年間/半期ベスト[2020年] |
2020年の年間ベスト・アルバムを50作品選びました。
【選出対象】
・2020年1月1日から12月31日までにリリースされている
・アルバム、ミニアルバム、EP、ミックステープ、コンピレーションである(シングルは対象外)
・購入(フィジカル/デジタル問わず)あるいはレンタルした作品
・フリーで配布された作品は対象
・Spotify、YouTubeなどストリーミングのみの視聴は対象外
2015年以降やっている「for fans of」を今回も記載。似てる、とかこれもオススメ、とかではなく「共通の魅力を感じたアーティスト」的なニュアンスで捉えてもらえればと思います。
試聴リンクは付けていません。良かった曲については「2020年 年間ベスト・ソングTOP40」で紹介しています。
各作品についてレビューはありませんが末尾に総括コメントがあります。
まずは選外となった15枚から。順不同。
The 1975 / Notes On A Conditional Form
Algiers / There Is No Year
Anna Burch / If You're Dreaming
Arca / KiCk I
Caroline Rose / Superstar
FLOWER FLOWER / ターゲット
Jade Hairpins / Harmony Avenue
King Krule / Man Alive!
Lilly Hiatt / Walking Proof
Oneohtrix Point Never / Magic Oneohtrix Point Never
Poppy / I Disagree
Yaeji / What We Drew
さとうもか / GLINTS
神聖かまってちゃん / 児童カルテ
高井息吹 / kaleidoscope
続いてTOP50。
No.50 Purity Ring / WOMB
for fans of : IC3PEAK / yeule
No.49 Georgia / Seeking Thrills
for fans of : Nilüfer Yanya / M.I.A.
No.48 藤井風 / HELP EVER HURT NEVER
/HELP EVER HURT COVER
for fans of : Jamie Cullum / SIRUP
No.47 THE PINBALLS / millions of oblivion
for fans of : THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / Arctic Monkeys
No.46 THICK / 5 Years Behind
for fans of : Cloud Nothings / Bully
No.45 Bombay Bicycle Club / Everything Else Has Gone Wrong
for fans of : Arcade Fire / Death Cab for Cutie
No.44 Sorry / 925
for fans of : The Kills / Deap Vally
No.43 Lido Pimienta / Miss Colombia
for fans of : Björk / Kali Uchis
No.42 Frances Quinlan / Likewise
for fans of : Emmy the Great / Hop Along
No. 41 Baauer / Planet's Mad
for fans of : Rustie / Jack Ü
No.40 Perfume Genius / Set My Heart On Fire Immediately
for fans of : Sufjan Stevens / Jónsi
No.39 Miley Cyrus / Plastic Hearts
for fans of : Katy Perry / Lady Gaga
No.38 IDLES / Ultra Mono
for fans of : Girl Band / Protomartyr
No.37 Lianne La Havas / Lianne La Havas
for fans of : Erykah Badu / Alicia Keys
No.36 Ela Minus / acts of rebellion
for fans of : Kelly Lee Owens / Jessy Lanza
No.35 Soccer Mommy / Color Theory
for fans of : Clairo / Beabadoobee
No.34 銀杏BOYZ / ねえみんな大好きだよ
for fans of : サニーデイサービス / BiSH
No.33 Hannah Georgas / All That Emotion
for fans of : Au Revoir Simone / Marika Hackman
No.32 The Strokes / The New Abnormal
for fans of : The Strokes / The Strokes
No.31 Maya Hawke / Blush
for fans of : Jess Williamson / Caroline Spence
No.30 Jess Williamson / Sorceress
for fans of : Maya Hawke / Laura Marling
No.29 Beabadoobee / Fake It Flowers
for fans of : Soccer Mommy / ラブリーサマーちゃん
No.28 The Killers / Imploding The Mirage
for fans of : U2 / Future Islands
No.27 RINA SAWAYAMA / SAWAYAMA
for fans of : N.E.R.D. / Sky Ferreira
No.26 Kelly Lee Owens / Inner Song
for fans of : Aphex Twin / Yaeji
No.25 Phoebe Bridgers / Punisher
for fans of : Julien Baker / Mitski
No.24 赤い公園 / THE PARK
for fans of : tricot / 緑黄色社会
No.23 ラブリーサマーちゃん / THE THIRD SUMMER OF LOVE
for fans of : the brilliant green / Blur
No.22 Svalbard / When I Die, Will I Get Better?
