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なんでもない日々となんでもないこと。

Book#48 藤井則行著 『文学もまた「人」である ふくい児童文学会だより 巻頭言88』 

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おはようございます。今日は1月6日、2025年の仕事始めです。今日は終日挨拶まわりですね。年々挨拶まわりや賀詞交歓会などは減ったり姿を変えて催されたりしていますが、そんなに遠くない時期に廃れていくような気もしますね。

さて、今朝のentryは、会報・誌の巻頭言を集めた冊子なのですが、読んでいてすっと入ってくる文章たちでした。著者が誰もがわかる平易であることを心がけて書かれた文章だなというのがよくわかるもので、それを集めたものでした。大きな会ではないのかもしれませんが、こういうものがもう少し広く読まれるといいなぁと思う、とてもよい文章が詰まっていました。

第229号、平成21年1月1日の項目では、大伴家持の「いや重げ吉事」が引かれていました。私も大好きな歌です。そして著者は、千年後の明治の時代に石川啄木が詠んだ、

今年はよいことあるごとし
元日の朝
晴れて風なし

を合わせて引き、「今年は」の「は」に注目したいといっています。様々に苦難に満ちた啄木にとって「今年こそは」という強い願いを込めているといいます。そして、悩みや心配事のない人なんて誰もいません。それが現実です。と著者は言います。

その通りでしょう。私たちにとってもそれは同じです。「今年は」と、毎年祈り続け、すべての苦難が除かれることはなくとも、少しでも幸せでありたい、あの人に幸せになってもらいたい、と願う気持ちを持ち続けたいものです。

↓前回のbook entry↓
Book#47 「柿の木のある家 他十五編」壺井 栄 著 旺文社文庫
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Book#47 「柿の木のある家 他十五編」壺井 栄 著 旺文社文庫

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こんばんは。今日は午前は、片づけをしたり、本を読んだりしておりました。午後はいつもの植物園に出かけてきました。やっぱり私は出かけるのが好きなんですよね。小石川植物園のシセントキワガキの実も食べられるってことを書きましたけどね、まぁ金柑より小ぶりな実で、種が3つ4つ入っていることを考えると食べやすい普通の柿も食べたいですねえ。

今日の本「柿の木のある家」の柿は村でもよく実のなる木で、その家の子供たちにとっても自慢の柿の木。祖父にとっても、そしておじさんにとっても大切な木としてこの作品の中心をなしています。この木の周りに時間が流れます。

作品の最後の方で、

「柿の木は、こういう風景を、にこにこ笑いながら見おろしているようです。柿の木にとっては、この下でかわされる子供たちの話や、歌声や、ときどきはむずかって泣きやまぬ赤ん坊の泣声や、道ばたまでとどく、長い繩でつながれた山羊が、草をたべている姿など、毎日見ても、見あきない風景でありましょう。そして、あまりの面白さに、人間にはわからぬ柿の木の声で、はっ、はっと笑い出すと、そのはずみに柿の葉が散るのかもしれません。」と書いています。

柿の木から見た人々の生活の営みは何とも不思議で面白いものなんだろうなぁと思わせてくれ、作品を読むとほっこりとします。もともと「柿の木のある家」で執筆されていたのですが、1944年(昭和19年)初出時の表題は戦時中のため「海のたましひ」として改題されて出されたそうです。戦後、改めて筆を入れて改作、1949(昭和24)に山の木書店版として出ました。戦争というのはいろんなところに影を落とすものです。

ちなみに私が持っているのは、写真の旺文社文庫版。旺文社も昔、文庫を作っていたのです(1965-1987)。旺文社ももともと「歐」の字だったですが、敵性語だとかいうのを避けるため、旺文社にしたんだとか、、、いや、ほんと同調圧力と空気に押し切られた戦前の日本のたどったことを思うと、よくよく考える必要があるよ、と思います。

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話が横道にそれてしましました。柿の木から見た、人々の営み。どんなふうに見えているのでしょうかね。

<追記>
表題作は青空文庫にも収められています。

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Book#46 「朝のかたち」(谷川俊太郎詩集Ⅱ)谷川俊太郎著 角川文庫 1985

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おはようございます。谷川俊太郎さんが11/13にお亡くなりになられたとの訃報が一昨日出ました。東京出張中で朝家を出てから訃報に触れ、出先で古本屋に入って手に取りました。家に帰れば本棚にはあるはずですが、、、。本が多くて、手放したり、人に貸したりもしたりもしていますし、図書館で借りて読んでいることもあったりで記憶が曖昧なものも多いもので。谷川さんは多くの本が出されていますし、古書店には必ず谷川さんの作品はあるだろうと思いましてね。やっぱりありました。多くの人が谷川さんの詩に触れているでしょう。

人それぞれ、印象に残る刻まれた谷川さんの詩があるだろうな、と思ったりします。私もありますが、、、今回読み直しでは、「空に小鳥がいなくなった日」がやっぱり強く印象に残りました。その詩では<空は静かに涙ながした>、<ヒトは知らずに歌いつづけた>と。

だんだん当方も歳を重ねていくにしたがって、自身が慣れ親しんだ作家、artist、俳優さんの訃報を聞くたびに寂しさも感じる一方、いずれ自分も大きなものに還っていく日がやってくる。それは約束だし悪いことじゃない、とも思います。だからこそ、今を生きよう、って思ったりね。

谷川俊太郎さん、沢山の言葉をありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

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Book#45 「漂流」角幡唯介著 新潮社2016

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おはようございます。中国出張に行く前に、東京出張時に有楽町の三省堂で少し時間調整をしていた時に、文庫棚で角幡さんの本を見かけて久しぶりに読むか、と思いましてね。手に取りました。

「一人の沖縄のマグロ漁師がフィリピン人船員らとともに37日間、海を漂流し生還した。その日本人マグロ漁師は、その生還から8年後、再び漁にでて行方が分からなくなった。現在に至るまで戻っていない、、、。それは何故だったのか?」そんな問いを作品の軸に据えて、南方を漁場とし海の民として暮す人々を追う時、芋づる式に漂流、行方不明が出てきます。陸で暮らしている自分たちからすると、唖然・呆然という感覚に近いものを感じることでしょう。海に生きる人は死と隣り合わせの中で、自身の生を獲っている人なのです。自分の持ちえる力を総動員しながら海で生き、海に死ぬ。そんな姿を見た時に、「生きる」ということの根源を垣間見ることのできる良作でした。

久しぶりに角幡唯介氏の本を読みましたね。これまでにも数冊作品を読んでいますが、それはel_desviosさんの影響もあるかな

海とは何か?それが問いです。

↓前回のbook entry↓
Book#44 僕たちはどう生きるか 森田真生著 集英社文庫 2024
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Book#44 僕たちはどう生きるか 森田真生著 集英社文庫 2024 

