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Albums of the Month

Albums of the Month (2021年5月)

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先月の記事で「5月は15枚くらい新譜が届く」と書いたけど、コロナの影響で輸入盤の仕入れもうまくいってないのかIceageやThe Armedなど一部は5月中に届かず。発売の1ヶ月前から予約注文しているのに在庫切れと言われてもなあ…。

そんな中でも今月は新譜を10枚聴くことができたし、先日読んだ"ヴィジュアル系の教科書"こと『すべての道はV系に通ず。』に触発されて購入したV系バンドの旧譜など、わりと充実していたと思う。というわけで今月の初聴き音源まとめ。






諭吉佳作/men / からだポータブル (2021)
★★★★★
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諭吉佳作/men / 放るアソート (2021)
★★★★★
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携帯で母親の名前「諭佳」を入力する際にまず「諭吉佳作」と打っていたとか、メンズラインのファッションブランドみたいなノリで末尾に「men」を付けたとか。そんな風変わりな由来のステージネームを持つシンガーソングライター/トラックメイカーによる初CD×2。パッケージのデザインも凝っている(ヘッダ画像参照)。

彼女のインディビジュアリティを押し出した『からだポータブル』(全8曲)と、長谷川白紙や崎山蒼志らとのコラボ曲を集めた『放るアソート』(全6曲)のEP2作同時リリースで、『からだポータブル』の方は過去にSoundcloudやYouTube上で聴けた音源はほぼ収録されていない点から、「これまでの総決算」的な作品ではないことが伺える。しかし聴いてみればそれも納得。一体どんな音楽を聴いてきたらこんな曲が作れるようになるのか不思議でしょうがないが、過去曲に頼らずともどんどん自由奔放なアイデアで進化し続けているということだろう。しかもまだ18歳。フリーキーなのにポップという点で、個人的には中村佳穂に続く才女として今後も注目したい。

諭吉佳作/men - "この星にされる"




Aimer / Walpurgis (2021)
★★★★☆
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全14曲中11曲がタイアップ付きという6作目。前作『Penny Pain』は素晴らしい作品だったし、なにより声が大好きなシンガーだ。コンセプト的にメランコリックな曲が多かった『Penny Rain』だが、本作はメランコリックさや重厚さはそのままに、開放感のあるポップさも加わった内容。Vaundyをフィーチャーしたエレクトロ・ソウル「地球儀」も新鮮だった。

ところで「春は行く」「wonderland」の2曲を楽曲提供したのは、LiSA「炎」の作詞・作曲者としても知られる梶浦由記である。最初に「wonderland」を聴いたときに雰囲気が前作収録の「I beg you」っぽいなと思ったけど、調べたらこれもやっぱり梶浦さんだった。「春は行く」「wonderland」「I beg you」「炎」はいずれも和っぽいというかオリエンタルな音色や独特のコード感がありつつ、ギターのディストーションやストリングスが非常に重厚で、そんなところが梶浦さんの特徴なのかも。

梶浦由記といえば最近こんなエピソードも。先日奥さんが口ずさんでいたとある曲に聞き覚えがあり「懐かしい、それ誰の曲?」と尋ねたところ、See-Sawの「キライになりたい」という1993年の曲だったんだけど、その少し前に梶浦さんがSee-Sawの人だったのを知ったばかりで。See-Sawといえば2002年の「あんなに一緒だったのに」(『機動戦士ガンダムSEED』ED曲)が有名で、この曲もやはり前奏などにオリエンタルなムードがあり、重厚なディストーション・ギターやストリングスが印象的だけど、これまで点でしかなかった梶浦さん情報がほぼ同時期に一気に線で繋がり、しかもそれらの楽曲が90年代・00年代・20年代と時代を跨いでいるのがなんか面白かった。

Aimer - "wonderland"




以上が邦楽の新譜。洋楽はこんな感じ。

Cloud Nothings / The Shadow I Remember (2021)
★★★☆☆
Cloud Nothings The Shadow I Remember

彼らは突然エレクトロ・ポップ化したりラップを取り入れたりするようなバンドではないけど、これまでのアルバムでは潔いまでの全力疾走パンクだったり、ピアノを導入した哀愁ナンバーから始まったりと少しずつ様相の異なる作品をリリースしてきた。しかしさすがに今回は息切れを感じるかも。本作は『Attack on Memory』(2012年)以来となるスティーヴ・アルビニのプロデュースで原点回帰的な面も持ちつつ、女性コーラスの導入という新機軸(OhmmeのMacie Stewartが参加した「Nothing Without You」)も一応はあるが、それ以外は基本的に焼き直しだしメロディも過去作ほどグッと来るものがなかったのが残念。

Cloud Nothings - "Nothing Without You"




