)」など、すべて毛利小五郎と犯人との直接対決のシーンが流され、犯人丸見えでした。
 最近だと劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のクライマックスシーン(服部平次が遠山和葉に○○するシーン)が流れていて驚きました。たぶんまだ地上波で放送していない作品(4月18日放送予定)です。流して大丈夫なんかな、まあなんていったって昨年の覇権映画ですからね、心配ご無用といったところでしょうか。

 個人的に気になった点としては、スクリーンに流れる映像の継ぎ目が、オーケストラの演奏の継ぎ目と同期してあったのですが、その継ぎ目継ぎ目でいちいち映像がフェードアウトする演出がされているものだから、そのたびに見ていてなんだかテンションが下がってしまいました。

 映画のテーマソング、オープニングセレクション、エンディングセレクションなど、各カテゴリに分かれてセットリストが組まれてありました。
 ただ、この「コナンコンサート」自体が開催が4年ぶりとのことらしく、その空隙を埋めるかのように、比較的最近の楽曲が多かった感じです。もちろん「謎」などの鉄板曲はもちろん演奏されましたが、ほとんどピンとこない楽曲ばかり(オーケストラアレンジが加えられていたせいもあるのかもしれませんが)で、わたしのにわかぶりを痛感しました。
 いまや愛内里菜、三枝夕夏、GARNET CROW、B'zという時代ではないんですね。そりゃ「コナン」も長寿番組ですしね~、今の時代「恋はスリル、ショック、サスペンス」のパラパラではなくて、新浜レオンの「窓拭きダンス」のほうがトレンドですよね~、と頭を抱えるのでした。

 公演の途中で、20分くらいの休憩が挟まれました。毛利小五郎が「天の声」で「トイレ行きたい!」と言い出して、コナン君もそれに同調する形で、それじゃあ休憩にしましょうか、的に休憩が挟まれるのには笑いました。


 公演時間は休憩合わせて3時間ほどあったのですが、こういったオーケストラコンサートでは、3時間フルで楽器を酷使するのは避けると聞いたことがあります。合間合間で楽器を休ませる時間を多く取り、そのあいだ歌手のMCなどで楽器を使わない時間を設けるそうなのですが、この「コナンコンサート」でも、映像であったり休憩であったり、割とごまかしごまかし楽器を使っている印象でした。

 休憩後の後半戦、エンディングセレクションが終わりに差し掛かった頃に、工藤新一が天の声で「エンディングでこの曲を忘れてはなりません」的な「振り」があった後、待ってましたの倉木麻衣さんが真っ赤なドレス姿でステージに登場します。客席も色めき立ちます。



倉木麻衣 「Secret of my heart」



 倉木麻衣さんの「Secret of my heart」、生歌で初めて聴きました。というか倉木麻衣さんの歌自体、生で聴いたのは今回が初めてだったのですが、さすが「平成の歌姫」、圧巻のステージでした。
 客席では、倉木麻衣界隈のファンの方がペンライトを熱心に振っていました。全体としてはペンライトを振る人はごくごく少数で9割9分くらいは何も振らずにただ聴いていた感じです。
 「Secret of my heart」の他、「渡月橋 ~君 想ふ~」「Always」など計5曲を歌いました。
 特に倉木麻衣さんによる「キミがいれば」のカバーなんかは、この「コナンコンサート」ならではだと思うし貴重でした。
 あと1曲歌ったはずなのですが(汗)、たぶんわたしの知らない楽曲ですたぶん。



名探偵コナン メイン・テーマ「キミがいれば」



 倉木麻衣さん、新浜レオンさん、Rainy。さんの生歌に加えて、フルオーケストラアレンジのコナンメドレーが聞けて8,500円はなかなかお値打ちなライブだったのではないかと思います。
 倉木麻衣さんのステージなんて、ファンクラブ会員でもないわたしがライブには色んな意味で行きづらいし、こういう「コナン」というつながりで気軽に聴けたのは良かったですね。この「コナンコンサート」も先行1次、先行2次では結構楽にチケット取れたし、まあ良かったのではないかと思います。満足度高し。

 あと客層がすごかったですね。未就学児と思われる女の子からおじいちゃんまで、なかには家族連れで参加されているお客さんもいて、「コナン」の客層の広さに驚きます。
 全体的には女性ファンが多い感じでしょうか。さすが覇権アニメ。