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おはようございます。昨日は岐阜羽島に降り立つために久しぶりに新幹線「ひかり」に乗りました。東西移動はおおむね飛行機か「のぞみ」が多いですからね。子供の頃、新幹線に乗るといえばイベントでしたけど、社会人になってからというもの、年中新幹線にはお世話になっている感じで、そんなこんなしているうちに東北新幹線や北陸新幹線など乗る路線も増えていきました。

さて今朝のentryは、先日有隣堂・大阪店で買った本のうちの1冊。「僕たちはどう生きるか」です。この本は独立研究者である森田真生氏が2020年のCOVID-19のpandemicによって一挙にわった世界を目の前に、stay homeをして家に留まる中、子供たちとの生活の中に芽生える小さな出来事をとっかかりに様々な思考をめぐらしていった日々の記録です。

久しぶりに沢山の書き込みをしながら、本との対話を楽しみました。

僕のからだのなかには、無数の僕でないものたちがいる(ミトコンドリアのこと)。
僕が僕であるという「自己同一性(identity)」は、もはや当たり前のことではなくなる。(p29)
⇒従来の個の概念の変化。集合体としての個。
 自己という世界の限界。自己の解釈の拡大をすればよい。(私のメモ)

京都にお住まいの著者は私の大好きな本屋恵文社一乗寺店からオンラインセミナーをやったりしています。ラミン・バーラミ監督のPlastic Bagという短篇映画を取り上げたり。

I wish you had created me so that I could die.どうか私が死ねるように、私を作ってほしかった。残酷なほど長いレジ袋の一生。(p91)
⇒先日とある島で土砂に埋もれたサンダル(だったもの)を見かけた。このプラスチック片は何百万年も後にも残っていて、人新世の愚行を示す示準化石となる。(私のメモ)

生まれ変わりは、お伽噺である。だが、真実を伝えようとする真剣なお伽噺だ。同じ生命が、姿を変えながら、途絶えることなく続いてきた。とすれば、再会は「いつか」起きることなのではなく、「いつも」起きていることなのではないか。いつかまた会おうと約束する前に、僕たちはいまここでまた会えているのだ。(p189)
⇒死は集合していた粒子が拡散し、世界になっていくイメージ。あまねく周囲にかすかに存在してくれる。それを感じられるか。(私のメモ)

庭の植物、畑。歩みを止めて眺めることで見えてくること。microに眺めればmacroに広がりを思考できるのです。私は日々ものすごいスピードで移動を繰り返していますが、そんな風にしていると視野狭窄となり、広く見られなくなるんじゃないかと思ったりします。せめて朝夜のひと時、小さな出来事をとっかかりに思考をすることで、広く世界を感じられたらいいなと思います。そうすれば時間も越えられるはずです。

さて、この本に寄稿している早坂大輔氏は「大きな声でなくともいい。ぼくはあなたたちと小さな声で未来について語りたいのだ。」と書かれました。早坂氏は岩手・盛岡でBOOKNERDという本屋さんをやっている方です。私がすきなくどうれいんさんの本を出したとこだな。今日のentry、朝のentryと岩手で繋がったな。

私も子供たちとそしてみんなと話そう、未来について、小さな声で。

↓前回のbook entry↓
Book#43 ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子 著 角川文庫 1986
https://euyudo.blog.fc2.com/blog-entry-3042.html

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Book#43 ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子 著 角川文庫 1986

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こんばんは。大阪の単身宅に帰ってきました。出張が重なっていて東へ西へと動いておりますが、東京も大阪も暑いですねえ。

さえき奎(けい)さんとこのblog「酒とソラの日々」で、田辺聖子さんの「ほな」という言葉に触れられていて、あぁ、いい言葉だなぁとつくづく思いました。いろいろと使いでがある言葉、とも言えますが、そんなことより、音に現れない「気持ち」を余白にのせるところに、この言葉の奥行を感じるのです。そんなことで、田辺聖子さんの本を大阪の単身宅でガサゴソ。はい。「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫)がございました。何度目か数えられないほど読んでいる作品ですし、この本を私が買ったのは何度目か?とも思います。学生時代にも買ったし、実家にもあったし、社会人になってからも買っています。気に入って人勧めたりしてあげちゃったりするもんだから何度か買っているんですよね。ジョゼの「アタイ」という一人称もかわいらしい。(これは関西人にしかわからんかなぁ。)

1987年(昭和62年)のこの文庫には8篇の短篇が収録されています。表題作はもう実写映画でもアニメーション映画にもなっていて、本作の変奏曲のようなものだと思って楽しむようにしています。原作ももちろん好きですけど、それをどのように映像化するかとしたときに、あぁこうきたかぁ!っていうのも好きなんですよね。

収録されている作品に「男たちはマフィンが嫌い」なんて題の作品があるのを読んで、「いやぁ、僕は好きやけどなぁ。」なんてすっとぼけたこと思ったり(まったくこれだから、そこいらの男(私)は、、、、)。

この文庫。最後の「解説」が山田詠美さんなんです。これを読んだら、またおバカな男たちが、その言葉に騙されるんだよねえ。わかった風でいていつまでもわかってないで、掌の上を行ったり来たりしているのが男なんでしょうね。そんなことも全部ひっくるめての愛があるのよね、田辺先生の作品は。おっさんたちにも愛されてますよ。

↓前回のBookはこれだった↓
Book#42 犬がいた季節 伊吹有喜 著 双葉文庫 2024
https://euyudo.blog.fc2.com/blog-entry-3017.html

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Book#42 犬がいた季節 伊吹有喜 著 双葉文庫 2024

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おはようございます。今日は金曜日!今日一日過ごせば、やーっとweekend。今週は長かった、、、。

今回の本は、先日、金曜日から土曜日にかけて読んだ作品です。隣に移っているのはこだわりのレモンサワーらしい。ちょっと味が濃いので好みが分かれそうなお味でしたが、私にとっては、まぁ飲みやすいジュースですね((〃艸〃))。

「犬がいた季節」は、伊吹有喜さんによる青春小説です。三重県四日市市の進学校・八陵高校を舞台としているのですが、これ、伊吹さんのご出身の四日市高校がモデルですよね。1988年の夏、高校に迷い込んだ子犬コーシローを狂言回しにして、高校生たちの青春の物語が連作で進みます。1作目のユウカと犬じゃない方のコーシローとの物語、私的にはちょうどちょっと上の先輩の話だなぁと思いますし、私と時代が合致するのは2作目ですね。物語の端々に入ってくる実際の出来事が記憶と重なってきます。悩み多き青春時代の逡巡と決意の物語は、自らを重ね合わせてifの物語、あったかもしれない世界線の話として切なくなります。その時代、時代に生きた18歳の物語です。