Lost Horizons / In Quiet Moments (2021)
★★★★★
Lost Horizons In Quiet Moments

元Cocteau TwinsでBella Union創設者のSimon Raymondeと、元Dif Juz・元The Jesus and Mary ChainのRichard Thomasによるユニットということで、とてーもBella Unionっぽいサウンド。どこがと言われると難しいけど、幽玄というか…(語彙力不足)。

M6「Every Beat That Passed」なんかはオイオイ、まんまCocteau Twinsじゃねーの。これヴォーカルElizabeth Fraserじゃないのかよ…。John GrantやMarissa Nadlerなど多数のヴォーカリスト(レーベルメイト)がゲスト参加しているけど、しっかりと統一感があるのはBella Unionがこれまで一貫したコンセプトでアーティストと契約し育ててきたからなのだろう。

Lost Horizons feat. Kavi Kwai - "Every Beat That Passed"




Danny L Harle / Harlecore (2021)
★★★★★
Danny L Harle Harlecore

90年代初頭にハードコア・レイヴやロッテルダム・テクノを聴き漁っていた兄の部屋から爆音で流れていたのは、まさにこんな音楽だった。100 gecsを聴いたときにも感じたが、自分のルーツでもあるユーロビート/ユーロダンス/レイヴ・ミュージックを取り入れたハイエナジー(Hi-NRG)なサウンドは、新しさと懐かしさが同時に感じられて刺激的であり、無条件にテンションがアガル。

Danny L Harle - "Piano Song"




Genghis Tron / Dream Weapon (2021)
★★★★★
Genghis Tron Dream Weapon

エクスペリメンタル・ハードコア・バンドによる、10年以上の活動休止を経ての復活作となる3作目。「MogwaiミーツDeafheaven」と形容すべき実験性と攻撃性に満ち溢れた表題曲「Dream Weapon」、Depeche Mode味のあるニューウェイヴィーなシンセの応酬がかっこいい10分超えの「Ritual Circle」にゾクゾクさせられる。

Genghis Tron - "Dream Weapon"




The Fratellis / Half Drunk Under A Full Moon (2021)
★★★★★
The Fratellis Half Drunk Under A Full Moon

ガレージ・ロック・リバイバル冷めやらぬ2006年にリリースされたデビュー・アルバム『Costello Music』以降、活動休止はありつつも比較的コンスタントに活動を続けてきたバンドの6作目。個人的には彼らのアルバムを聴くのは『Costello Music』以来15年ぶり。

久しぶりに彼らの新作を聴いてみようと思ったのは、単純に先行曲が"イイ曲"だったから。デビュー時のような勢いのあるロックンロールは鳴りを潜めたものの、Roy OrbisonやNeil Sedaka、そしてモータウンを想起させる60's風サウンドと、The MillenniumやSagittariusのようなドリーミーなソフト・ロック・サウンドが魅力的。そういう点ではJon Fratelliが以前やっていたユニット、Codeine Velvet Clubにも少し近いか。

The Fratellis - "Need A Little Love"




Årabrot / Norwegian Gothic (2021)
★★★★☆
Arabrot Norwegian Gothic

ブリブリゴリゴリした音が異常にかっこいいノルウェーの暗黒ノイズ・ロック。前半はヘヴィな曲中心だが後半は不穏なインスト、長尺のドロドロなホラー・サイケなどエクスペリメンタル度を増していく構成も良い。

Årabrot - "Feel It On"




London Grammar / Californian Soil (2021)
★★★★★
London Grammar Californian Soil

前作『Truth Is a Beautiful Thing』収録のシングル「Rooting For You」は当ブログの選ぶ2010年代ベスト・ソングで2位に選出。今作にも当然期待が大きかったが、いい意味で裏切ってくれた。前作よりもアップリフティングでダンサブルになりつつ、ヴォーカル・Hannahの魅力が前面に押し出されている。

過去記事:【10周年特別企画】2010年代ベスト・ソング

London Grammar - "How Does It Feel"







以下は旧譜。『すべての道はV系に通ず。』に触発されて聴いたV系作品はこんな感じ。

過去記事:「ヴィジュアル系」と私


PIERROT / FINALE (1999)
★★★★★
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BODY / FLAME (1994)
★★★☆☆
BODY FLAME

