推奨:英語初心者🔰~
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公開:2022-08/21
更新:2022-08/26 「(4) 話し言葉が身につきにくい」追記
関連:リーディング重視 / リスニング重視
リーディング重視 4つのデメリット
誤解のないようにお伝えしておくと、準ネイティブレベルの語彙力2万語に到達するには「多読」は必須になります。
ですが、僕自身リスニングで長い間伸び悩んできたのは、結局、スピーキングとリーディングに時間を多く割いてしまい、リスニングに費やす時間が少なかったからだと考えています。
加えて、第二言語習得の本を読めば読むほど、特に会話力向上を重視する場合は、「英語学習初期にリーディングに多めに時間を割くこと」はあまりよろしくないのではないかと考えるようになってきました。
(1) 我流の間違った発音が身につく危険性
音声知覚の運動理論によると、「リーディング時にも(黙読であっても)頭の中では音が再現される」そうです。
つまり、発音を学ばず、音変化のデータベースが少ないまま英文を読み続けていると、間違った発音が頭の中でも再生され続けてしまうと考えられます。
発音を間違って覚えてしまうと、リスニングでは正確に聞き取れない確率が、スピーキングでは正確に聞き取ってもらえない確率が上がってしまうことになります。
【関連】やらない人は損してる!発音を学ぶことで得られる4つの効果
● 上の世代の研究者の訛りが強い原因
NHK WORLD TVを見ていると、日本人研究者の方々がよく登場されるんですよ。皆さん、めちゃくちゃ優秀ですごく感銘を受けるんですが、上の世代の研究者の方々の英語の発音はかなり日本人訛りだなと。あれ、これも発音警察か(笑)。
これはリーディング偏重の弊害ではないかと推論しています。
まず、研究者の仕事というのは、大量の英語論文を読まないといけないんですよね。
加えて、昔はYouTubeやNetflixはありませんでしたし、英語の音声教材はアホみたいな値段してました(笑)。英語を聞く環境を作るのは非常に難しかったんです。
つまり、研究者の方々は強制的にリーディング偏重にならざるを得なかったわけです。そして、脳内で日本人的な発音が固定化。
結果、日本人訛りの強い発音になってしまったのではないかと。
iPS細胞で知られる山中伸弥教授は、ノーベル賞の受賞スピーチで、てらいのない分かりやすい英語を話されていたので感心しましたが、以前は国際学会で苦い体験があったとのことです。
「骨」と言っているつもりで"bone"という単語を発音したところ、理解してもらえなかったというのです。
どうやら"born"と誤解されたらしい。恐らく日本語的に「ボーン」とゆるく発音したので、"born"に聞こえたのでしょう。[ b ]の後に続く[ ou ]を意識して強くはっきり発音すれば、「骨」だと分かってもらえたはずです。(P.22)
(2) 読めるけど聞き取れない問題が残る
お陰様で2017年にTOEICリスニング満点が取れましたが、僕はいまだに「読めるけど聞き取れない、簡単な英語だけど聞き取れない発音・音変化」がたくさんあります。● 「kind of」には4種以上の発音がある
例えば「kind of」というフレーズは、「カインドオヴ」という発音が一番オーソドックスだと思います。ですが他にも、「d」の発音が消失し、かつ「n」と「o」が連結して「kin
しかも、もっと早口だと「カナ」みたいな音変化になったりします。
YouGlishで「kind of」で検索すると、ネイティブのさまざまな「kind of」の発音を実際のスピーチや会話の中で聴けますよ。
TOEIC 900点や英検準1級を取って、ネイティブの生の英語に触れるようになると、徐々に1つの単語(&音変化)に2つ以上の発音があり、辞書アプリなどでは聞けない崩れた発音があることに気づいてきます。
ですが、いくらリーディングをやったとしても、こういったさまざまな発音のデータベースは増えないんですよね。
結局、シャドウイングなどの発音のデータベースを増やす(≒聞き取れない音を減らす)トレーニングをやらないと、「読めるけど聞き取れない問題」は解決できないのではないかと。
リーディングに多くの時間を割いている人は、リスニング重視の人よりも「読めるけど聞き取れない問題」が解決するのが遅くなってしまう可能性が高いです。
【科学研究】リスニングで聞き取れない音 ≒ 正確にスラスラ発音できない音
(3) 会話で書き言葉が出てきてしまう
基本的にリーディングは書き言葉(文章体)で書かれています。
そして、output always equals input.(出力は常に入力に等しい)
なので、先にリーディングを大量インプットしてしまうと、当然自分のスピーキングでは書き言葉がアウトプットされることになります。
上述したNHK WORLD TVに登場される研究者の方々の英語はかなりフォーマルな表現が多いです。おそらく普段よく読んでおられるのが英語の論文だからだろうなと。
それ自体は悪いことではありません。
科学や医療の番組で、専門家が超カジュアルで薄っぺらい表現を使っていたら逆に心配になります(笑)。
● 会話で書き言葉を使うとどうなるか?