私の部下さんにこのモデルとなった学校出身の才媛がいる(つまり伊吹有喜の後輩でもあるわけ)のですが、文才のある先輩がいるんだねえ、という話を先日しておりました。いろんな学校がありますが、伝統校と呼ばれる学校は歴史もあるだけに才能ある人を輩出しますよね。(件の四日市高校は、1899年(明治32年)創立ですね)

さぁ、今日一日がんばって、良い週末を迎えましょ。

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Book#41 妻が椎茸だったころ 中島京子 著 講談社文庫 2016

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おはようございます。皆様週末をいかがお過ごしでしょうか。昨日は早朝散歩でご近所さんの庭木・花めぐりをしておりました。我が家は庭がある家ではないのですが、一軒家が沢山並んでいる住宅街にぽつりぽつりと集合住宅があるようなエリアにあるので、結構庭木がしっかりしたお宅が多かったり、花の手入れが丁寧なお宅があったりと、自分の家の庭じゃなくても眼を楽しませて頂けるというのがありがたい場所なんですよね。

さて、今朝のentryは椎茸繋がりで、先日読んだ中島京子さんの「妻が椎茸だったころ」です。泉鏡花賞を受賞した本ですね。亡くなった妻のレシピ帖と日記のようなものに書かれた謎のメモ。妻が生前に予約をしていた大人気の料理教室に、妻の代わりに行き、読み解かれるその心。不思議な湿度をもつ作品です。この作品の文章にふてた時の、自分の脳裏に映像かされ、体全体を包む空気は、この作品独特のものだと思います。

この本、どこかの古本屋で買ったもので、しばらく積んであった本ですね。裏を見たら80円の値札が付いていました。中島京子さんといえば「小さいおうち」ですが、10年以上前にミーハーな上司が読んでいて、読んだ?って聞かれたことを想い出します。ものすごく流行りましたよね。私は天邪鬼なので流行っているとまた後で、してしまいがちで、この「小さなおうち」も後送りです。そんなこんなしているうちに映像化されたりね、、、そうしたらまた先送りになっちゃう、、、。まぁそのうちにね。

表題作以外にも短編がいくつか入っていますのですが、「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」は私の好きな州の事が書かれているからかendingがちょっと、、、と思ってしまって好きじゃないなぁと(かなり個人的な経験との中でリンクしているものなので、ほかの方には当たらないとはあ思いますが)。「ラフレシアナ」も肌がじっとり濡れるような湿度を感じる不思議な話でしたが、好みではないかな。いずれも感じる湿度が作品群に通底するものなのかもしれません。

やっぱり表題作が一番好きかな。

目の前にあるマンゴー。豊かな緑に囲まれた果樹園に渡るスコールの後の湿った空気、、、、。作品を読んだ人ならわかるでしょう。

↓前回のBookのentry↓
Book#40 本日の栄町市場と、旅する小書店 宮里綾羽 著 ボーダーインク 2017
https://euyudo.blog.fc2.com/blog-entry-2955.html

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Book#40 本日の栄町市場と、旅する小書店 宮里綾羽 著 ボーダーインク 2017

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まだ、おはようございます、でいいですよね。沖縄entryが続いていますが、Bookでのentryでも沖縄です。

センベロで訪れた安里の栄町市場。ここにある小さな本屋さんの副店長さんが書いたエッセイ集です。私は「市場の古本屋」さんと言えば牧志の「ウララ」さんに行くことが多いのですが、この本の中でも、宇田智子さんとの話も書いてあったりして、やっぱり繋がりますよねえって思いながら読んでいました。

沖縄らしい市場ででの何気ない出来事、出会ったひと、旅で出会った本などを綴ったエッセイは、華美にならず著者の目線で丁寧に描かれています。なんといっても市場の魅力的な人々とのお話を読むと、なんとも愛おしくなるんですよ。こんな世界だからこそ、愛したい。

現在、栄町市場がある場所は、戦前に沖縄師範学校女子部、沖縄県立第一高等女学校があった場所です。南部でのひめゆり学徒隊のつらい歴史はよく知られていますが、その学校が本来あった場所は、あまり意識されたことはないかもしれません。この場所は沖縄戦で焼け野原となりました。そして跡地に市場が生まれ、1955年(昭和30年)に栄町市場が生まれした。「誰でも歓迎、人が集まり栄える町になってほしい」という人々の願いがその名前に残されており、その名の通り、人々の生活がそこにあり、栄えている。そんな愛おしい場所にある本屋さんのお話です。‭


↓牧志の本屋も大好きですよ↓
沖縄#69 「本屋になりたい」宇田智子 著 を読んだ
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2751.html

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Book#39 巷に名もなく James Baldwin著 橋本福夫訳, 平凡社 1975

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こんにちは。昨日今日は大阪に居ります。明日はちょっと用事もあるので東京に帰ります。今日はこの後図書館に行く予定です。

2024年もいろんな本を読もうと思いまして、今年も懲りずにいろんな本を並行して読んでおります。今日取り上げた本は、1972年に"No Name in the Street"という題名で発表されたJames Baldwinのnonfictionの作品です。年末年始だったかに、彼の言葉を友人のFacebookが引用していて、読むか、、、と思いましてね。年始からの読書にはいくつかの候補がありそのうちの1冊です。ちなみに2024年1冊目の本はMaya Angelouの作品でした。そのうちupできればね、、、。

"No Name in the Street、邦題は「巷に名もなく」ですが、この作品は1967年から1971年にかけて、住まいを移しながら、書き続けていた作品で断続的な手記のようなものです。作者がPalisにいて自分を苦しめたAmericaへの帰国を決心した直接的な契機は、1957年、Dorothy Countsさんが学校に登校する際に迫害にあった事件の写真を見たからだという話が書かれています。この時代がどんな時代だったかと言えば、Joseph Raymond McCarthyによる赤狩りが活発になっていくのが1952年で、Montgomery Bus Boycottが1955年から始まっています。人種差別は根深く、James Baldwinが目にした光景は、Malcolm XやMartin Luther King Jr.らで知られる多くの犠牲を払い続け、現在においてもなお続いています。彼の問題意識がそのまま今に繋がっていることに憤りと悲しみを覚えざるを得ません。

訳者あとがきにも書かれています。もともとJames Baldwinは黒人だけではなく白人アメリカ人にも話かける姿勢を持っている作家ですが、彼が当面するしかなったAmericaの現実は、彼をして「われわれ」の概念の分裂をもたらしていたのではないだろうか、と。この書の表題である"No Name in the Street"とは旧約聖書・ヨブ記(Job 18:17)からです。「彼の跡は地に絶え、彼の名はちまたに伝わらじ。彼は光のうちより暗闇に追いやられ、世の中より駆出されん。」と。彼とは「悪しき者」となっています。この悪しき者は蒙昧で頑迷な差別主義者の事を指していると解されるということが、この時代から今に至るまでの厳しい現実なんだと再認識させられます。