for fans of : Deafheaven / Slowdive
No.21 Dorian Electra / My Agenda
for fans of : 100 gecs / SOPHIE
No.20 The Smashing Pumpkins / CYR
for fans of : BUCK-TICK / Editors
No.19 The Flaming Lips / American Head
for fans of : Grandaddy / The Beatles
No.18 Grimes / Miss Anthropocene
for fans of : Nicole Dollanganger / 沖縄電子少女彩
No.17 Mina Tindle / SISTER
for fans of : Sufjan Stevens / Christine and the Queens
No.16 リーガルリリー / bedtime story
for fans of : NUMBER GIRL / Pixies
No.15 THE NOVEMBERS / At The Beginning
for fans of : BUCK-TICK / SCHAFT
No.14 Enter Shikari / Nothing Is True & Everything Is Possible
for fans of : Bring Me the Horizon / Hadouken!
No.13 Sufjan Stevens / The Ascension
for fans of : Bon Iver / Perfume Genius
No.12 あいみょん / おいしいパスタがあると聞いて
/風とリボン
for fans of : スピッツ / 浜田省吾
No.11 羊文学 / POWERS
for fans of : きのこ帝国 / Galileo Galilei
No.10 The Weeknd / After Hours
for fans of : Tinashe / Post Malone
No.9 100 gecs / 1000 gecs and The Tree of Clues
for fans of : Dorian Electra / Death Grips
No.8 青葉市子 / アダンの風
for fans of : Julia Holter / Cocco
No.7 ゲスの極み乙女。 / ストリーミング、CD、レコード
for fans of : ジェニーハイ / パスピエ
No.6 Charli XCX / how i'm feeling now
for fans of : A.G. Cook / Lily Allen
No.5 IC3PEAK / До Свидания
for fans of : Grimes / Crystal Castles
No.4 HEALTH / DISCO4 :: PART1
for fans of : THE NOVEMBERS / Grimes
No.3 Karin. / メランコリックモラトリアム
for fans of : the peggies / チャットモンチー
No.2 BUCK-TICK / ABRACADABRA
for fans of : Primal Scream / Death In Vegas
No.1 沖縄電子少女彩 / NEO SAYA
for fans of : The Knife / Björk
以下、総評コメント。
■2020
大変な災禍に見舞われた2020年。今年で20年連続参加となるはずだったフジロックをはじめ、フェスもコンサートも中止・延期を余儀なくされ、多くの楽しみが奪われた一年だった。
ただ、では音楽的に満たされない一年だったかというと逆で、仕事がリモートワークになったことにより音楽を聴く時間が1日あたり8時間以上増えたことでたくさんの音楽を聴くことができたし、購入した作品をたっぷり聴き込むこともできた。そしてひとつの作品に対する理解が深まると、関連した別のアーティストや作品にも次から次へと興味が湧いていった。
2020年に購入したりレンタルした作品は新譜で69枚、旧譜で91枚の合計160枚だったが、これは去年よりも50枚以上多い。リモートワークじゃなかったらこれらの音楽は消化不良を起こし、年間ベストなんてとても決められなかっただろう。例年以上に多くの作品を、それぞれじゅうぶんに聴き込むことができた。そう考えれば、音楽ライフはむしろ充実していたと言える。