 参加された方、お疲れ様でした。


 ちなみに大阪公演はこれで終わりですが、この「コナンコンサート」はツアーのようで、4月12日(土)、13日(日)には東京の国立代々木競技場第一体育館で東京公演があるようです。
 この記事を書いている時点では「注釈付き指定席」が残っているようですが、ご興味のある方はぜひ。おすすめします。
[ 2025/03/23 21:59 ] 【音楽】 | TB(0) | CM(0)

映画「あの人が消えた」 

あの人が消えたあの人が消えた
1時間43分
2024


監督:水野 格
出演者:高橋文哉, 北 香那, 坂井真紀, 袴田吉彦, 菊地凛子, 染谷将太, 田中 圭, 中村倫也

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 「次々と人が消える」と噂されるいわくつきのマンションの担当になった配達員・丸子。日々マンションに出入りして荷物を届ける彼は、その住人のひとり・小宮は自身が愛読しているWEB小説の作者ではないか? と察して、密かに憧れを抱いていく。その一方で、挙動不審な住人の島崎に小宮のストーカー疑惑が持ち上がり、丸子は会社の先輩で小説家志望の荒川の協力を仰ぎ、他の住人たちに聞き込みを開始。引っ越し先を探している沼田や、詮索好きのおしゃべりな女性・長谷部から「島崎の部屋に血だらけの女がいた」「血痕が付いた服を着た姿を見た」という目撃情報を聞き、彼を危険人物と断定する丸子。小宮を守りたい一心で部屋に単身侵入を試みるが、運悪く帰宅した島崎と鉢合わせてしまう!時を同じくして、世間を揺るがす大事件を追っていた警視庁がマンションに接近!?一触即発の緊張感が流れ始めるなか、事態は思わぬ方向へと突き進んでいく―。





 『2025本格ミステリ・ベスト10』の映像本格のコーナーで紹介されていた映画です。面白かったです。
 「本ミス」紹介作品だけあって、どんでん返しと伏線回収が面白い一作で、本格ミステリファンにオススメできる映画です。

 見る前はてっきりシリアスなサスペンスかと思いきや、意想外にエンタメ方向に振れた作品でした。最後に流れるエンディングが、次の物語のオープニングになっているような趣向など、遊び心があって楽しいです。

 後半の伏線回収劇は、若干無理筋ではありますが圧巻で、しかもその「綺麗過ぎない」「無理筋」の回収劇は、実は次なるどんでん返しの伏線であったりするのが趣向として周到です。
 文字通りの大どんでん返しによって、全てがひっくり返った後のフォローがもう少しあっても良いように思いましたが、そこまで要求するのはさすがに野暮でしょうか。

 序盤の冴えない配達員の物語が、とあるマンションの「不思議」に首を突っ込んでいくにつれて、謎の深度が深まり、物語が広がりを見せる展開は面白いです。
 決して高難度のトリックを決めてみせた訳では無いけれど、視聴者に対して、異世界転生小説によって別世界の存在を無意識の内に予感させたり、作中作トリックを印象付けたうえで、それをどんでん返しに結びつけたりなどしており、本格ミステリに要求される「手続き」に丁寧さを感じる作品でした。よく出来ていると思います。

 本格ミステリ映画の収穫のひとつかと思います。あまり肩に力を入れずに観るのか吉です。




2025本格ミステリ・ベスト102025本格ミステリ・ベスト10
2024/12/9
探偵小説研究会 (編集, 著)

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[ 2025/03/22 19:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

織守きょうや「戦国転生同窓会」 

戦国転生同窓会戦国転生同窓会
2025/3/19
織守きょうや (著)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 大学生の水野真広に届いたのは謎の同窓会案内。「本能寺の変440年を記念して前世の旧交を温めよう」というもので、織田信長の生まれ変わりも出席する。冗談みたいな案内で、幹事も誰かわからない。
 だが、京都の高級旅館で旅費は幹事持ちなので、出席することに。自分の前世がわからない真広だが、他の参加者は前世記憶があり、明智光秀や豊臣秀吉、浅井長政などが参加していることがわかる。
 一体何のために、誰が開いたのか、自分は誰の恨みを買っているのか。真広は参加者8人と自分の前世を推理しながら、不穏な同窓会を乗り切る。




 面白かったです。ある意味「特殊設定」な状況下で描かれる、少し変わった歴史ミステリです。
 歴史小説としての「if」と、本格ミステリとしての「パズラー」が見事に合わさったオリジナリティの高い作品です。
 歴史ミステリと言っても、織田信長を中心とした、彼と絡みのある秀吉や光秀などの名だたる武将ばかり描かれるため、あまり構えず読むことが出来、敷居は低いと思います。

