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ライブレポート

ライブレポート:SPIN.DISCOVERY VOL.02

僕もキュレーターとして参加している音楽メディア、Spincoasterの主催するイベント「SPIN.DISCOVERY VOL.02」が、11月9日に渋谷のClub Asiaにて開催されました。当日は運営スタッフとして、買い出しや会場の装飾、ライブの実況ツイートなどやりつつDJもやらせてもらって、あとはお客さんに混じってライブを楽しんでいました。とりあえずここでは「お客さん目線」でイベントレポートを書きたいと思います。

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1Fのメインフロアはバンド編成のアクトが中心、2FのバーフロアはDJ(+シンガー)編成のアクトが中心、1FのバーカウンターはSpincoasterのキュレーターDJやゲストDJという構成。

14:30オープン、各所でSpincoasterのキュレーターDJが場を温めつつ、まずは15時にメインステージのgive me walletsからライブがスタート。仮面舞踏会のようなマスクを付けたボーカルが謎めいた雰囲気を醸し出しつつ、サウンドはあくまでダンサブルでキャッチー。しっかりとテクノやハウスのバックグラウンドがあることを感じさせるフロア向けのサウンドは完全にクラブミュージックな音だけど、あくまで歌モノのポップスとして成り立っているし、ドラマーがサンプラーパッドを叩いたりとロックのダイナミズムも兼ね備えているあたりは、今後サカナクションのような大きな存在にもなり得るのでは。さすがにまだ15時という時間だったためか場内ダンスフロア化とまではいかなかったので、今度また深い時間に観たい。

一方バーフロアでは謎多きシンガー、綿めぐみの初ライブがスタート。真っ白でモコモコした、その名前の通り「綿」のようなパーカー姿で、ウォーターベッドの上で歌い始める。初ライブということで緊張していたのか、DJ(N.O.R.K.のObukuro氏)に出だしの歌詞を確認したり、指示された通りのMCを復唱したりと慣れない部分もあったものの、それが逆にキュートで初々しいイメージと合っていて、会場はいつの間にか彼女を温かく見守る和やかムードに包まれていた。しかも2曲ほど歌い終わったところで、「歌いにくい」ということでウォーターベッド撤去(笑)。

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バーフロアは転換DJなしですぐに次のアクト、LLLLがスタート、女性ウィスパーボイスのサンプリングとハーシュ・ノイズとブレイクビーツとの融合により、ドリーミーかつサイケデリックなサウンドを展開。途中のジャングル~ドラムンベース・パートは本当にかっこよかった。欲を言えばもっと暗い中でコズミックなVJ付きで、そしてもっと爆音で観たかったところ。

その頃メインフロアでは、Lucky Tapesが初夏を思い出させるような爽やかでファンキーなポップ・サウンドを展開中。トランペットも加えた編成で、さきのgive me walletsとはまた違ったグルーヴでフロアを沸かせていた。タイミング的に観れなかったのだけど、1曲目にDaft Punk「Get Lucky」をカバー、ラスト曲ではtofubeats「ディスコの神様」を挟み込んだとか。それにしてもベースが本当に上手い。

一方バーフロアでは、綿めぐみとは対照的に場馴れした感もある仮谷せいらが持ち前の明るさで元気に歌い、場内からは自然と手拍子も湧いて大いに盛り上がっていた。その後メインフロアではN.O.R.K.が静謐でセクシーな音楽を奏で、会場内のそれまでの空気をガラッと変えていた。当初の予定だったストリングスを加えた編成が急遽キャンセルとなったのは残念だが、音と音の隙間を埋める残響音の美しさはJames Blakeにも通じるものがあった。

N.O.R.K.のライブが終わる頃にはバーフロアではSoleil Soleilが大いに盛り上げたはずだが、残念ながら自分のDJタイムだったため観れず。今回の出演アクトで唯一観れなかった。

僕の転換DJ後にメインステージに登場したのは、現在人気急上昇中のShiggy Jr.。前回のSPIN. DISCOVERYでもアコースティックセットで出演してくれたが、今回はバンドセットでの出演。Vo.池田ともこ本人も語るようにYUKIが大好きということもあって、観る者全員をハッピーにさせるヴァイブは、往時のJUDY AND MARYを思い出させた。これからのさらなる活躍が最も期待されるバンドの一つ。

バーステージでは今回唯一のヒップホップ・アクト、TOKYO HEALTH CLUBが登場。スチャダラパーにも通じる知的なユーモア感に満ち溢れたリリックとオールドスクールでファンキーなトラックが特徴。3人ともところ狭しと動き回り、「もっとみんな前に寄って…って、俺らが動き回るから寄れないのか(笑)」という軽妙なトークも魅力的だった。

