Book#48 藤井則行著 『文学もまた「人」である ふくい児童文学会だより 巻頭言88』
おはようございます。今日は1月6日、2025年の仕事始めです。今日は終日挨拶まわりですね。年々挨拶まわりや賀詞交歓会などは減ったり姿を変えて催されたりしていますが、そんなに遠くない時期に廃れていくような気もしますね。
さて、今朝のentryは、会報・誌の巻頭言を集めた冊子なのですが、読んでいてすっと入ってくる文章たちでした。著者が誰もがわかる平易であることを心がけて書かれた文章だなというのがよくわかるもので、それを集めたものでした。大きな会ではないのかもしれませんが、こういうものがもう少し広く読まれるといいなぁと思う、とてもよい文章が詰まっていました。
第229号、平成21年1月1日の項目では、大伴家持の「いや重げ吉事」が引かれていました。私も大好きな歌です。そして著者は、千年後の明治の時代に石川啄木が詠んだ、
今年はよいことあるごとし
元日の朝
晴れて風なし
を合わせて引き、「今年は」の「は」に注目したいといっています。様々に苦難に満ちた啄木にとって「今年こそは」という強い願いを込めているといいます。そして、悩みや心配事のない人なんて誰もいません。それが現実です。と著者は言います。
その通りでしょう。私たちにとってもそれは同じです。「今年は」と、毎年祈り続け、すべての苦難が除かれることはなくとも、少しでも幸せでありたい、あの人に幸せになってもらいたい、と願う気持ちを持ち続けたいものです。
↓前回のbook entry↓
Book#47 「柿の木のある家 他十五編」壺井 栄 著 旺文社文庫
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