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公開:2013年
更新:2016-11/23 全体的に加筆・修正
関連:参考書の選び方 / 公式 / 単語帳 / リスニング / Part 5・6 / Part 7
本屋さんに行くと、TOEICの参考書や問題集って大量にあって、どれを買ったらいいか迷いますよね(~∀~;)
僕はこれまでにTOEICを49回受け、お陰様で2012年10月に900点台に到達し、2017年05月950点を取得することができました。
今まで100冊以上のTOEIC本を買い、46冊(11984問)のTOEIC本でトレーニングしましたが、いい本もあれば、あまり役に立たなかった本もあったので、TOEIC本の選び方のコツと注意点についてまとめてみました。
お持ちのTOEIC本や購入検討中の本が、このブログにないこともあると思いますが、そういう場合も、この記事を参考にすれば、「そのTOEIC本がいい本か」「今買うべきか」を見極めるノウハウが身につくはずです。
それでは、いってみましょう(=゚ω゚)ノ
TOEICは毎回変化している
たいていの方はご存知だと思いますが、TOEICは2016年の5月にリニューアルしました。
ですが、今回のリニューアルだけでなく、毎回と言っていいほど、問題が変わり続けてきています。
まず、2010年頃に比べると、2016年のリスニングセクションは全体的にナレーターが速く話すようになっています。
ゆっくり(約150 wpmくらいで)話す人が減り、『公式問題集』のオーストラリア人男性くらいのスピード(約200 wpm)で話す人が増えたなと。
Part 2は「最初の1~3語を聞き取れれば正解できる」という易しい問題の割合が減り、の「間接応答問題」も難易度が高いものが増えました。
Part 3・4は設問・選択肢が長いものが増え、問題も難易度の高いものが増えました。
また、Part 6は「文選択問題」のお陰で、解くのに時間がかかるようになりました。
Part 7はPart 7は英文が長いものが増え、語彙レベルが上がり、全文読まないと解けない「選択肢照合問題」の割合がかなり増えています。
新形式に変わってからもずっと受け続けていますが、「こんな問題、見たことないな」というのが毎回ある気がします。ETSもいろいろ試しているのかなと。
新形式で変わった点について、また、問題の解き方や勉強のやり方については、次の記事を参考にしててみ下さい。
【参考】新形式TOEIC 対策と勉強法 リスニング / リーディング(時間配分)
TOEIC参考書選び 8つの注意点
(1) 著者が今でもTOEICを受け続けているか?
今までいろんなTOEIC本に取り組んできて、「この単語リスト、TOEICに出ない単語がいっぱい載ってるな」「こんな英文、TOEICには出ない」と感じる本がたくさんありました。どうもTOEIC本の中には、
が、出版社から依頼されて書いているケースや、
と考えている出版社が依頼しているケースがある気がします。
最初に申し上げたように、TOEICは毎回変化しているので、最新のTOEICを受けていない著者のTOEIC本が、最新のTOEICの傾向を反映しているとは言い難いです。
もちろん、どんな本であっても「英語力向上」という点では決してムダにはならないですが、現在の目標が「TOEICスコア最優先」なのであれば、TOEICを受け続けている著者の本を選んだほうが、時間対効果は高いと確信しています。
【僕が信頼しているTOEIC本著者の方々】
ただ困ったことに、著者のプロフィールに「TOEIC 990点満点取得」とあっても、が分からないんですよね。
そんなわけで、2015~2016年現在、TOEICの継続受験をWeb上で明言されていて、TOEIC書籍を数冊出版されている、僕が信頼している講師の方々をご紹介しておきます。もちろん皆さんTOEICは満点を取得されています。
● 濱崎潤之輔先生(ブログ / Amazon)
● 神崎正哉先生(ブログ / Amazon)
● TEX加藤先生(ブログ / Amazon)
● 森田鉄也先生(ブログ / Amazon)
● テッド寺倉先生(ツイッター / Amazon)