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続いてメインステージではジャム・ポップ・バンドのfula。オーガニックかつファンキーなサウンドは、ジャム・バンド特有の卓越した演奏力がありながら、あくまで歌モノ志向なのでジャム系が苦手な人でも楽しめるバンドだと思う。ムードメーカーでもあるドラマーのいじられっぷりも面白く、「畳三畳分の機材がこいつ(ドラマー)の体重と同じだったんですよ!」のMCには会場も爆笑に包まれた。

fula終了後にバーフロアへ行くとCarpainterがDJプレイ中。徐々にBPMを上げつつ、バーフロアの最終アクトとしてステージをアツく盛り上げた。そしてメインフロアではいよいよこの日の大トリ、Rauch-Sasseen三姉妹を擁する5人組バンドHey Annaが登場。Katieが狐のお面を被って登場したり、ドラムのAndrew(ただのイケメン)は「Where Is Anna」と書かれたタンクトップを着ていたりと茶目っ気もたっぷり。陽性のポップネスを最大の魅力とする彼らだけど、いきなり暗めの曲「White Fang」からスタートして少々面食らったものの、2曲目以降はErinとAnnaによる美しい歌声が織り成す超絶キャッチーなギターポップを展開。終盤には名アンセム「Dance Until Three」(僕が去年初めてDJした時もこの曲を流した)をドロップし、盛り上がりもピークに。アンコールのラストではKatieがメインボーカルを取り、The Ronettes「Be My Baby」のカバーも披露。会場が笑顔と合唱に包まれ、イベントは大団円を迎えた。

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チケットの予約状況や前日駆け込み購入の状況から、当日は結構な混雑になるかと思われたものの、フタを開けてみれば大きな混雑や混乱もなく、長丁場のイベントのわりに快適だったと思う。空いていたわけでもなく各会場はちゃんとお客さんが集まっていたし。次回に向けての課題もいろいろと見えつつ、一日中動き回っていたわりには疲れよりも楽しさが勝るイベントだったと思う。




最後に、僕の今回のDJの選曲リストです。
テーマは『90年代Jポップ』。リアルタイムで体験し、今こそ再評価したい90年代Jポップの名曲と、90年代Jポップからの影響を感じさせる2010年代の曲を中心に選曲しています。一応テーマがテーマなのでリリース年も記載しておきます。
※曲名クリックでYouTubeに飛びます(ないのもあり)


1. Skrillex / Right In (2011) × Charisma.com / LOOKER (2014) [mash up]

元々はBPMの近いこの2曲を繋げて流そうと思っていたんだけど、数日前にBPMが完全一致なことに気付き勝手にマッシュアップしてみました。凶暴なブロステップ×キレッキレの日本語ラップで、カッコよさ倍増。


2. BiS階段 / Nerve (2013)
先日解散したアイドルグループBiSの名曲にノイズバンドの非常階段がフリーキーなギターノイズを加えたコラボ・バージョン。メロディーも素晴らしいけどやはりノリノリで踊れる曲だと思います。序盤、低音がカットされたまま再生してしまうというミスあり。


3. NOKKO / 7 Ways To Love (1993)
元REBECCAのNOKKOのソロ曲。Saint EtienneのBob Stanleyがプロデュースし、元々はCola Boyのカバーだけど、ここでは新たにAphex Twinの「Pulsewidth」がサンプリングされていてめちゃくちゃかっこいいガラージ・ハウスになっている。Disclosureなどが人気な今こそ再評価されてほしい曲。




4. TMN / Crazy For You (1991)
NOKKOと繋げる形で流したTMのマニアックな人気曲。なぜマニアックかと言うと、歌ではなくドラマ仕立ての男女のセリフで構成されていることと、伊集院光の笑い声がサンプリングされているから。「DJでTMの曲を流す」という夢が叶いました。


5. TEMPURA KIDZ vs Charisma.com / ミイラキラー (2014)
以前Soincoasterでも楽曲紹介した、きゃりーぱみゅぱみゅの元バックダンサーたちとCharisma.comとのコラボ曲。90年代っぽいエレクトロ・サウンド。


6. Shampoo / House of Love (1994)
94年、「Trouble」で一大センセーションを巻き起こしたShampoo。「Trouble」が収録されたデビューアルバムの収録曲で、イギリスのボーイズ・アイドルグループEast 17のカバー。けだるくて不良チックな女の子2人のユニゾンはIcona Popに通じるところがあるし、いかにも90年代っぽい軽薄なダンス・ミュージックは一周まわって逆にかっこいい。




7. Tommy february6 / EVERYDAY AT THE BUS STOP (2001)
あまりに早すぎた80'sリバイバル。the brilliant green川瀬智子のソロ・プロジェクトのデビュー曲だけど、80'sユーロビートのリアルタイム・ファンな自分としては当時から大好きな曲であり、ただの時代錯誤狙いと捉えられていた当時の風潮はもどかしくもあった。


8. Escalator or Elevator / The People's Choice (2014) × Anamanaguchi / Meow (2013) [mash up]
朝倉みずほ(BELLRING少女ハート)とちーぼう(ゆるめるモ!)による2人組ユニット。ゆるーい脱力ラップにMellow Gold~Odelay期のBeckを彷彿させるローファイなヒップホップ・ビートがかっこいい。この曲の後半をNYのチップチューン・バンド、Anamanaguchiの曲とマッシュアップしました。




9. 岡村靖幸 / チャームポイント (1995)
ニューシングル「彼氏になって優しくなって」の発売直前というタイミングでもあったけど、それ以上に「DJで岡村ちゃんを流したい」という願望が以前からあって。こちらもTM同様、念願叶いました。



よろしければこちらもどうぞ。
togetter:SPIN.DISCOVERY -VOL.02-(2014.11.09)感想まとめ
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