fc2ブログ

Albums of the Month

Albums of the Month (2019年12月)

albums_of_the_month.png

レッチリにジョン・フルシアンテ復帰というニュースに、どうも手放しで喜べない自分がいる。確かに彼の在籍時のレッチリは黄金期と呼ぶに相応しかった。でも彼の脱退後、ジョンの愛弟子ともいえるジョシュ・クリングホッファーが加入してから制作された2枚のアルバムにはバンドとしての進化がはっきり見られたし、年相応の円熟味も感じられて、「ジョンが抜けたからこそ出来た」「ジョシュがいたからこそ出来た」と言える作品だったと思う(ジョンがいた時とどちらの作品が好きかというのはまた別問題)。

復帰はジョンとバンドのどちらから切り出したことなのかは現時点でまだ語られていないのでわからない。でももしジョンからだとしたら、バンド脱退→復帰は初めてじゃないだけにさすがに自分勝手すぎなのでは?と思ってしまう。ただ、ジョシュの脱退はおそらくクビなどではなく、「尊敬するジョンが戻ってくるのなら、自分はその席を喜んであけ渡そう」という、ジョシュなりのジョン愛に満ちた理由だろう。

しかし、「元サヤに戻る」の行動原理というのは現状に満足できていなかったり、軌道修正だったりといったものだ。だからこの10年間のレッチリとジョンの活動を自ら否定的に捉えているように思えてしまう。自分はレッチリのこの10年を勝手に「ジョン脱退を乗り越え、それを糧にさらなる進化をしてきた」と前向きに捉えてきたが、もしレッチリ自身もそう思っているならば、ジョンからの申し入れ(ジョンから切り出したとすればだけど)を断るぐらいの自信と確信をもってこの10年間活動していてほしかったというのが正直なところ。

まあ、ジョン復帰後の作品がしっかりと「ジョシュ時代」の流れを汲んだ"2020年代の新しいレッチリ"として素晴らしければ何も問題はない。『Blood Sugar Sex Magik』や『Californication』、『By The Way』の劣化版焼き直しだけは勘弁だ(全部大好きなアルバムだけど、だからこそ)。

…というわけで、少し早いけど更新予定が詰まっているのと、年内に新しい音源を購入する予定がないため12月の初聴き音源まとめをさっさとやります。今月はなんか暗いジャケばっかだな!


まずは2019年リリース作品から。

Coldplay / Everyday Life (2019)
★★★★☆
Coldplay_Everyday Life

1日の生活をコンセプトにした、全24トラック収録のアルバム。自分はもともとコンセプチュアルな作品が大好きだし、民族的なビートやプログレッシヴな展開を持った曲、SEトラックや弾き語りデモ風の小曲などさまざまな曲が収められ、全体的に宗教的なエッセンスも色濃く反映されていたりと、なんとなくArcade Fireの『Reflektor』を思い起こさせたりも。

Coldplay - "Orphans"




Aimer / Penny Rain (2019)
★★★★☆
aimer_pr.jpg

名前自体は数年前から知っていたけど、アニソン界隈の歌手という程度の認識だった。たまたま付けていた音楽系CSチャンネルでAimerの曲を聴き、憂いと力強さを感じさせるエモーショナルな歌声に惹かれたのが興味を持ったきっかけ。特に本作は「雨」をテーマにした、憂いのある曲が中心ということで自分に合いそうだったので手に取ってみた。

彼女は確かにアニメ関連のタイアップ曲が多く、アニメ好き界隈でよく知られているのは事実だと思うけど、Wikiのジャンル欄にはアニソン以外にも「バロック・ポップ/アダルト・コンテンポラリー/トリップホップ/ドリーム・ポップ/オルタナティヴ・ロック/ポップ・ロック」といったジャンル名が記載されていて、特に前半の3ジャンルのような落ち着いた曲や陰のある曲にハマる歌声の持ち主だと思う。鬼束ちひろやきのこ帝国、Cocco(実際、本作収録の「眩いばかり」はCoccoによる提供曲)、そして『Fantôme』の頃の宇多田ヒカルに近いものを感じる。

Aimer - "眩いばかり"





続いて旧譜。2019年の下半期はBUCK-TICK(以下B-T)一色だったといっても過言ではない。約5ヶ月間で彼らのCDを18作品購入したし、B-Tを聴かない日はなかったと言えるほど毎日聴きまくった。そんなB-T祭りもようやくひと段落。