私としては差別主義の蒙昧さがなくなる理想の未来を見たい。そして引用するなれば、できればヨハネ福音書(John 13:34)でありたい。 that you love one another; as I have loved you, that you also love one.と。

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Book#38 「鴨川ランナー」グレゴリー・ケズナジャット著 講談社 2021

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こんばんは。昨日は終日京都、鴨川周辺を散策していましたが、今日は朝から検診で病院に行って、その後はファミレスで朝食をとり、そのままメモを取りつつ読書をしたりしておりました。なかなかblogでBookのカテゴリーでupしていないので、数は上がっていきませんね。ほんとはもっと本を読んではいるんですがね((〃艸〃)ムフッ)。

さて写真は少し前に気になっていた作家さんのデビュー作で、第2回京都文学賞受賞作の「鴨川ランナー」です。高校、大学と日本語を学んだ米国人が主人公で、<きみ>という二人称で書かれる作品は、私という主観をやや遠まきに見ている距離感を感じます。フィクションではあるものの、ご自身の経験が投影されているのでしょうね、そのこととの距離感をとるのにも二人称は効果的なのかな。

<きみ>の目に映る京都の中で、言葉に向き合うってことを問う作品です。p14で「本当にそうなのか。オマモリがアミュレットになるとき、何かが失われてしまうのではないか。」と若い<きみ>は疑問を投げかけます。その答えは日本語で書かれたこの作品を日本語話者としての私(読者)には、想像するだけ。しかし想像する。お守り、オマモリ、アミュレット、amuletはそれぞれ同じようなものを指すものの、完全一致はせずにその境界線はぼやけます。それはその言葉たちが来た道、紡ぎだされてきた来歴が違うから。

さて、逆の立場だったらどうだい?Amuletがお守りになるとき、、、。

「どうぞどうぞ、遠慮はいいから。ほら、外から覗き見するよりいっぺん中に入った方が面白いでしょ?」(p84)

まさにその通りだ。

昨日は鴨川沿いを歩きました。

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Book#37 「風の谷のナウシカ」宮崎駿 (徳間書店)1~7 再読何回目?

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映画も好きですけど、やっぱり原作ですよ、原作。

おはようございます。どちらかというと夜更かしの結果としてのおはようございます、です。本を読んだりしているうちに時間が過ぎてしまいました。

さて写真は先週東京での休日の際に、自宅で再読した「風の谷のナウシカ」。私、実はこのシリーズの大半を3回買っています。初期の頃に買ったモノは学生の頃だったかに廃棄され、2度目のモノも大学生の卒業の時に一度、手放しております。社会人になってから再度買いなおしををしたのかな。徳間書店のアニメージュに連載開始されたのが1982年2月号からで、私はまだ小学生でした。小学生の頃は自宅に漫画はなかったので、回し読みで読ませてもらったりしたのが最初の頃の想い出です。中学生の頃にはナウシカのキャラクター始めよく絵をかいていました。そういえば中学生の息子も沢山絵をかいています。なんだか似てるなぁ。

1巻から7巻までの出版時期は下記の通り。
1巻、1983年7月1日。
2巻、1983年8月25日。
3巻、1984年12月1日。(4巻出るまでの間に、映画で、84年「風の谷のナウシカ」、86年「天空の城ラピュタ」)
4巻、1987年3月1日。  
5巻、1991年6月30日。(6巻出るまでの間に、映画で、88年「となりのトトロ」、89年「魔女の宅急便」、92年「紅の豚」)
6巻、1993年12月20日。
7巻、1995年1月15日。  

Nausicaäの名前は、‏ギリシャ神話からです。HomerのOdyssey(ホメーロス「オデュッセイア」)で、トロイア戦争の帰途でスケリア島に漂着したところをNausicaäに救われるという話があります。NausicaäはOdysseusオデュッセウスを好きになるけど、OdysseusにはIthacaイタケーに残してきたPenelopeペーネロペーがありましてね、、、Odysseusを送り出すんですよねえ。ギリシャ神話って現代的価値観でいうとめちゃめちゃな話が盛りだくさんですので、あまりお勧めするようなものでもないのかもしれませんが、いろんな事物に引用されてたりするので、ついついつまみ読みをしていますね。HomerのOdysseyも家にありますが、つまみ読みで通読ちゃんとしたことないなぁ。そんな本もありますよね。

↓前回のbookシリーズ↓
Book#36 「魯肉飯のさえずり」温又柔 著(中公文庫)
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2859.html

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Book#36 「魯肉飯のさえずり」温又柔 著(中公文庫)

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こんばんは。体調の悪いのはピークを過ぎたように思います。日曜日は午前は終日苦しみつつ本を読んだり寝たりを繰り返し、午後は病院。月曜日も午前は自宅でいさせていただき、出る予定だった会議は音声だけで出席となりました。午後も体調が回復はせず、、、もう少しかかりそうですね。

さて、今回は温又柔さんの「魯肉飯のさえずり」。この夏に文庫本が出たので買ったもの。単行本は2020年に出ています。小説は主人公・桃嘉と母・雪穂とその家族の物語なのですが、時系列の中で第2章で1993年の母の物語が入ることで、世代を超えての家族愛の物語が立体的に立ち上がってくるようになっています。

書評で栩木伸明氏が「試されるのは小説ではなく、読者のほうだ。」と書かれていましたが、その通りだと思います。読者も同様にもつ「ふつう」という感覚が自縄自縛であり、そして無自覚に相手をも縛ってしまう。「ふつうである」ということの生きづらさから自分を見つけていく物語です。台湾と日本を舞台としていて、香り立つ魯肉飯(ロバプン)とそれを囲んでの会話が宝物ですね。何語という分類のこだわりを解き放って、流れるように読んでほしい作品です。

表紙の山本真澄さんの絵もいいよねえ。

↓この記事を書いたころに読んでました↓
大阪#118 難波で焼小籠包&魯肉飯 
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2842.html

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Book#35 「アンマーとぼくら」有川ひろ著 (講談社文庫)

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こんにちは。GORDIE'S でhamburgerってentryを書いたのでその繋がり?で。

母の予定に付き合うため沖縄に里帰りしたリョウ。沖縄でガイドの仕事をしている母との三日間の島内旅行をする。現在と過去を交差させ、母と子の物語が紡がれていく。母、父、そして自分。非常に直球な愛の物語です。

沖縄好きの方には、あぁーって思う場面描写というか、これでもかっ!ていうほどメジャーな場所をめぐっていきます。その中で北谷を訪れるシーンで描かれるhamburger屋、店の名前なんて出てないんだけど、これってGORDIE'Sだよねえ!って思いますね。「図書館戦争」や「植物図鑑」「阪急電車」などのヒット作を書く作家さんですから、読者がよくわかる場面描写が沢山されています。サービス、サービスぅ!