単に量だけの問題ではなく、今年は大豊作だったと思う。いくら枚数を多く聴いたところで、あまりいい作品がなければこの年間ベスト・アルバムも例年通りTOP40となるはずだったが、今年はTOP50に拡大した。それだけ全体的に良作が多かったからだ。ここ5、6年で最も豊作だったと言えるのではないだろうか。
■邦楽
特に素晴らしかったのは邦楽。TOP3が全て邦楽だったのはおそらく自分史上初めてのことだと思う。また、3年連続で女性ヴォーカルの邦楽アーティストが1位となった(2018年は佐藤千亜妃、2019年はBABYMETAL)。TOP50のうち邦楽は14作品で、去年の40枚中14枚と比べてもそこまで多くないけど、数年前まで9割以上が洋楽だったことを考えるとだいぶ増えたし、上位に行くほど邦楽の割合が高かったりする。旧譜ベストにおいては50作品中45作品が邦楽で、とにかく今年は邦楽が楽しかった年だった。
【過去記事】2020年旧譜ベスト・アルバムTOP50
これにはいくつか理由がある。ひとつは、毎月やっている「新譜リリース情報」の記事で、邦楽のリリース日も情報収集するようにしたためだ。これはOriconのリリース情報ページから拾っているのだけど、邦楽の新譜を定期的にチェックするようになったことでいろいろ知ることができた。「新譜リリース情報」は、洋楽はmetacritic、邦楽はOriconの新譜リリース情報ページに載っている全てのアーティストの新曲音源をチェックして書いている。「これは絶対自分興味ないやつだな」と思ってもとりあえず聴いてみることで、偏見に依らない新たな出会いがたくさんあった。
■BUCK-TICK
もうひとつは、2019年からハマっているBUCK-TICKの存在だ。今年でいうと、例えば沖縄電子少女彩は過去にBUCK-TICKの曲をカバーしていたことから知ったし、Karin.はSPACE SHOWERの番組「BUCK-TICK ミュージックビデオ特集」の中で流れたCMきっかけで知った。THE PINBALLSもBUCK-TICKの楽曲がエンディングに起用されていたドラマのオープニングに使われていたことがきっかけで購入に至ったし、藤井風はBUCK-TICKの櫻井敦司が最近気に入ってるアーティストということが聴こうと思った要因の一つだったりと、こんな具合だ。
旧譜においても、DIR EN GREY、MALICE MIZER、土屋昌巳、DEAD END、THE MORTAL、D'ERLANGER、櫻井敦司ソロ、hide、BY-SEXUALと、BUCK-TICK繋がりのきっかけで購入やレンタルに至ったアーティストは多数。幅広いアーティストからリスペクトされ、多方面に影響を与える存在であるBUCK-TICKを追うことで、いろんな方向に興味が広がっていく。そうした好奇心や探求心を刺激してくれるのが、BUCK-TICKなのだ。
■音楽との出会い方
去年の総評でも書いたけど、以前は"ホテルのレストランが用意した料理の中から自分の好みのものを選んで食べる「バイキング形式」"で音楽を聴いていて。どれも美味しいんだけど、自分の味覚に合う範囲のものしかなくて、刺激が足りないと感じたので、"たまたま見つけたお店や普段なら入ろうと思わないような店にふらっと入ってはつまんでいく「食べ歩き形式」"にしたらめちゃくちゃ刺激的で楽しかったので、今年も引き続きそのようにした。音楽メディアは一切と言っていいほど見なかったので、トレンドに関しては疎くなったけどそれもまあいいかという感じ。
今回この年間ベストに入れた作品も、世間的な評価がどうだったのかはわからない。各音楽メディアの年間ベストは去年同様、敢えて見ていない。他所の年間ベストと被ることは好まないが、被らないように順位を操作することもしたくないので、結局一切見ないことが最も得策なのだと思う。
■キーワード
2020年は「沖縄」と「ロシア」がアツかった。いずれも普段よく聴く音楽とは少し違う、「違和感」「異物感」が感じられるからというところが大きい。
「沖縄」に関しては、まず年間ベスト1位となった沖縄電子少女彩が挙げられる。沖縄電子少女彩については以前単独記事を書いているので詳しくはそちらを見てもらうとして、琉球音階とか民族的なリズム、シャーマニックなメロディといった要素に強く惹かれた。8位の青葉市子も沖縄にしばらく滞在したことがアイデアの源になっているそうだし、旧譜ではTHE BOOMを聴いたり、あとは数年前からずっとCoccoをヘビロテしたりと、「沖縄」というのは個人的に最近非常に重要なワードとなっている。
【過去記事】沖縄電子少女彩のアルバム『NEO SAYA』がすごい
