Albums of the Month |
今年のフジロックの開催中止(来年に延期)が発表されました。自分にとって一年で一番大きい音楽イベントなのでやはり寂しいは寂しいけど、中止が発表されて内心ホッとしたりも。不安抱えたまま開催されるのも、どうなるのかわからないまま過ごすのもイヤだったし。
というわけで今月聴いた音源まとめ。B-T祭りもひと段落し、注文していたCDもいろいろ届き始めたので2020年リリース作品オンリーとなりました。
THE NOVEMBERS / At The Beginning (2020)
★★★★★
yukihiro(L'Arc~en~Ciel、ACID ANDROID)が9曲中7曲のプロデュースを担当。この情報に心が躍ったのは自分だけではないはず。小林祐介の書く歌詞も作品を追うごとに鋭くなって、今のこの時代を冷静に俯瞰しこの世の不条理や欺瞞を暴く論客のようになってきた。ストレートには語られないが、深読みすればするほどその鋭さにゾッとしてしまう。そんな詞世界と、インダストリアルなサウンド・デザインが不思議とリンクしているアルバム。
THE NOVEMBERS - "薔薇と子供"
ゲスの極み乙女。 / ストリーミング、CD、レコード (2020)
★★★★☆
去年発表していたシングルがどれもかっこよかったので密かに期待していたニューアルバム。しかし通常のCDフォーマットでは販売せず、フィジカルでは1万円くらいするデラックス盤、もしくはアナログ盤という挑戦的な販売形態。一見さんお断りの敷居が高いアルバムだけど、そこまで熱心なファンでもない(『両成敗』くらいしか聴いたことがない)のに大金出して買ってしまったよコノヤロー。まあ、内容は良かったのでいいけど。
ゲスの極み乙女。- "ドグマン"
Charli XCX / how i'm feeling now (2020)
★★★★★
去年のアルバム『Charli』は個人的にとってもイマイチだった。自由にやれてないというか肩に力入り過ぎて大事な何かを見失ってしまったかのような。ステイホームしながら数週間で制作された本作はいい意味でユルくて、彼女本来のポップ・センスとA. G. CookやDanny L Harleらプロデューサー陣の遊び心あるサウンドが程よくマッチしている。やはりこういう方がCharliらしい。
Charli XCX - "claws"
Jade Hairpins / Harmony Avenue (2020)
★★★☆☆
数年前にフジロックで観たFucked Up、面白かったな…というわけでデブハゲモジャ半裸男のDamian Abraham率いるハードコア・バンド、Fucked Upのポップな側面を担うメンバー、Jonah FalcoとMike Haliechukによる別バンド。Fucked Upとは全く異なり、基本的にローファイ・インディポップ。1曲目「J Terrapin」こそローファイなガレージ・ロックだけど、その他はローファイ・ディスコやアシッド・ハウスな感じで、「Let's Dance」期のDavid BowieやLCD Soundsystem、Hot Chip、New Orderへのオマージュを感じる。
Jade Hairpins - "J Terrapin"
The 1975 / Notes On A Conditional Form (2020)
★★★☆☆
前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships』は彼らの成長度合いと引き出しの多さを見せてくれた名盤だったけど、今回は同じように期待していた割には少し肩透かし気味。「新機軸」と呼べる曲もいくつかあるけど若干薄いし、前作の曲の焼き直しっぽい曲もあるかな。22曲も収録するなら、ダレないようにもっと練っても良かったのでは。
The 1975 - "If You're Too Shy (Let Me Know)"
やっぱり女性ヴォーカルものが好きなので、あとはすべて女性シンガー・ソングライターの作品。
Phoebe Bridgers / Punisher (2020)
★★★★★
Phoebe Bridgers - "Kyoto"
Anna Burch / If You're Dreaming (2020)
★★★★☆
Anna Burch - "Not So Bad"
Lilly Hiatt / Walking Proof (2020)
★★★★☆
Lilly Hiatt - "Candy Lunch"
Jess Williamson / Sorceress (2020)
★★★★★
Jess Williamson - "Smoke"
中でも、The 1975の新作にも参加したPhoebe Bridgersの2ndが非常に良かった。「Kyoto」のミュージック・ビデオも好き。Anna Burchはデトロイト出身のシンガー。こちらも2ndで、ドリーミーなインディ・ポップ。Lilly Hiattはカントリーの聖地、ナッシュヴィル出身でダミ渋声のブルース/カントリー・シンガーJohn Hiattの娘さん。娘さんの方は清涼感のある歌声。Jess Williamsonはテキサスのフォーク/カントリー・シンガー。ソングライティングのセンスも声も良い。
Poppy / I Disagree (2020)
★★★☆☆
結構前から気にはしていたものの、どうにも好きになれなかったPoppy。本人としては個性派を狙っているのだろうけど、どうも個性が全部借り物で、凡人が奇をてらって個性派を演じているようにしか思えなかった。ガチで個性的な人とそうでない人の違いってすぐわかるし。
なので1月にリリースされた本作も最初はまたこんな感じかー、BABYMETALは日本人の女の子がやっているから「程よい違和感」があっていいのであって、欧米人がマネたところで云々…とスルーしていたんだけど、たまたま「Sit / Stay」という曲を聴いて気に入ったのでつい買ってしまった。まあ実際に聴いてみたら、Billie Eilishを意識したような部分もあったりで、要は全体的に「既存の個性をつぎ足しつぎ足ししてみました」という感じで、やっぱりそこまで良くはなかったけど。