● ヒロ前田先生(ブログ / Amazon)
● 花田徹也先生(ブログ / Amazon)
● 大里秀介先生(ブログ / Amazon)
● 中村澄子先生(ツイッター / Amazon)
● 早川幸治先生(ブログ / Amazon)
● 八島晶先生(ブログ / Amazon)
● 相澤俊幸先生(ブログ / Amazon)
また、「監修の本」は鵜呑みにしないほうがいいと思います。きちんと監修されているケースと、あまりきちんと監修されていないケースがあるので。僕はヒロ前田先生が監修された本は信頼しています。
あと、アスク出版さんのTOEIC本も僕は信頼しています。ツイッターアカウント「アスク出版 英語編集部」の中の方は満点ホルダーで、毎回TOEICを受験されています。
ちなみに、出版社「Z会」と「Jリサーチ出版」の"TOEIC本"は僕はもう買わないと思います。
Z会の「速読英単語」「速読速聴Core1900」や、Jリサーチ出版の「会話できる英文法大特訓」「英会話フレーズ大特訓」はすごくいい本だと感じていますが、TOEIC本に関してはは「これ、本当にTOEICを受け続けている人が書いてるの?」と思う本に何冊か当たりました。
(2) 古すぎるものは避ける
旧形式の公式問題集・模試・パート別対策本であっても、きちんとやり込めばスコアは伸びますが、「新形式で新たに加わった問題」は対策しておかないと、本試験で面食らうと思います。
2016年2月・3月の旧形式のTOEICを受けたときは、ともに925点が取れましたが、その頃に自宅で解いた
の正答率は80%前後(800点くらい)でした。
そんなわけで、新形式に対応した『公式問題集や模試』は最低でも1冊はやっておいたほうがいいと思います。
【参考】TOEIC参考書多すぎ!僕が900点獲るのに役立った参考書まとめ
(3) 解説は充実しているか?
本屋さんで物色していて、いい本が数冊見つかった場合は、解説がなるべく丁寧なものを選んで下さい。解説が不親切な本は、勉強のモチベーションを削ぐ=途中で挫折しやすい。特に、次の3点をチェックするといいですよ。
● 語句の解説の割合が多い
特に英語初心者~中級者の方は、テキスト選びで迷ったとき、語注(語句の解説)の多いほうを選ぶといいです。語注が多い本には2つの大きなメリットがあります。
(1) 辞書を引く回数が減らせる(=復習にかかる時間が減らせる)
(2) 自分の知らない要注意の語彙・表現に気づける
今本屋さんにおられる方は、濱崎潤之輔先生の『はじめて受ける TOEICテスト パーフェクト入門』の語注をチェックしてみて下さい。
この本の語注はかなり多い部類に入ります。これくらいあるとすごく勉強しやすいです。
また、公式問題集を選ぶなら、上述した『公式問題集 新形式問題対応編』よりは、次の『公式 TOEIC Listening & Reading 問題集1~3』のほうが語注の割合は多い(=初心者~中級者に優しい)です。
● 不正解の選択肢についての説明が多い
TOEIC本で勉強していると「この不正解の選択肢が、なぜ不正解になるのか分からない」で悩むことが多いいんですよね。解説を読んでも、自分が選んだ選択肢がなぜ不正解になるのかが理解できなければ、本試験で類似問題が出たときに間違ってしまいます。また、「ある問題集では不正解だった選択肢が、本試験では正解になる」ということもあります。
TOEICの本試験では「1つの不正解の選択肢のヒッカケが巧妙にできていて、2択で悩む」というのをよく経験します。
初級者の頃、Part 3・4・7で、本文中にある単語が使われているけど不正解になる選択肢がある問題で、「なんでこれが不正解になるねん!本文に書いてあるやん!」で何度ちゃぶ台をひっくり返したことか(笑)
「すべての問題に、不正解の選択肢が不正解になる理由の解説が必要」とは考えていないですが、せめてそういったヒッカケが巧妙にできている不正解の選択肢の説明くらいはあって欲しいなと。
そんなわけで、問題集選びで迷ったときは、「不正解の選択肢が不正解になる理由」を説明している割合が多いものを選ぶといいです。
ヒロ前田先生の『究極のゼミシリーズ』、花田徹也先生の『文法特急シリーズ』は、類書に比べてその割合が多いと感じています。
●「言い換え」の説明はどうか?