今回1位となった『NEO SAYA』は、とにかくダントツだった。それまではBUCK-TICK『ABRACADABRA』が暫定1位だったけど、正直なところ「でも『No.0』(前作)や『アトム 未来派 No.9』(前々作)の方が好きかもな…」という思いもあったので、このまま1位になるのは少しモヤモヤを感じていたんだけど、『NEO SAYA』はもう一聴した段階でダントツ1位だと思ったし、前述の記事であらかじめ宣言した通りの結果となった。
「ロシア」に関しては、数年前からロシアのゴス・シーンやレイヴ・シーンなんかに興味はあったんだけど、ロシアのダーク・エレクトロ・デュオ、IC3PEAKにハマったというのと、ロシアのアーティストと言えば誰もが真っ先に思い浮かべるt.A.T.u.にハマったのは大きい。いずれもロシア語で歌っていることが重要であり、ロシア語の響きが普段聴いている音楽とは全く違うことによって魅力が増大する。この辺は初期のSigur Rós(アイスランド語)やXmal Deutschland(ドイツ語)、Jane Birkin(フランス語)なんかを最初に聴いたときに感じた魅力と同じものだろう。
■ストリーミング
これまではCDを購入する前の試聴としてSpotifyをたまに利用していたが、今年はほとんど使わなかった。好きなアーティストは先行公開された数曲だけ聴いてすぐ予約したし、リリース後に全曲試聴して購入ということはほぼなかったように思う。フジロックがなくなったり、外出しなくなってお金を使う機会が減ったことにより音源購入に対する財布の紐が緩んだということもあるけど、先ほど「音楽ライフは充実していた」と書いたように音楽を聴くことが今まで以上に何だか楽しくて、「とにかく買っちまえ」的なヤケクソ感があった。
ただ、その弊害はあった。好きなアーティストで「新譜は絶対にいいに決まっている」とほとんど試聴せず購入したものが、(決して良くなかったわけではないけど)思ったほどではないことも多かった。今回選外として次点15作品を掲載したが、2018年の年間ベスト6位だったThe 1975、9位だった神聖かまってちゃん、10位だったOneohtrix Point Never、11位だったFLOWER FLOWER、2017年の2位だったYaeji、6位だったArca、12位だったKing Kruleらが含まれている。既定路線過ぎた作品、エッジが失われたように感じる作品など、理由はさまざまだ。
■2021年
音楽の趣味嗜好は基本的に変わらないと思う。女性ヴォーカル、邦楽、ダークなもの、エレクトロ寄りのものが相変わらず好きだ。その中でやはり未聴感の強いもの、逸脱したポップなどは特に惹かれる傾向がある。「民族的な音やメロディ」というのが重要な要素になってきそうだが、そういう意味においてその全要素を備えた沖縄電子少女彩がもたらしたインパクトはとても大きい。2021年は奄美やインドネシア、タイ、スリランカ、キューバなんかの民族音楽とかも探求してみたいな…とかちょっと思っている。
一方で、Karin.のようないかにもJ-POP的なアーティストにも魅力を感じる。羊文学やあいみょんもそうだし、洋楽ではThe Flaming LipsやJess Williamson、Maya Hawkeもだけど純粋にいい曲を、極力シンプルなアレンジでというのもとても重要だと思う。フォークやカントリーをベースにしたアコースティック寄りのアーティストというのはもっと掘っていきたい。
■再生回数
最後に、2020年リリース作品におけるiTunesライブラリの再生回数ランキングも調べてみたので掲載したい。これはリリースされたタイミングも重要なので、単に良し悪しだけで決まるものではないけどこんな感じ。
No.1 BUCK-TICK / ABRACADABRA
No.2 Karin. / メランコリックモラトリアム
No.3 沖縄電子少女彩 / NEO SAYA
No.4 リーガルリリー / bedtime story
No.5 Enter Shikari / Nothing Is True & Everything Is Possible
No.6 Grimes / Miss Anthropocene
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No.8 The Strokes / The New Abnormal
No.9 IC3PEAK / До Свидания
No.10 ゲスの極み乙女。 / ストリーミング、CD、レコード
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