2016年7月に発表されたときは、まだ有川浩さんの名前で出されていましたけど、2019年に「有川ひろ」さんに記載を変えられたので、文庫本になった時は写真のごとくですね。この夏、「旅と本」の販促を、紀伊*屋書店でやっていたので、沖縄旅の前に気分を上げていこぅ!と思い読んだ一冊です。

アンマーって聞くと、かりゆし58だよなぁ。

Category : book 本
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Book#34 「孤独のグルメ2」久住昌之原作 谷口ジロー作画

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おはようございます。このentryがupされる頃には、朝一の新幹線に乗って京都に向かい逆行して滋賀県内をカーシェアで走っていることでしょう(予約投稿です)。

酒にまつわる本を2冊続けたので、今度は酒を飲まない本を。ドラマがかなり人気の「孤独のグルメ」の原作本の1冊です。先日素ラーメンのentryでも書いたんですけど、谷口ジロー(1947-2017)さん作画の漫画です。

鳥取#42 素ラーメン @鳥取市内
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2809.html

あのentryを書いてから、東京の自宅に週末戻り、再読。いやぁほんと美味しそうに食べるんだよねえ。主人公の井之頭五郎は酒は飲めない、いわゆる下戸って設定。いやぁ下戸の人が沢山食べるっていうのもいいよねえ。この漫画に出てくるお店に行ってみよって思ったりします。私も漫画やドラマのように「何食べよう」っていつも思っています。

そういえばドラマの方は、原作の久住昌之(1958-)が最後に出てきたりしますよねえ。原作者ではありますが漫画家でもあり、赤瀬川原平に師事し「ガロ」でデビューしてます。それだけで、ほほほって思っちゃいますよね。

あぁ今日のお昼は何食べよ?

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Book#33 「痛風の朝」キンマサタカと全日本痛風連盟編

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おはようございます。夕方に下らない「酔って記憶をなくします」という本についてupしましたけど、こういうた戯言の類が好きだったりします。今回の本もそんな感じ。本の雑誌社!の本で、「下戸の夜」に続くマイノリティ・アンソロジーシリーズ。痛友たち(痛風持ち)による世界初?の痛風エッセイ集です。本を開いたとたん、旨いものの写真がドーンと出ていて痛風持ちに「あぁぁ」という声を上げさせてしまう本です。

発作はラブストーリーよりも突然にやってきて、と緒言にキンマサタカ氏が書いている通り、突然やってきます。私も台湾出張でしこたま高粱酒&紹興酒を飲んだ後、酔っ払いながら誠品書店を物色した末にOmar Khayyámの漢語訳Rubáiyátを買って帰った翌朝、起きたら右足に激痛。え?何が起こった?まずは軽くパニック。前夜にどこか足をくじいたか?いろいろと考えたものの、まっすぐ書店に行ったし、まっすぐ帰ってきたし、、、昨日ではない。じゃあ前の週に息子のサッカー教室で一緒にサッカーをした時に足を痛めたか?などといろいろ考えをめぐらしました。しかし、この後台北から香港に飛んでそこから広州に向かうという出張to出張だったもので、深く考えをめぐらす時間もなく、空港へ向かいました。

ともかく痛みがひどいので空港で痛み止めを買ったもの、台北で買う薬はもちろん全部漢字で書かれていて、どれだけ飲んだらいいのやら。まぁあまり有効成分名はわかったのでそれと数字だけで投与量を予測して倍量投与してようやく痛みが和らいで搭乗したのですが、香港、広州と向かう間には、歩くのもままならないほどの痛みでした。

翌週に自分主催のコンペを予定していて、やっちまったなぁ。そしてあまりに痛くて、もう酒を飲んで忘れたい!ぐらいになっており、広州でもまたまた飲んで、、、。1週間の出張を終えて東京に戻り、外科に行って「骨折してますか?」なんて言ったら先生が、フっと苦笑して「痛風ですね。」と。

(*´Д`)はぁ?

「えええええ?痛ぅ風ぅ?ですか?」と間抜けな回答をした私を、憐みの眼で眺める先生。

「そう、痛風。台湾で何食べたの?」

「カニとエビ、、、」

「あぁ」

その後知ったのですが、紹興酒も痛風にはよくないんです、ものすごく。その後も痛風の発作に襲われ、日々そろそろでちゃうんじゃない?って思いながらギリギリのところ、痛みのビッグウェーブに乗る?「プロ痛(ツウ)ファー」になりつつあります。

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Book#32 「酔って記憶をなくします」石原たきび編

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こんにちは。今日もお昼からwineを飲みながら、youtube見たり本を読んだり、blogを見たりしています。この本は2010年に出版された文庫本なのですが、皆さん、SNSでmixiというのを覚えていらっしゃいますか?そのmixiのcommunityで「酔っぱらい」のエピソードを書き込むcommunityで書かれたものをまとめた本です。私もこの本を読んで久しぶりにmixiを開きましたよ、、、5年以上ぶりだと思いますが。mixiのこのcommunityも一応まだ存在しているみたいです。

なんで13年前に出された中途半端に古い「酔っぱらい」のやらかしたエピソードの本なんか読んでるのかというと、私、酔っ払ってbook*ffに行って100円本(正しくは税込110円本)で買ってしまったんですよねえ。はぁ。本好きの私は、酔っ払っていても本屋・古本屋が開いていたらついつい「酔って寄って」しまい、本を買ってしまうんですよね。やっちまった。記憶も足取りもしっかりしているのですけど、どうでもよさそうな本を買ってしまったりしがちです。

この本は、先日難波で酔っ払って100円台を物色していてパラパラっとめくったらその冒頭のエピソードがまるで私の上司の事だよ!っていうものでした。都内で飲んで埼玉に帰りたいのに、なぜか起きたら日本海。翌朝しれっと帰ってくるという強者酔っぱらいの話です。私の上司はよく、酔っ払って大宮で降りようとして遠くまで行っていました。ある時は糸魚川まで行って、朝一に会社に電話してきて「**(取引先)に直行って書いておいて」と外出簿にメモを書くよう言われて、午後しれっとやってきてどこまで行ったんですか?って聞いたら「日本海。」とのたまっておりました。

この元上司に先日この本を見せながら「Tさんみたいな人いるよ、これってTさんじゃない?」って言って「酒の肴」にして飲んでいましたとさ。酔っぱらいが買ってきた、酔っぱらいの本を酒の肴にして飲んで、酔っ払いましたよ、って話。ダメだこりゃ。

↓前回の本ネタ↓
Book#31 「屋根をかける人」 門井慶喜 著、再読
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2761.html

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Book#31 「屋根をかける人」 門井慶喜 著、再読

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おはようございます。昨日は終日会議でofficeにいました。昼食に外に出ただけなんですけど、とんでもなく暑かったですね。大阪・枚方で39.8度だったとか。暑いはずだわ。夕方に仕事を終えてから心斎橋まで行って本町まで買い物しながら歩いただけでも汗だくでした。