 「前世」に織田信長と親交のあった武将たちが、「現世」において「同窓会」を開く、という設定が本作の要。
 自分の「前世」が誰なのか分からないまま、「同窓会」に出席してしまった真広くんが主人公です。
 彼は自身の「前世」を、同窓会メンバーの言動をヒントに推理すると同時に、出席者全員の「前世」が誰であるのかも同時に推理していくため、謎解き要素が比較的強い展開が続きます。
 本格ミステリ的な要素の強い展開は個人的に大歓迎なのですが、しかし読んでいて戦国武将たちの「同窓会」としてはいまいち盛り上がりに欠けるのが気になりました。
 確かに、有名戦国武将が「現世」で「同窓会」を開くだなんて、この設定だけで飯三杯はいける極めて魅力的な設定ではありますが、よくよく考えてみると「同窓会」の愉しさって、結局「久しぶり~元気してる~?」「あの時以来だね~」「今になってはあの時の事はいい思い出だね~」とったような、思い出話や近況報告にあると思うのです。本作のように、自分や相手が誰の生まれ変わりなのかわからない状況では、そのような「同窓会」特有の愉しみを「封じられている」と言っても良く、物語の道中の大部分で「同窓会」特有の面白さが味わえないのは残念です。
 「(前世を知らないことで成立する)前世探し」という本格ミステリ要素と「(前世の記憶があることで盛り上がる)同窓会」という歴史小説要素って、実は「水」と「油」の関係ではないのか?と考えてしまいます。読書中もクライマックスまで双方分離したまま話が進んでいるように感じられました。
 しかし後半で「本能寺の変」と「同総会出席者の年齢」に話が及んでくると、作者が「本格ミステリ」として何がやりたいのかうっすら察しがついてくるし、いよいよ終盤になって謎が解決された時、それまで「水」と「油」の関係であった「前世探し」と「同窓会」の2つが見事に合わさり(乳化!?)、初めて本格歴史ミステリとして評価できる状態になるのは、良くも悪くもさすがにじれったいと思います。

 設定上、「真の同窓会」が始まるのは、すべての謎が解けた後――本書の最終ページの後で、残念ながら本書で描かれていない部分なのです。
 ただこれについては、個人的にあまりマイナス要素としては捉えたく無くて、例えば今の時代に残る城壁や石垣を見て、「兵どもが夢の跡」的に当時に想いを馳せることは攻城(史跡巡り)の楽しみの一つであったりします。こういう描かれない部分を楽しむことにこそ歴史の面白さがあるのではないでしょうか。「現世」において集まった彼らが、今後どのような関係を築いていくのか、ページを閉じた後もいろいろ想像してしまいます。

 「本能寺の変」という、さんざん擦られた歴史小説の「if」ではありますが、とはいえ本格ミステリ特有の謎解きの上に、歴史小説特有のロマンはきちんと乗っているし、本書のようなカタチで本格ミステリと噛み合わせるやり方は斬新に思います。
 表紙の感じから若い人向けでしょうか?ディープな戦国時代の知識は不要で、カジュアルに読める歴史小説としても広い層にお勧めできる一冊です。


[ 2025/03/21 23:02 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

水樹奈々「CONTEMPORARY EMOTION」 

CONTEMPORARY EMOTIONCONTEMPORARY EMOTION
2025.03.19
水樹奈々

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点数 5.0 ★★★★★



 【内容紹介】

 2025年はアーティストデビュー25周年イヤーに突入し、その第一弾となる約2年半振りのオリジナルアルバムの発売が決定!
自身も声優として出演しているTVアニメ「SHAMAN KINGFLOWERS」のオープニングテーマやTVアニメ「HIGHSPEED Étoile主題歌等、人気作品の主題歌が多数収録される超強力盤。

 【収録内容】
 1. 拍動 ★TVアニメ「#コンパス2.0」オープニング主題歌
 2. Electric Trick
 3. Virtual Cruiser
 4. ADRENALIZED ★TVアニメ「HIGHSPEED Étoile」オープニングテーマ
 5. Moment of Truth
 6. Turn the World ★TVアニメ「SHAMAN KING FLOWERS」オープニングテーマ
 7. シャレード
 8. Sugar Doughnuts
 9. Nightfall
 10. Blueprint
 11. フロンティアジャッジメント
 12. Trailblazer
 13. Awesome!
 14. ツバサ




