読了:約10分(5883字)
公開:2016-03/16
更新:2018-02/18 2冊追加、全体的に加筆・修正
関連:映画・ドラマ発音練習CD本 / リスニング難度A+ / MJ and Adam Show
今まで10年英語を勉強してきましたが、300冊以上購入した英語書籍の中で、間違いなくベスト10に入る、最もやり込んだものの1つです。
「準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な勉強時間」でも触れましたが、「映画・ドラマを字幕なしで聞き取れる」ようになるには多聴が必須です。少なくとも数千時間は英語を聴く必要があります。
なので、「このシリーズだけで映画・ドラマが完璧に聞き取れるレベル」にはならないですが、きちんと繰り返しトレーニングすれば、ネイティブの生の英語で聞き取れる”音”は確実に増えます。
TOEICや英検やNHK教材のような「日本人向けに作られた聞き取りやすい英語」と、「映画・ドラマで話されるネイティブの生の英語」の間には大きなギャップがありますが、このシリーズはそのギャップを埋めてくれるものだと感じています。
詳しく見ていきましょう(=゚ω゚)ノ
このシリーズのおすすめポイント 5つ
(1) 難しすぎず、易しすぎない
森田勝之先生このシリーズのナレーターは、TOEICや英検のナレーターと比べると、話すスピードが速い人が多く、音が崩れている割合も多いです。ですが、実際の映画やドラマの鬼のような速さや音の崩れ具合に比べると、幾分マイルドなんですよね。
この難易度がちょうどいいと感じています。
なので、「TOEICや英検はわりと聞き取れるようになってきたから、映画やドラマを字幕なしで聞き取れるようにしていきたいけど、ネイティブの生の英語は難しすぎる!」と感じている方に最適だと思います。
次の書籍のCD音声は、PCのブラウザでAmazonのサイトへ行くと試聴できます。スマホでは聴けないっぽい。
(2) 発音・イントネーションの解説が丁寧
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英語を勉強していると、「なんでこんな発音になるんだろう?」というのがけっこうありますよね。にもかかわらず、TOEICや英検のテキストで、発音が解説されているものはほとんどありません。
このシリーズは、16ある各シーンの最後に、発音やイントネーションを解説した「PHONETIC FOCUS」というコーナー(上図)が設けられています。
そこでは、弱く発音される音、強く発音される音、音の連結・消失などがかなり詳しく解説されているので目からウロコです。
もう20年以上もかかって統計を取って整理した日本人のリスニングの弱点を網羅するという方針は変わっていません。
…(中略)…この作品には、海外ドラマ数本分の音変化が入っています。(P.4~5)
この4冊でひたすらトレーニングしてきた結果、TOEIC・英検では身につきにくい、ネイティブのナチュラルスピードでの音の連結・消失のパターンが増えてきました。
【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
(3) 和訳がある → 理解しやすい
映画やドラマの日本語字幕って、実際に話されている英語と違うことが多く、内容も端折られていたりします。なので、スクリプトがあっても、台詞の意味が正確につかめないことがよくあります。
【 ディクテーション 】や【 シャドウイング 】するにしても、理解度が低いとトレーニングの効果は薄いです。
ですが、このシリーズには英文スクリプトと和訳がついています。なので、台詞の内容をきちんと理解することができます。これはとてもありがたいです。
(4) 語句の解説が充実してる
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上図を見るとお分かりいただけますが、左ページに英文スクリプト、右ページに日本語訳と語注というレイアウトになっています。
この語注での、語彙・フレーズの解説がかなり丁寧な部類に入るかなと。
また、省略されている言葉や背景知識についての説明もあるんですよね。TOEIC本や英検の過去問には絶対書かれていないようなことが学べます。