さて昨日のentryで呪術廻戦のアニメで明治学院のチャペルが出てきてますってことを書きました。この明治学院のチャペルなど多くの建築を残したWilliam Merrell Vories(1880-1964)を主人公にして書かれた小説が「屋根をかける人」です。Kansas州生まれの米国人であった彼が、どのようにして建築設計の仕事に就くようになったのか、そして日本人となっていったのかということが描かれています。彼は近江兄弟社を設立した人です。建築と薬とまったく異なる世界なんですけどね、、、凡人にはそのように見えてしまいます。

↓明治学院礼拝堂(白金チャペル)↓
https://meijigakuin.jp/about/landmark/

他にもたくさんの有名な建築を手掛けていますので、Vories建築、現存で検索してみてください。

門井慶喜さんの本は初めてでしたね。次読むのは多分「銀河鉄道の父」(第158回直木三十五賞受賞作)だろうなぁ。別にミーハーなわけではないのですが。

↓前回のBookのentry↓
Book#30  出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本を進めまくった1年間のこと 花田奈々子 著
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2747.html

Category : book 本
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Book#30  出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本を進めまくった1年間のこと 花田奈々子 著

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こんばんは。この本は前からタイトルで気になっていた本です。古本屋回遊をしていて見つけたので購入。作品のスタートが2013年ですから10年前のお話。作者が宇宙船のようだという深夜のファミレスから物語は始まり、そしてまた新しい宇宙に出ていくためファミレスで物語は(いったん)閉じられます。出会い系で人に出会ってということ自体、経験したことのない私のとっては、もう知らない世界ど真ん中。しかし会話している人たちは世の中に普通にいる人たち(知らないだけで)だし、実に自由に、そして制限をかけながら不自由に人と人が繋がったり離れたりしていく姿が、居心地がよくてよい作品だと思います。

ヴィレッジヴァンガードに勤めていたという作者の感じたことが、なんだか客として私が感じていたこととストンと一致していてあぁ!そうなんだよねぇって妙に納得してしまったり。この本の中(あとがきとかも含めて)で紹介された本で読みたくなった本。

アルテイシア「もろだしガールズトーク アラサー流 愛とエロスと女磨き」
(絶対おっさんが読む本じゃないよな。)

渋谷直角「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」
(渋谷さんの作品は読んでるからね。)

益田ミリ「今日の人生」
(ミシマ社の本は信用してます。)

上野顕太郎「さよならもいわずに」
(とことん悲しみたいわけじゃないけどね。)


前回のbook entry↓
Book#29「木になった亜沙」今村夏子さん著を読んだ
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2699.html

Category : book 本
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Book#29「木になった亜沙」今村夏子さん著を読んだ

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おはようございます。私も一昨日(5/2)の夜に東京に戻りGWが始まりました。まぁ特に「温泉に入る」以外に目的もなく長野に向かうという緩い日程で参っておりまして、昨日も早速温泉に入ってきました。

写真は4月末、土曜日に単身宅に籠っていた時に読んだ本のうちの1冊。これには人以外のものに変身する3つの変身譚が収められています。表題作は、主人公が杉の木に転生するという物語です。無垢な異端者の物語が苦界ともいえる現代の中に奇妙にするりと入り込んできます。私にとっては表題作と「的になった七未」は衝撃的であり、読みながら涙していました。奇妙であるけれども、こんな物語を書く、今村夏子さんという作家が好きになりました。

1980年生まれですから私よりもお若い世代です。広島県生まれで、2010年「あたらしい娘」(改題「こちらあみ子」)で第26回太宰治賞を受賞してデビュー。今日は2017年に河合隼雄物語賞を獲った「あひる」を手に取っています。

前回のbook entry↓
Book#28 マイコフィリア キノコ愛好症 by Eugenia Bone

Category : book 本
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Book#28 マイコフィリア キノコ愛好症 by Eugenia Bone

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こんばんは。今日は朝少しお出かけしただけで一日自宅でvideo見たり本を読んだりしていました。今、再読しているのは Eugenia Boneのマイコフィリア=Mycophiliaです。Eugenia Boneは science writerで以前はNY菌学会代表もしていた方です。2011年に原著が出版され、日本語訳がっ出たのは2016年です。キノコの魅力(食べる視点から)をたっぷりと書いてある本なので、食い気に弱い私にはピッタリの本です。

さて、一昨日2/3のnewsでAustralia becomes first country to recognise psychedelics as medicines(Australiaが幻覚剤を医薬品として正式に認める世界初の国となる)というのが出ていました。MDMAとpsilocybinが医薬品として正式に認められるというものです。

MDMAは別名ecstasyの名前で知られている幻覚剤(というか合成*薬ですね)ですけど、初めて合成された歴史は古く1912年です。1970年代にpsychotherapyに用いられ、その後1980年代にsteet dru*として広く知られた薬物です。

一方、psilocybin(サイロシビン)はmagic mashroomと呼ばれる幻覚を引き起こす毒キノコ類(200種類ぐらいある)に含まれる成分です。magic mashroomが幻覚性があることは、古くから(先史時代だと推定される)知られており活用されていました。化学的にはSwissのAlbert Hofmannによって1959年にPsilocybe mexicanaからpsilocybinが単離されました。

正式に認めるのが世界初というところがポイントなのですが、MDMAは米国でも臨床試験が進んでいて2017年には画期的治療法に指定され、FDAの承認審査を進めていくという段階でしたし、psilocybinも治療薬として有望視されてきました。こちらも米国で2018年にFDAによって治験承認し臨床が実施、画期的治療薬に指定され、承認審査を進めていく段階ですので、この潮流はこれから進んでいくでしょうね。

前回のbookのentryはこれでしたね、別に本は絶え間なく読んでいますけどね↓
Book#27 詩集 だれも知らない葉の下のこと 松山真子 著、こがしわかおり 画
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2080.html

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Book#27 詩集 だれも知らない葉の下のこと 松山真子 著、こがしわかおり 画

20210228 (797)
先週、図書館にて。詩人は日常の中にある物や虫などの気持ちで言葉を紡ぎ出す。「ほしがき」や「こいも」の気持ちになったらそうなんだ。ふふっと笑顔になってしまう。

詩集だからなかなか広く読まれることはないかもしれない。でもこうやって出会えたのは、素敵な出会い。画も素敵。

著者は信州中野市で育ったと奥付にある。信州中野かぁ。昨年はCOVID-19の影響でいけなかったな。毎年行ってるから。夏に出かけられたらいいな。


いつもこのお店に立ち寄る↓
長野#11 信州中野 あじへい食堂
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-984.html