水樹奈々 NEW ALBUM『CONTEMPORARY EMOTION』全曲Trailer



 前回のアルバム『DELIGHTED REVIVER』からだいたい2年半ぶりくらいのニューアルバムです。
 2025年は水樹奈々さんの歌手デビュー25周年の記念イヤーで、それにタイミングを併せてのリリースになるようです。25周年おめでとうございます!👏

 前回の『DELIGHTED REVIVER』に比べてタイアップ曲が少なく、よりアニソン感が少なくなってJ-POPに寄せてくるのではないかと購入前は心配していたのですが、実際にはキャッチーなメロディや歌詞が印象的な楽曲が揃ったように思います。個人的には『DELIGHTED REVIVER』よりも好みです。



水樹奈々「拍動」MUSIC CLIP



 個人的にアルバムリリースの度に楽しみにしているのは、アルバムオリジナル楽曲の新曲です。
 一応、本アルバムのリード曲は、巻頭収録の「拍動」ということになるみたいで、ミュージックビデオ(MV)なども作っていてなかなか豪華です。
 しかし一方で、かなりむかしに奈々さん自身が言っていたことですが、「拍動」のようなリード曲はMVも併せて作らないといけないので、楽曲自体の制作時間は限られてしまうとのこと。必然的に、真に注力した楽曲というのは、納期ギリギリまで時間をかけたタイトルになり、本アルバムでそれにあたるのは「Moment of Truth」のように思います。



水樹奈々「ADRENALIZED」MUSIC CLIP



 個人的に奈々さんのラジオや雑誌を全然読まなくなったので、本アルバムの制作過程やアルバムの内容について奈々さん自身がどう言っているのか、まったく分からないのですが、アルバム収録曲の並びを見てみて下さい。「ADRENALIZED」→「Moment of Truth」→「Turn the World」の並びを見るだけで「Moment of Truth」の存在が異彩を放っていることが分かるし、収録楽曲の中でも目玉となる楽曲であることが想像できます。
 これまでのアルバムを振り返ると『supersonic girl』の「TRANSMIGRATION(トラマイ)」、『ALIVE & KICKING』の「Tears' Night(ティアナイ)」、『HYBRID UNIVERSE』の「残光のガイア」、『GREAT ACTIVITY』の「Orchestral Fantasia(オケファン)」、『ULTIMATE DIAMOND』の「Gimmick Game(ギミゲ)」、『IMPACT EXCITER』の「NEXT ARCADIA(ネクアル)」、『ROCKBOUND NEIGHBORS』の「アヴァロンの王冠」、『SUPERNAL LIBERTY』の「VIRGIN CODE(ばじんこ)」、『SMASHING ANTHEMS』の「Glorious Break」、『NEOGENE CREATION』の「UNLIMITED BEAT」、『CANNONBALL RUNNING』の「DAYBREAKERS」と、アルバムオリジナル曲は今でもライブのセットリストで一線で輝いており、これら超弩級のアッパーソングはたいていどのアルバムにも1曲は収録されるのが慣例になっていましたが、あくまで個人的な感想ですが、前作『DELIGHTED REVIVER』にはそれが無かったように思います。
 この度、本アルバムによって新たなアッパーソング「Moment of Truth」が加わったことを大変喜ばしく思います。既にヘビロテして聴いています。



水樹奈々「UNLIMITED BEAT」
(2016年リリースのアルバム『NEOGENE CREATION』収録曲)



 再収録の「ADRENALIZED」や「Turn the World」を除いても「Moment of Truth」のほか「Virtual Cruiser」「フロンティアジャッジメント」「Trailblazer」など、近年のアルバムでは珍しくアッパーソングの良曲が多いように思います。
 収録順に楽曲を聞くと、アルバム全体がライブ1公演ぶんのセットリストのような作りになっていて良いですね。
 前半「 Moment of Truth」を頂点とする山と、後半「Trailblazer」を頂点とする山の、全体で2つの山があって、その中間部をおしゃれな「シャレード」、コミカルな「Sugar Doughnuts」、トランペットが印象的な「Nightfall」など、特徴的な楽曲で緩急つけている感じ。キャッチーな「拍動」と「Electric Trick」でまず観客の心を鷲掴みにして、緩急つけながら2つの山で盛り上がった後、終盤の「Awesome!」でナナソンの真骨頂である「楽しいんだけどなんだか泣ける楽曲」を聴かせて、ライブの終りが近づいていることを観客に予感させるのです。そして最終楽曲「ツバサ」をじっくり聴かせてしんみりさせた後に、ライブを締める、という見事な「NANA MIZUKI LIVE」の構成になっています。