(5) 勉強&トレーニングがやりやすい
繰り返し聞いたり、・ディクテーション・シャドウイングするなら、DVDやNetflix・Huluよりも、「テキスト+CD」のほうが勉強しやすいと感じています。また、実際の映画やドラマって会話のないシーンも多く、そういったところも、繰り返し勉強するには非効率です。
ですがこのシリーズは、1冊に「scene」が16個収録されてありまして、1 sceneがだいたい2分~3分半くらいで、全体で30~45分くらいになります。
基本的にどの scene も台詞で埋まっており、挿入されている音楽も短いので、繰り返しトレーニングしやすいように作られています。
さらに、DVDやストリーミングサービスと違い、「テキスト+CD」だとテキストに書き込むことができますし、音の連結・消失、アクセントなどの自分が注意したい箇所にマーカーを引くこともできます。
また、CD音声はMP3に変換しておけば、スマホの無料アプリ「語学プレーヤー(iPhone・Android)や「SONYのMP3ウォークマン」を使えば、再生速度も変更できますし、クイックバックや区間リピートもやりやすくなるので、通勤・通学など出先でもトレーニングできます。
英語って結局、そのマテリアル(素材)を続けられるかどうかじゃないですか。なので、勉強やトレーニングがやりやすい素材って非常に重要だと考えています。
勉強やトレーニングがやりやすい → 続けやすい → 上達しやすい → 継続は力なり。
2015~2016年頃、映画やドラマは一部しか聞き取れなかったんです。
ですが、この4冊で繰り返しトレーニングしてきたことで、「Netflix」では専門用語が少なく日常会話が多めの映画やドラマ、また、北米ネイティブ2人のポッドキャスト「Speak UP Radio」などの生の英語は、わりと聞き取って楽しめるようになってきました。
こんな人におすすめ
TOEICリスニング400点/英検準1級以上初級者には厳しいと思います。
基本的な文法・語彙が身についていて、150~180 wpmくらいの速さについていけるリスニング力がないと厳しいので、TOEICリスニング400~450点・英検準1級はあったほうがいいと思います。
【参考】TOEIC 900点が確実に獲れる!6つの戦略と勉強法
もちろん両方あれば even better。TOEICリスニング450点あると聞き取るスピードも速くなるため、速いナレーターについていきやすくなり、英検準1級があると「TOEICだけ」よりも聞き取れる範囲が増えます。
【参考】TOEICでは身につきにくい、英検で獲得できる6つの英語力
「映画やドラマは難しすぎる」
かなり早口な人もいますし、速く話されるシーンはありますが、専門用語や早口な人がたくさん出てくる映画やドラマほどは難しくないです。
Amazonのコメントにはそういった点に対する批判もありますが、実際の映画やドラマは難しすぎると感じていた当時の自分には、この難易度がちょうど良かったなと。
「TOEICや英検はつまらない」
このシリーズは、TOEICや英検の会話よりも自然ですし、効果音も含めて臨場感があるので状況をイメージしやすいと感じています。
なので「TOEICのナレーターは、声に表情がなさすぎて、暗唱やシャドウイングで感情移入しにくい」と感じている方にもいいかと(笑)
勉強・トレーニングのやり方
この記事をご覧の方であれば、ただ聞き流すだけではリスニングはほとんど伸びないのは、体験的にご存知だと思います(笑)
というわけで、僕がやってきた勉強・トレーニングをご紹介しておきます(`・ω・´)b
Step 1:ディクテーション(精聴)
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まず最初に「脳内ディクテーション」をやりました。
「紙に書き取る普通のディクテーションだと、ほとんど書き取れる」というリスニング力をお持ちであれば、脳内でやるディクテーションでOKです。
【参考】TOEICリスニング満点を取るのに役立った「脳内ディクテーション」
上図にあるように、オレンジ色のペンで音が連結している部分には「⌒」、音が消失している部分には打ち消し線「d」という風に書き込みました。
