Ikara Colt |
既に解散などにより活動を停止している、現在進行形ではないアーティストを回顧しつつ紹介する企画の第二回目。第一回目のXmal Deutschland以来3年以上ぶり(!)となりました。
今回取り上げるのは、1999年にデビューし2005年に解散したイギリスの4人組バンド、アイカラ・コルト(Ikara Colt)です。
▼2002年、デビューアルバムのリリース時
▼2003年のベーシスト交代後
2000年代初頭、The Strokes、The White Stripes、The Libertinesらをきっかけに「ガレージ/ロックンロール・リヴァイヴァル」なるムーヴメント(定型の名称はないものの、このように称されることが多い)が生まれました。世界各地からMando Diao、The Hives、The Vines、Jet、Black Rebel Motorcycle Club、The Datsuns、Cato Salsa Experience、Sahara Hotnightsといった、スタイルは千差万別ながら60's~70'sのロックを再定義したサウンドを特徴とするバンドが次々とデビューあるいはブレイク。当時は自分もご多分に漏れずこのムーヴメントに熱中しました。
中でも特に人気が高かったのはやはりThe Strokes、The White Stripes、The Libertinesの三組だったように思いますが、僕が最もかっこいいと思っていたのはそのいずれでもなく、このIkara Coltというバンドでした。
対艦ミサイルの名称「Ikara」と銃の名称「Colt」を組み合わせた何ともキナ臭いバンド名が表す通り、そのサウンドはデビューアルバム『Chat and Business』国内盤の帯に書かれた「スリル!ノイジー!ダーティー!」という言葉そのもの。僕個人の言葉で例えるなら、
"The Stoogesと『Goo』~『Dirty』期のSonic Youthによるスーパーバンドが倍速で演奏しているようなサウンド"
と形容したいですね。まあそんなことより、まずは一曲聴いてみましょう。
"Rudd" ※『Chat and Business』収録
参考までにThe StoogesとSonic Youthの音源も。
Sonic Youth - "Mary-Christ"
The Stooges - "I Wanna Be Your Dog"
メロディにきっちりと乗せないぶっきらぼうな歌い方といえばイギー・ポップ(The Stooges)、ボビー・ギレスピー(Primal Scream)などが思い浮かびますが、Ikara Coltのポール・レセンド(Paul Resende)もまさにその系譜。そこにクレア・イングラム(Claire Ingram)という、名前からしてかっこいい女性メンバーがノイジーなギターと、ライオット・ガール風情漂うヴォーカルを添えています。
もう一曲。
"One Note" ※『Chat and Business』収録
デビューアルバムのオープニングを飾るこの「One Note」のタイトルは「ワンコード」や「単調な」という意味。その名の通りほぼワンコードで2分20秒間を爆走。一曲目からこれはかっこよすぎ。
「One Note」からもお分かりの通り、このバンドはドラムがなかなかすごいです。かなりBPMの速い曲が多いけど手数も多いですね。以下の曲も、すごく速いのに裏にスネアのゴーストノート利かせたり。
"Here We Go Again" ※『Chat and Business』収録
ハンマー・ビート×16ビートのハット&フロアタム、スピード感が半端ない。
"Wake in the City" ※『Modern Apprentice』収録
セカンドからはいくつかミュージックビデオも作られてます。
"Wanna Be That Way" ※『Modern Apprentice』収録
彼らはメディア評価もそこそこ高くて、ピッチフォークでデビューアルバム『Chat and Business』は7.1でした。デビューのきっかけもBBC Radio 1のスティーヴ・ラマック(Steve Lamacq)がライブを観て気に入ったからだそう。
彼らの楽曲はとてもパンキッシュではあるけど、同時にとてもキャッチー。おそらく彼らの中で最もキャッチーな曲はこれでしょうか。ちなみにデビューシングル。
"Sink Venice" ※『Chat and Business』収録
アップテンポな曲ばかり貼ってしまったので「アルバムは一本調子なのでは?」と思われるかもしれないけど、ちょっと毛色の違う曲ももちろんあります。
こちらはエレクトロクラッシュや、後に起こるポストパンク・リヴァイヴァル、エレクトロ・リヴァイヴァルを予感させる感じ。
"Your Vain Attempts" ※『Chat and Business』収録
この曲はキーボードをフィーチャーしていて、まるでSuicide!!