水樹奈々「Turn the World」
【ノンクレジットOP】TVアニメ「SHAMAN KING FLOWERS」



 個人的にお気に入りは「Moment of Truth」!めちゃくちゃ刺さりました。
 各社サブスク音楽配信で本アルバムの楽曲の配信も開始されているので、ぜひ聴いてみて下さい。
 紅白出場や東京ドーム&甲子園球場ライブ実現が終わりじゃない、水樹奈々のさらなる躍進を感じられる傑作です。オススメします。
[ 2025/03/20 17:35 ] 【音楽】 | TB(0) | CM(0)

香坂鮪「どうせそろそろ死ぬんだし」 

どうせそろそろ死ぬんだし (宝島社文庫) どうせそろそろ死ぬんだし (宝島社文庫)
2025/3/5
香坂 鮪 (著)

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点数 3.0 ★★★☆☆



 【内容紹介】

 探偵業を営む七隈は、余命宣告された人々が集う交流会のゲストとして、助手の律と共に山奥の別荘に招かれた。
 二人は交流会の参加者と食事をし、親交を深める。しかし翌朝、参加者の一人が不審な死を遂げる。
 自然死か殺人か。殺人であれば、余命わずかな人間をなぜわざわざ殺したのか。七隈たちは死因の調査を始め――。
 やがて明かされる驚愕の真相とは?




 第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作です。
 本格ミステリ度の高い作品で、本格ファンに特にオススメの一冊です。
 舞台は立派なお屋敷で、探偵とその助手が事件解決に挑む、いわゆるホームズ&ワトソン型のバディものです。
 しかし、帯を麻耶雄嵩先生が書いているところからも、本作が一筋縄ではいかないバディものであることが伺えます。

 ある出来事をきっかけに、視点人物が前半と後半で入れ替わる点で、二部構成の作品としても読めますが、この二部構成を利用したフーダニットは、じつは本格としてかなりすごいことをやってのけているのですが、新人作のためか、演出面において少しおとなしめな印象を受けます。驚天動地の演出で本格ファンを圧倒しても良さそうなネタであるだけに、なんだか勿体感じもします。
 本格ミステリファンを喜ばせるネタをいくつもちりばめているのが印象的で、本格ミステリとしてみればなかなか高ポイントです。
 一方で、論理的謎解きという点では、なんでこんな「余命宣告をされた人々が関係者」という設定にしたんだろうと思わずにはいられません。たぶん糖尿病だの低血糖だの、インスリンだのグルコース値だのといった医療知識に基づいたパズラーを描きたかったんだと思うのですが、今まで健康診断で血糖値が一度も引っかかったことのないわたしからすると、遠い世界の会話(推理)が延々と続いているのと変わりなく、正直ちっとも面白くない謎解きでした。例えば若くて元気な10代の学生読者が本書を読んだらどう感じるでしょうか。辛気臭くて読んでられないと思います。 

 序盤から、ワトソン役の一人称ではなく、ハードボイルドでもないのに探偵役の一人称で物語が描かれるのがバディものとしては珍しいと思うのですが、じつはこのヘンテコな視点も、大ネタのための前フリだったりします。
 さらに、彼ら探偵と助手の会話についても、序盤から独特のヘンテコな雰囲気が有り、二人は仲が良いのか悪いのか、妙に判然としないところがあります。しかし、この物語を覆う変な空気感が実は、大トリックの伏線であったのには驚くばかりです。帯の麻耶先生の「最大の罠は作風そのもの」というのはたぶんこのことで、この空気感を醸成したうえで大トリックを炸裂させた「手続き」は本格ミステリとして評価すべきだと思うし、新人でこれをやってのけたことにも併せて評価すべきように思います。

 本格ファンが好みそうな印象的なネタをいくつも投入しているので、もっと大上段に構えて、「読者諸君、驚くががいいっ!」と言わんばかりの、過剰なくらいの演出でも良かったのではないかと思います。非常に勿体ないと思います。