こうしておくと、音読やオーバーラッピングやシャドウイングをするときに発音しやすくなります。
【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
また、早口な人はすごく速いので、自宅なら「Potplayer」、出先なら「ウォークマン」を使って、0.7倍速からトレーニングを始めました。
◆ 音声の速度を変更する方法 ◆
(1) 無料アプリ「語学プレーヤー(iPhone・Android)」
(2) Windows Media Playerの「再生速度変更機能」
(3) Potplayerの再生速度変更
(4)「SONYのMP3ウォークマン」の再生速度変更機能
ちなみに、トラックには臨場感を高める音楽が入ってることがあるのですが、冗長に感じるのであれば、PCのフリーソフト「Audacity」を使うか、ウェブサイト「Online MP3 Cutter」で会話以外の部分をカットするといいです。
Step 2:精読
ディクテーションが終わったら、不明な語彙・表現・文法・構文・口語表現・慣用句は、できる限り辞書やネットで調べました。
「字幕なしで観ることのできる映画がかなり増えてきた印象」というレベルに到達されているyukoさんは、ブログ記事「海外ドラマで英語学習」を読んでると、やはりきちんと単語のチェックをされているんですよね。
また、洋画や海外ドラマを使って英語を身につけられた有子山(うじやま)博美さんも、著書で次のようにアドバイスされていました。
分からないものをそのままにしても、いくら大量に聞き流しても、せいぜい「耳がちょっと慣れる」くらいで、上達は見込めません。
(1) ネイティブが話している内容を必ず文字(英語字幕)で確認し、知らない語彙はできるだけ調べ、(2) 理解した上で再度聞く(文字と音を結びつける)……という作業を必ず行って下さい。(P. 102)
Step 3:オーバーラッピング&シャドウイング
精聴精読が終わったらオーバーラッピングとシャドウイングをやりました。
「発音できない音は聞き取れない」ということはないですが、自分でスラスラ発音できる音は、聞こえてきた瞬間に聞き取れるようになりますし、英会話で自分のスピーキングが通じやすくなります。
最初は1 Sceneずつ、0.7倍速から始め、徐々にスピードを上げていきます。ある程度言えるようになったら(1週間くらい?)、次のSceneへ。
Step 4:瞬間英作文(or 暗唱)
「瞬時に意味がつかめなかった英文」「英会話で使えるようになりたいと思ったフレーズ」は、フラッシュカード(単語カード)アプリに登録し、【 瞬間英作文 】で回しました。
フラッシュカードアプリ「Anki」を使うと、「苦手なもの/すぐに習得したいもの」を集中してトレーニングできるので、長期記憶への定着を早めることができると感じています。
さらに、定着度合いに応じて、次に復習する日を自分で決められる(=ムダに毎日練習する必要がない)ので非常に効率的です。
【参考】フラッシュカード瞬間英作文を快適化する14のコツ
● トレーニング時の注意点
1冊当たり16の scene ありますが、僕は1 scene に1~2週間かけて、1冊3~4ヶ月くらいのペースでトレーニングしました。
このシリーズをやり始めると、ついついストーリーが気になって先に進んでしまいがちなのですが(笑)、そこをグッとこらえて、1 scene ずつ丁寧に練習していったほうが、1冊やり終えた後の効果は大きくなります。
週間ドラマのように、最低でも1週間は我慢したほうがいいです。せっかちダメ。絶対。そうすることで、毎週の楽しみにもなりますよ♪
シリーズ4冊の詳しい紹介
森田勝之先生のこの映画・ドラマCDのシリーズは、2018年現在4冊出ていまして、4冊全部トレーニングをやり終えたので、1つ1つレビューしていきます。
ちなみに、各書籍にある「収録時間」というのは、発音の解説を除いた本編のCDドラマの収録時間です。
『映画英語のリスニング New York Detective Story』
収録時間:約29分
カテゴリー:ミステリー
難易度:★★