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Book#26 極夜行前 角幡唯介 著

20210228 (786)
こんばんは。週末は梅を見る散策を続けていました。今日で2月も終わり。明日から3月です。

さて今日はブロ友のel_desviosさんがお正月に読まれてblogにあげられていた本を、図書館で借りて読みました。

el_desviosさんの今日の本 1639↓
https://eldesvios.blog.fc2.com/blog-entry-2345.html

2018年の「極夜行」の本番前の3年間の準備の旅について書かれたこの本。GPSや衛星電話に頼らずに極地を行くなんて、ぞっとする。六分儀を使って天測して位置を特定していくなんて、、、。六分儀で天測して位置を特定する練習をするくだりが初めの方に出てきますが、普通じゃないよ。「位置を知りたい」という欲求がこんなに切実なものとなるのは普通に生きているとそうであることではない。しかしいざ今持つ携帯電話が使えなくなったらどうでしょうか?皆、大いに迷いもがくことでしょう。

犬を連れて旅の試行を繰り返します。計画実行へ向けて食料や燃料をデポジットしていく、そんな中で犬との関係性は日本では見かけることのない厳しいものとなります。私なら絶対やらないことをこの人はやっています。読んでいて嫌悪感さえ覚える箇所も出てきます。このむき出しのエゴともいえる欲求って何なのだろうか、そういった根源的な問いを投げかけてきます。こういう思いを抱くことが、それもまた他面からみたらエゴだったりするわけです。

今回はですね、youtubeで北極圏のsnowstormの音をずっとbackgroundで流しながらこの本を読みました。


前回の本は暑いところだったな↓
Book#25 南西諸島資料集 第一巻 松下志朗編
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2067.html

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Book#25 南西諸島資料集 第一巻 松下志朗編

20210221 osakaumeume (152)
こんにちは。11月末に行った鹿児島旅の朝散歩で田代安定生誕地に出会いましたが、この田代安定の著書というのがなかなか残っていなくて古書で1945年刊の「沖縄結縄考」を購入するかなぁと思ったりもしたのですが、単身赴任の身で保管場所には余裕があるとはいえ、どんどんそういった本が増えるのはまずいので図書館で検索。なんとか彼の著書の一部を掲載した本が見つかり、読むことができました。

写真の本に収載された著作は、会報に載せられた資料のような作品でしたので、なんと手書き。久しぶりにきれいに書かれた文字を読ませていただきました。

鹿児島#11 朝散歩、田代安定生誕地に出会う@鹿児島市内
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2037.html

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Book#24 「日本のいちばん長い日」 半藤一利著

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おはようございます。昨日も仕事で少し遅くなってしまいblogにまでたどり着かずに寝てしまいました。昨日朝のnewsで半藤一利氏の訃報が出ていました。昭和史のノンフィクションを多く残されていますが、「日本のいちばん長い日-運命の八月十五日」が最も有名な本ではないでしょうか。この作品は、終戦の玉音放送までの一日を描いています。私は映画で見てからこの本を読む機会を得ました。

この長い一日があって今の日本があるということを思いながら、今一度、この作品を再読したいと思います。
ご冥福をお祈りいたします。

前回のbook のentry↓
Book#23 こどもたちのオキナワ 1955-1965 山田實写真集
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-2014.html

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Book#23 こどもたちのオキナワ 1955-1965 山田實写真集

20201120 (207)
こんばんは。単身赴任宅の自室でblogを書いていますが、角部屋でもないで回りは空気の層で守られているはずなので冷えにくい構造だとおもうのですが、それでも空調をつけていないと寒くなってきました。

今夜のblogネタは写真集です。沖縄一人旅で「おきみゅー」に行ったって書きましたが、その時にMuserum shopで買いました。山田實氏の写真には子どもたちへの優しい眼差しがあり、子供たちがどう感じるかなと思い、沖縄のお土産でこの本を買って帰りました。

息子と娘がどのように感じ取ったかは、わかりません。大人になった時に、もしかしたら自分たちに小さな子供ができた時かもしれませんが、ふと思い出してくれるような気がしています。

前回のbookネタはこれでした↓
Book#22 Long Litt Woon「きのこのなぐさめ」
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-1954.html

Category : book 本
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Book#22 Long Litt Woon「きのこのなぐさめ」

20200908 (511)
こんばんは。2週連続で東京出張もありましたので、この秋の4連休は東京の自宅で過ごしております。

さて「きくらげ」の話を書いたのできのこ繋がりということで、この本。Malaysia出身の社会人類学者Long Litt Woonロン・リット・ウーンによるきのこ本です。まぁ、きのこ本と言っても、その本のタイトルから予測される「喪失と再生」と「きのこ」の物語です。国際結婚した夫との突然の死別と「きのこ」とそれを取り巻く人々との出会いの物語です。

食べられるのか、毒があるのか。香りはどうなのか。分類と採取、料理。120種にもわたるきのこの話が語られています。きのこ好きならどこかで聞いた話、どこかで読んだ話との交錯がある種の眩暈さえ覚えさせてくれます。これこそ、きのこの魅力なんだろうな。

Category : book 本
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Book#21 ブックカバーチャレンジ? Day3 三冊目「市民の反抗 他五篇」 H.D.ソロー著 飯田 実 訳

20200514 (773)

Book#20  ブックカバーチャレンジ? Day2 二冊目「武士道」新渡戸稲造 著  矢内原忠雄 訳
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-1888.html
に続いてのDay3。

こんにちは。今日はこのblogネタがupされているときは外をうろうろしています。先日東京に帰った時、息子が芥川龍之介の「羅生門」を読んで、次に夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んでいるといっていました。小学生高学年、私も有島武郎や芥川龍之介を読み始めたのはそれぐらいの年頃だったかな。息子の成長が楽しい。しかし読んでいるのはスマホ。青空文庫で読んでいて縦表示にしているので、それなりに読みやすい(私も使っているので)。ルビがふってあって丁度いいのでしょうが、実際の紙の本で指ざわり、触り心地とともに読んでもらいたいな、と思った次第。子どもの頃、ちょっと背伸びして難しい本を読んでルビがふっていなくてなんて読むんだろうと想像して、辞書をひくということなどをすることで学んでいったので、少し不便なことの方がいい時もあるんではないかとも思いますね。

**************

さて、Day3はですね、「市民の反抗 他五篇」 H.D.ソロー著 飯田 実 訳 です。
Henry David Thoreau(1817-1862)の本は、1970年代~90年代に環境問題に興味のあった人なら、一度は手にしたことがあるんじゃないですかね。私も御多分に漏れず高校生の頃に、"Walden; or, Life in the Woods"に出会いました。たぶん、有吉佐和子「複合汚染」や石牟礼道子「苦海浄土」、Rachel Louise Carson"Silent Spring”という流れで読み進んでいく中で、Thoreauに出会ったのだと思います。いやぁもっと早く出会っててもおかしくない作家ではありますが、、、natureというものを強く意識し始めたのが高校2年生の頃じゃないかな、と思っています。