[ 2025/03/18 23:52 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

大阪府富田林市の「じないまち 雛めぐり」へ行きました。 

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 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 大阪府富田林市にある寺内町で行われた「じないまち 雛めぐり」へ行きました。
 寺内町では、毎年ひな祭りシーズンになると、町屋や商店、公共施設に雛人形が飾られて一般公開されています。
 江戸時代の美しい町並みが残る地域でも有り、雛人形との相性は抜群です。


[ 2025/03/17 19:00 ] 【おでかけ】 | TB(0) | CM(0)

映画「乱歩の幻影」 

乱歩の幻影乱歩の幻影
1時間42分 2023年


監督:秋山純
原作:島田荘司
脚本:島田荘司

キャスト:結城モエ、高橋克典、常盤貴子


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点数 2.0 ★★☆☆☆



 【内容紹介】

 江戸川乱歩を愛読する弓子は、生前の乱歩の「僕は殺人快楽症になりたい」という言葉を巡り、彼が実際に人を殺しているという話がネット上で語られているのを目にする。殺されたのは美しい女で、乱歩はその女を、いまも表参道に面影が残る同潤会アパートの壁に埋め込んだという。ある時、弓子は祖父の写真館で古い写真を見つけるが、そこに写る文子という女性と乱歩の接点が明らかになり……。





 『2025本格ミステリ・ベスト10』の映像本格のコーナーで紹介されていた映画です。
 島田荘司氏による連作短編集『網走発遥かなり』の中の「第三章 乱歩の幻影」を抜き取って実写映画化したもの。
 クラウドファンディングによる出資を募って映画化が実現した経緯があり、個人的にも出資しようか悩んだのですが、結局出資せず、映画の公開自体は楽しみにしていた記憶があります。
 公開時は「全国公開」という触れ込みで、確かに全国のあちこちの映画館で夏頃から公開されていました。トータル日数にすると結構長いこと公開されていたのではないかと思います。しかし公開劇場が神出鬼没で、お盆に福山へ帰省した時に視聴しようと考えていたらあっさりと福山での劇場公開終了になっており、なかなか視聴のタイミングが合わない作品でした。結局映画館で見れなかったことを考えると、クラウドファンディングの出資は控えておいて正解だったな、と今になって思うのでした。

 江戸川乱歩の作品ではないものの、原作にも乱歩流の幻想趣味が横溢しており、それが割と上手い具合に映像化されていたと思います。撮影カメラのフィルムの色調でしょうか?彩度は控えめで、FUJIFILMでいうところの「エテルナ」を使用したような映像は美しいです。
 その一方で、物語自体に引き込まれなかったのが残念です。何か冒頭に強烈な「つかみ」があれば最初から最後まで楽しく見れたように思います。
 あくまで連作短編集の中の一編……というか「一章」だったためか、原作を読んだ当初のような、日常と非日常が交錯し、探偵小説の巨人である江戸川乱歩の、彼の過去の人間関係を追っていく探偵小説的興味があまり感じられませんでした。
 『網走発遥かなり』は、全ての短編が揃った時に初めて凄みの分かる連作短編集であり、そういう構成を採っている以上は「乱歩の幻影」単体では傑作にのし上がれない宿命のような気もします。前述のような「映像美」という付加化価値次第では、傑作にもなり得るポテンシャルを秘めている作品であると感じたので、今回の映画化にも期待したのですが、少し残念な感じでした。
 クラウドファンディングによる映画の割に、高橋克典さんや常盤貴子さんといった名うての俳優に加えて、原作者の島田荘司さん自身や、YouTuberの東海オンエアのメンバーの一人ゆめまるさんなど、顔の知った俳優が多数出演しており、「映像美」と併せて絵面はしっかりとした印象を受けます。

 まだ円盤化はされていないようです。そもそもされるのか分かりませんが。
 AbemaTVで配信がされているようなので、配信視聴に抵抗がなければそちらで視聴するのが良いと思います。




2025本格ミステリ・ベスト102025本格ミステリ・ベスト10
2024/12/9
探偵小説研究会 (編集, 著)

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[ 2025/03/16 19:00 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮
・波除稲荷神社
・富岡八幡宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・生國魂神社 干支(戌)
・生國魂神社 干支(亥)
・生國魂神社 干支(子)
・生國魂神社 干支(丑)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺
・多治速比売神社

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・鈴虫寺(その3)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
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・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
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・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
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・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
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・六道珍皇寺 六道まいり
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【徳島】
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【福岡】
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・筥崎宮(筥崎八幡宮)
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【沖縄】
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■朱印帳■
・京都五社めぐり
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・平安神宮 御朱印帳
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・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
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