例えば、Part 3・4・7においては、問題音声・問題文に「annual」と出てきた場合、選択肢では「every year」と言い換えられる場合があります。なぜかと言うと、問題音声・問題文と、選択肢でまったく同じ表現が使われると、初心者でも簡単に正解を選べてしまうからです。
最近解いた問題集の中だと、八島晶先生の『サラリーマン特急 新形式リスニング』
のPart 3・4の解説編をチェックしてみて下さい。「言い換え表現」として独立してあるので非常に分かりやすくて親切だと感じました。
(4) 大きさ・分厚さ・勉強しやすさ
● 初心者は「小さくて薄いもの」を選ぶ
英語初心者の方にとっては、大きい本や分厚い本は挫折の原因になりやすいので、なるべく避けたほうが無難です。朝日新聞出版の『特急シリーズ』のように新書サイズや、文庫サイズなどの小さくて薄い本は、軽くてカバンに入れて持ち運びしやすい&すぐに取り出して勉強できる → どこでも勉強できる → 勉強時間が増える→ 挫折しにくい → 効果が出やすい本と感じています。
ただ、小さい本 = レイアウトが限られているので、Part 7系はちょっと勉強しづらいかったりします。
また、年配の方や視力があまり良くないという方にとっては「文字が小さくて読みづらい」というデメリットもあるので、本屋さんでチェックしてみたほうがいいと思います。
● 難易度表示は?
600~800点くらいになってくると、「この問題は、中級者レベル?上級者レベル?」というのが気になってきます。解説編の各問題に難易度表示があると、「この問題は難易度が高めだから、今の自分のレベルなら正解してなくても大丈夫だな」「この問題は、600点レベルなのか。落としちゃいけない問題だな」という風に判断することができます。
大里秀介先生の『TOEICテスト新形式完全攻略模試』
は、すべての問題に難易度表示があります。この本は二色刷りなので、重要なポイントが分かりやすく、語注も比較的多いので、TOEIC初心者に優しいと思います。詳しくは次の記事でレビューしています。
【参考】新形式TOEIC おすすめ公式問題集・模試と効果的な使い方
他にも次のような項目をチェックしておくといいですよ。
● 音声はCDかMP3ダウンロードか?(MP3だと変換する手間がかからない)
● 解説編にも英文があるか?(→解説編だけで復習できる→持ち物が減らせる)
● 見開きページに解答解説があるか?(見開きだと答え合わせが容易)
● リスニングのナレーターはクセがなく聞き取りやすいか?
(5) Amazonの★5つを鵜呑みにしない
普段Amazonを利用されている方は何となくお気づきだと思いますが、Amazonの「★5つレビュー」には出版社・編集者の自作自演、著者のファンや頼まれて or 専門業者が書いているケースもあったりするので、鵜呑みにはしないほうがいいかなと。Amazonをチェックしていると、総花的に褒めてばかりの「★5つレビュー」はしばしば見かけます。
そのレビュアーの他のレビューしてる本をチェックしてみて、その本だけ、その著者だけ、その出版社だけだったりすると、かなりアヤシイ(ー_ー;)
「★5レビュー」が圧倒的に多い本は気をつけたほうがいいですね。
逆に、「★1つレビュー」は、著者のアンチが書いていたり、明らかに著者や出版社の非ではない理由で酷評されているケースも多いので、これはこれで参考にならないことも多いです。
信憑性が高いのは、「★4つ」~「★2つ」くらいで、良い点だけでなく、悪い点や改善点にも言及されてあるレビューかなと。
レビューを頼まれたサクラさんが、「★5つ」以外の評価を付けたり、悪い点や改善点を書く確率は低いと思うんですよ。
トータルで「★5つ」未満の評価だと、「書店の目立つ棚に置いてもらえない」「そもそも書店に置いてもらえない」とか、いろいろと大・人・の・事・情❤があったりするそうです。
「Amazonのレビューにはサクラもある」と意識してレビューを読むことで、徐々に見る目が養われてくるはずです(・∀・)b
● Amazonで中古品を買うときの注意点
Amazonで中古の本を買うときは、僕は次の基準で買うようにしています。「コンディション」が「可」は要注意です。一度だけ「可」の中古を買って、中身が書き込みだらけで失敗したことがあります。「書き込みはございません」と書かれていたのにもかかわらず。それ以来「可」は選ばないようにしています。
ただ、TOEIC対策本はあまり中古では出まわらないですね(^_^ゞ
(6) 電子書籍のメリット・デメリット
『特急シリーズ』のように、リアル書籍だけでなく、電子書籍でも発売されてるTOEIC対策本が徐々に出てきてますよね。その電子書籍版のTOEIC対策本について考えてみました。
【メリット】