複合汚染は、夏休みの指定図書の一つだったような記憶があります。確か他は「福翁自伝」だったような。福翁自伝も読んだな。適当に環境がらみの本を読んでいたような気がします。丁度、そのころ好きな女の子が、これまた同じようなことに興味を持っていた、という「副次的な」理由もあったような気もします。いや、絶対そっちが先か。バイアスがかかるのが人間の脳ですから、、、うふふ。

さて、2日目は「太平洋の架け橋とならん」とした新渡戸稲造ですが、今日の本は新渡戸稲造がごとく太平洋を渡ってアメリカを舞台とした本です。ThoreauのWalden湖畔での2年2か月にわたる自給自足生活の記録がWaldenで、内容は自然だけでなくていろんな思索にわたっていますので興味がありましたら、岩波文庫版ででもお楽しみください。まぁこのWaldenがあってアメリカにおける自然保護の先駆者の一人として認識されていて、nature writingの作家と位置づけられていますが、決してnature writingにとどまっておらず、どちらかというと思索者という位置づけですね。

で、昨日の「武士道」から繋がるkeywordはカーライルとしていましたが、これは大英帝国の歴史家・批評家であるThomas Carlyle(1795-1881)の事。「武士道」の訳者序にて矢内原忠雄が「原著の英文はカーライルの影響が著しく認めらるる文体であって、、、」とある通り、新渡戸稲造はCarlyleの影響を受けています。札幌での同期・内村鑑三だって同じく影響を受けているし多くの人に影響を与えた人です。勿論現代人にだって影響を与えています。

で、H.D. ThoreauとCarlyleを繋ぐものが何かというと、H.D.ThoreauはCarlyleと同時代人なんですが、彼が唯一文学批評をしたのがこの本にも収録されている"Thomas Carlyle and His Works"(1846)。これ、さっき書いたWaldenで気の向くままに引き籠っていた(前向きな籠りですな)時に書いています。繋がったね!ブックカバーなんちゃらに従って、本の内容については書きません(ネタバレ防止やね)。

ブックカバーとなった「市民の反抗」というtitleは、、、どうも今の時代にも生きる内容ですな。思索者の本なのでね、思索があっちに行ったり、こっちに行ったりとするんですけど、アメリカの「wildだぜい(えー?それ?)」、を理解するためには、H.D.Thoreauは齧っておいていい本だと思います。

さて、Day4への予告。Keywordは「歩く」。あ、となりのトトロは出てきません。

Category : book 本
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Book#20  ブックカバーチャレンジ? Day2 二冊目「武士道」新渡戸稲造 著  矢内原忠雄 訳

20200514 (771)

こんばんは、いえ、おはようございますの時間になって今いました。ちょっと寝落ちしてしまいました。FBで書いたときと同じ状況に驚くぐらいです。おはようございます。

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Day2 二冊目「武士道」新渡戸稲造 著  矢内原忠雄 訳

一冊目「静かな大地」池澤夏樹は、北海道を舞台とした小説でしたので予告としてkeywordを「北海道」としていました。

Book ブックカバーチャレンジ? Day1 一冊目「静かな大地」池澤夏樹 著
http://euyudo.blog29.fc2.com/blog-entry-1880.html

北海道で武士道?まぁ簡単なんですが、答えは著者である新渡戸稲造。盛岡出身ではありますが、あの札幌農学校出身です。そうあの羊が丘で「どーん」って言っているVladimir Leninレーニン像、じゃなくてWilliam Smith Clarkクラーク像で有名な札幌農学校です。W.S.ClarkはMassachusetts農科大学で学長をやっていた間に、1年間の休暇を利用して、札幌農学校にかかわった人物で、札幌滞在はなんとたったの9か月です。知ってました?あ、知ってましたが。因みに日本政府への紹介者は新島襄です。

因みに私の大好きな作家A.C.クラークの綴りはArthur Charles Clarkeで最後に"e"が付きます。なんの話や。

さて、9か月滞在したClark博士と交わりを持ったのは一期生のわずかなメンバーですから、二期生である新渡戸稲造は直接は教えを直接受けていません。ですが、Clarkの“Boys, be ambitious! Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame. Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”をそのままに、彼は「我、太平洋の架け橋とならん。」としたんだからすごい人ですな。

その新渡戸稲造の書いた本「武士道」。たった150頁の薄い本ですけどね、読み継がれていて、しっかりと「古典」ですね。
同じぐらい薄くて読んでいて眩暈がするほどの重量感のある本といえば「茶の本」。明治の同時期にこんな本が出ているのいうのは衝撃的ですし、明治の空気感を感じるにはおすすめの本たちです。

中身は書かないのがこのチャレンジだそうなのでこの辺で。

さて次回予告。keywordはカーライル。

Category : book 本
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Book ブックカバーチャレンジ? Day1 一冊目「静かな大地」池澤夏樹 著

20200514 (769)
おはようございます。今日は金曜日ですね。今日はちょっと盛沢山な日なので朝は早めの行動です。さて、今朝のネタはFaceboo*(FB)でバトンとして渡された、コロナ巣ごもり中の遊びのようなものです。折角なのでblogにもupしておこうと思いまして、少し変えてupします。

FBにはですね、blogの更新記録か、飲んだくれた姿しかupしていないような感じなのですが、ちょっと大学の後輩にできますか?とふられましたので、ブックカバーチャレンジやっておきます。ようは自分の好みの本を一週間分7冊紹介、ってだけの話です。それなので「えーよ」と軽ーくうけあいしたんですけどね、そういえば私、今、単身赴任先でコロナ足止め食らっていて、本当に好きな本たちは東京の自宅にある、ということに請け合ってから気が付きました。

まぁ、偶々ほんの一部持ってきていた本と、大阪で買った本たちの中からチョイスします。

**************
Day1 一冊目「静かな大地」池澤夏樹 著

いやー、90年代に大学生をやった人なら池澤夏樹やったら「スティル・ライフ」やろー!とか、「母なる自然のおっぱい」でしょ?という方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は池澤夏樹さんの生まれ故郷である北海道から始めよっかな、と思いましてね。お父さんは福永武彦、お母さんは原條あき子、という文学一家です。福永武彦の「草の花」は東京の家にあるから、東京に帰れるようになったら、持ってこよっと。

さてこの「静かな大地」、650頁もあるんで、京極夏彦か!って思うほどの分厚さですけど、物語に引き込まれてどんどん読み進んでしまいます。やっぱりアイヌの文化に魅せられちゃうのかな。この本は、創作の物語なのですが、主役である宗形家にはモデルがあって、池澤夏樹さんのお母様(原條あき子)の家系の先祖がモデルです。先祖の事績と創作が混在した物語であり、江戸末期から明治を中心に昭和までの物語となっています。入植者とアイヌの物語は複層的で、静かにそして激しい感情の流れとなってほとばしり出た物語です。何度も読んでみようと思う一冊です。

Da2への予告、Keywordは「北海道」。

Category : book 本
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