"Motorway" ※『Modern Apprentice』収録
ヴォーカルのポールはインタビューで「すべてのバンドは5年で消えるべきだ」と発言しており、それはつまり「初期衝動を大切にしたい」「錆びつくより燃え尽きたい」という彼らなりの美学だったのだと思います。そしてその言葉通りに、2枚のアルバムを残して結成からは6年、アルバムデビューからは3年足らずで解散しました。
アコースティック・バラードやラップ・メタルに蔓延していた商業主義に中指を立て、やさぐれたアティテュードや佇まい含めてとてもかっこよくて大好きだったバンドではあるけど、そんなポリシーが魅力だったからこそ絶対に再結成してほしくないですね。
ある意味時代の徒花的なバンドであったうえに10年以上前に解散しているので、現在中古市場ではかなり激安で手に入るはず。当時そこまで売れたわけではないので市場でのタマ数は少ないと思うけど、ブックオフにあるとすれば290円棚だと思うし、現時点でAmazonマーケットプレイスでは2枚のアルバムいずれも100円以下で購入可能。どちらかというとおすすめはファースト『Chat and Business』で、めちゃくちゃかっこいいボーナストラックが3曲(先ほどの「Your Vain Attemps」含む)プラスされた国内盤が良いです。
今回取り上げるのは、1999年にデビューし2005年に解散したイギリスの4人組バンド、アイカラ・コルト(Ikara Colt)です。
▼2002年、デビューアルバムのリリース時
▼2003年のベーシスト交代後
2000年代初頭、The Strokes、The White Stripes、The Libertinesらをきっかけに「ガレージ/ロックンロール・リヴァイヴァル」なるムーヴメント(定型の名称はないものの、このように称されることが多い)が生まれました。世界各地からMando Diao、The Hives、The Vines、Jet、Black Rebel Motorcycle Club、The Datsuns、Cato Salsa Experience、Sahara Hotnightsといった、スタイルは千差万別ながら60's~70'sのロックを再定義したサウンドを特徴とするバンドが次々とデビューあるいはブレイク。当時は自分もご多分に漏れずこのムーヴメントに熱中しました。
中でも特に人気が高かったのはやはりThe Strokes、The White Stripes、The Libertinesの三組だったように思いますが、僕が最もかっこいいと思っていたのはそのいずれでもなく、このIkara Coltというバンドでした。
対艦ミサイルの名称「Ikara」と銃の名称「Colt」を組み合わせた何ともキナ臭いバンド名が表す通り、そのサウンドはデビューアルバム『Chat and Business』国内盤の帯に書かれた「スリル!ノイジー!ダーティー!」という言葉そのもの。僕個人の言葉で例えるなら、
"The Stoogesと『Goo』~『Dirty』期のSonic Youthによるスーパーバンドが倍速で演奏しているようなサウンド"
と形容したいですね。まあそんなことより、まずは一曲聴いてみましょう。
"Rudd" ※『Chat and Business』収録
参考までにThe StoogesとSonic Youthの音源も。
Sonic Youth - "Mary-Christ"
The Stooges - "I Wanna Be Your Dog"
メロディにきっちりと乗せないぶっきらぼうな歌い方といえばイギー・ポップ(The Stooges)、ボビー・ギレスピー(Primal Scream)などが思い浮かびますが、Ikara Coltのポール・レセンド(Paul Resende)もまさにその系譜。そこにクレア・イングラム(Claire Ingram)という、名前からしてかっこいい女性メンバーがノイジーなギターと、ライオット・ガール風情漂うヴォーカルを添えています。
もう一曲。
"One Note" ※『Chat and Business』収録
デビューアルバムのオープニングを飾るこの「One Note」のタイトルは「ワンコード」や「単調な」という意味。その名の通りほぼワンコードで2分20秒間を爆走。一曲目からこれはかっこよすぎ。
「One Note」からもお分かりの通り、このバンドはドラムがなかなかすごいです。かなりBPMの速い曲が多いけど手数も多いですね。以下の曲も、すごく速いのに裏にスネアのゴーストノート利かせたり。
"Here We Go Again" ※『Chat and Business』収録
ハンマー・ビート×16ビートのハット&フロアタム、スピード感が半端ない。
"Wake in the City" ※『Modern Apprentice』収録
セカンドからはいくつかミュージックビデオも作られてます。
"Wanna Be That Way" ※『Modern Apprentice』収録
彼らはメディア評価もそこそこ高くて、ピッチフォークでデビューアルバム『Chat and Business』は7.1でした。デビューのきっかけもBBC Radio 1のスティーヴ・ラマック(Steve Lamacq)がライブを観て気に入ったからだそう。
彼らの楽曲はとてもパンキッシュではあるけど、同時にとてもキャッチー。おそらく彼らの中で最もキャッチーな曲はこれでしょうか。ちなみにデビューシングル。
"Sink Venice" ※『Chat and Business』収録
アップテンポな曲ばかり貼ってしまったので「アルバムは一本調子なのでは?」と思われるかもしれないけど、ちょっと毛色の違う曲ももちろんあります。
こちらはエレクトロクラッシュや、後に起こるポストパンク・リヴァイヴァル、エレクトロ・リヴァイヴァルを予感させる感じ。
"Your Vain Attempts" ※『Chat and Business』収録
この曲はキーボードをフィーチャーしていて、まるでSuicide!!
"Motorway" ※『Modern Apprentice』収録
ヴォーカルのポールはインタビューで「すべてのバンドは5年で消えるべきだ」と発言しており、それはつまり「初期衝動を大切にしたい」「錆びつくより燃え尽きたい」という彼らなりの美学だったのだと思います。そしてその言葉通りに、2枚のアルバムを残して結成からは6年、アルバムデビューからは3年足らずで解散しました。
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