ただ、1曲目「Concrete」は単にBABYMETALっぽくするのではなく、The Zombiesみたいなチェンバー・ロックやQUEENみたいなオペラ的要素も盛り込んでたのは良かった。どうせなら10分くらいの長尺でも良かったとは思うけど。厳しい評価になってしまったが、次のアルバムでは大化けしてほしいという期待もある。
Poppy - "Sit / Stay"
★★★★★
yukihiro(L'Arc~en~Ciel、ACID ANDROID)が9曲中7曲のプロデュースを担当。この情報に心が躍ったのは自分だけではないはず。小林祐介の書く歌詞も作品を追うごとに鋭くなって、今のこの時代を冷静に俯瞰しこの世の不条理や欺瞞を暴く論客のようになってきた。ストレートには語られないが、深読みすればするほどその鋭さにゾッとしてしまう。そんな詞世界と、インダストリアルなサウンド・デザインが不思議とリンクしているアルバム。
THE NOVEMBERS - "薔薇と子供"
ゲスの極み乙女。 / ストリーミング、CD、レコード (2020)
★★★★☆
去年発表していたシングルがどれもかっこよかったので密かに期待していたニューアルバム。しかし通常のCDフォーマットでは販売せず、フィジカルでは1万円くらいするデラックス盤、もしくはアナログ盤という挑戦的な販売形態。一見さんお断りの敷居が高いアルバムだけど、そこまで熱心なファンでもない(『両成敗』くらいしか聴いたことがない)のに大金出して買ってしまったよコノヤロー。まあ、内容は良かったのでいいけど。
ゲスの極み乙女。- "ドグマン"
Charli XCX / how i'm feeling now (2020)
★★★★★
去年のアルバム『Charli』は個人的にとってもイマイチだった。自由にやれてないというか肩に力入り過ぎて大事な何かを見失ってしまったかのような。ステイホームしながら数週間で制作された本作はいい意味でユルくて、彼女本来のポップ・センスとA. G. CookやDanny L Harleらプロデューサー陣の遊び心あるサウンドが程よくマッチしている。やはりこういう方がCharliらしい。
Charli XCX - "claws"
Jade Hairpins / Harmony Avenue (2020)
★★★☆☆
数年前にフジロックで観たFucked Up、面白かったな…というわけでデブハゲモジャ半裸男のDamian Abraham率いるハードコア・バンド、Fucked Upのポップな側面を担うメンバー、Jonah FalcoとMike Haliechukによる別バンド。Fucked Upとは全く異なり、基本的にローファイ・インディポップ。1曲目「J Terrapin」こそローファイなガレージ・ロックだけど、その他はローファイ・ディスコやアシッド・ハウスな感じで、「Let's Dance」期のDavid BowieやLCD Soundsystem、Hot Chip、New Orderへのオマージュを感じる。
Jade Hairpins - "J Terrapin"
The 1975 / Notes On A Conditional Form (2020)
★★★☆☆
前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships』は彼らの成長度合いと引き出しの多さを見せてくれた名盤だったけど、今回は同じように期待していた割には少し肩透かし気味。「新機軸」と呼べる曲もいくつかあるけど若干薄いし、前作の曲の焼き直しっぽい曲もあるかな。22曲も収録するなら、ダレないようにもっと練っても良かったのでは。
The 1975 - "If You're Too Shy (Let Me Know)"
やっぱり女性ヴォーカルものが好きなので、あとはすべて女性シンガー・ソングライターの作品。
Phoebe Bridgers / Punisher (2020)
★★★★★
Phoebe Bridgers - "Kyoto"
Anna Burch / If You're Dreaming (2020)
★★★★☆
Anna Burch - "Not So Bad"
Lilly Hiatt / Walking Proof (2020)
★★★★☆
Lilly Hiatt - "Candy Lunch"
Jess Williamson / Sorceress (2020)
★★★★★
Jess Williamson - "Smoke"
中でも、The 1975の新作にも参加したPhoebe Bridgersの2ndが非常に良かった。「Kyoto」のミュージック・ビデオも好き。Anna Burchはデトロイト出身のシンガー。こちらも2ndで、ドリーミーなインディ・ポップ。Lilly Hiattはカントリーの聖地、ナッシュヴィル出身でダミ渋声のブルース/カントリー・シンガーJohn Hiattの娘さん。娘さんの方は清涼感のある歌声。Jess Williamsonはテキサスのフォーク/カントリー・シンガー。ソングライティングのセンスも声も良い。
Poppy / I Disagree (2020)
★★★☆☆
結構前から気にはしていたものの、どうにも好きになれなかったPoppy。本人としては個性派を狙っているのだろうけど、どうも個性が全部借り物で、凡人が奇をてらって個性派を演じているようにしか思えなかった。ガチで個性的な人とそうでない人の違いってすぐわかるし。
なので1月にリリースされた本作も最初はまたこんな感じかー、BABYMETALは日本人の女の子がやっているから「程よい違和感」があっていいのであって、欧米人がマネたところで云々…とスルーしていたんだけど、たまたま「Sit / Stay」という曲を聴いて気に入ったのでつい買ってしまった。まあ実際に聴いてみたら、Billie Eilishを意識したような部分もあったりで、要は全体的に「既存の個性をつぎ足しつぎ足ししてみました」という感じで、やっぱりそこまで良くはなかったけど。
ただ、1曲目「Concrete」は単にBABYMETALっぽくするのではなく、The Zombiesみたいなチェンバー・ロックやQUEENみたいなオペラ的要素も盛り込んでたのは良かった。どうせなら10分くらいの長尺でも良かったとは思うけど。厳しい評価になってしまったが、次のアルバムでは大化けしてほしいという期待もある。
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