ROUAGE / CHILDREN (1997)
★★★☆☆
ROUAGE CHILDREN

MALICE MIZER / Voyage ~sans retour~ (1996)
★★★★☆
MALICE MIZER Voyage sans retour

La'cryma Christi / Greatest-Hits (2004)
★★★★☆
Lacryma Christi Greatest-Hits

PIERROTは初めてちゃんと聴いたんだけどめちゃくちゃ良かった。割とオルタナ寄りの音で、特に「FINALE 」と「MAD SKY -鋼鉄の救世主-」がお気に入り。このメジャー1stと合わせて3部作らしいので2nd、3rdも是非聴いてみたい。短命に終わったBODYが残した唯一のオリジナル・アルバムは『すべての道はV系に通ず。』に書かれていた通りの問題作。ミックスバランスがおかしすぎるよね…。ROUAGEはBUCK-TICKに憧れたもののB-Tほどのポップセンスは持ち合わせていなかったのか、ちょっと中途半端な出来に感じた。ただ、アルバムごとに徐々に作風が変わっていくらしいので、これ以降の『SOUP』や『Lab』なども聴いてみたい。MALICE MIZERは『merveilles』がとても気に入ったので、同じくGackt在籍期である本作を購入。ゴシックで耽美な世界観はすでに完成されているけど、ポップさは名盤『merveilles』に一歩及ばずで、まだ進化の途中という感じ。La'cryma Christiは、本の中でプログレ的と書いてあり俄然気になったので。リアタイではシングル数曲しか聴いたことがなかったのけど、複雑なアレンジと確かな演奏技術を持つ、個々のプレイヤビリティの高いバンドだと思う。本当はオリジナル・アルバムの 『Sculpture of Time』と『Lhasa』が聴きたかったんだけど、なかったのでベスト盤にした。



ちなみにV系以外も聴いてます。


BABYMETAL / BABYMETAL (2014)
★★★★☆
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アルバムがまだ本作しかリリースされていなかった頃はMTVやスペシャなどでライブ映像を観て、ユニークな存在として興味はあったけど、YUIMETALとMOAMETALによる合いの手パートに苦手意識があり、音源入手までは至らなかった。2nd『METAL RESISTANCE』でハマり、3rd『METAL GALAXY』は年間ベスト・アルバムの1位に選出し、先日日本武道館で行われたライブに参加するまで至って、やはり本作を避けて通るわけにはいかないだろうとついに音源入手。

武道館公演のセトリは全13曲中6曲がこのデビュー・アルバムからの選曲で、その中でも「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は最も印象に残っているが、あらためて音源として聴くと日本の典型的なガールズ・アイドル・グループのマナーに則ったこの曲はポップ・ソングとして非常に完成度が高い。ほか、アレンジの各所にX JAPAN「DAHLIA」のオマージュが感じられる「紅月 -アカツキ-」などもかっこいいと思う。そして不思議と、合いの手パートも今となってはあまり気にならなかった。

BABYMETAL - "ド・キ・ド・キ☆モーニング"

▲まだBABYMETALという名前が付けられる前の2010年、さくら学院の派生ユニットと「重音部」だった頃の楽曲(2011年にBABYMETALとしてリリース)。いかにも女性アイドルらしいところはあるが、この時からすでに強烈な個性を確立しているし、SU-METALのヴォーカリストとしての才能も存分に発揮されている

BABYMETAL - "Distortion (LIVE AT DOWNLOAD FESTIVAL 2018)"

▲7年後にこうなるのだからすごいよね…めちゃくちゃかっこいい…



Evanescence / Fallen (2003)
★★★☆☆
Evanescence Fallen

先月Bring Me the Horizonの『Post Human: Survival Horror』を購入したけど、その収録曲「One Day the Only Butterflies Left Will Be in Your Chest as You March Towards Your Death」(タイトル長ェ!)でフィーチャーされていたのがEvanescenceのAmy Lee。というわけで、奥さんが持っていたので聴いてみた。

Evanescence - "Bring Me To Life"




ゴリゴリしたのばかりじゃなく、柔らかで美しい癒しの音楽も聴いてます。



手嶌葵 / Aoi Works ~best collection 2011-2016~ (2016)
★★★★★
Aoi Works best collection

「明日への手紙」はUruの「フリージア」と混ざりがち。LUCAとか坂本美雨みたいな、儚さのあるハイトーンなクリア・ヴォイス好きだなあ。一部の曲がCMサイズということで短かったのだけ残念。

手嶌葵 - "明日への手紙"




三浦透子 / かくしてわたしは、 透明からはじめることにした (2017)
★★★☆☆
三浦透子 かくしてわたしは

今年1月に買った『ASTERISK』(2020年作)がとても良かった三浦透子のデビュー音源で、90年代J-POP名曲のカバー集。選曲に本人はあまり関与していないようだけど、スピッツやユーミン、槇原敬之らの有名曲が並ぶ中でglobeの「Precious Memories」がチョイスされているのは渋い。

ただ、歌に関してはちょっとカラオケっぽいかな。本業は女優さんだし歌手デビュー作なのでしょうがないけど。でもそれに比べて『ASTERISK』におけるシンガーとしての表現力の成長ぶりには目を見張るものがある。




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