4冊ともやる予定であれば、一番最初にこの本をやるといいです。4冊の中では易しい部類に入るかと。
台詞が短めのものが多く、スピードもちょうどいいなと。主人公がけっこう早口で、音が崩れることも多いです。
刑事ドラマなので、ミステリーものによく出る語彙・表現が学べます。
ただ、トラック1の最初に24秒の前奏があるのですが、繰り返しトレーニングするには鬱陶しいので(笑)、「Audacity」や「Online MP3 Cutter」でカットするといいです。
『ストーリーで学ぶ英語リスニング』
収録時間:約38分
カテゴリー:医療・ミステリー
難易度:★★★★
医療用語が多少出てきますが、そこまで難しいわけではないです。
主人公のJim Stoneは比較的早口でいい感じです。オーストラリア人の医師・Peter Jenkinsに少しアクセントがあります。
「好きだった人の名前を忘れる」といったツッコミどころもいくつかありますが、4冊の中では一番好きなストーリーでした。難易度も含めて、「4冊の中でどれか1冊だけ選べ」と言われたらコレをお勧めします。
この本もトラック1の前奏が長いので、「Audacity」か「Online MP3 Cutter」でカットするといいです。
『映画英語のリスニング 恋するブルックリン』
収録時間:約32分
カテゴリー:恋愛・ヒューマンドラマ
難易度:★★★★★
4冊の中では最も難しい部類に入ると思います。
「なるべく生の英語に近いものでトレーニングしたい」という方はコレがお勧め。ただし、映画やドラマが多少聞き取れるレベルに到達してないと、おそらく心が折れます。
話者のスピードが全体的に速く、それに伴って音の連結・消失が激しく、発音が崩れている割合が多いなと。
※こちらもPCからであれば、AmazonのページでCD音声の試聴ができます。
英語好きさんのブログ記事「英語リスニング難易度比較表」で言うところの「だべり英語の壁」って、これのことなのかなと。
女優をめざす女性が主人公なので、演劇に関する用語がよく出てきます。
Amazonのレビューに「独り言が多い」「聞き取りづらい」というコメントがありますが、映画やドラマにも独り言はありますし、実際の映画やドラマで脳内ディクテーションしていると、不明瞭で聞き取りづらい箇所は大量に出てくるので、問題ない範疇だと思います。
『映画英語のリスニング ファティマに何が起こったか』
カテゴリー:家族・ヒューマンドラマ
難易度:★★★
かなり早口で話すミュージシャンのEddie以外は、音の崩れ具合が少なく、聞き取りやすいと感じました。ただ、登場人物一人ひとりの台詞が長く、語彙はそこそこ難しいです。
前半は比較的ゆっくりで、台詞も短いですが、徐々に早く、台詞も長くなっていく印象があります。なので、1 sceneに1~2週間くらいかかけて、きちんとトレーニングしていったほうがいいです。
最新刊だけあって、内容も台詞も一番練られていると思います。王道なファミリードラマで、ドラマでよく聞くフレーズがたくさん出てきます。
Amazonに「話がリアルすぎる」というレビューがありましたが、僕はそのリアルさがいいと思いました。ネガティブな表現も含めて、幅広くいろんな語彙・表現を聞き取れるようになりたいんですよね。
基本的には良いお話なので、良いフレーズもたくさん学べました。お陰で、映画やドラマで聞き取れる語彙も増えました。
上記は、発売された順に並べましたが、4冊全部トライするのであれば、
(1) 映画英語のリスニング New York Detective Story
(2) 映画英語のリスニング ファティマに何が起こったか
(3) ストーリーで学ぶ英語リスニング
(4) 映画英語のリスニング 恋するブルックリン
の順番でやるといいと思います。『恋ブル』はホント難しいです。
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(1) ネイティブが話している内容を必ず文字(英語字幕)で確認し、知らない語彙はできるだけ調べ、(2) 理解した上で再度聞く(文字と音を結びつける)……という作業を必ず行って下さい。(P. 102)
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