ですが、僕ら一般ピーポーは違います。去年始めたオンライン英会話の「エイゴックス」でネイティブ講師に「僕のスピーキングに改善点があったら教えて下さい!」と頼んだら、「あなたの話す英語は堅苦しく/仰々しく聞こえるかも」と何度か指摘されたんですね(笑)。
これは今までインプットしてきたのが、TOEICと英検というフォーマルな英語がメインで、口語体と文章体の違いを学ぶ機会がほぼゼロだったからです。
どうも英語は、日本語よりも口語体と文章体の区別がハッキリしている感じがするんですよね。
もちろん、ネタ的にあえて文章体で使う単語を会話で使ったり、わざと堅苦しい小説的な表現を使うことで笑いを取ることもあるのですが、基本的には口語体と文章体は使い分けている感じがします。
なので、上級者をめざすのであれば、口語体と文章体の区別は必須だと考えるようになってきました。
(4) 話し言葉が身につきにくい
書き言葉でしか使わない単語があるのと同様に、話し言葉でしか使わない単語やフレーズもかなりたくさんあるんですよね。
例えば最近、Hapa英会話のJunさんのネイティブの生の会話が収録されたCD本「Hip Talk LA」で知ったのですが、アメリカ英語の場合、会話で「school」を「大学」の意味で使ったりするんですよね。
「school」と聞くと小中高をイメージするじゃないですか。
他にも、「quick fix(手っ取り早く解決すること、急場しのぎ)」とか、すぐに理解できませんでした。
TOEICや英検のように200wpm以下のスピードだと、初聞きでも理解できることがありますが、早口のネイティブの250 wpm以上の速いスピードの中で出てきたら、僕のレベルだと処理が間に合わないんですよね(˜∀˜;)
生の会話で自分が聞き取れない原因を分析していると、こういった「知ってる単語だけど、自分が知らない意味があって、それが原因で理解できない」というケースもけっこう多いなと。
そんなわけで、英語初心者の方で、会話重視なのであれば、リーディングよりもリスニング向上に時間を多めに割いたほうがいいと考えています。
リスニング重視が効率的かも
この数年で、第二言語習得に関する本を10冊くらい読んできました。
その結果、「英会話力向上」が最優先事項なのであれば、リスニングに多めに時間を割いたほうが効率的にスピーキングとリスニングを同時に伸ばせそうだなと。
最も刺さったのは、サンノゼ州立大学の研究と、アメリカ国防総省外国語学校の実験から得られた「リスニングは残りの3技能に転移する」という知見です。
リスニング重視、実践してみた
2022年現在は、スピーキングトレーニング(フラッシュカード瞬間英作文)を半分に減らし(161時間)、リーディングはほぼゼロ、半分以上が精聴(382時間)と多聴(177時間)です。
オンライン英会話は1日2レッスンのままで、スピーキング練習は減らしたのに、英会話で英語が出てきやすくなってきてるんですね。
382時間の精聴は、この半年間で、「森田勝之先生の映画・ドラマCD本」「公式TOEIC L&R問題集」「英検準1級過去問リスニング」でシャドウイングとリピーティングで、各章・TESTを20日間連続で反復練習してきました。
そうやって口で覚えたものが、会話中に自動的に出てくるんですよね。
僕はわりと最近まで、瞬間英作文にかなり時間を割いていました。瞬間英作文は即効性があるんですよね。
オンライン英会話と瞬間英作文を並行してやればやるほど、英会話でスラスラと言えることが増えてくるので、ついついやり過ぎてしまっていました。
ですがもし、「スピーキング(瞬間英作文)重視」をもっと早く「リスニング重視」に切り替えたいたら、今頃リスニングもスピーキングももっと伸びていただろうなと推測しています。
【関連】[英会話] スピーキングを伸ばしたい→言語学者「リスニング重視が効率的だよ」
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