電子書籍のメリットは、多くの本をたくさん持ち歩く必要がないので、出先で多くのテキストで勉強する派の方はラクになります。かばんスッキリ。また、電子書籍の端末によっては、単語をタップするだけで意味を調べることができるので、英文は確実に読みやすくなります。
あと、新刊だと電子書籍のほうが安く買えることが多いのもメリットですね。
【デメリット】
ただ、TOEIC対策本の場合、ペーパーバックなどと違って、前の章に戻って読み直すことがけっこうあるので、電子書籍だとそれが少し面倒なんですよね。リアル書籍のように、目的のページを直感的にサッと開くというのがやりにくい。あと、電子書籍はマーカーを引くことはできても、【精読】的に書き込んだりするのができないんですよね。スラッシュを入れたり、( )でくくったり、余白に単語の意味を書き込んだり、主語に「S」、動詞に「V」とか書き込めない。
もちろん、最終的にはご自身の好みで選んでいただきたいですが、個人的には、電子書籍はペーパーバックや北米版のマンガなどを読むのには向いてはいるけど、TOEIC対策本にはあんまり向いていないような気がします。
(7) 今すぐやる本以外は買わない
断捨離 - やましたひでこオフィシャルブログ
Amazonや本屋さんでいろいろチェックしていて、テンションが上がってきて、英語書籍を思わず大人買いしてしまうことってあると思います。
しかし、自分の経験上、「いずれやる」という本をあらかじめ買っておくのはお薦めしません。
やましたひでこさんの「断捨離」を実践されている方は、心掛けておられると思いますが、英語学習においても「今、本当に必要なものだけ買う」というのは非常に重要です。
理由は2つあります。
【理由1】英語力が上がると欲しい本は変わる
毎日2~3時間きちんと勉強し続けていれば、半年~1年後には必ず英語力が上がります。英語力が上がると、すでに持っている参考書や問題集では物足りなくなって、今の自分のレベル・好みに合った本が欲しくなります。
また、「TOEICは目標点に到達したので、これからは英会話にシフトしよう」といった感じで、学びたいことが変わることもあります。
【理由2】近い将来より良い本は必ず出る
英語やTOEICは、昨今の出版不況において、数少ない儲かる市場です。ですので、次々といい本・教材が出てきます。※もちろん、そうでない本も次々と出てきます(笑)
例えば今、ある本を「すごくいい!」と思って、とりあえず買って「積ん読」状態に。数ヶ月後、さらにもっといい本が出るということがあるんです。
そうなるともう、その新しい本に目がいってしまって、全く手を付けていない本には見向きもしない。そんなことが多々ありました(˜∀˜;)
そんなわけで、今すぐやる本以外は買わないことをお薦めします。
例外としては、辞書や文法書のような「手元に置いといて何度も見る系」の本は買っておいていいかなと思います。
【参考】英文法が苦手な人にこそ読んで欲しい!おすすめ文法書8選と勉強法
(8) 最終的には自分の好みで選ぶ
ある程度、英語やTOEIC対策本を購入していて、自分に合ったものを選ぶスキルが身についている方は問題ないと思います。ただ、英語初心者の方は、例え上級者が薦めていたとしても、どんなにベストセラーであったとしても、僕がこのブログでどんなに熱く語っていたとしても(笑)、購入前に、本屋さんでチェックしてみることをお薦めします。
というのも、(当ブログで紹介している本も含めて)他者が薦めている本が、自分の現在のレベル・好みに合うとは限らないからです。
そして、自分に合わない本は、
→ 勉強やトレーニングが続かない→また次の問題集を買う
→ 英語教材ジプシー
→ 英語がなかなか上達しにくい
→ 挫折する…orz
になります。
また、最初のまえがきと解説を読んでみて、もし著者の文体や言葉遣い、価値観が自分に合わなければ、それも避けた方がいいです。おそらく続かないです。
問題集の構成やデザイン(外身も中身も)、色使い、文字のフォントなどにこだわる人は、こだわった方がいいです。気にならない人はそれで全然OKですが、気になる人はおそらくその直感は正しいです。
構成やデザインというのは一見小さいことのように思えますが、それでやる気が出る人は、そういう問題集を選んだ方が確実に勉強やトレーニングが続く = 継続は力なりです(`・ω・´)b
おすすめ参考書レビュー記事
上記のポイントを踏まえて、お薦めのTOEIC対策本を選び、レビューしました。自分が使ってよかった本を中心にまとめてあるので、よかったら参考になさって下さい。
● 初心者~目標600点におすすめの本
● 僕が900点を獲るのに役に立った参考書
● 単語集 / 公式問題集・模試 / 文法書
● リスニング対策本 / Part 5・6対策本 / Part 7対策本
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