BUCK-TICK / 悪の華 [2015年ミックス版] (1990 / 2015 reissue)
★★★★★
b-t_aku.jpg

B-T祭りの最初の1枚が1990年リリースのオリジナル版『惡の華』だったわけだけど、正直最初は音の悪さのせいで「名盤だと思ったのにあんまり良くない…?」と若干の戸惑いを感じたものだった。その次に聴いた『狂った太陽』と『殺シノ調ベ』があまりに良くて完全にB-Tにハマってしまったが、この『惡の華』はなんだか前作『Taboo』よりも音がショボく感じられた。ただ、だからこそこの2015年ミックス版を早く聴きたくてしょうがなかった(オリジナル版を初めて聴いたとき、すでに2015年ミックス版は入手済みだったので)。

満を持して2015年ミックス版を聴いて、まず1曲目「NATIONAL MEDIA BOYS」の出だし5秒でぶっ飛んだ。当然、いわゆる「リマスター」作品ではなくミックスから直しているのだけど、音の密度や解像度がまるで違う。予備知識なく聴いたら再録かと思ってしまうんじゃないか?今までなかった音がたくさん増えてる…オーバーダブ?そう思ってオリジナルの方をあらためて聴き返すと、確かにその音は最初から入っている。小さくこもっていて今までその音に気付かなかっただけだった。1曲終わるごとにスゲースゲー言いながら最後の「KISS ME GOOD-BYE」を聴き終え、このアルバムがめちゃくちゃ好きになった。

あらためて、ミックスの力ってすごいな。スマパンの『Mellon Collie~』とかマイブラの『Loveless』、Nirvanaの『Bleach』、Radioheadの『Pablo Honey』なんかもこの手法で再リリースしてほしい、とか思ったり。

BUCK-TICK - "惡の華(2015年ミックス)"




BUCK-TICK / アトム 未来派 No.9 (2016)
★★★★★
b-t_atom.jpg

いかにも上田剛士が参加してるっぽい音の「PINOA ICCHIO -躍るアトム-」や昭和のGS歌謡風な「THE SEASIDE STORY」、キューバ音楽風(?)な「Cuba Libre」、山口百恵や中森明菜に歌ってほしい「愛の葬列」などバラエティに富みつつ、全体的に重くダークで統一感のある作品。やはりB-Tは暗く儚い感じの曲調がよくマッチするし、最後だけパッと光が差し込んだようにキャッチーな「NEW WORLD -begining-」で〆るところもよい。2000年代以降のアルバムでは『十三階は月光』に次いで好きかな。

BUCK-TICK - "New World"




BUCK-TICK / No.0 (2018)
★★★★☆
b-t_no0.jpg

最新作でありながら、30年に及ぶキャリアの中で最も「意欲作」というべき作品なのでは?様々な要素をぶち込んだという意味では『Six/Nine』に通じるものがあるけど、こちらはさらに「なんでもアリ」かつ躁鬱の激しい感じ。さまざまな打ち込みサウンドがあちこちで鳴っていて雑然としているようで、それでいて音はクリアで整然とした作品だと思う。まあ、「GUSTAVE」の唐突なSkrillex風ダブステップイントロに思わず「あれ?今スポティファイ(のCM)聴いてたんだっけ?」と思ってしまったけど。

BUCK-TICK - "BABEL"




B-Tの影に埋もれがちになってしまっているけどこんなのも。

黒夢 / 亡骸を… (1993)
★★★☆☆
kuroyume_nakigara.jpg

先日、92年リリースの『生きていた中絶児・・・・』と94年リリース『迷える百合達〜Romance of Scarlet〜』を聴いたけど、まさにこの2作の中間といった作品。黒夢が初期のハードコア/スラッシュメタル然とした曲調から急激なニューウェーヴ/ゴシック・ポップ化を図った過程がよく伺える。
関連記事
Twitter RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加 はてなブックマークに追加
次のページ
2019年に観た映画 BEST5
新着
[PLAYLIST] K-POP MIX 2024
Exclusive Interview with moë - English Trans.
新譜リリース情報(2025年1月)
2024年 年間ベスト・アルバムTOP40
2024年 年間ベスト・ソングTOP100
2024年に観た映画 BEST10
Hakoniwa Chart's 2024 Best 100 Songs
2024年旧譜ベスト・アルバムTOP5
Interview : moë
Albums of the Month (2024年12月)
タグ
Coldplay   Aimer   BUCK-TICK  
プロフィール

PUBLIC IMAGE REPUBLIC

Author:PUBLIC IMAGE REPUBLIC
日々の音楽について書くブログ
Xアカウント

カテゴリ
Ado (1)
月別アーカイブ
QRコード

Page Top

Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